家を買うのに最適なタイミングとは

亀山敬司氏:多くの人は賃貸マンションとかに住んでると思うけど、将来「自分の家を買おう」と思ってる人もいるよね。

消費税が上がる頃になると、たぶん不動産屋さんから「消費税増税が近いので、家を買うなら今ですよ」ってセールスされると思うよ。「2パーセントもお得なんだから、急いだほうがいい」って感じで。

じゃあ、消費税が上がる前に買うのが得だと思う人、手を挙げてみて。上がった後に買ったほうが得だと思う人? まぁ、どっちもどっちなんだよね、これについては。

不動産の価格がどうやって決まるかというと、基本的に需要と供給。これは不動産だけじゃなくて、どんな商品でも価格というのは、買いたい人と売りたい人の数で決まるよね。

消費税前だとみんなが得だと思うから、日頃はお客が10人しか来ない不動産屋に、駆け込みで20人くらい来るわけ。でも、物件がいきなり増えるわけじゃないから、全体の不動産相場が上がるんだよ。

みんなは「この家は3000万円です」って言われても、それが妥当な価格かなんてわからないじゃない。結局、まわりを見て比較して、どちらがお買い得かで決めるしかないよね。だから全体の相場が高くなれば、結果的に高い買い物をすることになる。

増税後だったらモノは少し安くなるけど、消費税の2パーセント以上安くなるかはちょっとわからないんで、結局のところ、神の見えざる手が動いて、どっちもどっちというのが結論。

でも、不動産屋の営業は、消費税が上がる前には「もうすぐ2パーセント上がりますよ。今買うのが一番お得ですよ!」って言うわけよ。

じゃあ上がった後にはどうかって言うと「駆け込み終了で売り手が弱気なんですよ。今買うのが一番得ですよ!」って。やっぱり最後は、「今買うのが一番お得ですよ」になるのよ(笑)。

両方聞けばどっちもどっちと思うけど、自分たちに聞かされるのは、そのときに聞く片方だけ、営業はどっちの言い方もできるわけよ。だから、結論はそんな不動産屋の言葉に惑わされずに「欲しいときに買えばいい」ってことさ(笑)。

「これから土地が上がるのか? 下がるのか?」なんて悩んでる人もいるけど。少子化で下がるか、中国人が買いに来て上がるのかは、プロでさえもよくわかんない。

そんなわからないことを考えてもしょうがないから、土地の価格は変わらない前提で、「そもそも自分が住む家は、借りたほうが得か? 買ったほうが得か?」について考えてみよう。

「持ち家」vs「賃貸」選ぶならどっち?

例えば、毎月10万の家賃を払って借りていた家を、毎月10万の30年ローンを組んで買ったときに、これが得か損か? それじゃ、家賃を払ったほうが得だと思う人、手を挙げてみて? 買ったほうが得だと思う人は? 半々くらいかな? まぁ、無回答が半分くらいいるけど。

新卒が多いだろうから改めて言っておくけど、答えを求められたとき、自信がなくても、とにかく賛成か反対か決断して手を挙げてほしい。これは講義じゃなくて勉強会だからさ。

人生はどのみち、どっかで結論を出さなきゃいけないわけよ。「今ここで決断しろ」ってことがあるわけで、待ってくれないからさ。目一杯頭を働かせて、とりあえず意思を示せ。保留はだめよ。

不動産投資の落とし穴

話が脱線したけど、みんなが不動産投資を考えたとき、不動産屋さんが「今は年利3パーセントで借りられますので、他人に貸したとしても5パーセントで回りますよ」みたいなことを言うことがあるのよ。

「ほうっておいても2パーセントも儲かるんだ」って思うかもしれないけど、これは鵜呑みにしないほうがいい。

というのは、不動産屋さんが言う「利回り」というのは、「表面利回り」といって、表面だけ取り繕った本当の利回りじゃないってこと。

3000万円で買った家を年間150万円の家賃で人に貸したら、年利5パーセントで回りますよってことなんだけど、30年後もそのマンションは3000万円の価値があるってことが前提で計算されている。

「30年後の価値はわからないもので」っていうのが理由らしいけど、それはちょっとずるいよね。

土地は上がるか下がるかわからなくても、建物の価値は間違いなく下がっていくじゃない。30年も経ったら建物は古くなってボロボロだからね。評価0になるわけよ

君たちのお父さんが「わしが昔に買った家は、買ったときと同じ値段で売れた」とか言ってない? でもそれは、お父さんが30年前に買った3000万円の家の、土地が1000万円で建物が2000万円だったのが、土地が値上がりで3000万円になって、建物が0円評価で、結果、同じ3000万円で売れただけなんだからね。

もしかしたら土地が3200万円に上がって、建物の取り壊し費用がマイナス200万円かもしれないけどね。

どっちにしても、昔みたいに土地が上がったり、物価が上がったりしてた時代だから同じ価格だったので、お父さんの成功体験は、今はぜんぜん参考にならないからね。アフリカとかならともかく、今の日本じゃそんなこと有り得ないから。

知っておきたい住宅ローンのリスク

実際、買った家を誰かに貸したとしようか。月8万円のローンを組んで、月10万円で貸したとすると、しばらくは2万円儲かるかもしれないけど、何年も経ったら古くなって5万円でも貸せないかもしれない。

でも考え方としては「ず〜っと10万円で貸せる」ってことになってるわけよ。それで儲かるって言われても、やっぱりちょっとおかしいわけ。

頭金を入れたり、買うときにかかった手数料とかも足すと、さらに利回りは悪くなるし、借り手が付かずに家賃0円になるリスクもあるよね。

「いや僕は投資でなく、自分たちが住むために買うんですよ。毎月同じ10万円を払うなら、家賃よりもローンのほうが、家が残るだけ得でしょ」と言う人もいるけど、これもよく考えてみて欲しい。

新築の家でも20年も経てば、かなりボロボロになってるわけよ。その頃10万円のローンがなければ、10万円で新築を借りて移り住めるかもしれない。「自分の古い家」より「他人の新しい家」のほうが快適生活かもしれないじゃない?

ただね、人には所有欲とかがあるわけよ。これは自分の家だから愛着がわくとか、改装できるから楽しいとか、または「生きた証だ」とかね。

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