ニンニクのにおいの元はなにか?
マイケル・アランダ氏:さて、きみがデートに出かけているとしましょう。そして、イタリア料理が食べたくてたまらないとします。レストランへ行っておいしいディナーを食べて、後になってやっと自分の息、そして自分自身が不快なにおいを放っていることに気づくのです。
ああ、ニンニクよ。あまりにもおいしくて、危険なヤツ。なぜきみはぼくたちにこんな仕打ちをするんだ?
ニンニク臭い息は、そのほかの多くの物事と同じように、化学に関連しています。
皮を剥いていない丸ごとのニンニクはそれほどにおわないというのはみなさんご存じですよね。
それは、あの古来のニンニク臭の要因となる化合物が、球根が物理的に傷つけられたときにだけ生じるからなのです。
あなたたちがお気に入りのレシピに沿って、球根を切ったりつぶしたり、あるいはずたずたに切り刻んだりすると、アリイナーゼという酵素を放出することになり、その酵素はニンニクが持つ無臭のアリイン化合物をただちに破壊して、アリシンというあの臭いやつに変えてしまう働きを始めます。
手やまな板からにおっているのはアリシンなのですが、それはすぐにほかの化合物に分解されます。その多くは硫黄を含む化合物になります。その化合物こそがあなたたちのニンニク臭い息の発信源なのです。
ひと口噛んだだけで、あなたの口のなかをうろついて口中に悪臭を放つのはそいつらです。
においを消すことはできるのか?
アリルメチルスルフィドあるいはAMSと呼ばれる化合物は、とくに口のなかに長居する傾向にあります。分解するのにいちばん時間がかかるのがそれで、丸1日、いや2日間も長居することがあります。
歯をみがくことや、これらの小さな分子を物理的に舌からこすり落とすことは、あなたの死の息を多少マシにするのに役立つかもしれません。でもニンニク臭い息をこれほど悪名高いものにしている要因の1つは、そのしつこさです。
いったん摂取されて腸に吸収されると、その臭いAMSは、あなたの血流に無傷で入り込みます。
そしてやがて、最終的にそれを排出するであろう器官――腎臓、肺、そして皮膚――に到達するのです。
そうやってその独特のニンニク臭はあなたの尿や息、汗などに再び表れて、あなたがラザニアの最後の一口を食べたずっと後までつきまといます。
でも、わかります。あなたはニンニクが大好きですが、相手に引かれずにおしゃべりやキスを楽しみたいってことですよね。
あのにおいを消すためになにかできることはあるのでしょうか?
そうですねえ、パセリやリンゴ、ほうれん草、マッシュルーム、バジル、柑橘類の果物なんかを食べると、ニンニク臭い息を多少は弱めるのに役立つかもしれないということを発見した研究者がいます。
どうやってそれらが効くのか正確にはわかっていませんが、研究者たちは、臭い硫黄化合物の臭気を取り除いて分解するのに役立つある酵素や分子がこういった食べ物に含まれている可能性があると考えています。
そして食品化学雑誌で発表された2010年のある研究では、牛乳に含まれる高脂肪や水分が、ニンニクを食べている最中に飲んだ場合はとくに、AMS分子の臭気をよりすばやく取り除くのに役立つ可能性を示唆しています。
でも僕はこういったものが、大事なミーティングやロマンティックな夜の前にあなたを救い出してくれるとは思えませんけどね。多くの食品科学者は、ただブレスミントか12のような別の香りでニンニク臭を覆い隠す、あとはあまり汗をかかないようにがんばるしかないと言っていますよ。