フツーの女子高生が、なぜビジネスマン向け大ヒット商品をつくれたのか?
"勝てる"発想力の育て方

Developing creativity: Aya Ohzeki at TEDxTokyo yz #1/2

2010年1月、当時高校2年生(17歳)で株式会社ノーブル・エイペックスを設立した大関綾氏は、クールビズを狙った「ノーブルタイ」を開発・販売すると、テレビなどでも紹介され大ヒットとなりました。"普通の子供"だったという彼女が類まれなアイデア力を持つに至ったトレーニング法とは? (TEDxTokyo yzより)

憧れのココ・シャネルが残した言葉

大関綾氏(以下、大関):みなさんこんにちは。今日は発想力についてお話しできればと思います。

「もし翼を持たずに生まれて来たのなら、翼を持つためにどんなことでもしなさい」。この言葉、誰の言葉だかわかる方いらっしゃいますか? この言葉はココ・シャネルの言葉です。

私は彼女のことを、女性として、それからクリエーターとしてとても敬愛していて、先ほどの彼女の言葉は私にとって座右の銘でもあります。

じゃあ彼女の言っていた翼って、私にとっては具体的になんなんだろう? 手に入れるためならどんなことでもしたい、どんなことでもしなくちゃいけない、そう思えるだけの翼って、私にとってなんなんだろう、っていうのを考えてみました。多分、この翼っていうものが具体的になんなのか、人によってすごくバラバラだと思います。

頭の良さだったり、絵を描いたり楽器を弾く能力、それから容姿、ユーモアのセンス。人によってすごくバラバラだと思います。みなさんも自分にとっての翼がなんなのか、ちょっと考えてみて欲しいなと思います。私にとっての翼は、発想力でした。

「翼=発想力」を得るために

大関:まずはちょっと、私にとっての翼がなぜ発想力だったのか、っていうお話をしたいと思います。私の場合はこの言葉からの逆算でした。

実業家として成功したい。私は中学生の頃から将来実業家になることを目指して、結果的に17歳で起業したんですけども、じゃあ将来実業家として成功するために、将来ココ・シャネルのようになるためにどうしたらいいのか、そう考えた時に、まず今の社会ってどうなっているんだろうっていうのを考えてみました。

今の社会、大企業がその資本力や組織力で全ての、ほとんどの商品やサービスをやってしまいます。中小零細が生き残るのはすごく大変な時代です。それから、グローバル化。

グローバル化が進んで、安い商品や安いサービス、労働力っていうものがどんどん海外から入ってくる。私はそういうビジネスをしたくないなと思いました。

発想力があれば大企業にも負けない

大関:社会、大企業の資本力や組織力に負けたりだとか、価格競争に巻き込まれる、そういうビジネスをしたくないなと思い、じゃあどうしたらそういうビジネスをしなくて済むのか、そう考えた時に、大企業や価格競争に巻き込まれるっていうのは他社と同じ商品を売るからだ、そう思いました。

それなら自分だけが売れる商品を売ればいいんじゃないか。じゃあそのために自分だけが売れるっていう権利をまず守らなくちゃいけない。法的に守らなくちゃいけない。

そのために知的財産権っていうものがあることを知って、ですがこの知的財産権って多分あまり聞き慣れない言葉だと思います。私も最初どういうものなのか全然わかってなかったので、ネットでまず調べてみました。そしたらたくさん出てきました。糸ようじだとか、雪見だいふくだとか、冷えピタシートだとか、本当にいろんなジャンルでいろんな商品が知的財産に守られたビジネスをしている。

でもその中に私はある共通点を見つけて、それは必ず今まで世の中にない発想、世の中になかった要素っていうのを含んだ新しい発想力によって生まれた商品であるっていうことに気づきました。

「ああじゃあ、知的財産を取るためには発想力が必要なんだ」。そうして私は、発想力を磨くっていうことを始めました。私は別に、小さい時からなにか新しいことを発想したりだとか、発明したりっていうのが得意なほうではなかったので、本当に極普通の子供時代だったんですけれども、そういうすごく普通の私がどうやって今まで発想力を磨いてきたか。それはとにかく24時間考えること。

本当に寝ても覚めても、お風呂に入ってもご飯を食べてても、常に考える。例えば街に出た時、みなさんはどういうことを考えながら街を歩いてますか? 私は、街を歩く時も発想力のトレーニングの場だと思ってます。例えば、今人々が困ってること、不便なものはないかな、もっと改良できるものはないんだろうか、そういうことを考えながら歩くようにしています。

街を歩いていて得た着想

大関:例えばこのさすまた、よく交番に置いてあるんですけども、これは犯人を捕まえるために抑えるもの。でもこれは、一人がさすまたを持っても抑えられるということはなくて、すごく大人数で壁とか床に抑えつけなきゃいけない。もし犯人が逃げちゃったりとか刃物を持っていたら、すごく危ないしすごく不便だなと思いました。

だから私は、ちょっと図が下手で申し訳ないんですけども、最終的には手錠のような形で円形になる。で、ある程度拘束する。こういうふうに改良すれば、一人でも安全に確保できるんじゃないか。

あと、こういう光景をみなさん見たことはないでしょうか?

これは地下鉄でですね、雨漏りの時に雨が人にかからないようにビニールとガムテープで目貼りして誘導してるものなんですけども。

見た通り、すごく見た目が悪いですし、まあある意味すごく斬新な発想と言えば斬新なんですけども、これをなんとかもっと見た目が良く、あとこれを本当に毎回、雨が降るたびにビニールをガムテープで貼って、っていうのをやるの!? って思って。私はこれをなんとか改良したい。

で、このボウルのようなものと霧吹きの機能を足して、

こういうふうにですね、天井にくっつけるんですね、ボルトやなんかで。で、横に霧吹き状になっていって、溜まった雨をミスト状にして噴霧させちゃう(笑)、っていうのを考えました。

発想力が生んだヒット商品「ノーブルタイ」誕生まで

大関:ただまあ、こういった発想っていうのを実際にビジネスにする、っていうのを考えると、コストの面ですとか技術の面だとかいろんな問題があって、全てボツになってしまうんです。ただ、私はこういう発想のトレーニングっていうものを14歳位の時からずっと続けていて、そのトレーニングしてるっていうそのこと自体が、実際に私がビジネスを起こす、何か新しい商品を作るっていう時に非常に役立ちました。

私が「ノーブルタイ」を作ったそのきっかけっていうのは、クールビズの時にビジネスマンの方々がネクタイを外してジャケット脱いでいるのを見て……、今日も何人かいらっしゃったらすみません。すごくだらしないしかっこ悪いな、っていうふうにその時に思ったのがキッカケなんです。

でも、じゃあなんでクールビズの時に男性はネクタイを外してしまったのかって考えたら、ここには「夏場にネクタイを締めるのは暑いし苦しい」っていう不便さがあるんだな、と知りました。それからネクタイには、例えばご飯の時に下のほうを汚してしまうだとか、作業の時に邪魔だっていう不便さもあると知りました。

そして私はそういったネクタイの不便さを全て解消して、全く新しい発想で新しいネクタイっていうものが作れないかな、そう思って試作を始めました。

本当に素材、デザイン、機能、全てを全く白紙の状態から始めたので、最初は左上の図のような、これ紙で形を作ってるんですけども、そういうところから始めました。

人体に着けるっていうのはすごく複雑で、なかには形を作って実際に付けてみると、歩くと左右に必ず曲がってしまうだとか、あと身体から浮いてしまうとか、ちゃんとフィットしないっていう問題が何十もできて、時には数週間、数カ月、あるいは数年っていう単位で解決できずに悩み続けるような問題も出てきます。

私は商品化までに研究開発を3年間続けて、試作品は多分300種類以上作りました。で、最終的にこのような形になりました。

これ、今でも商品の改良っていうのはずっと続けています。

"翼"を得るために

大関:私は世の中にある商品っていうのは、全てコロンブスの卵のようなものじゃないかと思います。実際に完成して出てきたものを見るとそれほど感動しない、「あ、そうなんだ」で終わっちゃうような商品でも、実際それを最初に完成させる人っていうのは、すごく自分の持っている発想力をフルに使って考え悩み、その結晶として出てくる。それが商品やサービスなんじゃないかなと思います。

私はこの仕事を始めるまで、新商品もそうですし、アイデアっていうのは勝手に天から降ってくるかのごとく湧いてくるものなんじゃないか、というふうに思ってました。

でも、実際にやってみたら全然違いました。アイデアっていうのは、考えたいと思ってもすぐに出てくるものじゃありませんでした。アイデアっていうのは常に本当に考えに考えぬき、もがき苦しみ、時に挫折して、その末にポッと湧いてくるものだと思います。

ですので私にとって発想力っていうのは、アイデアを生み出す上でなくてはならないツールでしたし、必ず磨いていかなくちゃいけない能力でした。私はまだスタートしたばかりですし、これから乗り越えなきゃいけない壁やハードルっていうのもすごくたくさん出てくると思います。

一度商品を世の中に出すと、自分の商品に必ず勝つものを出し続けていかなくちゃいけない。だから研究開発や商品の改良っていうものも、ずっと会社をやり続ける限り続けていかなくちゃいけないものだと思います。

そういう壁やハードルっていうのは、これから先もものすごい数あるんだろうと思うんですけども、でもどんなことでもするっていう覚悟を持って、それを実際に実行に移していけば、誰にでも必ず翼は手に入れられるものだっていうふうに私は信じています。ありがとうございました。

(会場拍手)

<続きは近日公開>

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