「コミPo!発売5周年記念コンテスト」最優秀賞の発表

大和智明氏(以下、大和):そろそろOK? じゃあ、発表しましょう! コミPo!発売5周年記念コンテスト、栄えある最優秀賞はこの作品です!

田中圭一氏(以下、田中):はい、しとろさんの『5年後のキミへ』。

(会場拍手)

田中:この人のマンガはやっぱり昔から、画面構成がすごいうまい。

大和:首の「キュッ」みたいなのも出せないですもん。

田中:表情と空間の使い方が相当にうまくてね。

大和:空間ね。

田中:だからこの人のマンガは、わりと読んでて奥行きを感じるんですよね。普通1枚の絵なんだけれども、廊下の向こう側がある。

パースがきっちり合ってるせいもあるんですけど。マンガの中ですごく重要なことの1つに、読んでて自分がそのマンガの場にいるような感じになる。

大和:なりますよね。ちょっとドキッとしますよね。

田中:同じ空間にいるように。

大和:仕草とか表情とかね。

田中:時々この人のマンガを読んでると、手描きのマンガなんじゃないかってわかんなくなっちゃう。技術というか、テクニックというか、本当にオーラってすごいですよ。またキャラクターがけっこう屈折した性格悪いところがね……。それがまた。

大和:「自分を投影してる」って書いてありましたけど。

田中:いやいや、これは別に悪い意味じゃなくてね、心が真っ直ぐで伸びやかなキャラはあんまり出てこないんですよ。なんかちょっと屈折してるんですよ。屈折したやつらが出てくるから、すごくリアル。

大和:自分を重ねちゃうところってありますよね。

田中:感情移入しやすいですよね。だから作り物っていうよりは、こういう場所があってこういう人たちいるなっていう感じがするんですよ。

大和:今ってしょっちゅう上げていただいてるんでしたっけ?

小野知之氏(以下、小野):すごい頻度で新作出してますよね。

大和:「新作」っていうレベルで出していただいてるんですね。

小野:今でもどんどん新作を出していて。非常にありがたいです。

大和:会いたいんだよな~。しとろさーん、見てますかー?

田中:どういう方かはあまり正体がわからない。

大和:そこは秘密のベールに包まれてますね。本当に我々もちょっと知らなくて。

田中:いろいろ想像しちゃいますよね。実は95歳の老人だったとか。

(会場笑)

スタッフ:生放送見てるようですよ。

大和:しとろさーん! おめでとう!

(会場拍手)

大和:みんな拍手してるよー。おめでとう。なんかニコ生いいっすね。

田中:生放送ならではの、インタラクションな感じがね。

コミPo!作家の進化

大和:うれしいじゃないですか。しとろさん、よかったねぇ。こんな感じでコンテストの入賞者の発表は終わりなんですけど、お祝いコメントと、あと今の入賞作品が全部載ってる冊子をがんばって作りました。これを今日来ていただいてる方々には1冊ずつお持ち帰りいただきます。

へけもこさん、ヨモギ田モギ代さん、Midorikodanさん、SEDESUさん、そしてしとろさん。もう一度入賞されたみなさんに大きな拍手をお願いします。

(会場拍手)

よかったですね。

田中:なかなか力作ぞろい。本当にすごく印象に残りましたね。

大和:全体通してどうでしたかね?

田中:やっぱり5年間でいろいろな進歩を遂げた方もいらっしゃいます、今回初めて参加された方もいましたけどね。

とくに初期からコミPo!でマンガを発表されてる方が、5年を経てここまで使いこなしてるって本当にすごいなぁと思いました。

大和:5年間使い続けてくれることもうれしいですよね。

田中:そうなんですよね。飽きちゃったみたいな人もいるかもしれない中でね。これだけ熱心にずーっと作り続けてくれて。

大和:小野さん一生懸命やってるもんね。5周年ですからね。

小野:使い続けていただいてるからこそ、こっちも頑張ってどんどん新しいものをっていうね。最高ですよね。

コミPo!Ver.3の新機能を紹介

大和:ありがとうございます。じゃあ、次のコーナー行ってみましょうかね。このあとはコミPo!最新情報。とくにご来場してる方々にとってはうれしいと思うんですけど、Ver.3が出たばっかりですので、そのあたりの説明ですかね。

小野:もう使ってる方もけっこういらっしゃるかと思いますが、改めて新機能を紹介しておきたいと思います。今回Ver.3ということで、頑張って大きな機能をいろいろつけました。

その中の3つの変形機能をちょっと簡単にご紹介したいと思います。まず1つ目、「パース変形機能」というのを今回つけてみました。

小野:今まで平面でしかなかった背景とか、こういう画像を曲げられて。今までだと同じ固定のアングルでしか使えなかった背景画像を傾けて、奥行きを出せるような変形ができるように。

大和:いいですね、。「2.5D」というやつですね。

小野:これで今までとは違ったアングルとか。横からとか、あおり、俯瞰とかね。ちょっとしたアングル変更なんかができる、平面だったはずの絵にちょっと傾きがつけられるという機能をつけました。

これでもうちょっとマンガの幅が広がるんじゃないかなと。あと書き文字もちょっと傾きなんかをつけたりして、迫力を出したり。これが簡単に3Dのデータのように扱ってできる機能。これがパース変形機能です。

大和:斜めいいですよね。斜めというか、三角形みたいな。

小野:奥行きが。

大和:そうそう。

小野:これが使用例ですね。今言ったとおりですけどね。今までだと真正面でしかできなかったアングルを、少し横からとか下からとか見たアングルに変えられるのがパース変形にできますね。

大和:これはわかりやすいですよね~。

小野:今までだとちょっと難しかったんですけど。

大和:僕は正面からしか使っちゃいけないかと思ってました。

小野:そうですね。きれいにね。

大和:これ使えるんですよね。

文字や画像の頂点変形機能

小野:これ便利だと思いますよ。いろいろ使いみちがあると思います。いろいろ使ってみてください。はい、次行きましょう。

第2弾は、頂点変形機能というのをつけました。パース変形は3D 的に奥行きを出す機能でしたが、頂点変形というのは、頂点をつかんでグニャグニャ~って変形する機能ですね。

これもつけてみました。これによって、音符みたいな固定の形だったものをぐにゃ~っといろいろ曲げて動きをつけてみたり……。

田中:すごい。バカボンのパパっぽい。

小野:書き文字も変わった変形を。ちょっと無理があるけどね(笑)。グニャグニャっとさせて、新しい効果を作ったりということができるようになります。

大和:すごいねぇ。

小野:これを使うことで、パソコンモニターの画面とかに絵をキレイにはめこむなんていうのも。

大和:そっかそっか、これ今までできなかったですもんね。

小野:めんどくさいんですよね、他のソフトって加工したりとか辛かったりね。もしくはパソコン真正面にしないと合わせられない。

大和:パソコンは真正面でしか使っちゃいけないと思ってましたからね。

(会場笑)

大和:本当だよね(笑)。

小野:あと、こういう木みたいな素材も、変形させることで別の木を作ったりなんてのも。今まで素材の数が増やせるみたいな感じの使い方もできる。こういうことができる。頂点変形機能っていうのをつけました。

大和:これ、頂点変形とかって、どの辺の技術から来てるんですかね?

小野:どの辺?

大和:あれですかね、WebテクノロジのOPTPixとか。

小野:うちはもともと画像を扱う会社ですからね。

大和:あれっ、わざとらしかったですか?(笑) OPTPixをよろしくお願いします、ですよね。

小野:ゲームなんかに使いますからね。こういうのは得意な分野ですので。

大和:小野さんがWebテクノロジの画像編集ソフトのディレクターもやってるんですよね。それもあって、コミPo!のその辺の機能はすごい長けてますよね。

小野:優秀なメンバーがいて。コミPo!を作ったメンバーとおんなじメンバーですけどね。画像処理が得意な方がいますので。

コマの形を自由自在に変えられる

次、3番目は、コマ変形機能。これも最初の頃からいろいろ言われてましたけど、本当にお待たせいたしました。四角形しか使えなかったですからね。本当すいません。

小野:けっこうこれ大変だったんですよ。でも今回5周年でどうしてもVer.3って呼びたかったんで、じゃあもうやるしかねぇやって気合入れてやりましたね。

丸、三角の他に、いわゆる斜めコマですね。スライダーで角度を1度単位で変えられるようになってて……。

大和:こういうところはやっぱりゲームで使ってるまんまですね、UIね(笑)。

小野:だって、手で隣のコマと合わせるのって大変じゃないですか? だから角度を数字で入れられれば、ぴったりコマを合わせやすいんですよ。

大和:そうですよね。手でもできるし、数字でもできるんですよね。必ず言われますからね。

小野:そんな感じで、コマの形をいろいろ変えれるようにしたっていう機能がコマ変形機能ですね。普通にマンガの中の斜めのコマ、一般的な手描きのマンガではよくある演出ですけどね。すんごい苦労してテクニックを編み出して「斜めのコマを作る方法」なんて一生懸命やってたのも見ましたけど、本当に申し訳なかったです。やっとできました。

あと、丸いコマを使えばイラストとか絵をはめこんだりとかもできますし、丸いパーツに顔を埋め込むみたいなのも。トリミング的なね。

大和:圭一さん、これ、さすがにもう手描きしなくていいんじゃないですか?

田中:本当ですよ。今連載してる『ペンと箸』とか『Gのサムライ』とか、次回から全部これで。

(会場笑)