今、企業を口説くのに効果的な切り口とは?

宇佐美浩一氏(以下、宇佐美):質問してもいいですか? 今、いろんな事例をお話していただいたんですけれど、「こういうことやりませんか?」「こんなことやってる会社がありますよ」と、例えば企業様にご提案したときに、「それはやれたらいいけど、いくら?」と。

その辺り、お客様を、「なるほどね。それは投資すべきだよね」と納得させるために、最近、響きやすいトークとか切り口とか、その辺りがあればどんなことかな、と。

谷畑良胤氏(以下、谷畑):今の森脇さんの話も1つですね。

宇佐美:はい。

谷畑:八子さん、喋りたそうですね。

データは売れる時代 貯めなくていいんですか?

八子知礼氏(以下、八子):あのですね、キラートークがありまして。最近よく申し上げているのは、先ほど私が最後の事例で申し上げたように、最近引き合いが多いのが、「溜まってきたデータを売りたい」というお話なんですね。

実際に、私どもの製造業のお客様で、今、データ販売のビジネスを手がけておられて、ある一定の金額、みなさんが想定されているよりもはるかに大きな金額で取引されているというお話が、我々の事例でございます。

それからすると、よくある話としては、社長のところや経営者のところに持って行くと、1回目は提案が失敗するんですね。先ほどおっしゃられたように、なかなか決裁ができない。

翌年に持って行ったときには、「そろそろIoTの話が盛り上がってるので、やれ」と。去年と比べて「対前年比をすぐに出せ」と言われて、「対前年比って、データがないからできません」と担当者がおっしゃって、我々も「うんうん。対前年比がないです」と。

そしたら社長とか幹部が、「だから俺が去年言っただろう、対前年比って。だからやれって言ったじゃないか、去年」「あなた去年リジェクトしたじゃないですか」という話が、実際問題あります。

重要なのは、データが溜まっていないとそういう対前年比の比較もできません。もう1つ付け加えて言うと、データが溜まっていないと、もしくはそれなりに価値あるデータになっていないと、データを売ることができません。

売ることができないということ、データが溜まっていないということは、貯金がないのと同じです。「それでよかったんでしたっけ、みなさん?」と。

「データが売れる時代に、みなさんは価値あるデータが溜まっていません。それでよかったんでしたっけ? 社長」と。こういう迫り方をすると、意外とちょっとブルブル震えられる経営者の方もいらっしゃいます。

「海兵隊」としての新事業発掘

谷畑:森川先生も、なにか言いたそうな。そもそもデータってどこから探すの? 価値あるデータってどこにあるの? ということも。

森川博之氏(以下、森川):結果論になっちゃうのですが、IoTの多くの分野は、ビッグデータも含めて、コストベネフィットがわからないものが多いんですね。

わかってればもうやっていて、お金出すんですよ。でも、わからないところが膨大にあって。こちらのスライドを出していただけますか? したがって僕はいつも、「海兵隊」と言ってます。

谷畑:海兵隊?

森川:初めにとにかくやってみないといけない。先ほどのお笑い劇場もそうなんですけれど、おそらくあれをやる前に、あれをやって売上が上がるとは誰も思わないはずなんですね。やってみたら、たまたま売上が上がってお客さんの満足度も上がったわけであって。

スポーツもしかりです。スポーツで位置情報を付けて、どういうサティスファクションが生まれるかって、やってみないとわからない。なので、まずは海兵隊でやること。たぶん多くのケースでは海兵隊なのかな。

谷畑:海兵隊っていきなり乗り込むってことですか?

森川:海兵隊は、一番初めに敵陣に乗り込んで行くということですけど、重要なのは死亡率が一番高いことなんです。

谷畑:死亡率高いって(笑)。

森川:死亡しない海兵隊って意味ないので。そんな安全な海兵隊はありえないので。やはり死亡するところが重要で、それを経営者がちゃんと認めてあげることが、重要なんだろうな、と。それで、そういうことをうまくやった人たちが差別化できていく。

死亡するなら「小さく死亡しなさい」

谷畑:ということは、八子さんのウフルさんは海兵隊がいっぱい揃ってる?

八子:そうですね。我々、よく死亡する人たちがたくさんいます(笑)。

谷畑:(笑)。

八子:ただ私がよく申し上げているのは、どうせ死亡しに行くんだったら、「小さく死亡しなさい」と。ちょっとしたものを積み上げていくことによって、「もっと大きなジャンプをしていきましょう」とは申し上げてますね。

谷畑:なるほど。サトーさんの件など、いろんな事例がありましたけれど、システムを作ってても、費用対効果を求められたり、当然するんでしょ?

八子:費用対効果、求められます。

谷畑:あのあたりはわかりやすいですかね。費用対効果。

八子:ただ、いったん「こういう仮説でいきましょう」ということが立てられずに……。モデルであるとか、「将来目指す姿はこうです。でも、今やれることはこういうことです。今やれることの結果としては、たぶんこういうことが出てきます」という仮説を立てることが重要なんですけども。

なかなかそれを立てられないまま始められてしまう。もしくは始められない。それで、ぐるぐる回ってしまう、というのはよく見る話ですね。

谷畑:今、森川先生がおっしゃったようなコストメリットというのも、仮説として出すわけですか?

八子:仮説ですね。はい。

データを持っていることが強みになる

谷畑:わかりました。宇佐美さん、いいですか?

宇佐美:ありがとうございます。

谷畑:宇佐美さんのところは、こういうデータを“支配”しようと? これは、ちょっと、言いたかっただけなんですが(笑)。

宇佐美:はい。支配というか、持っていることが強みになるはずと信じてやってます。

谷畑:はい。そういう意味でした。わかりました。

八子:これは先ほど私もお話しした、とくに地方の自治体の方々もそうなんですけれど、地場のデータセンターであるとか、自社保有のデータセンターのなかにデータを保有したいと。

例えば、クラウドに全部置くわけでもないというのが、最近相談としては増えてきているので、宇佐美さんのおっしゃられることも非常にリーズナブルかなと思いますけどね。