ある意味、日本という国が自殺に向かっている

小酒部さやか(以下、小酒部):「日本死ね」って、確かに死ねって表現を使うことには批判はあるのかもしれないですけど、ある意味、日本という国が自殺に向かっていってると言っても過言ではなくて、自ら子供を産ませない社会にして、自ら子供を減らしていってるというのは事実だと思うんですよね。

あのブログがここまで注目されたのって、言葉は確かに過激だったかもしれないけど、全部正論だったなって。言い切ってくれたし、あの過激な言葉の裏には、女性たちの悲痛な叫び、「聞いてくれよ、いい加減」っていうのがあったと思うんですよね。

境治(以下、境):そうそう。だから「日本死ね」っていうのを、日本を攻撃するっていうんじゃなくて、僕の解釈は、「日本も私ももう全部どうでもいいや」って。「もう死ぬしかないんじゃないの?」みたいなことを言ってるんだと思ったし、そういう風に受け止めたら、ずいぶん周囲の反応が違ったんじゃないのと。

田中和子(以下、田中):言葉の強さもあったんでしょうけど、あれだけ注目されたのは何だったんですかね。

:あのね、スライド見せて。あのブログ、Yahoo!の記事にも書いたんですけど(注:「保育園落ちた日本死ね」ネットとテレビで響きあい国会に届いた"絶望")、あれ実は「日本死ね」って言っている時点での……。

田中:お。すごいすごい。

:これ、青いのは「保育園落ちた」って言っているツイートの数。これ10パーセント抽出なので、2000あるから2万あるって考えればいいってやつなんですけど、2月15日にあのブログが出たとき、2月17日に1回ピーク来てるでしょ。その時点でばーっと拡散した。それから駒崎さんもYahoo!で書いてる。(注:「保育園落ちた日本死ね」と叫んだ人に伝えたい、保育園が増えない理由

田中:1日後くらいにね。

:黄色いので1、1って書いてあるのはニュースで取り上げられたってことなんだけど、NHKで取り上げられたみたいなのね。このへんはね、後からわかったんだけど、そうでもないんですよ。

1回ばーっと盛り上がって、ちっちゃい波ができてるのはテレビで取り上げられたからかなと。その後29日に国会で(民進党議員の)山尾(志桜里)さんが取り上げて、その時点ですごくなったんじゃなくて、それをメディアがばーっと取り上げ始めた。そしたら、ぐーって増えてきて、同じタイミングで国会前デモがあって。

小酒部:「(保育園落ちたのは)私だ」ですね。

:そうそう、そのへんからなんですよね。

田中・小酒部:あー。

政治ネタになると、途端にマスコミが張り切る

:いろいろなことが言えるんですけど、メディアの取り上げ方で言うとね、実際に取材してて思ったんだけど、政治ネタになると、途端にマスコミが張り切るみたい。

田中・小酒部:(笑)。

田中:なるほど。

:国会前に取材したときの数より、その後議員会館で署名を渡す、あのときのほうが断然記者が多くて。

田中:政治部の記者さんたちが出てきた。

:そう。国会前のときは社会部っぽい恰好をした人たちだった。

田中:すごい、メディアの組織が見えてきますね(笑)。

:政治部のスーツ着た連中が議員会館で取材してたら、数も増えたし、取り上げ方も多くなった。だからね、政治部を動かすっていうのは1つポイントかなって(笑)。非常にわかったところだったんだけど。

このへんは署名を取り上げたみたいなところで、10日は平沢勝栄(議員)がモーニングショーに出て、「これ本当に女性が書いたのかわからない」とか言っちゃったときで。だからね、後半のほうが盛り上がってましたよね。これはおもしろいなーと思って。

小酒部:逆に平沢さんとか、わかりやすい昭和の価値観頭というか、そういう象徴ですよね。

:僕、平沢さん好きなんだよね(笑)。

小酒部:そうなんですか(笑)。

:いいおっさんだなーと思うんだけど、どこか抜けてて。謝りに来たはずなのに、さらに炎上。

田中:させてしまった(笑)。

:炎上させたかったんじゃない? ってくらい。だからもう、見事ですよね。

僕が言うのも何なんだけど、平沢さんもそうだし、僕の知ってる自民党の議員にアプローチしてみたりしたんだけど、皆相談持ちかけて「自民党でちゃんと取り上げたほうがいいんじゃないですか?」とか言うと、「そうだね、ありがとう」って言うんだけど、ただあのブログは取り上げない。あんまりわかってないんだなっていうのは、僕のちょい上の年代の人たちでもそうでしたね。

政治家よりも有権者の教育が必要

小酒部:やっぱり、政治家のおじさまたちが当事者意識が欠けてるっていうのがすごい1つ大きな問題だなと思うんですね。少子化問題が動いてこなかったのは、あの方々に当事者意識、共感力が欠けていた。

:そうですね。共感力っていうのもあるし、ちょっと世代的にもね……。さっき50代はまだいいかもって言ったけど、50代後半ぐらいになると、完全に専業主婦やってもらってうまくいった世代だし、下手すると奥さんが「それが一番いいんだよ」て言っちゃう世代じゃないですか。うまくいったんですよ、当時はね。

小酒部:そうですね、あの時代はそれが合っていた。でも人口構造が変わってきて、それが破たんしてるんだっていう。

:それがわからないみたいで。相当身近にいないとわからないんじゃないかなと思うんですけど。そこがね、ある種世代間の価値観の大きなギャップになってると思うんですよね。

田中:人工ピラミッド図、段々逆三角形の形になっていくよっていう、あれ見たことないのかな?

:うーん。

田中:見たとしても、それが自分の年金にどう跳ね返ってくるかって考えない。当事者意識って何なのかなって。

小酒部:厚労省もいろいろ年金問題とか出していて。女性の就労率は、皆さんM字カーブってご存知だと思うんですけど、一旦30代でへこんでしまうんです、なぜなら妊娠出産があるから。

このM字カーブを15パーセント近く引き上げて、女性たちが80パーセント以上就労し続ける状態に2030年までに持っていかないと、年金が破たんするって言われてるんですね。

破たんするってどういうことかっていうと、もらう分が少なくなるか、払う分が多くなるか、何かしら調整を効かせないと今まで通り回っていかないと。2030年ってあと15年を切ってるわけです。

それまでに15パーセントも女性の就労率を引き上げるって、ものすごく抜本的な改革をしないと成し遂げられなくて、政府がこれをやろうとしてるのかなっていうのが疑問なんですけども。

政府の方々も、みんなそういう情報を持っていて、知ってはいる、データ上ではわかってる。でも、自分の実感としてない。少子化問題もそうだと思うんです。今、今日、何か不便があるかっていうとそうではないじゃないですか。やっぱり40年後、45年後には人口が何分の1かになるって言われているので。直で不利益をこうむってこないと、実感がわかないのかな、動き出さないのかな。

あともう1つは、自民党とかに投票してくれてるのがおじいちゃんたちじゃないですか。その政治のあり方は問題だと思います。

田中:それは何年も続きますよね。

:僕ね、高齢者にも危機感を与えるような情報の与え方ができてないんじゃないかなって。

小酒部:そう思います。だから、有権者の教育が必要だと思うんですよ。政治家たちよりもむしろそっちかなーと。地域とか、こういうシンポジウムでもいいんですけど、おじいちゃんたちが来れるようなシンポジウム、コミュニティを開いていくことがすごく大事だと思うんですよ。

田中:今日ご来場いただいている世代は少し若過ぎる?(笑)お若い方々だから……。

:(笑)。

小酒部:いいんですよ、皆さんが家に持ち帰って、おじいちゃん、おばあちゃんに聞かせる、ご両親に聞かせる。このことが大事なんじゃないかなって思うんですよね。

新しいものが生み出せなくなっている

田中:境さん、これはなんでしょうか?

:これはですね、総務省だったかな? が人口の一番平均的なところをグラフにしてるんですよね。1935年から2015年がここかな、それまでの人口の増え方と推計の減り方を比べるとね、要するにこれまでの80年で増えた分より、これからの80年で減るっていう話で。

これを見るとね、いろんなことが言えるんだけど、例えば今まで人口が増えたっていうことと、高度成長っていうのは実は相当リンクしてて、小室(淑恵)さんが「人口ボーナス」って言ってて、実は相当人口ボーナスだったんですよ。

自分たち自身が市場になるっていう経済環境の中で、しかも農村からどんどん都会に出てきて、トヨタで働いたらボーナスも増えていって、「じゃあこれで日立の洗濯機を買う」っていうことがすごくうまくいった奇跡のような時代だったし、中国とかアジアではこれに似たことが起こってる。

ほかの先進国は70年代くらいをピークにこれだと良くないね、ってことでいろいろ社会構造を変えて行ったんだけど、日本の場合はまだわかってない、このままだと下がっちゃう。そうすると本当に惨憺たる国になっちゃうわけですよ。

2015年から2025年までの10年間で、約500万人減るんですよ。500万人減るって相当インパクトがあって、しかもその後は10年ごとに1000万人ずつ減るわけ。これはね、働いても働いても給料が上がらないわけですよ、国内市場だけ相手にしてたら。だから、相当頑張って海外に行かなきゃいけない。

例えばメディアっていうことでもね、なぜ電通、博報堂やADKがこれだけ成長できたかっていうと。

田中:ありがとうございます(笑)。

:人口が増えたのでテレビを見る人が増えて、テレビに入ってくるお金が増えて、仮面ライダーやウルトラマンみたいなね、重要なコンテンツが増えていった。というのは、人口が増えていったからで。

考えてみると、ずっとウルトラマンや仮面ライダーなわけですよ(笑)。僕は子供のころそれを見たんだけど、今の子供もそうで、もう新しいものが生み出せなくなっているという。

このままでいくと、生み出せないどころか、20年後にテレビをつけたら、3分の1は中国がつくったドラマだってことだってあるわけですよ。日本国内ではつくれない、中国のほうが安いし、そのころになると中国もすごく上手になってて。

これはコンテンツ業界の話なんだけど、日本全体そういうことが起こる。だから、焦ろうよって思うわけですよね(笑)。

田中:人口減で生み出せないものはあるけど、小室さんがよく出されるのは人口の比率。支える人口と支えられる人口、老人対就労人口なんですけど。2040年くらいでしたっけ、1人の就労者に対して4人の老人を支えないといけないっていう。

当事者意識って意味では、そこの自覚って、これ全部境さんに背負わせて申し訳ないんだけど(笑)。あるのかなぁ。

:例えば団塊世代以上だとね、「わしには関係ないだろう」ってなるでしょうし。

田中:それは自分たちが2040年にはいないから?

:うん。でも僕なんか自分の子供のこと、今20歳と17歳なんだけど、働いていったら悲惨な世の中が待ってるみたいなことを、どれだけ真剣に考えられるかだし。俯瞰で物を見たり考えられたりする人って本当に少なくて、そういう視点を持つ人ができるだけ若い人に言っていかないといけないのかなって。

小酒部:とくにですね、人口が減っていくと、専業主婦の時代に戻ればいいじゃないかと、女性が仕事をし出すから子供を産まないんじゃないか、それよりは男性の給料を上げて、専業主婦の時代に戻して、女性たちを家庭に返して、子供を産むようにすればいいんじゃないか、というような重鎮の方の意見とかもあるわけですよ。

:うーん……。

田中:おもしろいですね。

小酒部:その意見って全く間違っていて、OECD24ヵ国でいくと、女性が就労をすればするほど出生率が上がるっていう比例関係のデータがあるわけですよね。もちろん、海外、移民のある国など事情もあって一概には言えないんですけども、実際こういうデータがある。

やっぱり育児ってお金もかかるし、時間も取られるわけですよ。これを女性だけに課していくっていうのはどうなのか、っていうのと、男性だけ働かせ続けると長時間労働って絶対に終わらないわけで、女性が労働進出することでこの長時間労働をいかに止めるかってところだと思うですよね。

田中:いただいてもいいですか? データ持ってた、これだな。本当にそれ、私も言いたいですね。私自分で就労してなかったら、子供3人も生んでないですね。

2000年のデータでちょっと古くて申し訳ないんですけども、縦軸が合計出生率、横軸が労働力率。欧米諸国も、働いてれば産んでるんだっていうのは最初はそうじゃないんですよね。重労働が多かったり、とくにOECD諸国とか。

働くっていうことは肉体労働ってことがまだまだ多かったので、男性が働いてたほうが、女性が産むことに専念したほうが良かったんだけど、85年あたりで出生率がダーッと下り坂になってきて、そこから気づき始めた国が「いやいや、稼いでくれた方が産むだろう」という風になり始めた、そこからぐぐぐぐっと上がっていると。

その波に乗り遅れた(日本が)左端にずっといる、ということなんですね。

日本はダイバーシティと変化が苦手が国

小酒部:やっぱり私日本ってダイバーシティ、変化が苦手な国だなって思うんですよ。どうしてもこれってしょうがないなって。なぜなら島国で、ほぼ単一民族で、ダイバーシティ人材っていうのが(いない)。アメリカとかだったら、人種がたくさんいるからダイバーシティしていかなければならないじゃないですか。

田中:そうそう。でも、取り入れるのはすごく上手じゃない?カレーライスとかさ。

小酒部:(笑)

田中:すごい唐突なこと言っちゃうけど。

小酒部:なんで働き方においてはできないのかなっていうのが。商品化とかも上手なのに。技術もすごいあるし。なんで仕事においては真面目に……。特攻隊精神と変わらないなと思うんですよね、労働、職場に自分の身をすべて捧げる、働けば働くほど評価するっていう。

田中:今はサラリーマン世帯が主流じゃないですか。昭和初期、とくに戦前は、農村世帯が主流じゃないですか。そのころは絶対的に共働きだったんですよね。

小酒部:あ、そうですよね。

田中:家の中で動ける人が耕す。そうすると、家にいる人が子供の面倒をみる。おばあちゃんが見る、子供同士で見る、村全体で見るっていう。なのに専業主婦の神話が台頭してきて、すごい短い神話だったけどもものすごい強い。

小酒部:昭和の母親像っていうのが、あれがザ・母親のあり方だ、みたいな。

田中:男女ともに居心地が良かったのかもですよね。

:そうそう、だから女性にとっても働こうっていう強い意志を持たなければ、それはそれでうまくいってたってことだと思うんですよね。

田中:一番かわいい子供に専念していいって言われてた。

:そう(笑)。子育てって楽しいから、そこだけやってろって言われたら、それはそれでよかったし、うまくいってたんでしょうね。

農村が中心だったっていうころは、とくに役割分担もなくて、女の人も働いてたし、男の人も子供に関わってたし。それは職場と住んでるところが近いから割とやりやすいわけですよね。電車で通って会社に行かないといけないっていうときにすべて変わって。

そういう意味で言うと、欧米だって同じようになったんですよ。女の人は家でって、その時点ではそれが効率良かったから。なんでそれが今まで続いちゃったかというと、いくつか要因があるんだと思うんだけど、1つは変わったほうがいいタイミングって、皆70~80年代に変わってるんですけど、日本はそこでバブルが起こって、なんかもうOK! みたいなことが起きちゃったんですよね。

田中:(笑)。

終身雇用と年功序列が作られた背景

:そこは相当大きかったし。逆に欧米は、80年代はやばいぞって環境だったから。っていうのもあると思うし、それからもう1つ日本の場合は、全部会社主導で人生を送るためのシステムができてたんですよ。それは欧米でも似たり寄ったりの……。

日本ではね、1940年代の体制のままだっていう(笑)。これ、野口悠紀雄さんっていう経済学者が言ってるんだけど、1940年代に日本のすべてのシステムができたって言ってて。それは会社を中心に人々の生活、経済的な成り立ちをつくっていくっていう制度をつくった。

それまでは、日本の会社ってけっこう転職が普通にあったんだって。でもこのころに、これを作った人たちにはいい志はあったんですよ。みんなの幸せのためには安心して働いてもらったほうがいいと。そのためには、転職をしょっちゅうするのも大変だから、会社はずっと雇えと、終身雇用みたいなことを言うようになった。

年功序列みたいなのも、真面目にその会社で働いてたら、普通に給料が上がっていくよってシステムに、この時になったんだってね。

その志は、皆が不安定だったり、東北で娘を売らなきゃとかあったんで、何とか気持ちよく働いて。本音は、皆戦争に役立ってもらおうと、安心して国のために役立ってもらおうっていうことだったらしいんですよ。

だから、戦争を遂行するためのシステムとして、1940年体制というのができて、そのときに基準にしたのが「何事も会社を基準に人々を統べていく」。

小酒部:うーん。

:先ほどもお話したけど、会社で源泉徴収されて、年末調整ってあるでしょ? あれは、会社に税金の計算を託してるわけです。社員の年金の計算をやってくれてるわけです。なんていいシステム、形だと。

楽に働けってことでもないんだけど、社員からすると「年金こんなに払ってるのに、チクショー」って思ってたほうが民主主義にとってはいいんだけど。そこを濁らせちゃう。

小酒部:麻痺させられてますよね。あんまり払ってる実感もないし、その税金がどう使われるかもあんまり感覚がないし。

田中:育休中って、それ会社がしてくれないから。

:そうなのか。

田中:そう。その時初めて、私税務署とか行ってみたし、確定申告の計算をした。とはいってもね、働いてるまでの税徴収票が送られてきて、それを写せばいいんだけど(笑)。でも、初めて源泉徴収票の自分の社会保障費とか税金とか見て、どれだけ戻ってくる、戻ってこないって計算して、「うわ、これだけ払ってるのに私保育園入れないの」って。

:意味がわからないじゃない、所得控除の金額とかいってもね。それを自分で書き込むと、「そういう意味だったのか、この言葉」とかね。

田中:そうそう。総額年収としてこれだけもらってるのか、って自分で書き込む重さ。そういう意味でも、働きたい育休中のお母さんって、世のサラリーマン男性よりも納税意識って高いのかも。

小酒部:育休の給付金って雇用保険から払われてるんですよ。だから、会社と自分がずっと折半で働いて積み立ててきたものなんですね。それもらえない、会社もそれを従業員に与えてあげないってどういうことかな、って。

田中:育休をさせない。

小酒部:そうです。マタハラで産休、育休取れないと、今まで会社と自分で積み立ててきたはずなのに、それさえもらえない。今まで払ってきた雇用保険なんで使われてどこいっちゃったのかまったく見えないですよね。そこもやっぱり不思議だなって思います。

:だから、その人生を会社に委ねちゃうみたいなシステムをつくっちゃって、その条件で奥さんは専業主婦やってて、っていうルールになってるわけです。そこが根本的に問題で。

だから、どっちも変えた方がいい。男性が会社に縛られる人生って側面と、女性が働くのにハードルができちゃうって側面とね。

103万円の壁もそろそろ議論すべき

小酒部:そこで言うと、103万円の壁。あそこもそろそろ議論しておかないと、女性は専業主婦になるか、非正規で103万円以内で働くかってところになってきちゃいますよね。

:だからね、ここを乗り越えるためには、今までけっこう得してたところも考え直さないといけないというところがあって。103万円の壁を取るっていうことは、思い切って働くってことだよね、って自覚を持たないといけない。

小酒部:ただそこで専業主婦で、怒り出す方たちがきっといらっしゃると思いますね。

:怒る人いるでしょうね。

田中:うちなんかはね、経済的な事情で働き続けなければいけないパートナーシップではあったので、ちょっと覚悟は違うんだけども(笑)。でも、例えば私が専業主婦だったら、育児家事全部になってたと思うんですよ。さっきのグラフでいうところの、うちの旦那も、平日29分しかやらないことになってたんだろうなと。

そこをいきなり転換するのって相当難しいかなと思って。今、どれだけ制度として、働きなさい、働いてもいいんだよ、働いたらご褒美あげるよという風にやったとしても、生活時間はどうやって変えていったらいいんだろう? 男性の育休を増える、増えないにも関わってくると思うんだけど。どうですかね、それ。

あ、2杯目のビールが来てしまった。ありがとうございます。……すみません、休日モードでやらせていただいてます(笑)。出勤日ではないので。

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