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シェアリングエコノミーのビジネスチャンス(全5記事)

2025年の市場規模は10兆円? 国内で加熱するシェアリングエコノミーの可能性 

2015年12月10日、「IVS 2015 Fall Kyoto」が開催されました。Session7A「シェアリングエコノミーのビジネスチャンス」には、モデレーターを務めるマカイラ・藤井宏一郎氏、akippa・金谷元気氏、スペースマーケット・重松大輔氏、DeNA・大見周平氏、UBER JAPAN・髙橋正巳氏の5名が登壇しました。本パートでは、藤井氏がシェアリングエコノミーの定義とビジネスモデル、国内における市場規模について解説しました。

シェアリングエコノミーの定義ってなに?

藤井宏一郎氏(以下、藤井):みなさま、こんにちは。「シェアリングエコノミーのビジネスチャンス」ということで、日本でここ1、2年ガンガン盛り上がっているシェアリングエコノミーについてみんなで議論していきたいと思います。

シェアリングエコノミーとは何なのか? 元政府にいた人間として定義を引くべきですが、「情報通信白書」はこんなことを言っています。

「典型的には、個人が保有する遊休資産の貸し出しを仲介するサービス。貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがあります」と。

(スライドの)太字のところがキーワードなんですけど、「貸し借りが成立するためには、信頼関係の担保が必要であるが、そのためにソーシャルメディアの特性である情報交換に基づく緩やかなコミュニティの機能を活用することができる」ということです。

さすが、安倍総理にハッパをかけられたということもありまして、政府の役人が作成したシェアリングエコノミーに関する、非常によくできた定義だと思っております。

これはけっこう過不足ない定義なんですね。私もいろいろWikipediaなどを探したんですけど。

ほとんどの方が知ってらっしゃると思うんですけど、従来は集中生産・配分型モデル、大きな工場で大量生産して、それを個々のコンシューマーに売って、その人たちが使うというモデルでした。

ところが、ネットワーク化された世界では、資産を共有したり、再利用したりすることができるようになるんですね。

どうして昔はできなかったかというと、1人1台車を買ったら、隣がいつその車を使っていかわからないし、わかったところで「その車を貸してください」という手段もなかったからです。

でも、ネットワーク化された社会では、こういうことが可能になる。それを可能としているのが、やはり情報プラットフォームであり、シェアリングエコノミーというのは、借主・貸主・プラットフォーム事業者の3者から成るビジネスモデルです。

CtoC以外にも広がるビジネスモデル

先ほどの定義に戻るんですが、典型的なシェアリングエコノミーとは、個人が保有する遊休資産の貸し出しを仲介するサービスです。ただ、世の中では基本的にCtoCモデルが一般的だと理解されております。

ただ、BtoBもないことはない。この間、空きトラックを使って企業向けのデリバリーサービスを提供する、ラクスルさんがローンチされました「ハコベル」とか、もともとやっていらっしゃる印刷機のシェアリングもBtoBになると思います。

あとは、遊休資産を仲介するサービスなので、「プラットフォームが自ら資産を保有しない」ということが重要です。

よく「タクシー会社とかバス会社だって、みんなで乗ってシェアしてるじゃないか!」と言われることがあるんですけど、それはシェアの意味が違います。プラットフォーム自らが資産を所有するわけではありません。

プラットフォームは、あくまでも情報トランザクションだけのポジションを取り、軽い立場でいられるというのがこのビジネスモデルの秘密です。

(シェアリングエコノミーは)仲介するサービスということで、売買行為は一般的に含まないと言われています。

古着をCtoCで売り買いするような、Eコマースやダイレクトマーケティングをシェアリングエコノミーだと言う人もいるんですが、一般的には言われていない感じだと思います。

あと、クラウドファンディングも含むという人もいるんですけど、これは「お金を貸す」というよりも、クラウドレンディングみたいなものもありますが、基本的にはやっぱり購入型か投資型が主ですよね。

そうすると、遊休資産を貸し合っているのとはちょっと違うため、含むという人もいますけど、一般的には含まないと理解されています。

これも時間を売り買いしてる気がするんですけど、一応スキルや時間の貸し出しもあるので、クラウドソーシングはシェアリングエコノミーに含むという人は多いです。

ただ、実際はあまり定義にこだわる必要はないと思います。なぜなら、ビジネスモデルが機能すればいいのであって、そこでお金が回って、みんなが稼いで幸せであれば、シェアリングエコノミーかどうかを気にする人はあまりいないからです。

ただ、一応ここで議論するときには、今みたいな一般的な定義の議論をしましょうということで、あまりクラウドファンディングやダイレクトマーケティングに脱線しないようにしたいと思います。

国内外の代表的なサービス

(シェアリングエコノミーの対象には)どんなものがあるのだろうということなんですけど、世の中なんでもシェアできちゃうので、遊休資産がいっぱいあって、それをみんなが持っていて、ただ情報トランザクションコストが安くなったから、ITで(シェアを)可能にした場合、なんでも当てはまるようになってきます。

代表的なのは、やっぱりAirbnbが手がけるホームシェアです。中国の「途家網」や日本の「百戦錬磨」のように各国でモデル化が図られています。

それから場所貸しですね。スペースマーケットさんが有名だと思いますけど、駐車場という特殊な場合で言えば、「akippa」さんも代表的なサービスです。

ライドシェアとカーシェア、双方は何が違うのかということですけど、わかりやすいのはカーシェアですよね。みんなが車を持っていて、その車の使用を分かち合うことで、それがこちらのDeNAが展開する「Anyca(エニカ)」のカーシェアモデルです。「私が使ってないときに、車を使わせてあげる」というやつ。

ライドシェアというのは、乗車のシェアなので、私が車に乗るときにあなたを乗せてあげますということです。こちらを手がけるものとして、髙橋社長のUBER JAPAN、「Lyft」「Grab Taxi」などがあります。

あとは、物流デリバリーの「ハコベル」ですね。おもしろいのは、アジアは物流がなかなかうまくいってないというか、未熟な部分があって、それだけに物新しいシステムが受け入れられやすく、なんでもありみたいな感じになってしまっています。

「GoGoBus」とか、「GOJEK」というのはバイクによる宅配便の出前も、ライドシェアも全部やってますというやつですね。これは本当にシェアと言っていいかわからないところがあるんですけど、インドネシアならではのモデルです。

続いて観光おもてなし、ツアーガイドさんをシェアするとかですね。ちなみに、無資格者が日本において有料で通訳案内を行うと違法になってしまいます。

料理や食事も該当します。「KitchHike」さんとか「MyChef」さんとか、こういった楽しいサービスがいっぱいあります。

それから、角田千佳社長が率いている「Any+Times」。これは一般的に家事のタスクシェアリングのサービスだと言われておりますが、「Any+Times」 は家事以外にもさまざまなスキルをシェアされているサービスだと理解しております。

あとはクラウドソーシングですが、吉田(浩一郎)社長のクラウドワークスですね。デザインだけでやっているサービスも世界にはありまして、「DesignCrowd」というのがあります。

ペットのAirbnbみたいなサービスもありました。探して見つけたんですけど、2015年12月からサービス開始予定ということで、今事前会員の登録応募を開始している「OneBox」。こちらはペットのトリミングだそうです。

あとは工具やマウンテンバイクなど、ふだん使うわけじゃないんだけども、1人で持っておくには惜しい物を貸し合うサービスもあります。

それから、今度シルバー社会の日本でも来ると思われているのが、医療往診や介護ですが、アメリカではもう始まっています。

国内の成長規模は10年間で10兆円予測

シェアリングエコノミーの経済規模ということですけど、PwC(プライスウォーターハウスクーパース)によると、2025年までの10年で3300億ドル規模に成長すると。これは20年間で約20倍の成長に当たります。

また、新経済連盟の政策提言では、日本だけで2025年に10兆円の成長と言っております。同連盟の資料からですけど、計算根拠がさまざまありまして、例えば育児市場はそれだけで5700億円とか、日本では7軒に1軒が空き家になっているとか、そういった積み上げで先ほどの10兆円を出しておられます。

いずれにせよ、ものすごく大きな数字になるということです。そんな前置きで、本日はこういった3テーマ、「シェアリングエコノミーの可能性と経営」「シェアリングエコノミーがもたらすポジティブな社会」「シェアリングエコノミーの課題」について、みなさまとお話をしていきたいと思います。

私のプレゼンはここまでにして、「akippa」の金谷社長からお願いします。

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