“浸透”を卵で実験

ハンク・グリーン氏:こんにちは。ハンクです。SciShow実験へようこそ。

水というのは本当におもしろいですね。僕たちはいつも化学的な輸送手段の1つである“浸透”を起こす水を観察しています。それは膜を超えて物質や溶液を移動させることで、いつでも同じルールにのっとって、物質を分解させているんです。

高濃度のものが低濃度のものへと流れていき、結果として膜の両側で同じ濃度になる。今日、僕たちはこのスタジオでその実験を行おうと思います。卵を使うと簡単にできるんですよ。

理由はたくさんありますが、その1つ目の理由は、サイズです。細胞はとても小さくて見えにくいですが、ニワトリの卵は実は大きな単独の細胞なんです。

時間をもらえるなら話しますが、世界で一番大きな細胞はダチョウの卵なんです。

卵の黄身と白身は膜のなかにあって、殻のすぐ内側にあります。内側は高密度で、外側とのバランスをとるためには10倍もの水が必要になります。

まず僕たちは殻を分解させなくてはなりません。それから化学変化が起こって、僕たちはまるでエイリアンのようなものを目撃することになるでしょう。

卵を酢のなかに入れると…

まず僕たちに必要なのは、卵と酢1杯とコーンシロップ1杯、そして数日間待つことです。すみませんね。化学というのは時間がかかるものなんです。

まず卵を酢のなかに浸します。これは酢酸を4~8パーセント含む酢のなかで起こる化学変化です。そのほかの成分は水です。

卵の殻の90パーセントは炭酸カルシウムで、これはチョークとしても知られていますね。酢酸は炭酸カルシウムを溶かし、酢酸カルシウムになっていきます。

そしてそれから数分後に二酸化炭素が発生します。

1~2日後、酢は完全に卵の殻を溶かし、生のままの卵の中身を守っている膜だけが残っています。

あなたたちは殻のないこの生の卵を手に持てていることが信じられますか?

でもおかしなことが起こりました。卵が昨日よりも大きくなっているんです。これは一体なぜでしょう?

卵の膜は半透過性です。つまり、いくつかの物質だけがこの膜を通ることができるんです。

覚えていますか? 酢というのはほぼ水です。そして酢酸は膜を破壊することはできません。酢のなかの水が膜を透過し、卵のなかに入っていくことができたんです。

酢の低密度の液体が膜を通って卵のなかの高密度の液体へと流れていきました。その結果、卵は水を浸透させ大きくなったんです。そしてエイリアンのような見た目になったというわけです。

でもその逆の現象はどうでしょう。卵の中身から卵の外側へと水を引き寄せることはできるのでしょうか。

僕たちは砂糖や塩のように高密度なもので物質を分解させようと思います。

実際に試してみました。エイリアンのようになった卵をコーンシロップのなかに漬けたんです。

卵の内部の溶液と比べるとこの溶液はとても濃いので、1日経つと、このエイリアンのような卵は前より不気味になりました。水は外へ流れ出し、シロップは卵の内側へ深く流れ込んでいったんですね。

この酢とコーンシロップ入りの卵は非常にマズそうなレシピですし、薄気味悪い科学の浸透についてよく理解できるのではないでしょうか。