「それは言わないでおこうよ」をぶっ壊す! アニメ・サウスパークのすごさ

第27回・1周年記念ヒーロー特集第3弾 『俺たちのサウスパーク!~すべての偽善を笑いとばせスペシャル!!』 #2/6

漫画家・山田玲司氏が送るニコニコ生放送「山田玲司のヤングサンデー」。 第27回は、漫画『ケンガンアシュラ』の作者・だろめおん氏をゲストに、アメリカの大人気アニメ『サウスパーク』のヒットの裏側について語っています。作品のなかでエイズや実名の人間をいじったりと、タブーだと思われてきたことを次々とやってのけるサウスパーク。山田氏は、そういった作品づくりができる理由を「スーツ野郎が不在だから」と分析。サウスパークファン必見の内容となっています。

サウスパークを考えてみる その2

おっくん氏(以下、おっくん):『裸の球を持つ男』ってさ、いわゆる名作『裸のガンを持つ男』と関係あるの?

だろめおん氏(以下、だろめおん):日本の配給会社が勝手に邦題つけやつなんで、あんまり……。『ベースケットボール』が原題ですね。

山田玲司氏(以下、山田):(笑)。

山田:ベースボールとバスケットボールを一緒にした、わけのわかんない……。この写真見てください。これ、もう見るからにわけがわからないです。わけがからないんです!

おっくん:へー、役者だったんだね?

山田:役者もやらされたんだよ。要は日大芸術学部ですよ、あなたが行ってたやつですよ。だから映像も撮るし、アニメもセルでちゃんとやるんじゃなくて、切り絵でコマはこうしてやってく、みたいな。

おっくん:それがたまたま大物の目に留まって、と。

山田:こんときからあれだよ、セリフは自分たちの声で全部やるし、でもこれディズニー系譜だよな。

おっくん:あー。

スーツ野郎不在のコンテンツはおもしろい

山田:そういうやつだよね。完全に自主制作っていうか、要するに「俺とお前で超ヤバいことやらないか?」ってノリで作られてるから、あいだにスーツがいないわけよ。

おっくん:出たよ、スーツ。天敵スーツ野郎。

山田:スーツがいないとこんなにおもしろいんですよーっていうのをやっちゃったんだよ。これ、あんまり俺がうれしそうにしゃべっちゃうとよくないんですけど(笑)。

この人たち日本大好きでね。そうすると、こういうことにもなるんだよね。このキャラクターが日本のキャラクターになるとこんな感じに。

おっくん:これシーズン8の1話目ですね。

山田:そうね、みんなが忍者になる。忍者に憧れて、みたいな武器を持って。

おっくん:ちなみにこの帽子がカイルっていうユダヤ人で、これがカートマンね、このデブ。でこれがスタン。主人公格。ケニー。アメコミみたいな感じで忍者になっちゃうっていう、むちゃくちゃ、実写もウワッと入ってきたりとか、爆発するシーンだけ実写だったりとか。

山田:ほんとに型を作らないで、自分たちだけで勝手にどんどん「いいじゃん、おもしろいんだからやっちゃえ」って実名は出すわ、写真は出すわ。

おっくん:むちゃくちゃこきおろしますよね。

山田:むちゃくちゃやる。で「コイツらムカつく」って思ったらいくんだけど、ここがポイントで。実は「それ言う以上は俺ちゃんと考えてるから」っていうインテリジェンスが背後にあるっつって。

「それは言わないでおこうよ」をぶっ壊す

山田:俺とサウスパークとの出会いを言いたいんだけど。俺もともとね、アメリカのコメディって好きなんだけどね、何が好きかって、やっぱね、『ジェフリー』っていう日本では公開されてない映画がビデオで出ててサイコーだったんだけど。

ゲイの映画だったんだけど、そこにね、カウンセラーの役でね、シガニー・ウィーバーがいきなり出てくんの。それで、患者さんがみんないるところにいきなり入ってきて、何の説明もなく「ハイ、あなた達はみなさん心を病んでるんだから、こう言ってください」っつって。

「お母さん、あなたを許すわ。だからもうバットでぶたないで」っていう。いきなりこれを言わせるっていう(笑)。「あなたを許すわー!」ってやるんだよ。でこの、ジャンプ力。要するに前提としてみんなお母さんを許せない人たちが集まってるっていうのを「みんなどうせそうなんでしょ」っていうこのクールな感じ、一発ぶん殴られた感じ。

例えば『フレンズ』なんかに出てくるフィービーのセリフがあるんだけど……。フィービーってちょっとファンキーな女の子いるじゃない。

あの子が、ちょっとビッチっぽい友達が気に入らないって話をしてるときのセリフ。「あの娘はすぐこういう生意気なことを言うのよ」っつって、「あたしビリー・ジョエルと寝たのよ〜」「みんな寝てるっつーの!」ってセリフがあって。

ビリー・ジョエルと寝たって自慢する女に対して「みんな寝てるっつーの!」っていいの!? これ! 本人の承諾は!? みたいな。こういうところ完全にスルーするところがすごくって。

そういうノリすげーなと。アメリカすげーなと思ってるところに、サウスパーク見てたら、いきなり冒頭でカートマンが出てきて、朝学校に来て「おい、どーした? エイズにでもなったか?」って言うところから入る。

エイズって言っちゃいけないのに「エイズにでもなったか?」から入る。このトレイとマットの2人組が、この悪いおっさん2人組が仕組んでるっていう話で。それでその人がこの「チームアメリカ」っていうの作ったときに、最初に冒頭でミュージカル俳優が歌ってるシーンで歌ってたのが『レント』のパロディですからね。

レントってエイズで死んで悲しい話。そして愛と友情、みたいな。真剣なやつだよ! それをパロディにして「みんなエイズ」っていう。さっきあなた(だろめおん氏)が歌ってたやつですよ。っていうのをかますっていう。

どういうことかっつーと、一発タテマエをぶっ壊すっていう、みんながこういう風にして、それは言わないでおこうねとか。それはまあね、大人のいろんなもの全部破壊していくすごさみたいなのがあって。ていうことですわ。

山田玲司のヤングサンデーyamadreiji

漫画家・山田玲司が多彩な経験と圧倒的な知識を元に「テレビでは語られない角度」で恋愛、社会問題、漫画、映画、音楽、人生とは何か? など様々な問題を切っていきます。

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