「社員が疑心暗鬼になってからでは遅い」ランサーズ社長が語る“経営者の病気”の危険性

ランサーズ秋好陽介氏 #1/2

ランサーズ秋好陽介氏
に開催

時間と場所にとらわれない働き方を創るクラウドソーシング事業「ランサーズ」創業者、秋好陽介氏のインタビュー。秋好氏は、事業が大きくなるにつれて数名だった社員が3年間で約140名まで拡大した現在の組織と経営者として意識するマネジメントについて語りました。※このログは(アマテラスの起業家対談)を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。

3年で急成長を遂げた「ランサーズ」の現在

——最近(2016年2月)のランサーズの事業概況について教えていただけますか?

秋好陽介氏(以下、秋好)前回、藤岡(清高)さんからインタビューされたのはちょうど3年ぐらい前(2013年2月)ですが、それからかなり大きく変わりました。

当時は「ランサーズ」というクラウドソーシングのWebサービスをやっているという状況だったのですが、そこからいろいろ派生しまして、事業開発面ではKDDIさんやインテリジェンスさんといった事業会社と組んで、異業種と連携した、KDDI×クラウドソーシングみたいなサービスを始めたり、僕たち自身もコンサルタントを抱えて、企業に直接おうかがいに行って、企業の仕事をクラウドソーシング化したりコンサルタントが代行してお仕事をディレクションする「Lancers for ビジネス」というサービスを始めました。

社内のディレクター陣がランサーさんと一緒にクライアント企業の課題解決を行うソリューション事業は現在急成長しています。また、ランサーズフィリピンという子会社作って海外事業も始めました。

以前インタビューされたときよりも、かなり多角的に事業展開しています。クラウドソーシングという軸は変えずに、周辺領域を始めたというのは大きな違いです。3年前に比べたら社員規模もはるかに大きくなっていると思います。

地方創生というかたちで自治体との提携も始めています。この取り組みはクラウドソーシングを活用して東京の仕事を地方の人にしてもらうというかたちです。

上図がクライアントの分類です。使っていただいているクライアントはやはり半分以上東京で、逆に働いている方は75パーセントが東京以外、つまり地方です。

この辺を行政の方から注目いただいて、横須賀市や奄美市等と提携しました。そのほかにも3~5自治体とは提携のお話をいただいています、そのほかに全国の自治体・地域から150程度のお問い合わせをいただいています。自治体との取組みを始めたことも大きな変化です。

オンライン上で扱う仕事の広がり

——ランサーズ上でやりとりされる仕事の内容は、以前はロゴデザイン作成などが主流でしたが今はどうですか?

秋好:そこも大きく変わりましたね。前はデザインが中心でしたけど、今はデザインの仕事だけではなくてエンジニアの仕事も、Webの仕事も、あとはライティングの仕事も、翻訳の仕事もやっています。

中には「Airbnbの家の掃除をやってください」とかリアルの仕事を含めて、かなり幅広くなってきましたね。オンライン上で完結する仕事だけを扱うわけではなくなってきていています。

ランサーズが扱っている仕事の幅が広がったというよりは、利用していただいているクライアントの幅が広がったというイメージです。

当時はインターネットが得意な一部の人だけが発注していましたが、今では、普通の中小企業や自治体まで利用していただけるようになってきたので、自然と発注の質の幅もカテゴリーの幅も広がってきました。

同業他社と比べた強み

——クラウドソーシングが流行りで、カテゴリーキラーのクラウドソーシング事業者が出てきています。その中でランサーズの立ち位置はどうなっていくのでしょうか?

秋好:クラウドソーシングを一番最初からずっとやっているというのもありますが、立ち位置という意味ではこの3年で変化がないです。

僕らは国内では総合型の一番大きな巨人としてのプラットフォーマーです。確かにカテゴリーキラーはいるのですが、僕らとしてもカテゴリーに対して最適化しています。

例えばライティング専用のクラウドソーシング会社はあるのですが、僕らのライティングカテゴリーはかなりチューニングしていて、十分カテゴリーキラーと戦えています。ですから総合型を目指しています。

人材業界でいうとリクルートさんのような立ち位置でやらしていただいています。 最大の強みは規模が一番大きいことだと思います。ランサーさん(仕事をする個人)もすごくいい人がいますし、案件の数も一番多いです。そういった立ち位置でやらせてもらっています。

ユーザーに提供する「安心・安全・信頼」

——僕もランサーズを依頼者として利用していますが、安心・安全・信頼というのは利用者としては大事ですね。ランサーズさんがユーザーに提供している、安心・安全・信頼についても教えていただけますか?

秋好:いろいろしておりますが最近のおもしろい取り組みとしては、“補償”というものを始めました。

要は、ランサーズで取引して万一トラブル、賠償、裁判などあれば、ランサーズが補償しますという制度です。

クライアントとしても安心できますし、個人の人も万が一、何かあればランサーズが補償してくれるというのは、安心安全のひとつです。それ以外にもこの業界を7年やっているからできることですが、我々自身が良いランサーさんの統計を取って認定ランサーというのをやっています。

この人は信頼できるというランサーさんを数千人認定しました。これによりランサーズで頑張れば、認定バッジがもらえて、さらに仕事ももらえるという仕組みです。

ランサーズフィリピンの海外事業

——海外展開も始められましたね。

秋好:はい、昨年の12月にフィリピンで事業を始めました。僕らは近い未来1000万人がオンラインで働く、仕事のインフラになるというものを中期ビジョンにしていて、日本だけだとなかなかそれが……。

日本でも徐々に広がってきてはいますが、1000万人はなかなか厳しいんですよね。そもそも日本の労働人口は6000万人しかいないという現状もあります。それらを踏まえると海外にいかないという選択肢がありませんでした。そしてようやく去年進出できました。

——前々から海外進出という話はされていましたが念願叶いましたね。

秋好:ずっと一緒に働いている社員からも「4年越しですね」と言われました(笑)。海外ではまずランサーの獲得に取りかかり、日本の仕事を渡して取り組んでもらいました。そのために社員も現地に出向しています。

——なぜフィリピンを選ばれたのですか?

秋好:クラウドソーシングのマーケットで一番利用されているのは北米なのですが、2番目はフィリピンです。

アメリカ人の次にクラウドソーシングを使っているのはフィリピン人なのです。その理由は、やはりまだ給与が低いというのもありますし、英語圏というのも大きいと思います。

フィリピンは、日本とも近く、時差も1時間しかありません。海外進出の最初の足がかりとしてはいいなと思いました。もともと北米よりはアジアに行きたいと思っていたのもあります。

——フィリピン人ランサーのスキル的な部分はどうでしょうか?

秋好:優秀なランサーの方が多いです。とくにデザイナーがフィリピンはすごく多いです。スキル的な強みは国によって違っていて、ベトナムはエンジニアが多かったり、シンガポールはヘッドクウォーター的で、専門職の方が多かったりしますが、フィリピンはデザイナーが多く、そういった学校も多いです。

といってもデザインの感性が日本とはまた違うので、そこは特徴としてあるのですが、いい仕事をしてくれます。 あとはデザインクルーという会社を去年買収しました。

もともと日本の案件を翻訳してアジアに流す、というプラットフォームをやっている会社で、フィリピンのユーザーさんもそのデザインクルーに1000人位登録していますし、アジアの登録者で数千人います。そういったところが繋がってのフィリピン進出ですね。規模はまだ小さいですけどすでに回っていて、手応えを感じています。

——クラウドソーシングビジネスは日本よりもアジアのほうが成長ポテンシャルはあるのではないでしょうか?

秋好:あるんです。そもそもフィリピンは若い人が多いです。人口ピラミッドの形は日本とぜんぜん違います。もしかしたら若い人だけなら日本人より多いかもしれません。しかもITリテラシーも高いです。向こうではみんなスマホを使っています。

そして平均月収3万円(2014年時点で世帯月収37,00円)なので、ランサーズで1個ロゴコンペに勝つだけで、1ヶ月暮らすことができます。安定的に10万円とか稼いじゃったら、もうRICH MAN!!です。

孫さんのような戦い方を考える人は稀

——3年前に比べて会社の成長とともに秋好さん自身変わったことはありますか?

秋好:当時まだ資金調達はしていませんでした。資金面では、自分たちの自己資金でやるというよりも、外部VCや事業会社と提携してレバレッジをかけていくということを学びました。それによって、確実に事業のスピードアップはしています。

まず使える資金が当時と比べると圧倒的に違います。当時は1000万、2000万円が月で考えた時のアッパーでした。

それが3億とか10億まで膨らんだのでそこは大きく違います。人間の脳ミソはおもしろくて、1000万円しか使えないとなると、1000万円の打ち手しか出てきません。

しかしこれが10億使えるとなると、今までに想像できなかったことがいろいろ浮かんでくるようになりました。

中には1円しか持ってなくても、100億のことを考える孫(正義)さんみたいな方もいますけど(笑)。誰しもが可能なのは持つことで考える、なので僕は持つことは大事だなと思っていて、持つことで可能性が出てくると思っています。

孫さんのようになにもないところから戦い方を考える人は稀で、武器を持って初めて戦い方覚える人のほうが多いようにも感じています。

スタートアップの経営者が気づかない“病気”

——資金調達で得た資金は何に使ったのですか?

秋好:人材採用と組織・企業文化開発です。とにかく仲間にお金をかけました。現在140人くらいいますから、藤岡さんとお会いした時からすると考えられないですね。

初めてお会いした時は鎌倉のオフィスで社員が2、3人とかでしたもんね(笑)。あの時はこの部屋2個分ぐらいの広さでした。それが今は140人です(笑)。

人が増えたことで環境もガラッと変わりました。採用に力を入れる過程で出てきた問題や壁からいろいろ学びましたね。

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2 「ランサーズだ、俺は」経営者・秋好陽介が“個人の幸せ”を捨て去った時に手に入れたもの

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