ベンチャーで覚悟すべきお金のリスク

中村優太氏(以下、中村):「ベンチャーいいとこだよー」って言いがちなんですけど、やっぱり困難なところとか、「現実はどうなの?」というところがたくさんあると思うんですけれども。そのへんってどうですか? じゃあ、小西さん。

小西智也氏(以下、小西):そうですね。身も蓋もない話をしてしまうと、一番困難というか恐怖に感じるのは、お金がどんどん減っていくところですよね。目に見えて会社の口座から現金がどんどん減っていく。それに耐え続ける精神力はやっぱり必要なのかなということが1つの困難です。

それをふまえても、その分そのお金を使って自分でいろいろ挑戦できる、というところを考えると、楽しいと考えることもできるんですけど。そこを自分の中でどう捉えていくかというのが難しいところかなと思います。

中村:福島さんは?

福島:そうですね。僕らはいろいろとお話をさせていただいて、ご一緒できるケースばかりではないので、「来月お金ショートします」みたいなことも起こり得るんですよね。

大企業から来た方は「来月会社なくなり得るってどういうことだよ?」となるんですけど。そこは事実なので、ある程度認識して来ていただいたほうがいいかなというのが、今日1つ伝えたかったことです。

一方で、仕事はあるので、そこのリスクを取れるんだったら来ると。ベンチャーは本当に個人のお給料も会社自体のキャッシュフローも辛いことがあるというのは否定できないので。そこは「ベンチャーいいよね、行こうよ」というところだけで行くんじゃなくて、しっかり見極めてほしいと思います。

オフィスを自慢するベンチャーはやばい?

「実際どうなの?」と面接で聞いて答えないところは、やばいと思ったほうがいいと思います。「面接でこれを聞くべき」みたいなことがいくつかあって、まずオフィスだけを自慢するところはダメですね。

中村:そうなんですね(笑)。

福島:ステージにもよると思うんですけど、もちろん「メンバーをどんどん増やしたい」というので、「綺麗なオフィス」というのは、ベンチャー側の戦略としてはありだと思いますけれども。とにかくオフィスだけを見せるというのは、「オフィス以外はあれなんで……」ということの裏返しかなと。最近いろんな人に聞いて思ってます。 一方で、オフィスが超汚い会社は、オフィスに行くまでになんとか口説こうと一生懸命頑張るので。どこかでお茶して、「オフィス見たいんです」と言って、行く間に一生懸命話してる人がいたら、それは「オフィスやべえんだろうな」と思ったほうがいいかもしれませんが、一方で「その他の部分には自信があるんじゃないかな」とも思いますし。

そういう意味では、メルカリなんかはうまくやっていて。オフィスも当然キレイなんですけど。オフィスと人をセットで見せるミートアップイベントをやってるところは、「人に自信がある」という話なので。ちょっと「人」の話に入っちゃって「困難」じゃなくなってますけど、そこは見るべきポイントかなと思います。

田中:おもしろいですね。

大企業出身者が経験する困難

福島:話に戻って、大企業から行った人の「困難」という話でいうと、やっぱり最初はまったくもってゲームが違うので、同じ日本語でも言ってることがぜんぜんわからないというか。

「なんでここちゃんとしないの?」とか。僕も入って「契約書がFacebookメッセージで飛んでくるとか、ふざけんな!」と思ってたんですけれども。「それがスタンダードなので」と言われると、「そうなのかな」と思うので。

困難はやっぱり、今までの自分をアンラーニングするってことですね。今まで一生懸命身につけてきたものをあえて忘れるというのが、僕の場合の困難だったかなと思います。 中村:田中さんは、大手のお客さんがいらっしゃって、ベンチャーの方も半分ぐらいいらっしゃって、コミュニケーションの仕方がだいぶ違うと思うんですけど。

田中:そうですね、おっしゃるとおりで、口説き方がぜんぜん違います。大企業の方々とは、どうしても計画や組織という視点の話が多くなります。「現時点での中期経営計画からすると……」とか「常務が言っているのはもしからしたらこういうことで……」という働きかけの形もあります。

一方スタートアップの方とは、「企業のビジョンとの親和性を考えると……」とか「とりあえず目先のキャッシュをどうしましょうか」とか、もう少し、事業そのもの、企業としてのあり方みたいなお話によってくる気がします。

中村:だから、コミュニケーションの違いに適用する為に、アンラーニングするというのは非常に大きな意味がある。

僕も前職から移ってきたときに、一番ショッキングだったのが仕事の進め方。「仕事が腐るほどある」という。まずそこですね。

仕事が腐るほどあって、誰も手を付けられていないことがたくさんあって、「誰が手を付けるんだっけ?」というのが、「やりたいやつ・やれるやつがやる」ということになってるんですけど。ただ、そういうやるべきことが落ちまくってる状況が怖くてしょうがなかった感じですね。

「大丈夫かな?」って思ったり。でも、それを誰かがうまく拾っていって、なんとか前に進めていくみたいな。それが楽しいと思えればいいんですけど。

大企業は減点法・ベンチャーは加点法

福島:僕も入ったときに、うちの上司に言われたのが、「ベンチャーは加点法です。今までのキャリアはきっと減点法でしたよね?」と。

ここは大きくて。加点法、超楽だと思ってたけど、けっこう大変だなというのをはっきり感じて。(前職で)「失敗しない」というカルチャーで生きてきたので、加点という……ほかの人はけっこうチャレンジして加点できるので。

チャレンジできるのではなく、チャレンジしなくちゃいけないのが、ベンチャーだと思っているので。そこは困難なところの1つかもしれないですね。

田中:個人的に困難だと思っていたのが、自分が学んできたことのうちどこを活かして、どこをかえていかなきゃいけないかを把握すること。

例えば、コンサルタントで「スコープをきる」という表現があります。これは私の仕事でこれは上司の仕事。これはうちの仕事でこれはクライアントの仕事みたいに、仕事の担当範囲をきっちり分けていくことをいいます。

スタートアップと一緒にやっていくと、これはあなた、これは私、と分けてみても、ほとんどワークしないと思っています。きっちり分けれれないほど課題が絡み合っているし、そんな中で「この一部だけみます」としても、あまり意味がないですよね。

もしスタートアップに移ろうとしている人たちは、結局自分が何を高めなければいけなくて、何は無駄になるものなのか、それを最初から見極めながら仕事をできると理想的だと思います。そうしないと、今の組織の中で下手に自己意識やプライドだけが高くなって、ベンチャーに移ってからまわりと衝突ばかり、みたいなことになるので。

ベンチャーで働いてる人の特徴

中村:ありがとうございます。次のテーマにいこうかなと思います。「人」ですね。これまで、「人」というワードは何回も出てると思いますけど。

ベンチャーで働いてる人ってどんな人が多いのかなというあたり、今日は興味がある方がいらっしゃるので、そういったところをメインにお話できればと思います。 僕は先ほど言った内容が主で、やっぱりビジョンで「これをやる!」と言ったことに対して、本当に全員が全員やっていて、スポーツをやってる感覚とすごく近いです。

スポーツって明確に「勝ち」という目標があるじゃないですか。僕はフットサルがすごく好きで、スタートアップ界隈の方とよくフットサルをさせていただくことが多いんですけれど。ボールをゴールに入れるということに向かって、全員が全員同じ方向に向かっていく。その感覚がただただビジネスになっているだけで。

小さい組織というのは、そういったものをお互い明確に感じ合えるようにしている人が多いなとすごく感じますね。

田中:質問なんですが、大企業の方とお会いしていると、ラグビー部出身やアメフト出身者がすごく多いなと思ったんですよ。一方でスタートアップの人たちって、サッカーとかバスケの人多くないですか? そういうわけでもないのかな。

中村:いや、サッカー多い。

福島:サッカー多いですね。

田中:サッカー多いですか。それって、スポーツとしてのメンタリティメンタルのせいなんですかね?

福島:基本的に若いので、たぶん世代の問題はあるかもしれない。

中村:野球はあまり聞かないですね。確かに。

福島:あんまり聞かないですね。

田中:すみません。わたし、野球部でした……。

中村:大丈夫ですよ。今後はテニスが流行ってくるらしい。 福島:「人」という意味では、正直「差」が大きいなと思ってます。「意識も高い系」と「意識は高い系」と両方いると思っているので。人のボラティリティは、大企業で働いてるのとはだいぶ違うかなと思っています。

ただ一方で、人が変わるという、最初に話した「変化」というところですね。そこを見れる、もしくは作れるというのが一番おもしろいところかなと。

僕らは月次の締め会とかで、いろんな会社さんと、役員会も現場のメンバーも含めて呑みに行ったりするんですけれども。「すごくいろんな人がいるな」というのは1つ感じるところです。学歴も職歴も様々ですので、「そこのミクスチャーがおもしろいな」というのが1つ。

あとは、そこの成長していくクライテリアがほかの会社とは違って、本当の意味での実力ベースという感じで、そこはおもしろいなと思ってます。当然ながら変化に対応する優秀な人もいれば、そうじゃない人もいるので。「大企業から後発で行ってもチャンスはあるな」というのが「人」で感じるところですね。