生き物はみな生活のリズムを持っている

きっとみなさんは、もし自分が世界中を飛び回る旅行者で、数時間のうちにいくつものタイムゾーンをまたいだとしてもどうってことないと思っているでしょう。

夜通し起きていて、試験期間は睡眠が微積分学の試験をパスすることに比べたらぜんぜん重要じゃないと思ってもいるでしょうね。仲間と一緒に僕たちの48時間生放送に出てみるとかね。あなた次第ですよ。

もし究極の夜型生活を送るなら、あなたたちは相当疲れることになるでしょうし、疲れも取れないし、混乱もするし、そしてきっと病気になるだけでしょうね。

地球上のさまざまな生き物たちと同じように、みなさんは特別な生物学的システムを備えていて、昼間と夜のサイクルに合うように身体を整える役目を担っているのです。

それはあなたの“サーカディアンリズム”であり、目覚まし時計と違って、止めるボタンが付いているわけではありません。私たちの体内時計は、日の出や日の入りと十分にシンクロしているのです。

身体のシステムの多くは自然光の有無によって調節され、それを間違えると物事は早く進んでしまうことになります。

サーカディアン(周期)という言葉は、ラテン語のcirca diemかapproximately a dayから来たと言われています。

すべての有機体、藻やバクテリアは独自の周期リズムを持っています。逆に虫や鳥、哺乳類の周期リズムは、3大欲求である食欲、睡眠欲、性欲に影響を受けるのです。

テストステロン分泌から生物学的抑制まで、すべてはこの1日サイクルでコントロールされるのです。

昼寝は自然なこと

人間に関しては、科学者たちはこういった自然振動が毎日どのように起こるのかについてだんだん理解できるようになってきています。

私たちが確信しているのは、主に周期リズムを調整をしている器官が視床下部で見つかったということです。これは脳の基幹部にある小さな領域で、神経システムを内分泌系と繋ぐ役割を果たしています。

私たちの体内時計は視交叉上核やSCNと呼ばれる神経細胞の集まりによって決定されます。

これは視神経と繋がっていて、SCN細胞が光や暗闇に反応するようになっています。だから、朝に視神経が光を感知すると、SCNはシグナルを送って、私たちの体温や心拍数、血圧を上げ、眠りやすくなるメラトニンのようなホルモンの分泌を遅らせるのです。

研究者たちは、朝に私たちの体温が上がると記憶力や集中力が研ぎ澄まされるということを発見しました。だから私たちの認識能力は昼近くに最高潮になる傾向があります。

午後の法則と呼ばれるものによって、私たちの眠りたいという欲求が一番高まるのは午前2時から4時の間で、続いてほぼ同じくらい高いのが午後2時から3時なのです。

みなさんが今までに午後2時からの授業で、ぽかぽか暖かい教室の木の机が突然羽毛布団のように感じたことがないなら、理解できないかもしれませんね。

これは昼寝が普段の日常リズムよりも重要であることを示しているのです。だから昼寝をいけないことだと感じなくてもいいのです。

人間が慣れ親しんでいる1日の中での睡眠パターンを持つ生き物はほかにはいません。そして昼下がりに昼寝をすることは私たち人間の最高の興味にもなってきています。

夜更かしが肥満やうつの原因に

午後の法則はほかの覚醒時間に従うものなのですが、夜に太陽が沈むと、SCNが再び動き出し、臓器の動きを鈍くさせ、体温を低くさせるシグナルを発します。そして眠りを誘うホルモンを活性化させるのです。

問題なのは、私たちの生活スケジュールがもはや日の出と日の入りの時間通りではないということです。夜遅くまで働いたり勉強したりすることは、赤ちゃんの頃からのリズムと合わせようとする体内時計とたびたび争うことになるのです。

科学者たちはこれが、私たちの自然なリズムを壊すことになり、糖尿病や肥満、うつや痴ほうなどの健康問題を引き起こすと言っています。

私たちの遺伝子の15パーセントは周期リズムによって制御されています。だからみなさんが次に大西洋横断に出かけたり、徹夜をするような時には、身体のいうことをよく聞いて、適度に昼寝をするのがいいでしょう。