歴史的な「一部無罪」の判決

山口貴士氏:まず最初に、ここにいらっしゃる方々はご存知でないかもしれませんけれども、今回の判決は「一部無罪」の判決でした。

大手各社の報道を見るに、「罰金」と書いてあると思うんですけれども、一部無罪というのは175条の事案において非常に珍しいと。

関係する限りにおいては、ひょっとしたら「愛のコリーダ事件」以来の、30年ぶりくらいかもわからないということで、非常に歴史的な価値の高い判決ではないかと考えておりますので、報道される際にはその旨も報道いただいたほうが、より多くの視聴者も集まるのではないかと思いますし、国民の知る権利にも奉仕することができるのではないかと思います。

単に「罰金刑」と書くだけでは、ここに来る必要もないと思いますので、その点をご留意いただければと思います。

3Dデータの頒布は有罪、デコまんは無罪

どの部分が有罪かということなんですけど、3Dデータを頒布した件。いわゆるクラウドファンディングでお金をくれた人に対して、3Dデータをメールで送ったという件と、画廊でCD-Rに入れた3Dデータを渡したという件については有罪ということです。

これに対して、女性器を樹脂で型どって、石こうを流し込んで固めたものに、着色とかデコレーションをほどこした、いわゆる「デコまん」と言われるアート作品については、すべて無罪というのが裁判所の結論でした。検察官の求刑は「罰金80万円」で、それに対する判決は「罰金40万」と。

なお、一部無罪になった部分については、なし子さんの単独犯ということではなく、北原みのりと共謀してやったことになっているので、北原さんのほうは略式命令で罰金刑が確定していますので、ここでは判決の結論が分かれたということになります。じゃあ、須見先生。

須見健矢氏:主任弁護人の須見です。本日はお集まりいただきありがとうございます。これまで8回公判を開きまして、多くの傍聴人の方に来ていただいて、大変関心をもっていただいて、応援してくれる方もたくさんいらして、今日「一部無罪」という結論ではあったんですけど、最低限の結果が出たかなと思っています。

データの頒布については、残念ながら有罪となってしまいましたが、先ほどまた控訴をしてまいりました。これからまた控訴審で無罪を目指して戦っていく所存ですので、引き続き応援よろしくお願いいたします。

「デコまん」はポップアートとして認められた

ろくでなし子氏:今日は雨のなか、説明会にお集まりいただきありがとうございました。「一部無罪」ということで、私は全部無罪を確信していたんですけど、なかなか私の活動が世の中の方々に理解されていないということもあって、裁判官の方がはたして認めてくださるのか不安だったんですけど、私の「デコまん」という作品について、「ポップアートとして認められる」と認識してくださったことは、とてもうれしかったです。

それ以外のデータに関しての判決については、とうてい不服ですので、これらも上告して争っていきたいと思います。あっ、失礼いたしました。控訴して、最高裁まで争っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。あっ、次は高等裁判所でした。失礼いたしました。