飛行機が高いところを飛ぶ理由
ハンク・グリーン氏:みなさんが空の旅をしている時、きっと空飛ぶ乗り物に親しみを感じていることでしょう。まさに、上空にいる時です。
商業用ジェット機の平均巡航高度は、7.5キロから11キロメートルです。
どんな時も、あなたの家と近所のスターバックスぐらいの距離を、最低限保って水平に飛ぶわけですが、もしこれが垂直になってしまうと、まあ、ものすごい高さを落ちることになります。
ジェット機が落ち始めると、なかなかすぐには止められるものではないのですが、幸運にも、1950年代半ばにジェット機のエンジンが開発されてから、私たちは高い上空を飛べるようになったのです。
ジェット機が高いところを飛ぶように設計されているのは、高いほど空気が薄いからです。それが、エンジニアも乗客も航空会社も高く飛びたがる理由です。
基本的に、上空30,000フィート、もしくは9キロメートルの上空では、海面よりも、空気分子の数がはるかに少ないと言われています。
つまり、ジェット機は、少ない空気抵抗のなかに突入することで、飛行に必要なスピードを維持するための促進力を小さく保てるのです。
こうして効率よく移動できるのは、航空会社には願ってもないことですし、乗客も空気のなかにいることをまったく感じさせないようなフライトを望んでいたでしょう。
高い高度で飛べば、非力なプロペラ機が通常より高く飛ばざるを得なかったような天候パターンや気流を飛び越えることになるので、より快適なフライトになります。
もしもさらに高いところを飛んだら
しかし、こうした効率的で快適な空の旅には条件がありました。ジェット機が、高度を維持し続ける必要があったのです。
周りにたくさん空気がある低いところでは、機体の重さに対抗する力が、機体を上に持ち上げてくれます。しかし上に行けば行くほど、その維持が難しくなります。
そのため、エンジニアたちは、機体を上昇させる手段を考える必要があり、より大きな翼を持ったジェット機を作るといった方法を編み出しました。
しかしジェット機は、あまりに高すぎる高度で飛ぶことはできません。上昇するのに欠かせない燃料を燃やさなければいけないからです。そして燃料を燃やすには空気を取り込む必要があります。空気が十分にある高度にとどまり燃焼することで機体を上昇させるのです。
もし燃料とミックスさせようと空気を缶に詰めて持ち込んだら、乗っているのは、もう飛行機といえません。簡単にいえば、それはロケットです。
ですからエンジニアたちは、効率のいい旅ができるよう、計算を重ねて最適な重量を割り出し、その重さで最高の操縦ができるような飛行機を設計してきたんですね。
いいぞ、エンジニア!