自動車産業がスタバに食われる日
コモディティだらけの世界を変えるレオナルド・ダ・ヴィンチ的思考法

TEDxTokyo 奥山清行 #1/2

フェラーリやポルシェなどのカーデザインにとどまらず、鉄道車両や家具、化粧品など、幅広いデザインを手がける工業デザイナーの奥山清行が、コモディティ化する現代で、社会に革新を起こすための考え方を訴えました。(TED×Tokyo 2010より)

自動車業界の終焉は近い

奥山清行(以下、奥山):みなさんこんにちは。今日はモビリティについてお話をしたいと思います。革命のモビリティですね。このカルチャーのセクションにこのトピックが合うかどうか分かりませんが、ベストを尽くしたいと思います。

今日のプレゼンテーションはいろいろな製品や製造業をご紹介することで始めたいと思います。私はフェラーリのデザイナーだったんですけれども……自動車産業というのはもう過去の産業になっている。皆さんにとってはちょっとショックなことかもしれませんが、これは現実になっていることなんです。

これからは、ハードウェア、製品自体にフォーカスをしているところから、インフラに移行していく形ですね。例えば、インターネットのインフラが、他の業界に取って代わってしまうということも、皆さんは見ていらっしゃると思います。なので、車の業界というのはもう時代遅れの業界で終わりが来るということが言えると思います。

コモディティ化が引き起こした悲劇

それから、車をデザインするということは大変なことなんですけれども、20年か30年前、ゼネラル・モーターズで仕事をしていたときに、デザイナーたちは研究所に行かなければならなかったんですね。

何かすごくカッコイイことが起きているという最近のトレンドをリサーチャーたちが見せてくれるんですね。これを商品にしたらどうなのっていうアイデアをくれたわけです。こうしてインダストリアルデザイン、製品デザインを行っているときに、人とお金があればそういったことが可能になったわけですね。

そして最初からピンポイントでこういったものを作ろうと、このテクノロジーがあればこの商品が5年で作れて、その発売の5年後、15年かに渡って売ることができるだろうということを予測することもできたわけなんです。これは車だけではなくて他の製品でも同じことが言えたんですね。

今まではこうしようと決めてプランできたわけなんですが、これからはどういう方向に行きたいか、ということをはっきりと定義付けできることが大切になってくるわけなんです。このスライドなんですが、車はブランドプロダクト、ブランドの製品なんですね。ただ、今の時代というのはどちらかというと車はコモディティ化していると言えると思います。

例えば小売店ですね。ヤマダ電機のようなところが力を持つと商品がコモディティ化してしまうんですね。とても残念なことに車の業界というのも車がコモディティ化しているということにあまり気づいていなかったと言えるかと思います。それが悲劇を呼んだわけなんです。

車がコモディティ化してしまった結果、車のライバルというのが車ではなくなってしまっているんです。それは他の交通機関でもありますし、オフィスであったりエレベーターであったりということも言えるんです。交通もしくは交通網というものが、街をどのように変えていくのか、街の構造をどのように変えていくのかというのをお見せしたいと思います。

プロダクトのみならず、それ取り巻く街づくりまでを含めたデザイン

これは私の故郷の山形県なんですけれども、ご存じない方のためにご説明するならば、りんごやお米を育てるという農業が発達した地域であります。1800年代には最上川を下って京都までお米やりんごを送ってたわけなんです。その後、経済が発展して山形にも電車や道路ができるような状況になってきました。

電車ができましたので、電車の駅が街を作っていたことになったわけなんです。それから、第二次世界大戦が終わった後というのは車が初めて主要な交通機関、交通手段になったという時代です。駅だけではなくてこの時代というのは道路の発達によって街が作られていくという時代になりました。

よく質問されるんです「奥山さん、電気自動車とかハイブリッド車ってどうなんですか」と。もしこういった新しい車についてお話をされるときは、実は車の種類というのはあまり関係がないんですね。車の種類ではなくて、どんなサービスを提供するのかということがこれから最も重要になってくるわけなんです。

これをもう少し細かく説明させていただくために、少しここから旅をしたいと思います。中東に飛びます。アブダビです。アブダビでは、マスダールシティという都市を作るプロジェクトが進んでいます。

このイメージはノマフォスタという建築家によって作られたイメージなんですけれども、アラブ首長国連邦は産油国でお金をたくさん持っている国で、そういった国がこういったプロジェクトにすでに取り組んでいるわけなんです。

これはCO2を排出しない、カーボンフリーの都市となっています。こういった産油国が将来のテクノロジーを見据えて、すでに投資を行っているんです。これはカリフォルニアでも少し起きていて、メキシコでもこのような動きがありますが、日本ではまだまだこういった動きが全くないといった状況です。

このイメージは私のスタッフの一人が作ったんですけれども、車のデザイナーというのは単純に車のデザイナーというだけではないんですね。車を含めた環境、都市の環境というものすべてをパッケージとしてデザインしていくわけなんです。そうでないと、ストーリーが伝わらないということなんですね。

ダ・ヴィンチならどう考えるか

これを説明させていただきますと、これはダ・ヴィンチプロジェクトと呼んでいます。イタリアの会社とやっているからなんですけども。もし、レオナルド・ダ・ヴィンチが車をデザインするとしたら、おそらく今のような形にはしなかったのではないかと思います。

アプリケーションもおそらく全く違ったのではないかと思います。例えば、車を停めるという一つのことを考えても、全く違ったのではないかと思うんです。なので、レオナルドのように考えて作った提案策というのが今見えているものですね

ベターチェンジプログラム。より良い交換のプログラムというものを始めている会社があるのですが、これは電池交換のステーションを描いたものです。ここでどんなサービスを提供するのか、どのようにではなくて、どうやってサービスを提供するかということにフォーカスしているんです。

この絵も同じですね。電気交換ができるステーションのものです。これを見ていただくと、車の底の方から電池を交換できるようになっているのが分かると思います。8時間くらい充電するんですけども、電池の交換は2分でできます。

電池を交換するということに関して、良い点と悪い点もあるんですけども、ここに書いてある通り、車を持たない社会というのを考えています。なので、この電池というものは一人ひとり車の所有者が持つわけではなくて共有されているもの、それをチャージ、充電しながら使っていくということになると思います。

これは将来のスターバックスだと思っていただければと思います。その中に充電ができるステーション、駐車ができるステーションがあるというイメージと思っていただければと思います。今はコーヒーを買いに行くためにスターバックスに行かれると思いますが、ここを見ていただくと、スターバックスに人が集まるということで、スターバックスにすごく力が出てくるということが見ていただけると分かると思います。

つまり、人々が行くところ、スターバックスにコーヒーを買いに行くというのが第1の目的で、2番目の目的が電気自動車に乗ることができるということですね。車に乗ることが最初の目的にはならないということです。

ずっと求められるプロダクトを作るためには

この写真ですね。スターバックスステーションをまた違った角度から見ているんですけれども、ここでも繰り返しになりますが、製造業者からサービスを提供するほうに力が動いているのではないかと思います。なので、あなたがいる業界のサービスを提供しているところはどこなのか、というものに注目していくことも大事かと思います。

そして、皆さん多分お聞きになると思います。世界はもうコモディティだらけになってしまって、ブランドはないんだろうかと思ってしまうかと思います。ブランドプロダクトというものは皆さんが買いたいと思うものですね。

コモディティは必要があって買わなければならないものという感じだと思うんですが、最近はブランドというものを見ることが少なくなってきたと思います。デザイナーがきちんと作っていないということも言えるかと思います。魅力的な商品になるまでデザインをしていないということが言えるのかもしれません。

例えばスイスの時計を買うとき、携帯もありますし、壁には時計もありますし別に必要じゃない。なので、時間を見るために時計を買うわけではないですね。時計が欲しくて買うわけなんです。そうやって買った時計というのは、すでに20個くらい時計を買っているんですけども、結構長い間ずっと持ち続けると思います。

そして、この時計はずっと、私と一緒に人生を刻んでいくんですね。また私が使い終わった後も、息子、娘、もしくは友だちに渡していくことによって、この時計というものがずっと生き続けていくんですね。これが、人間が猿とは違うところだと思います。

あなたの夢は何でしょうか

このスーパーリムジンに戻りますと、電気自動車の素晴らしいところは、電気の中の要素それぞれが特につながっているわけではないですね。なので、どこに置いてもいいんです。つまり、車のパッケージング、車の設計がとても自由になるということが言えるんですね。そのうち、本当に素晴らしいリムジンの車を作ることができるのではないかと思います。ディーゼルや他の形態の車を超えることができると思っています。

それから、これ以外にも面白いものをデザインするという余力もあるかと思うんですけれども、右側の絵は、あなたが高層マンションにいると思っていただけたらと思います。左側の車のような形はカプセルになっていて、建物の側面があなたのパーキングの場所になるんですね。マイケル・ジャクソンを聴きながら、このカプセルで上に上がっていって、朝会社に行くときはまたそのカプセルで降りてきて、その車に乗って会社に通うということができてくるわけなんです。

ここには私が今日お話したことが書かれているんですけども、もう少しまだお話していないことを話したいと思います。確かな社会にするための要素と夢の連鎖反応が今日よりも良くなることをこれから開発していくというところで、1970年代に大阪万博に行きましたときに車を見て私は車のデザイナーになろうと決めたわけなんです。

1962年にあった、ジョン・F・ケネディの有名なスピーチによりイタリアのデザイナーは一つのスーパーカーを作り、そして私自身をデザイナーになるというふうに考えさせるようになったわけです。

六本木やお台場にいる人が、こうした車を見たときに尊敬してくるでしょう。そして子どもには車や交通網に対して尊敬できるようになってほしい。なぜなら私には夢があるからです。コモディティにはまだ変化の余地があり、そこへ素晴らしいブランドの製品を提供できる、それがモビリティイノベーションです。

私からの質問です。あなたの夢は何でしょうか。そしてそのためにあなたは日々何をしているのでしょうか。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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