人間の脳の地図「ヒト・コネクトーム」が科学を変える?

Human Connectome

2005年に、国立衛生研究所の神経学者とアメリカ大学の数名の学者たちが、史上初めて人間の神経系統の地図を作ることに取り掛かりました。それを、「ヒト・コネクトーム」と呼びます。それによって、脳の神経線維は、90度の角度で交わる3Dのグリッドになっており、とてもシンプルな構造だということが判明しました。

人間の脳の構造

ハンク・グリーン氏:ヒト・ゲノムという言葉はおそらくみなさん聞いたことがあるのではないでしょうか。では、「ヒト・コネクトーム」をご紹介いたしましょう。人類初の、まだ完成はしていませんが、人間の脳の地図です。

私たちの脳は、体内のほかの神経システムと同様に、ほとんどがニューロンで形成されています。

ニューロンは簡単に言ってしまえば、通常の細胞に神経核と細胞小器官がくっついているものです。特徴の1つは、軸索と呼ばれる長い枝状のものが出ているということです。これらは、ニューロンとニューロンの間で信号を伝える道となる役割をしています。

私たちの脳の一番外側の表層は、「灰白質」と呼ばれ、「認識」に関連する物事はすべてここで行われます。そして、灰白質のほとんどはニューロンの細胞体で形成されています。

しかし、その奥には、脳の一部からほかの部位へと信号を送る役割を果たす「白質」があります。

白質のほとんどは軸索で形成されており、軸索は脳の配線の役割をしています。最近まで神経学者は白質がお皿の上のスパゲッティのようなものであると考えていました。つまり、たくさんの線がランダムに脳の異なる部位をつなげているだけであると考えていたのです。

「ヒト・コネクトーム」とはなにか?

しかし、2005年に、国立衛生研究所の神経学者とアメリカ大学の数名の学者たちが、史上初めて人間の神経系統の地図を作ることに取り掛かりました。それを、「ヒト・コネクトーム」と呼びます。

研究者たちは特別なMRIスキャナーを使うことで、繊細な各ニューロン繊維のなかにある水分の動きまで検知することができ、それがどこにいるかも確認することができました。

その後、彼らは高解像度の「拡散スペクトル画像」と呼ばれる技術を用い、神経線維がどの方向に向かっているのかを調べました。

このような画像を得るために、既存のMRIであれば被験者は機械のなかに7時間もいなければなりませんでしたが、現在では1分かそこらでそのような画像が撮れてしまうのです。

そして彼らは、神経線維のスパゲッティの束ではなく、繊維は実際には3Dグリッドに組織されていたのを発見したのです。神経線維は上下左右に配置していて、斜めになったり絡まったりしている部分はありませんでした。科学者はそれを大都市の中を両方向に走る道路と、ビルの中で上下するエレベーターのレイアウトのようだと説明しています。

そしてこのグリッドの水平の部位では、繊維がちょうど厳密に90度の角度で重なり合っていて、布のように折り重なっていたのです。

シンプルな構造であることこそが不可解なのです。頭脳は疑いの余地もなく、世界で一番、もしかして宇宙で一番複雑で驚嘆に値する構造物の1つであると言えるでしょう。とても神秘的で複雑であるがゆえに、科学者たちはこんなに組織されているのを発見して非常に驚いています。

研究者のなかには、このグリッドモデルのなかに更に複雑な構造が隠されているのではないかと考えており、実際、スキャナーは脳の表層についてはいまだに解明ができていません。幹線部分しか今のところは解明できていないのです。

しかしこれにより生物学のほかの分野でもたくさんの疑問の答えを見出すことができるかもしれません。

例えば人間の脳の進化についてです。もし動物の脳が同様の基礎となるグリッドを構築しているとするならば、魚の脳が人間の脳とつながりがあるということを理解することができるのです。

生物のすべての機能は、それがさらに修正され、複雑化したことにより多機能になったのです。しかし基礎となるレイアウトは似た形に留まっています。ヒト・コネクトームのプロジェクトは5年以内に完成されるはずです。

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