不平等が広がった原因の3分の1は、労働組合の衰退

もう1つ、優先順位の高いものは、米国連邦税上の改革です。最近、共和党の候補者がさかんに税制改革を話題に揚げています。しかし、よく各々を検討してみてください。ルビオ上院議員は、年収300万ドルの世帯から、年間およそ24万ドルを減税することを公約していますが、これは一般家庭の年収のおよそ3倍もの金額です。これはまさに、最富裕層へのばらまきであり、共和党が掲げる、悪しき経済政策です。

私の掲げる方針は、別のものです。勤勉に働く世帯には、税の優遇と簡素化が必要であり、これらを受けるに値します。第2に、最富裕層は、正当な税の割り当てを支払う必要があります。私が「バフェット税」を支持するのは、億万長者が自分の秘書より低い税率で納税することを防止できるためです。また、資本家に比較的低い税率が適用される、キャリード・インタレストについての法の抜け穴は、ふさぐよう要求しました。

高給の弁護士やロビイストを雇えない企業が、より高い税を支払わざるをえない一方で、アメリカでさまざまな優遇を受けている大企業が、システムをうまく利用して、当然支払うべき税の割り当てを逃れることも、止めさせるべきです。

税制改革に平行して、賃金を上げられることを何度も証明した労働者による交渉については、これを侮る動きに対しての対策を講ずる時です。スコット・ウォーカーのような共和党議員は、労働者の権利を踏みにじることで名を上げてきました。共和党候補者はみな、大統領として同様のことをやろうとしています。このような、意地の悪い、心得違いの攻撃に、私は反撃します。

不平等が広がった原因の3分の1は、労働組合の衰退だと立証されています。ですから、もし真剣に所得を上げたいのなら、組合労働者の支援を真剣に考えるべきです。

また、貿易についても、一言述べさせてください。中国の市場やギリシア危機は、国内の成長も海外の成長も、同じ世界経済でつながっていることを、我々に思い出させてくれました。貿易はここ数十年で、経済成長を促してくれましたが、同時に製造拠点を空洞化させ、勤勉に働くコミュニティの多くが消失しました。

我々は、貿易を巡る合意については、ハードルを上げなくてはなりません。雇用を創出し、賃金を上げ、国家の安全保障を促すものであれば支持し、そうでなければやめるべきです。公平な成長を遂げるには、より多くのアメリカ人に、機会を作らなくてはならないからです。

早期の良質教育は子供を将来の成功に導く

私は、国を救った大統領というだけでなく、中産階級の重要性と、機会を提供する政府の役割を深く理解していた大統領としてのリンカーンの、次の言葉が大好きです。彼は、アメリカ人に人生という競争において、公平なチャンスを提供することについて話しています。私は全身全霊でこれを信奉しており、さらに人が誕生する時から、早期にこれをスタートさせるべきだと感じております。

「早期の良質教育、とくに最初の5年間のそれは、子供を未来の成功へと導き、生涯賃金を25パーセント上昇させる」。

私は、今後10年間で、アメリカの全4歳児が、良質な就学前教育を受けられる取り組みを行っております。しかし、まだ足りません。宗教界、産業界、学術機関、慈善団体、市民団体、関心のある市民に大々的な支援を呼び掛けて、0歳から4歳のグループに属する子供たちの保護者、とくに苦境にある保護者を支援していきたいと考えています。

人の脳は、3歳になるまでにその80パーセントが完成します。ですから私の家族は、孫に始終読み聞かせ、話しかけ、歌いかけています。私は、これだけ読んだり話したり歌ったりしてあげれば、最初の言葉が出るには十分だろう、と言っています。

(会場笑)

こういった働きかけは、愛情からだけではありません。お恥ずかしながら認めますが、生後2週、6週、10週の赤ちゃんに本を読んであげるのは、それが学習のキャパシティを広げているからだ、とわかっているからです。研究によれば、孫シャーロットが幼稚園に入るころには、恵まれないバックグラウンドの子供よりも、3,000万語も多くの言葉を聞いたことになるのです。

これらの家庭にできる限りの手を差し伸べていないことで、どれほどのものを失っているかを考えてみてください。また、アメリカや世界の研究によれば、そういった早期の支援と教育は、いつもストレスに押しつぶされている若い母親に、彼女らにももっとできることがあることを教え、子供を最良のスタートラインにつかせてあげられない障害を取り除くことができるのです。

最良の貧困対策は雇用拡大

また、我々はあらゆるレベルの学生や教員に投資する必要があります。私は、今後何週間、何ヵ月かで、学校を改善し、大学の学費を減らし、アメリカの学生の借金を立て直す、具体的な手段を明示します。

また、生涯教育の考えも取り入れましょう。テクノロジーが日進月歩の進歩を遂げるこの時代、新しい職のためのスキルや資格証明を入手する道を開き、働き手を雇用につなげるオンラインのプラットフォームを作成しなくてはなりません。現在、さまざまなすばらしい奮闘がなされており、私は結果の出るものを支援し拡大させていきたいと思っています。

これらの政策を遂行するにあたり、スラムや炭鉱街、インディアン居留地などの、変革する世界から苦境に追い込まれ、取り残されてしまった同じアメリカ人の同胞を忘れてはなりません。

才能は普遍的なものであり、いたる所に見られますが、機会はそうではありません。学校にも行けず、職にも就いていない16歳から24歳の若いアメリカ人は600万人にも上ります。有色人種の若者の数字が、とくに多くを占めています。

若い黒人男性の50パーセントと、ラテンアメリカ系の若者の15パーセントが、失業しています。中流層へより多くの道を開き、成長する中流層の年収を上げなくてはなりません。

最良の貧困対策は、雇用拡大です。貧困から抜け出そうとする人々に十分な雇用がなければ、それは難しくなります。「新市場税額控除」と「エンパワメント・ゾーン政策」の復活を支持してきたのは、貧困地区や辺鄙な地区へ投資するインセンティブを創出するためなのです。

すべてのアメリカ人が一生懸命に勉強し、勤勉に働き、わが国の富を共有する機会を与えられることが、公平な成長なのです。私が常に信じ続け、大統領として勝ち得たいと考えるものなのです。

従業員への投資は十分な見返りがある

さて、強力な成長と公平な成長に並ぶ、第3の所得上昇の鍵は、長期に及ぶ成長です。アメリカ経済には、短期成長を志向する圧力があまりにも多いのです。多くのビジネス・リーダーがこの問題を目撃し、私に話してくれました。

そのうちの1人は、これを“四半期資本主義”と呼んでいました。次期決算、短期株価にすべてが集中してしまい、その結果、研究、開発、人材、才能などの、長期成長の原因についてはあまりにも注目されていません。

工場、機械、研究ラボなどのビジネス投資の総額は、経済に占める割合から減っています。近年、アメリカの半数以上の大企業が、収益の半分を使って自社株を買い戻し、3分の1以上を使って配当金を支払っています。そんなことでは、利益を生み出してくれた従業員を昇給させたり、投資したり、社の将来の成功を確実にするための新たな投資の資金は残りません。

こういった傾向は、変えなくてはなりません。多くのビジネスリーダーは、今日の株価のためだけではなく、従業員やコミュニティ、究極的にはわが国、世界のために、自分たちの責任を進んで果たしてくれるはずだと私は信じています。

私は、チャリティではなく、現実的な資本主義の話をしているのです。多くの企業にが給与を上げ、従業員をトレーニングして、より高い生産性、よりよいサービス、より大きな収益に貢献してきたのです。

給与を据え置いたり、減給を行い、その他の投資を抑えてコストをカットし、四半期の株価を上げるのは簡単ですが、長期的にはビジネスには悪影響であり、わが国には大変な害悪だと主張させていただきます。

従業員とは、資産なのです。彼らへの投資や、高い給与、トレーニングには、十分に見返りがあります。私は、これらを実践する企業への支援として、従業員を訓練し雇用すれば1人につき1,500ドルの税を控除する提案をしました。また、近いうちに、キャピタルゲイン税制改革を提言して長期投資を優遇し、生き馬の目を抜くトレードではなく、雇用を創出します。

ウォール・ストリートが果たすべき役割

さらに、今日明日についてではなく、次の10年先を考えるCEOや株主を支援する改革をも提言する予定です。株の買戻しが、株価の一時的な上昇のみに利用されることのないようにします。起業したい外部の投資家を支援する一方で、カットを抑え、一時的な取引で昔ながらの企業に押し入るような者には制限を加えます。そして、ウォールストリートほど、短期から長期への移行が有効な場はありません。

ニューヨーク州の前上院議員として、私ほど、経済のためにウォール・ストリートが果たすことができ、また果たすべき役割を熟知している者はいません。メインストリート金融(注:地域金融)を成長、繁栄させ、アメリカにグローバルな競争力を与える新しい企業に活力を与えるのです。

しかし大不況の何年も前からわかっていたことですが、金融業界はリスクの上にリスクを上積みし続け、ワシントンの金融当局はまったく調整できないか、ついて行くことができませんでした。私は嵐の前兆に気づき、デリバティブのリスクを公表しサブプライムローンを取り締まり、金融監視を強めて来ました。

オバマ大統領のリーダーシップにより、我々はウォール・ストリートの危機に対応するため、厳しい規制を課しました。これらの規制は、議会の共和党陣営や、共和党の大統領候補者により攻撃の的となりました。

私はこれらの攻撃に反撃し、これまで推進して来た改革を守ります。これは実現可能であり、コミュニティ銀行(注:アメリカの地域金融機関)が、信頼できる地域の住民やビジネスに、信頼度の高い融資を行えるよう、負担を軽減します。

我々は、ドッド・フランク法をさらに超える必要があります。あまりにも多くのアメリカの大手金融機関が、いまだに複雑で、リスクが高すぎます。

問題を抱えているのは、新聞の見出しを飾る大手銀行に限りません。深刻なリスクは、ヘッジファンドや高頻度取引、非銀行金融機関などの、いわゆる「シャドーバンキングシステム」からも派生しています。監視をまったく受けることのない、新規の機関がたくさんあるのです。