「アイアンマン」も夢じゃない?
驚きの近未来ロボット技術最前線

Will You be Iron Man?

映画『アイアンマン』のように、自分の肉体をロボットで強化してみたいと一度は思ったことがある方も多いと思います。実はそれはけっして夢物語ではありません。ウェアラブルなロボットは、私たちに身近なものになりつつあるのです。科学者、技術者、プログラマーはすでに研究を進めていて、グーグルグラスのようなウェアラブルコンピュータですでに実用化され、神経系への埋め込み技術やナノロボット、近未来的な義手のような分野が今まさに開発途上にあるのです。 今回の「SciShow」では、そのような最新のロボット技術を紹介します。

『アイアンマン』のようなスーパーヒーローになれる日が来る?

ハンク・グリーン氏:僕は今週、友達の引っ越しの手伝いをしようとしたんです。

もちろん友達だし、仲のいいやつなんですけども、やっぱりどうしてもめんどくさいし、しんどい。汗もかくし、腰を痛めるかもしれません。

となると、「トニー・スタークになりたい、アイアンマンぐらいの力を持っていれば」って思ったりしますよね。

ウェアラブルなロボットは、いずれ私たちに身近なものになるでしょう。

次世代のマンマシンインターフェース技術の1つとして、科学者、技術者、プログラマーはすでに研究を進めています。

こうした技術は、グーグルグラスのようなウェアラブルコンピュータですでに実用化され、神経系への埋め込み技術やナノロボット、近未来的な義手のような分野が開発途上にあります。

人類は長い間、生活を豊かにするためにテクノロジーを用いてきました。今ではただ自分たちの体や満足のためだけに発明をするのではなく、自然や未来を考えた発明をします。

私たちは今、その最前線にいるのです。私たちもいつかスーパーヒーローになれる日が来るんでしょうか?

人間強化技術“トランスヒューマニズム”

犬のような聴力を手に入れたり、車を軽々と飛び越えたり、思うだけで物を動かしたりしたいと思ったことがありますか? であれば、“トランスヒューマニズム”がオススメです。

トランスヒューマニズムとは、テクノロジーを使って人間の持つ潜在能力を引き出すことができる、という思想のことです。平たく言えば、人間強化技術ですね。

人間強化技術の正確な定義はありませんが、人間の持つ認知力や身体能力を科学的な手法で限界以上に引き出すこと、と一般に考えられています。

GRINテクノロジーとも呼ばれているこの技術は、遺伝子(Genetics)、ロボット(Robotics)、情報(Information)、ナノテクノロジー(Nano)を合わせたもので、生活の質を高めたり、寿命を伸ばすことさえ可能にする最先端技術なのです。

話せない、聞こえない、手足がないといった人が、本来の能力を取り戻せるように治療するために用いられるのが一般的ですが、普通の人でもはるか遠くを見通せるようになるなど、スーパーヒーローにしかできなかったことを可能にする技術でもあります。

現在ほとんどの研究は治療の分野に限られていますが、きっとみなさんにも馴染みのものがあるでしょう。

例えばペースメーカーは、不整脈の心臓が本来の心拍を行えるようにしますし、なにかと話題の南アフリカのオスカー・ピストリウスは、近未来的な義足を装着して世界記録を保持しています。

どちらも、本来の能力を取り戻すために、失った機能を修復しています。

この分野でもっとも進んでいるのは人工内耳かもしれません。補聴器と違って手術によって人工内耳を埋め込んで、ろう者の聴力を取り戻すのです。

かなり新しい技術ではありますが、2010年後半時点で約21万9千人のろう者がこの恩恵を受けています。

同じように、人工的な目や角膜などを埋め込んで視覚障害者が部分的にでも見えるようにする技術もあります。

NanoRatina、SecondSightといった企業は、画像処理用の素子を目に埋め込んで、信号を脳へと伝える技術を開発しています。メガネに埋め込んだ、ごく小さなバッテリーで駆動するものもあるようです。

試験段階ですがNanoRatinaは、576ピクセルの解像度を5,000ピクセルまで引き上げようとしています。

さらに複雑な手術になってくると、家が1件買えるより高額な費用がかかるので、さらに技術が成熟してコストが下がるまで待たなくてはいけません。

考えてみれば、デジカメもフロッピーディスクも始めはとても大きく、撮った写真は小さくてひどい画質でしかも高かったですが、今では安くて綺麗で、しかも全部がスマホ1つで事足りるんですからね。

ウェアラブルロボットも実現しつつある?

人間強化の技術には埋め込むのではなく、装着する発想のウェアラブルロボット、というものもあります。強化外骨格ですね、僕はこれがめちゃくちゃ欲しい!

アメリカ軍はこのロボットスーツを開発することで、兵士が重たい装備をしたまま移動したり、厳しい地形を疲れずに長距離移動できると考えています。

同じように、リハビリ医院のなかには、下半身不随の患者がこの「ロボット義足」をつけて歩けるようにしているところもあるようです。

こうした充電式バッテリー搭載のロボットスーツを動かす仕組みはいくつか考案されています。

ボタンを押して操作するものもあれば、装着した部分の筋肉の動きをセンサーが読み取って同じ動きをするものもあります。最新の技術では、脳の信号をセンサーが読み取って思った通りの方向に動かすこともできるのです。

最先端の科学技術がもうすこし手頃な値段で快適に使えるようになって、私たちが実際に手にするにはもう少し時間が掛かりそうです。

現在は試作品でも相当に高額な代物ですが、ロボットスーツメーカーEkso Bionicsの創業者ロス・アンゴルドは、いつの日かロボットスーツは誰しもが利用できる「未来のジーンズ」にしたい、と述べています。常識を覆すジーンズですけどね。

脳の神経回路への埋め込みも研究中

さらに未来の話をすると、もっとすごい分野もあります。それはニューラルネットワーク(神経回路網)への埋め込みです。まるで脳にハードウェアを埋め込むようにも聞こえますが、その魅力はたくさんあります。

アメリカ軍の国防高等研究計画局、DARPAでは、ニューラルネットワークへの埋め込みをはじめ、たとえ空想的でぶっ飛んだ内容であっても、あらゆる分野を研究しています。

例えば、DARPAと共同研究しているBrainGateという企業は、頭のなかでコーヒーと考えるだけで、文字通りロボットがコーヒーを淹れてくれる技術を開発しています。

BrainGateは自分たちの理念について、「神経疾患や手足を失った人が、自力で満足のいくコミュニケーションが取れるようにすることだ」と述べています。

今BrainGateは、4ミリメートル四方の小さなセンサーを脳に手術によって埋め込み、手足を動かそうとした時に起こる脳の信号を記録しています。次にその信号を、デコーダや内蔵されたソフトウェアによって、外部機器が読み取りやすいかたちに変換します。外部機器はコンピュータや、義手や義足、車いすやロボットアームなどですね。

最終目標は、脳波を電子デバイスへと接続して直接動かすことで、麻痺した手足を復活させることです。

しかし今のところ、彼らの研究は四肢麻痺のような閉じ込め症候群の人が、物理的な方法でコミュニケーションを取ることを目指しています。閉じ込め症候群の人は、自分の意識は完全な状態であるにも関わらず、まったく身動きを取ることができません。

例えば、世界的に著名な物理学者スティーブン・ホーキングはこの病気にかかっています。

BrainGateは現在、神経系に埋め込むことで、仮想的なマウスやキーボードを簡単なイメージによって、自ら操作できる装置を開発しています。

パイロットや狙撃手の訓練にも利用されている

ほかの研究には、頭のなかで思い描いたものを同じように表示させようとする試みもあります。帽子のようにかぶるこの装置は、経頭蓋直流刺激、tDCSと呼ばれています。

tDCSは頭皮に接触するようにかぶるデバイスで、脳のいくつかの部分に2ミリアンペアほどの電流を流します。この刺激によって神経系の可塑性にはたらきかけることができ、上げれば学習能力が向上し、下げれば反応時間が短くなって素早い反応ができるようになります。

DARPAはすでにこの近未来的な技術を利用してパイロットや狙撃手を訓練し、磨き上げられた兵士を作りだそうとしています。一方でこの技術は、学習時間を短くしたり、記憶力をよくしたり、脳卒中や泌尿器系の病気を治療する上でも役立つのではと考えられています。

ほかにも、脳深部刺激療法(DBS)という、頭蓋骨のなかに小さな電極を埋め込む、いわゆる脳のペースメーカーのような技術もあります。DBSはほかにも、てんかんやパーキンソン病の治療、双極性障害や重度のうつ病に対しても治療できるのではないかと期待されています。

DBSは過去10年以上いろいろなかたちで研究されてきましたが、Medtronic(アイルランドの医療機器メーカー)の研究者たちは、脳のなかでなにが起こっているかを常時読み取れるようなシステムを開発しています。それによって、適切な部位に適切な量の電流を送ることができるようになるのです。

埋め込み装置を使って頭が賢くなったり健康になったりすることは、興奮こそすれ、ビビる必要はありませんよ。

体のなかをロボットが泳ぐ?

最後に、体のなかを小さな、本当に小さなロボットがすいすい泳ぐ技術も取り上げてみましょう。

科学技術の1分野であるナノテクノロジーによって、10億分の1ミリであるナノレベルのロボットが研究されています。

ただ小さいだけでなく、特定のタンパク質にのみ反応して分子レベルの薬を届けたり、特定の腫瘍のみを見つけたりできるのです。

未来学の第一人者でもあるレイ・カーツワイルは、20年以内に人間の体が免疫システムを増強するナノロボットで満たされて、ガン組織を破壊したり、怪我した部分を修復するようになるだろう、と予測しています。

体に傷をつける外科手術なしに、動脈瘤を除去する、なんてこともできるかもしれませんね。

こうした技術が、トランスヒューマニズムや人間強化といった、生活をさらに進化させる重要な技術になっていくのかもしれません。

新しい技術というものは往々にして、恐れられたり疑われたりする一方、過度の期待や盲信を生むこともあります。

サイボーグのような概念を恐れるにしても、興奮するにしても、近い未来に待ち受けているものです。さらにそれはただ人体を変える、というだけではなく、この世界自体も変えてしまう力を持っているのです。

その時を覚悟して、楽しみに待ちましょう。

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