12年分の教育をたったの5分間で習得!
"暗記のプロ"が語った、誰でもできる記憶術がスゴ過ぎる

How to become a Memory Master: Idriz Zogaj at TEDxGoteborg #1/2

語学勉強のために暗記法を学んでいたら、スウェーデンいちの「記憶アスリート」になっていたというイドリズ・ズガイ氏。そんな彼が、勉強にもプレゼンにも応用できる便利な力「暗記力」を磨くテクニックを教えました。(TEDxGoteborgより)

飛び抜けた記憶力を手に入れる方法

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イドリズ・ズガイ氏(以下、ズガイ):もし私が、あなた方は今から1か月、少しのトレーニングをするだけで、すべてのトランプを1度見ただけ、しかも5分間で覚えることができるようになります、と言ったらどうしますか? もし私が、記憶力、脳の働きを基礎的に理解するのに、必要な知識はそれだけであると言ったらどうしますか?

その知識は日々の生活でも、人の名前を覚えたり、大事な情報を記憶に収めて仕事のプレゼンテーションで利用できたり、学生ならテストで満点をとるためなどに役立ちます。またもし私が、この知識が学校で採用されたら、スウェーデンだけではなく全世界で、私たちの教育システムに対する見方も変わります、と言ったらどうしますか? 

私の名前は、イドリズ・ズガイ。記憶アスリートです。スーパースターなどではなく、これはもう一人の私です。

語学を学ぶために、記憶法を学ぶ

ズガイ:25歳までは、私は今知っていることをまったく知りませんでした。25というのはおもしろい数字で、25歳で人の脳は完璧に成熟するのです。そして大人になるのです。それ以前は私は何も知りませんでした。

私が大学を卒業したとき、私は「これから何が起こるのだろう? 私の人生、何をしていこうかな?」と考えました。私はずっと旅行と異文化に興味を持っていました。それにはコミュニケーションが必要でしたので、私はこう考えたのです。

「私は挑戦することが好きだし、人とコミュニケーションをとることも好きだ。だから言語を学ぼう。私が今知っているものとは全く違う、新しい言語を」。

私はアルファベットは知っていますから、見ただけではわからない言語を学びたいと思いました。例えば、アラビア語や中国語、日本語などです。ヒンディー語を学ぶことさえも考えました。大学生活に飽きていた私は、家で受講できるコースを探していました。そして偶然にも記憶に関する本を見つけたのです。

子どもたちがどこかへ出かけ、人と話すことで言語を学ぶように、私も言語を学習したいと考えていました。私は文法が嫌いなので、この方法を用いた文法の勉強で楽をすることもできます。もしそのような方法をとるとしたら、私はそのために準備をしておきたかったのです。たくさんの単語や熟語を記憶してから、その国に行きたかったのです。

だから、その記憶についての本を見つけた時は、もう心が踊るようでした。さっそく読んでみて、どうなるか試してみようと思いました。

私はその本を注文し、読み始めました。そして明らかに、テクニック、そして正しい考え方をすることについて書かれている本だと気が付いたのです。そしてそれは、決して難しいものではありませんでした。

ただ、私はどの言語を学びたいか、なかなか決断することができず、この本を読み、練習をしている間に何年も経ってしまいました。しかしそれと同時に、私は記憶の練習を重ね、だんだん上達していました。

「世界記憶力大会」との出会い

ズガイ:この本のもうひとつのおもしろいところは、記憶力で競争することについて書かれた、最後のチャプターです。私は記憶力で競争する人がいることに驚きました。

そしてその本の筆者であるドミニク・オブライアンは、世界記憶力大会で6回も優勝したことがある人でした。彼の言っていることは確かなのでしょう。でも私は、記憶力で競争するという考えが信じられませんでした。

それでも私は、彼の提案する達成レベルを見てみました。すると、今まで練習してきた間にこれらのレベルの多くを達成していることに気付いたのです。そして、もう少し集中してみることにして、そこからトランプの練習を始めました。そのレベルのひとつが、5分以内にトランプを記憶することだったのです。

2004年、私は大会に出る準備ができていると感じました。27歳だった私は、マンチェスターで行われた世界記憶力大会に出場しました。野心的に考えて、最初から世界記憶力大会に行ったのです。世界で22位の成績を収め、スウェーデンでは1位になり、その称号を5年間保持しました。

私がその大会から戻ると、私の友達は私を違った目で見ていました。

友人:いつレインマンになったんだ?

:どういう意味?

友人:だって世界記憶力大会に出て、競っていたじゃないか。

:だから? ただそのテクニックについて本を読んで、それを適応しただけだよ。

友人:そうなの?

:僕自身変わったとは感じないよ。前と同じだよ。

友人:ああ、本当にね(笑)。でも世界記憶力大会って何をするの?

:記憶力を競うんだよ。

ズガイ:大会には毎年10個のカテゴリーがあります。数字だったり、1、0、1、1、0、0、1、1のような二進法であったりします。とてもおもしろいものです。言葉だったり、人の名前と顔を覚えるものであることもあります。歴史的日付を覚えるものもあります。

歴史的日付の暗記世界記録は、高校までの教育で習うすべての日付よりも多いのです。そして、その人はそれを5分でやってみせるのです。12年の教育が5分間に詰め込まれるのを想像してみてください。

まるでマジシャン? シャッフルされたトランプを丸暗記

ズガイ:たぶん、やって見せたほうがわかりやすいと思います。まずトランプを1組とり、それをシャッフルします。そして少し話をして、会話に興味を失った頃、「いつ始めるの?」と聞かれます。でも、その時点でもうそれは終わっているのです。

友人:どういう意味?

:トランプをとり、どこでも好きなとこでふたつに分けてください。(分けたところが)ダイヤモンドの9ですね。ダイヤモンドの9の後には何がきますか?

友人:どういう意味?

:だからダイヤモンドの9の後には何のカードがありますか?

友人:……。

:クローバーの2ですね? そしてクローバーの2の後には何が来ますか? ハートの10です。ハートの10の後には何が来ますか? トランプの5が2枚きます。ひとつダイヤモンドでもうひとつはハートです。2枚目のほうがハートですね。

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友人:どうやってやったの?

:ただテクニックを適用するだけです。

数秒で楽しい3Dアニメをイメージする

ズガイ:実際に練習を見せたほうがわかりやすいでしょう。このふたつの絵を見てください。

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共通点がわかりますか? ヒントを差し上げましょう。共通点はないのです。私がランダムに絵を選んだだけです。私があなた方にしてほしいことはこれです。

このふたつの絵を使用し、すべての視覚や触覚などの感覚を使い、楽しく、色鮮やかな3Dアニメーションを作ってほしいのです。3Dメガネはありませんが、脳はすばらしいものなので、どのようにもできるのです。だから3Dで考えてみてください。時間を数秒間さしあげます。

私のイメージはこうです。大きなカタツムリが見えます。そしてその隣にはドアがあります。そのドアには「ようこそ」と書いてあるので、ドアを開けてみます。カタツムリの家には入ったことがないので、入ってみます。そうすると、中はぬるぬるしていて、どうしてこうなったんだ! と思います。

このふたつの絵を見てください。

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同じように、お話を作ることができますか? 私が壇上に上がるのに使った、この階段を使ってみましょう。フラミンゴが大きなレンガの壁を作っています。だから私はその壁を乗り越えなければいけません。それに意味はありませんが……。

(会場笑)

これらの3つはどうですか?

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象は簡単ですね。みなさん象がなぜ強いか知っていますよね。重いものを運ぶことができます。そして次には大きなキリンが見えます。横に居る、勢いよく滑っているスキーヤーはキリンの長い首の上を滑っているようです。

屋根を見上げてください。最後の絵は明らかですね。ヘビは太陽の下を好みます。それはよくあることです。明らかなものなので、これを忘れることはないでしょう。しかしそれは危険なことなのです。なぜなら私たちは明らかなこと、明白なことこそ忘れてしまう傾向にあるからです。

ここにも今朝何を食べたか覚えていない人が何人かいることでしょう。今日はTEDに行くから特別だった人も居るかもしれませんが……。毎日することなので、脳に記録しないため忘れるのも簡単なのです。

大きなメガネをかけ、飲み物を持ち日光浴を楽しんでいるヘビを想像してください。そしてそのヘビは屋根の上にいます。

私たちはたった今何をしたでしょうか? 私たちは脳を楽しませたのです。そして同時にその課題に集中したのです。私たちの脳が集中しているときに、私たちは脳に「これは重要だから、覚えておけ」と命令したのです。そして、記憶する力を使ったのです。

大事なのは、脳が好む場所に情報を収めること

ズガイ:脳とは何でしょうか? 脳とはニューロンの生物学的な集まりです。体全体の3%の重さしかありませんが、毎日体が使う全体の20%のエネルギーを消費します。観客席に座っていようと、ステージに立ち話をしていようと、何をしていようと、脳は常に同じレベルのエネルギーを消費しているのです。

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脳内にはたくさんのニューロンがありますが、それらはお互いにくっつくことが大好きです。何万ものつながりを作り出すことが可能です。そしてそれは、私たちがそれぞれ違う理由でもあります。脳をコピーしてふたつの同一の脳を作ることは不可能だからです。

だから私たちには個性があるのです。そして、そのつながりが強ければ強いほど、私たちはその情報を長く覚えていることができるのです。

だから私たちが作るつながりが弱ければ、私たちはそれをすぐに忘れてしまうのです。それが自然なことなのです。私たちはいつも物事を忘れてしまいます。そしてそれが自然なのです。

正常な機能を持つ脳は、重要ではない情報を整理してしまうのです。しかし私たちは何が重要で何が重要でない情報かを脳に言い聞かせることができます。私たちが作るつながりが強ければ、その情報を長く覚えているのです。

私は、学生は勉強しすぎていると思います。彼らが勉強しすぎる理由は、多くの学生が脳内に情報を収める方法を知らないからです。だから勉強し、勉強し、勉強し、時間も遅くなるのでベッドに行き、朝起きたときにも疲れているのです。

脳が好む方法で脳に情報を収めれば、休息もとれ、趣味に時間を費やし、家族との時間もとれ、脳に収めた情報を反復することができます。もしその情報がそこにあることを知らなければ、もし自分の脳を信じなければ、常に勉強しなければなりません。

脳の底力

ズガイ:私が、脳はあなた方が思うより優れているということを証明してみせましょう。これらの絵を見てください。

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何か足りませんね? あなた方の脳は空いている部分を埋めようとしていると思います。だから私が「重り」と言えば、あなた方は……。

観客:「象」。

ズガイ:ありがとうございます。そして私が「レンガ」と言えば、あなた方は……。

観客:「フラミンゴ」。

ズガイ:私が「あの明らかなもの」と言えば、あなた方は……。

観客:「太陽」。

ズガイ:ありがとうございます。そして私が「ドア」と言えば、あなた方は……。

観客:「カタツムリ」。

ズガイ:そして私が「スキー」と言えば、あなた方は……。

観客:「キリン」。

ズガイ:そして私が出てきた順に挙げてくださいと言ったら、どうしますか? あなた方は目を閉じて、最初の場所に行き、2番目、3番目、4番目と行き、屋根が最後になりますね。それでは逆の順番で挙げてください。このようなことを、私たちは記憶力大会でやっているのです。

楽しみながら、脳につながりを作らせる

ズガイ:私たちは今10個の単語を記憶しました。記憶力大会で行われるひとつの競技に、単語を記憶するものがあります。みなさんももう大会に行き、参加することができますね。しかし大会では、もっと速く、もっと長くこれが続きます。

とてもおもしろいことに、トランプ一組を見ただけで暗記する速さの世界記録は、ウサイン・ボルトが200mを走るのとほぼ同じなのです。次にオリンピックを観るときに、これを思い出して下さい。彼が走り始めたら、どれだけのトランプを暗記できるか試してみてください。

(会場笑)

私はウサイン・ボルトのことは知りませんが、トランプの世界記録保持者であるサイモン・ラインハードを知っています。そして彼がどれだけ練習するか知っています。そして彼は、今私たちがしたことと全く同じ練習をすることも知っています。彼は構造化された知識を脳に置き、情報を一度見ただけでそれを覚えることができるとわかっているのです。

重要なことは、楽しみながら、脳につながりを作らせることです。そうすれば可能性は無限です。

ズガイ:もしステージに目盛りがあるとしたら、ここ(左側)が少し記録力に難のある人の位置になります。中央が平均で、ほとんどの人はこの位置になります。ここ(右側)がすごい記憶力を持つ天才の位置です。

さて、私には毎年のスウェーデンの記憶大会の運営を手伝ってくれる友人がいます。彼女が最初に大会に来た2009年、私はある科学者に、彼女に記憶力テストをしてみてはどうかと提案しました。なぜなら、私は科学者と協力して働くことができるし、それはあまり研究がされていないエリアだったからです。

そして彼女について研究を行った人は「私たちの持っている目盛りを見直さなくてはならない。なぜなら、単なる運営員である彼女は(遠く右奥を指さし)大分向う側にいるのです。どうしましょう?」と言ったのです。

でも彼は、私たちがやっていることを研究したわけではありませんでした。それでは、突然新たなスポーツを生み出し、その基準で評価しているようなものです。「なんかよくわからないけど、あの人たちすごく速く動いているなー」となってしまいますよね。

でも私たちは、何か新しいことをしているわけではありません。ただ脳が好む方法を使っているだけなのです。

このテクニックはとても古いものです。この方法は、何千年も前の古代ギリシャ時代から使われています。だから私たちは何かを発明したわけではないのです。私たちはそれらとまとめてトレーニングをすることで、記憶力を伸ばすことができるのです。

あなた方も今、この場でトレーニングを始めることができます。次に何か覚えておきたいことを聞いたとき、それを使っておもしろい話を作ることで、つながりを強くしてみてください。

みなさんが、楽しんで練習できますように。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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