めまいはどうして起こる?

ハンク・グリーン氏:自分の身に起きたとしても、誰かほかの人に起きたとしても、“めまい”というのは怖いものですよね。どうしてめまいが起こるのでしょうか?

その理由は、神経が興奮して脳に酸素が届かなくなってしまうことです。

血液によって脳に酸素が送られるわけですが、その量は毎分750ミリリットルほどです。その酸素の供給量が急に少なくなることで、医者には「syncope」として知られる症状、いわゆる気絶状態が起こります。時に深刻な状態に陥ってしまう場合もあります。

一口にめまいといっても色々あるわけですが、今回は“血管迷走神経性失神”について説明します。

迷走神経とは、脳から体を通って結腸まで続いている神経で、自律神経系の一種です。不随意機能、とりわけ血圧のコントロールを司っており、ショックなことや不快なことが起きた時に体をサバイバルモードに切り替えるために血圧を高めたりする“闘争・逃走反応(動物の恐怖に対する反応)”にも関係しています。

闘争・逃走反応とは、アドレナリンやコルチゾルに作用するストレスホルモンで心拍数を高め、筋肉により多くの血液を送る反応です。それによって、心臓と筋肉は“戦う”もしくは“逃げる”準備が可能になります。

迷走神経は、一度そうなった神経を静めるべく働きます。酸素量の変化は振り子のように変動することもあり、迷走神経が過剰に作用すると、急激に酸素の供給が減ってしまいます。すると、電源の入っていないコンピューターのように意識を失い、筋肉をコントロールできなくなり、倒れてしまいます。

しかし、そのような状態はそう長くは続きません。迷走神経は心拍数と血圧を数秒で通常の状態へと戻してくれるので、意識を取り戻すことができるのです。