実は絶滅寸前だった
アボカドの巨大すぎる種に込められた秘密

Why Avocados Shouldn’t Exist

おいしい上に、健康にもいいアボカド。アメリカでは、2014年だけで実に40億個ものアボカドが消費されたそうですが、実は遠い昔に絶滅の危機に瀕していたのです。更新世という数万年前の時代、さまざまな巨大動物類がアメリカ大陸を歩いていました。巨大動物たちの消化器官を通してアボカドの硬い皮は分解され、高エネルギーの果肉は消化吸収されました。しかし種は、苦く毒性があるために噛み砕かれることなく、消化されないまま排出されていました。そのため、アボカドはそこら中に種をまき散らすことができたのです。しかし、大型動物が絶滅してしまうと、状況は一変しました。

アボカドは「睾丸」を意味する

マイケル・アランダ氏:サラダ、カリフォルニア巻き、メキシコ料理ブリトーのワカモレに使われている食材といえば……誰もが大好きなアボカドですね。

アメリカでは、2014年だけで実に40億個ものアボカドが消費されました。味もいい、健康にもいいアボカド。ですが、アボカドの本当にすごいところは、「まだこの世に存在している」ということなのです。

何万年も前のこと、かつてアボカドは、中米を重々しく歩き回っていた巨大獣たちと特別な関係を築いていました。そのため、こうした動物たちが絶滅してしまった時、アボカドもともにこの世から消えてしまった可能性が大いにあったのです。

しかし現在の私たちにとって幸運なことに、先史時代の農民のおかげで、アボカドは救われることになります。

「アボカド」という名前の由来は、アステカ人の言語にあります。詳しく言うと、ナワトル語の「アフアカトル」、すなわち「睾丸」を意味する言葉です……! 

どうしてアボカドがこの名前になったのか、なんとなくわかる気がしますよね。ええとまあ……形とか質感とか、木からぶら下がっている感じとかですね。

それはさておき、世界の他地域で人気を博すことになるずっと前に、アボカドは、何千年にもわたって、先スペイン時代の古代文明メソアメリカで栽培されていました。

アボカドは果実です。つまり、植物の膨らんだ子房です。しかし栄養面では、スーパーで売っているようなほかの果物とだいぶ異なります。

リンゴやオレンジのような果物は、主に水と糖分からできています。それでも全般的に、お菓子や砂糖たっぷりの飲み物よりは健康的だと言えます。こうした果物は繊維分を含んでいるので、糖分の吸収を抑え、早く満腹感を感じることができるためです。

一方、アボカドは、糖分がずっと少ないうえ、はるかに多くのタンパク質と脂肪分を含んでいます。そんなわけで、あのクリーミーで滑らかな質感が実現されるわけですね。同時に、カロリー面でもほかを上回るわけですが……果物というくくりで見れば、ですね。

アボカドはほかにも、カリウム、葉酸、ビタミンC・E・Kを豊富に含んでいます。そして植物学的には実は、ブドウやブルーベリーなどと同じく、ベリー類(液果)に分類されます。

つまり、小さな種をたくさん持つのではなく、中央部にある大きなボール状の1つの種にすべてを詰め込んでいるという特徴があります。そして、巨大な種を持つアボカドは、巨大な胃腸を持つ者とともに進化を遂げることになります。

アボカドの種が巨大な理由

更新世という数万年前の時代のことですが、さまざまな巨大動物類がアメリカ大陸をさまよっていました。

ケナガマンモスが北部でぶらぶらしていた一方、赤道近くの暖かい森林には、3トンもの巨大な地上性オオナマケモノや車並みの大きさのアルマジロが生息していました。そしてこれらの巨大なナマケモノやアルマジロが食べていたのが、大量のアボカドです。

巨大動物たちの消化器官を通してアボカドの硬い皮は分解され、高エネルギーの果肉は消化吸収されました。しかし種は、苦く毒性があるために噛み砕かれることなく、消化されないまま排出されていました。

こうして動物がおいしい食事にありつくと同時に、アボカドの木はメソアメリカの森林のそこかしこに子孫の種をまき散らすことができました。おまけに、種には栄養たっぷりの生温かい肥料までついてきたのです(笑)。 

身近にいる巨大動物たちに果肉を食べてもらい、アボカドは、果実の育成とともに、種をどんどん巨大化させていきました。種が大きくなればなるほど、「幼木栽培キット」としての種の栄養内容も充実したものになります。

栄養充実キットは、古木の生い茂る林冠が若木への日差しを遮断してしまうような、うっそうとした熱帯雨林ではとくに役立つ優れものでした。エネルギー源を日光にすべて頼ってしまうのではなく、自らの種にある栄養で光合成に必要なエネルギーを補う。これがアボカドの苗のサバイバル法でした。

しかし、進化を遂げた幸福な関係も終わりを迎えることになります。約13,000年前、最終的に巨大動物は大量絶滅してしまったのです。絶滅のはっきりとした原因はわかっていないのですが、科学者たちは氷河期終盤の温暖化が一部の要因を担ったのではないかと考えています。

ほかにも疑わしいのが、ちょうどこの頃、アメリカ大陸全土に移り住み始めた人間たちです。間違いなく、遭遇する巨大哺乳類を捕獲して食べていたでしょう! アボカドにとって、これは危機的状況でした。大きな胃腸を持つゆえに、ともに進化してきた存在がいなくなり、アボカドの木の繁栄に終止符が打たれます。果実は地面に落ち、種はほとんどカビの餌食になります。

ところが、よりいっそう食欲旺盛な生物がすぐ近くに存在していたのです! 地上性ナマケモノと同じくらい、アボカドの果肉を好んで食べたのは、新たに到着した人間たちでした。彼らは、アボカドを食べる道具を持ち、栽培方法を編み出す知能も持っていました。これで、アボカド栽培化の準備がすっかり整ったというわけです。

現代の私たちが食べているアボカドは、数万年前に栽培されていたものとはおそらく少し違っているはずです。例えば、人工的な品種改良による人為淘汰があったので、昔のものより今のもののほうが、果肉が多くなっていると思われます。

しかしながら、巨大な種は残りました。……滅びた野獣の胃袋に、再び収まる日を待って。

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