飛び抜けた記憶力を手に入れる方法

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イドリズ・ズガイ氏(以下、ズガイ):もし私が、あなた方は今から1か月、少しのトレーニングをするだけで、すべてのトランプを1度見ただけ、しかも5分間で覚えることができるようになります、と言ったらどうしますか? もし私が、記憶力、脳の働きを基礎的に理解するのに、必要な知識はそれだけであると言ったらどうしますか?

その知識は日々の生活でも、人の名前を覚えたり、大事な情報を記憶に収めて仕事のプレゼンテーションで利用できたり、学生ならテストで満点をとるためなどに役立ちます。またもし私が、この知識が学校で採用されたら、スウェーデンだけではなく全世界で、私たちの教育システムに対する見方も変わります、と言ったらどうしますか? 

私の名前は、イドリズ・ズガイ。記憶アスリートです。スーパースターなどではなく、これはもう一人の私です。

語学を学ぶために、記憶法を学ぶ

ズガイ:25歳までは、私は今知っていることをまったく知りませんでした。25というのはおもしろい数字で、25歳で人の脳は完璧に成熟するのです。そして大人になるのです。それ以前は私は何も知りませんでした。

私が大学を卒業したとき、私は「これから何が起こるのだろう? 私の人生、何をしていこうかな?」と考えました。私はずっと旅行と異文化に興味を持っていました。それにはコミュニケーションが必要でしたので、私はこう考えたのです。

「私は挑戦することが好きだし、人とコミュニケーションをとることも好きだ。だから言語を学ぼう。私が今知っているものとは全く違う、新しい言語を」。

私はアルファベットは知っていますから、見ただけではわからない言語を学びたいと思いました。例えば、アラビア語や中国語、日本語などです。ヒンディー語を学ぶことさえも考えました。大学生活に飽きていた私は、家で受講できるコースを探していました。そして偶然にも記憶に関する本を見つけたのです。

子どもたちがどこかへ出かけ、人と話すことで言語を学ぶように、私も言語を学習したいと考えていました。私は文法が嫌いなので、この方法を用いた文法の勉強で楽をすることもできます。もしそのような方法をとるとしたら、私はそのために準備をしておきたかったのです。たくさんの単語や熟語を記憶してから、その国に行きたかったのです。

だから、その記憶についての本を見つけた時は、もう心が踊るようでした。さっそく読んでみて、どうなるか試してみようと思いました。

私はその本を注文し、読み始めました。そして明らかに、テクニック、そして正しい考え方をすることについて書かれている本だと気が付いたのです。そしてそれは、決して難しいものではありませんでした。

ただ、私はどの言語を学びたいか、なかなか決断することができず、この本を読み、練習をしている間に何年も経ってしまいました。しかしそれと同時に、私は記憶の練習を重ね、だんだん上達していました。

「世界記憶力大会」との出会い

ズガイ:この本のもうひとつのおもしろいところは、記憶力で競争することについて書かれた、最後のチャプターです。私は記憶力で競争する人がいることに驚きました。

そしてその本の筆者であるドミニク・オブライアンは、世界記憶力大会で6回も優勝したことがある人でした。彼の言っていることは確かなのでしょう。でも私は、記憶力で競争するという考えが信じられませんでした。

それでも私は、彼の提案する達成レベルを見てみました。すると、今まで練習してきた間にこれらのレベルの多くを達成していることに気付いたのです。そして、もう少し集中してみることにして、そこからトランプの練習を始めました。そのレベルのひとつが、5分以内にトランプを記憶することだったのです。

2004年、私は大会に出る準備ができていると感じました。27歳だった私は、マンチェスターで行われた世界記憶力大会に出場しました。野心的に考えて、最初から世界記憶力大会に行ったのです。世界で22位の成績を収め、スウェーデンでは1位になり、その称号を5年間保持しました。

私がその大会から戻ると、私の友達は私を違った目で見ていました。

友人:いつレインマンになったんだ?

:どういう意味?

友人:だって世界記憶力大会に出て、競っていたじゃないか。

:だから? ただそのテクニックについて本を読んで、それを適応しただけだよ。

友人:そうなの?

:僕自身変わったとは感じないよ。前と同じだよ。

友人:ああ、本当にね(笑)。でも世界記憶力大会って何をするの?

:記憶力を競うんだよ。

ズガイ:大会には毎年10個のカテゴリーがあります。数字だったり、1、0、1、1、0、0、1、1のような二進法であったりします。とてもおもしろいものです。言葉だったり、人の名前と顔を覚えるものであることもあります。歴史的日付を覚えるものもあります。

歴史的日付の暗記世界記録は、高校までの教育で習うすべての日付よりも多いのです。そして、その人はそれを5分でやってみせるのです。12年の教育が5分間に詰め込まれるのを想像してみてください。

まるでマジシャン? シャッフルされたトランプを丸暗記

ズガイ:たぶん、やって見せたほうがわかりやすいと思います。まずトランプを1組とり、それをシャッフルします。そして少し話をして、会話に興味を失った頃、「いつ始めるの?」と聞かれます。でも、その時点でもうそれは終わっているのです。

友人:どういう意味?

:トランプをとり、どこでも好きなとこでふたつに分けてください。(分けたところが)ダイヤモンドの9ですね。ダイヤモンドの9の後には何がきますか?

友人:どういう意味?

:だからダイヤモンドの9の後には何のカードがありますか?

友人:……。

:クローバーの2ですね? そしてクローバーの2の後には何が来ますか? ハートの10です。ハートの10の後には何が来ますか? トランプの5が2枚きます。ひとつダイヤモンドでもうひとつはハートです。2枚目のほうがハートですね。

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友人:どうやってやったの?

:ただテクニックを適用するだけです。

数秒で楽しい3Dアニメをイメージする

ズガイ:実際に練習を見せたほうがわかりやすいでしょう。このふたつの絵を見てください。

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共通点がわかりますか? ヒントを差し上げましょう。共通点はないのです。私がランダムに絵を選んだだけです。私があなた方にしてほしいことはこれです。

このふたつの絵を使用し、すべての視覚や触覚などの感覚を使い、楽しく、色鮮やかな3Dアニメーションを作ってほしいのです。3Dメガネはありませんが、脳はすばらしいものなので、どのようにもできるのです。だから3Dで考えてみてください。時間を数秒間さしあげます。

私のイメージはこうです。大きなカタツムリが見えます。そしてその隣にはドアがあります。そのドアには「ようこそ」と書いてあるので、ドアを開けてみます。カタツムリの家には入ったことがないので、入ってみます。そうすると、中はぬるぬるしていて、どうしてこうなったんだ! と思います。

このふたつの絵を見てください。

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同じように、お話を作ることができますか? 私が壇上に上がるのに使った、この階段を使ってみましょう。フラミンゴが大きなレンガの壁を作っています。だから私はその壁を乗り越えなければいけません。それに意味はありませんが……。

(会場笑)

これらの3つはどうですか?

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象は簡単ですね。みなさん象がなぜ強いか知っていますよね。重いものを運ぶことができます。そして次には大きなキリンが見えます。横に居る、勢いよく滑っているスキーヤーはキリンの長い首の上を滑っているようです。

屋根を見上げてください。最後の絵は明らかですね。ヘビは太陽の下を好みます。それはよくあることです。明らかなものなので、これを忘れることはないでしょう。しかしそれは危険なことなのです。なぜなら私たちは明らかなこと、明白なことこそ忘れてしまう傾向にあるからです。

ここにも今朝何を食べたか覚えていない人が何人かいることでしょう。今日はTEDに行くから特別だった人も居るかもしれませんが……。毎日することなので、脳に記録しないため忘れるのも簡単なのです。

大きなメガネをかけ、飲み物を持ち日光浴を楽しんでいるヘビを想像してください。そしてそのヘビは屋根の上にいます。

私たちはたった今何をしたでしょうか? 私たちは脳を楽しませたのです。そして同時にその課題に集中したのです。私たちの脳が集中しているときに、私たちは脳に「これは重要だから、覚えておけ」と命令したのです。そして、記憶する力を使ったのです。