2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
9 Futuristic Materials(全1記事)
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マイケル・アランダ氏:『スタートレックIV 故郷への長い道』を観たことがありますか? 1986年に公開された映画です。
エンタープライズ号のオリジナルのクルーが1986年に戻るんだって? とにかく、チーフエンジニアのスコッティが軽くて丈夫、そしてアクリル樹脂と代替え可能な未来的な透明アルミニウムについて言及していました。
おそらくこの物質は、エンタープライズ号のビューポートに使えるほど丈夫だと思われます。これのクールなところは、ただのSFでないところです。透明アルミニウムは実際に存在していて、けっしてスコッティの想像の産物だけではないのです。
そして、これはSFから生まれたような多く存在する新しくクールな物質の1つに過ぎません。透明マントから自己修復コンクリートまで、未来はそこまできているのです。
エアロゲルはもっとも軽量な固体物質の1つです。ゲルは通常液状ですが、分子の塊がつながり、液体を所定の位置にキープするので固体のように保たれます。エアロゲルはすべての液体がガスに置き換わったゲルだと言えます。
ゼラチンのデザートから水分をすべて吸い出すことを想像してみてください。粉状になることはなく、ドーム型の形状をキープします。それが、科学者がエアロゲルを生み出した基本的な方法です。
まず、シリコンや炭素化合物からゲルを作ります。そして、高熱と強力な圧力をかけ液体とガスの境界を曖昧にすることで、超臨界の液体を作り出します。液体のようなガスのような物質は、分子の塊構造から抜け出し、空気と入れ替わります。そのようにして、形状を維持できる多孔性の軽量物質ができあがります。
エアロゲルは内部の空気が熱の伝わりを遮断するので、断熱性にとても優れています。そのため、宇宙服や宇宙船の裏地に使われているんです。さらに、地球上では透明性が高いので窓の断熱材としても利用できます。値段にもよりますけどね。
もしあなたが『ハリー・ポッター』のファンであれば、憧れの透明マントを手にすることができるかもしれません。マジックに頼って透明にするのではなく、マグルの研究者は光を使った実験をする必要があります。
純粋に透明マントを可能にするテクノロジーは今のところ存在しません。しかし、科学者たちは別のアイデアからアプローチしているのです。例えば、レーダーの電波をブロックする液体金属の柔軟シート。これは開発に近づいています。
2015年、科学者たちは小さな対象物を均等に隠せる80ナノメートルの超薄型のシートをデザインしました。私たちがものを見るためには、光が対象物に当たらなければなりません。その光を邪魔することで、対象物の形状や特徴を隠すことができるというわけです。
この透明マントは、自然光に反作用するとても小さなレンガの形をしたゴールドアンテナを使っています。このシートが巻かれた対象物はフラットな鏡のように光を跳ね返すので、透明マントと対象物の存在を隠してしまうのです。
理論上は、ゴールドアンテナを調整することで反射光をどんな対象物やバックグラウンドのように見せることもできます。このテクノロジーはまだ初歩レベルのものであり、人など大きな対象物を隠せるようになるまでに科学者たちはアイデアを拡大させる必要があります。
完璧にものを見えなくすることは難しいにしても、完璧な防水性・疎水性の素材を作ることはできるでしょうか? 一般的なレインコートより、高い防水性を持つ素材の話です。
科学者たちは自然界に存在する防水性の表面を真似る方法を研究しています。例えば蓮の葉や、蝶の羽。
粗い表面は隙間に空気をため、表面と水滴との摩擦を減らすためにより高い疎水性を持つことがわかりました。そこで、科学者は酸化アルミニウムのナノ粒子をコーティングした、撥水性の高い粗い表面を再現しました。ほかのアイデアには、髪の毛の幅より小さな数十ナノメートルの隆起やポリマーコーンで覆われた表面などがありました。
それらの素材は高い撥水性を持ち、水滴は弾かればらばらになりました。この素材を電子や医療器具に使用し、水によるダメージから守っています。将来的には車の凍結や船に海藻が付着するのを防ぐ目的で使われるでしょう。
カーボンは生命の基礎として驚異的な存在です。ラフェンなどカーボンをベースとした素材のすばらしさにについて、以前SciShowでもお話したことがありますね。しかし、カーボンを使えばダイヤモンドより硬い物質を生成できるのです。
ダイヤモンド・ナノロッド凝集体、もっとかっこよく言うと“ハイパーダイヤモンド”は、もっとも固く、もっとも密度が高く、圧縮率が最小の素材なのです。ダイヤモンドの分子構造が物質を固くします。炭素原子は周りの原子と4つの共有結合することで、特別に硬いクリスタル構造を持つのです。
ダイヤモンドとハイパーダイヤモンドは同じ構造ですが、ダイヤモンドより摩耗に強いフォームであるところが違っています。ハイパーダイヤモンドは、ダイヤモンド単体より結合性の強い大量のダイヤモンドクリスタルからできています。
このハイパーダイヤモンドは、グラファイトに大量の熱と圧力を加えることで、研究室で作られるんです。
ダイヤモンドはその丈夫さから、部品を削ったり磨いたりする工業向けに使われますが、ハイパーダイヤモンドは、通常のダイヤモンドよりさらに利用価値が高いと言われています。通常のダイヤモンドは繰り返し温度や圧力の変化にさらされることで質が落ちてきますが、ハイパーダイヤモンドはより高い耐久性を持つのです。
では、金属をガラスに変えることは可能でしょうか? これについては、アモルファスメタルで知られるメタリックグラスが発明されています。
ほとんどの金属は、原子が特定の順番で繰り返し配列することで硬くなる結晶質の構造を持ちます。一方でガラスは、原子がランダムの配列をとっていて、脆い構造になっています。
ということは、金属の原子がランダムな配列になったときにメタリックグラスとなるわけです。溶解金属が結晶状になる前に急速に冷却されたときに、メタリックグラスは生成されます。
この素材は、モルテングラスの高い順応性と結晶質メタルより高い強度を持ちます。さらに、通常の金属より弾性エネルギーの保存と発散ができるという特徴があり、その高強度と高順応性のコンビネーションが強靭性を発揮するのです。つまり、変形しにくいのです。
メタリックグラスは腐食や摩耗を防ぐため、あるいは、商品をゴルフクラブのヘッドのようにするための対象物へのコーティング材として活用されています。
やがては強度と軽量さが求められるもの、例えば車の部品などを製造するために利用されるでしょう。しかし、これだけがホットな新素材なわけではありません。
アルミニウムなどの金属から作られたメタリックフォームは、ガスを含む大量の気孔を持ちます。高強度、耐火性、伝導性など金属オリジナルの特性を残しながら、かなりの軽量化ができる構造となっているのです。
メタリックフォームの製造方法は、液体金属にガスを注入したり、元から金属に溶け込んでいるガスを沈殿させたりといったものとは別の方法を取ります。オープンな気孔は内側でつながっており、メタルスポンジと呼ばれています。
一方でクローズな気孔ではバブルが独立しており、水に浮くことができるので、丈夫で軽量なボートや水上に着水する宇宙船を作る素材として利用できます。
一般的にメタルフォームはハイテクなショックや衝撃を吸収する素材として利用価値が高いとされます。内在するガスのため圧縮率が高く、金属としての強度と耐久性を残しながら機械的エネルギーを吸収できるという特性を持つのです。
このような特性のため、軽量で丈夫なさまざまな車の部品を作る素材として活用できる可能性があるそうですよ。
アルミニウムなどいくつかの金属には、ユニークな利用方法があります。『スタートレックⅣ』では透明アルミニウムと呼ばれていましたが、これは正確ではありません。科学者が作る金属は、アルミニウム、酸素、窒素を含む酸窒化アルミニウムです。
それはセラミックを意味し、粉状の素材からスタートして溶けるまで熱が加えられ、その後に冷やされガラスと同じ結晶質の構造になります。基本的に透明でとても丈夫で、サファイヤと同じぐらい硬いので、酸窒化アルミニウムは防弾窓や高強度のカメラレンズの製造に最適なんです。
まだ高価ですが、私たちが宇宙船を作る頃にはより効率的に作れるようになる希望もあります。
コンクリートは馴染み深い素材でしょう。現在でもコンクリートの上を歩いたり座ったりするのは普通のことです。あなたの身の回りにある、ありふれた存在ですね。しかし素材としては、快適なものとは言えません。
コンクリートの超薄レイヤーと光ファイバーを使った光透過コンクリートの発明は、それを変えるかもしれません。コンクリートブロックの端から端まで、光を透過できるのです。
この半透明コンクリートはコンクリート自体の強度を残しているので、ビルや道路の建設など過酷な建築プロジェクトに利用でき、一方で照明が難しい場所、地下鉄トンネルや歩道での利用も可能。
しかし残念ながら、光透過コンクリートを一般的なコンクリートのように利用できる方法は見つかっていません。いまだ実用的ではなく、アートの目的や小スペースで使われることが多いようです。しかし、研究を進めることで光を発する歩道が一般的になるかもしれませんね。
では、すでに施工されているコンクリートの寿命を延ばせるとしたらどうでしょう? それが自己修復コンクリートです。オランダの科学者により発明されたコンクリートで、基本的なコンセプトはエンジニアリングとマイクロバイオロジーの融合であり、石灰岩を生成できるバクテリアをコンクリートに埋め込むというものです。
季節の変化でコンクリートは縮んだり膨張したりし、その結果ひび割れが起こります。そこから水が浸入し、さらにダメージが広がります。
自己修復コンクリート内には、乳酸カルシウムを栄養とするバクテリアが詰まった生分解性のカプセルがあります。バクテリアはコンクリートに水が染み込みカプセルを溶解するまで休眠状態にありますが、起きたバクテリアは増殖し、コンクリートのひびにある乳酸カルシウムから方解石や石灰岩を生成するのです。
バクテリアの寿命はコンクリート内の栄養が十分であれば最大200年。今のところバクテリアが修復できるのはほんの小さなひびだけですが、このテクノロジーが発達すれば手をかけずに道路やビルをより丈夫にすることができるでしょう。
科学者は驚く特性を持ち、ユニークな利用が可能なあらゆる新素材の発明に余念がありません。もうすぐ、これらのテクノロジーを活用して私たちは未来を築くでしょう。いつか、スコッティの正当性は証明されるのです。
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