デビッド・ケイ氏との面談について

山田太郎氏(以下、山田):さて次がですね、国連の話にいきたいんですけど、「今週の表現の自由」テロップ出しましょう。

山田:はい、表現の自由ということで、例の国連の表現の自由の報告者のデビッド・ケイさんが来ました。

(注:「表現の自由」国連特別報告者 デビッド・ケイ氏 訪日調査後 記者会見

坂井崇俊氏(以下、坂井):この部屋ですね。

山田:はい。デビッド・ケイさんと4月15日金曜日の午後2時から1時間強くらい面談をしたんですが、そのときの写真ありますかね?

山田:はい、こんなかんじで、なごやかに最後は握手をして別れたんですけども。アメリカ人のデビッド・ケイさん。カリフォルニア大学の教授をやっているということです。

まず番組では、赤裸々にというか、どんなことを私と議論したのかというあたりの、詳しい話を少しやりたいというふうに思っています。もともとデビッド・ケイさんは私とは1人介して、実は韓国の表現の自由でかなり苦労してきた……。

坂井:オープンネットですね。オープンネットの朴教授ですね。

山田:朴教授とも直接コンタクトがありまして、朴教授ともデイビッド・ケイさんは非常に親しかったということで、私の話を入れといてもらいまして、「ぜひ会いたい」ということで、実は今回会っています。

私としては、表現の自由ということなので、これまでどういうかたちで表現の自由が侵されそうになって、守ってきたのかというようなあたりを詳しくほぼすべてにわたって説明をしています。

児童ポルノ規制法のときもそうでしたし、TPPの著作権の非親告罪化というあたりも説明しましたし、それから軽減税率と有害図書指定の話もいろいろしています。

国連自体が日本の表現を規制しようとしている

山田:なんといっても、私が国連に対してクレームを強くつけたのは、そもそもですね、いわゆる表現の規制をしようとするのは、国連もその1つだと。女子差別撤廃委員会であったりとか、人権委員会。まあ、もありましたけれども、なんで漫画とアニメ、ゲームばかりが狙われるんですかと。

(注:【全文】「女子学生の3割は援交をやっている」国連特別報告者・ブキッキオ氏が訪日会見

国連の言い分であれば、小説に関しても社会的助長をするわけだし、どういうふうに国連の文章を読んだとしても、国連がやってることはおかしいよねと。

同じ国連の一員なんだから、日本に表現の自由があるかないかということを調査、国連に報告する前に、国連自身がですね、その日本の表現の自由を奪おうとしていること自体があったということをちゃんと報告してくれ、ということを強くデビッド・ケイさんには言いました。

なので、そのことがちゃんと国連の中で自制作用として、今後そういうこいがないようにっていうふうになれば、と思っています。「そういう論点から聞いたのは初めてだ」と彼は言っていました。

表現の自由よりも報道の自由について語っていた

山田:ちょっと気になったのは、会見もそうだったんですが、デビッド・ケイさんに関しては、少し私もポジティブな面とネガティブっていうんじゃないんですけど、懸念点をちょっと持っています。

ポジティブな面は当然、表現の自由をちゃんと報告する報告者っていうのも国連にはいるんだなということで、前回のブキッキオさんみたいな人ばっかりじゃないんだなということでは感心はしたんですが。

ただ今回、デビッド・ケイさんが主体としてずっとヒアリングしたりしてたのは、どちらかというと、私からするとですね、表現の自由というよりも報道の自由なんですよね。

よく言われた放送法の問題であったりとか、高市大臣がどうだとか、あとは秘密保護法の問題であったりだとか。

(注:【全文】高市早苗氏「電波の停止がないとは断言できない」放送局への行政指導の可能性を示唆

そういう、どちらかというとコンテンツに関して「これがいい」とか「悪い」とかではなかった。私のやっている表現の自由も、もちろん幅広く、通信の自由とか放送法だって私の守備範囲だと思ってますからやってますが。 ただ、今侵されつつあって、これまで守ってきたもの、厳しかったものってのは、どちらかというと、報道の自由ということよりも、コンテンツですよね。

コンテンツが、差別されて、「こういうコンテンツはダメ」だとか「いい」だとかっていうことが、政府、または法律によって規制されようとしてきたと。こういうことなんですよ。

そういった意味で、そういったコンテンツにまつわるいわゆる表現の自由、それに対する表現の差別をしないということに関しては、あまりデビッド・ケイさんは、記者会見の中でも、最後の、あるいは国連のほうでも文章が出ているんですが、ほとんど触れられていません。

もちろん今回、国連自身が漫画、アニメ、ゲームを規制しようとしたということに関しては、デビッド・ケイさんはしっかり聞いて帰ったと思っていますし、これ自身が、例えば韓国でですね、朴教授を通じてアチョン法(注:児童青少年性保護法)であったりだとか、米韓FTAで大変な問題になっているということは、彼は知っていますので。

たぶん大丈夫だというふうには思いますけれども、ただもうちょっとですね、お願いというか、私が期待していたのは、デビッド・ケイ氏がですね、そういったかたちでの日本でのコンテンツですね。

とくにエンターテインメントにおけるコンテンツが非常に危機的な状態にあった。または、あるということをですね、もっと力強くしゃべってというか、発言してもらっても良かったんじゃないかなというふうに思ってまして。

なんとなく私はこういうのをやると思うことがあるんですが、やっぱり表のメディアというか、規制メディアっていうのかな。既得権メディアというのか、レガシーメディア。その人たちの言い分もたしかにある。

もちろんすべてが間違っているわけじゃないと思いますけども、ただニューメディアというかネットとそういう、要はレガシーの世界とが、あまりうまく融合していない、乖離していると。どちらかというと、ネットだとか現場が素直に話しているような一般の意見ということが、なかなかレガシーに伝わってない、あるいは取り上げられないっていうんですかね。

で、レガシーはレガシーで、自分たち、例えば記者クラブ制度のことに関しても言いましたし、もっとそのアクセスを自由にするべきだと。基本的に記者クラブ制度っていうのは、自分たち、既得権益の報道がほかの、ネットを含む人を追い出すっていうんですかね。

どちらかというと、報道の自由でいうところ、あくまでも公権力、政府だけではなくて、自らが既得権益となって、いわゆる小さな報道、大きな報道というのか、既得権益、レガシーとニューメディアっていうのか、そういったものでの格差が非常に激しいと。

結局、これがメディアの独立を妨害して、定期的なオフレコ会合をする。結局、そういう人たちのほうが、直接政府や警察から、いわゆる記者クラブから情報を取れて、それ以外はいわゆる情報にアクセスすることも、入手することもできないという大きな問題を、もっと真に迫って取り上げてもらいたかったですね。

日本は本当にインターネットでの自由度が高いのか?

あともう1つは、デビッド・ケイ氏が記者会見の中で言ったことで、私が非常に気になったのは、「日本はインターネットの自由度ではお手本である」って、こういうふう言われたんですが、ちょっと私はそこは違うんじゃないかなと思って危惧しています。

これはどういうことかっていうと、たしかにこれまでインターネットにおける自由というのは守られてきた、というか、戦いがあったということをきちっと知ったうえで、その結果として今自由が守られている。あるいは、ただインターネット自体も自由が侵されているということを本来は知って帰ってもらいたかったと。

きちっと言ったつもりだったんですが、これはですね、私もこの番組と表現の自由を守る党の立ち上げた趣旨にもなってるんですが、インターネットの利用っていうのは基本的に人権だと。

つまり、道路みたいなもので、インターネットが無根拠に遮断されてしまえば、当然、情報がアクセスできなくなるわけだから、表現の自由どころじゃないと。

まあ、こういうことなわけですけども、これは実はヨーロッパの海賊党が、いわゆる理想っていうか、テーマとした内容で、私は去年の5月にですね、ゴールデンウィーク、ずっと海賊党の元党首、立ち上げた人たちなんか回りながら話をしてきたんですが、ただ日本はインターネットの自由に関しては、例えば児ポ法においてだったりとか。

今後、今、出てこようとする青少年健全育成基本法に基づいて、検閲というか中身を制限していくというようなことについては、実は企画されているというか、検討されているという事実ですね。

そのことを本来、私は危機として、自由度が高いということだけじゃなくて、理解していってもらいたかったと。だから、連絡先とかは全部知っていますので、「なんで記者会見で言わなかったんだ」ってことで、改めて言おうと思っています。

「通信の秘密」に関する国会でのやりとり

もう1つは、通信の秘密ですよね。通信の秘密でこれは私が力を入れて、今回の国会の中でも岩城法務大臣から勝ち取った答弁でもありますが、例えばメールとか、いわゆるスマホの中にある情報を勝手に業者に開示させたりだとか、そういうことができるのかっていうことに関して、刑事訴訟法上の非常に不安定な部分、いわゆる111条の処分という項目に関して、結論がこれまで出ていなかったんですが。

戦後初めて、これはそれにあたらない、つまり通信の秘密、憲法でいうところの憲法21条の通信の秘密に当たるんだということで、逆に刑事訴訟法上もできないということを、初めて政府が解釈したということで、この瞬間守られたんですね。

こういうふうに、今まで不安定だったものをしっかり通信の秘密だったり、表現の自由のコンテンツとして守ってきたという事実を、ちゃんとデビッド・ケイ氏は理解して帰ってもらったのかどうかと。

一律に単純に日本はインターネットが、例えば中国の、隣は金リュウだっけ、なんだっけ。

坂井:金盾(注:中国のインターネットネット検閲)。

山田:金盾とかいうかたちで、全部サイバー警察がいて見てるだとか、そういう状態に対して日本はこれまで守ってきたというあたりを、あるいは今後、侵されそうでもあるということをですね、しっかり知ったうえで、記者会見で発言してもらいたかったんですが、「日本はインターネットの自由度ではお手本だ」と、こういうようなことを言って帰っちゃったんですけども。

ちょっとそれは、報告者としては調査不足。まあ、私も言ったつもりですけれども、(調査不足)だったというふうに思っていまして、ちょっとこれは改めてもう一度、デビッド・ケイさんに連絡をして、しっかり日本がどういう状態なのかということを説明していきたいというふうに思っています。

「ブログが政府の圧力で消される」というのは本当か?

山田:記者会見はかなり、右も左もいろいろいて、おもしろい記者会見だなと思って見てたんですけども、ちょっと気になる質問というか意見があって、「インターネットやブログが政府の圧力で消されることがある」っていうことを言っているジャーナリストがいたんですが、ちょっとそれは本当かどうかっていうのを裏を取って調べたいというふうに思っているんです。

よく言われてるんですけども、現実的に政府、つまり、難しいんですね。自主規制としてプロバイダーが自分たちで契約に基づいてコントロールしてるっていう世界と、基本的に政府が公権力でもってなにかやってるのか。

あるいは、プロバイダーに対して、なんらかの圧力があって消されているのかどうなのかということに関しては、極めて今後、インターネットと通信の秘密、表現の自由においては、現実的に重要な側面ですから。

大手メディアに、私はこう言うと、また「山田さんは電波法とか放送法には甘い」って言われるんですけど、そういうことを言いたいんじゃなくて、大手の著名ジャーナリストはみんな電波法4条の話をやるんだけど、私はインターネットのほうのほうが、はるかに静かなかたちで自由が奪われやすい。

だからこそ、こちらに注力してやってる。もちろん、電波法4条に基づいたら停波できる。でも、停波したら停波したで目立ちますから。こんなことは。TBSをある日、突然、ピーとかいって止めたら、そんなもん、絶対に自民党は政権を失うって。なので、それはもう、あれだけ口の……。

坂井:まあ、原則としてはあるべきじゃないっていうのは、原則ですよね、やっぱね。

全議員がネット上の番組を持てば世の中は変わる

山田:そう。だけど、なんていうんだろうな、みんな、表のジャーナリスト、僕はそれを既得権益だと思っちゃってんのは、そればかりやるっていうことですよ。もっとインターネットだったりコンテンツの表現の自由が奪われてるということに関して、もっとしっかり我々自身はですね、表のというか、既得権益と言われる人たちもやってほしい。

だけど、既得権益なんだな。彼らも、例えば権利者だから要は自分たちが自由にそれをしたいし、勝手に使われたくないっていう世界もあったりするので、たぶん乗っかってこないと思うんですよ。

なので、ちょっと僕はメディアの公平性っていうか、バランスが実は非常に悪いんじゃないかなというふうに思うこともあってですね、放送法4条の話ばかりやるというのが適正なのかどうかということは、バランスを持ってもらいたいと。

もちろん、放送法4条や電波法に基づいて停波をするっていうのはとんでもないし、ありえないことなんだけれども、それ以上にですね、今、現実的に起こっている重要な議論を、もうちょっと時間を使ってですね、そちらについてやってもらいたいし、そのメディアそのものがですね、記者クラブ制度等をはじめとしてですね、あるいは、ほとんどインターネットで取り上げられているような内容を取り上げないという、現実的な事実ですね。

だからこそ、僕はこういうふうにして情報発信をするために、自分でもメディアみたいなのを作って、「山田太郎のさんちゃんねる」っていうことで自主的にやってるわけですけども。そういうことをですね、ぜひ。

私は、よく議員で「テレビで取り上げてくれないから」って言うんだけど、「だったら自分でこうやって話しちゃえばいいじゃん」っていうのがポリシーなんで。文句言っててもしょうがないので。やっぱり勝ち取っていくっていうことはすごく重要ですから、そういう意味で全議員がこういう番組を毎週やれたら、世の中変わると思うんですよね。

ただ面倒くさいしね、コストもかかるし、しゃべってたらボロが出るし(笑)。

(一同笑)

多チャンネル時代になれば、むしろ偏っていてもいい

山田:だから、やらないっていうことなんですけど。だから、メディアに文句言っててもしょうがないとは思うんですけども、いずれにしても、そういう意味でこの番組は欠かさず公約どおりですね、就任してから毎週、ちゃんとやってきたわけで。もう200回も数えることになったということだと思ってます。

坂井:でも、僕は思うんですけど、ある意味、こういう多チャンネル時代っていうんですか。多チャンネル時代って、別にBSとかCSとかじゃなくて、もっとこういうネット放送みたいなので多チャンネル時代になれば、別に偏っててもいいじゃんって思うんですよね、むしろ。

山田:そうそう。いろんな意見が。

坂井:平等である必要がなくて。だって、この番組はこういう傾向です、この番組はこういう傾向ですってなって、それを視聴者が選んでいくっていうのがちゃんとできるようになれば、別にそれはそれでいいような気がしていて。

山田:あと、議論というか、議員というか、そういう品定めが、「あ、この人、こんなこと言ってた」だとかっていうことでわかると思うんです。たしかにメディアで切り取ると本意がわかんなかったりだとか、あとやっぱり、10考えを持っている中で、10全部支持できるっていう人は少ないから。

そうすると、結局、自分と違うものが1つでもあれば、例えば支持ができないってことになれば、それが棄権につながっちゃうんだったら、なんにも変わらないんですね。

それからもう1つは、議員だって人間だし、例えば考え方をいろんな、いわゆる世論によって変えてくってことは、私は悪いことじゃないと。あるときにはこう言って、あるときにはこう言ってっていうのは、それはダメですけども、いろいろ検討した結果、間違ってるということもあるし、世の中が変わっちゃうっていうこともあるから。

そういう意味ではインタラクティブにですね、いろんなことを発言しながら、いろいろ言われて変えてくってこともあっていいと思っているので、そういう意味でまず発言するメディアを自分たちが持ってくって、そういう意味で初めてのことを私も試みてやってはいるんですけども、そういうふうにあっていいのかなと思っています。はい。

遊佐めぐみ氏(以下、遊佐):はい。

山田:なんかデビッド・ケイさんの件で気になったことあります?

遊佐:デビッド・ケイさんの件で気になったのは……、前に来ていただいた、あの女の人……。

山田ブキッキオさん

遊佐:あ、ブキッキオさん、すいません。ブキッキオさんは本当に誰に吹き込まれたのかわからないですけど、本当に間違った情報を与えられてから山田さんとお話されましたけど、デビッド・ケイさんもお話されたときに、「あれ、これ違うぞ」とか思ったことは山田さんあったのかなって。

山田:えっとね、ブキッキオさんのときもそうだったし、デビッド・ケイさんのときもそうだったんだけど、面談のときには一応、僕は聞くスタンスで調査してる側なので、あまりそこで、あーでもない、こーでもないっていう話はないんですよ。

だから、ブキッキオさんも、僕はびっくりしたのは、記者会見だよね。帰国のときの前の、いわゆる記者クラブでの記者会見でなにを言ったかってこと。デビッド・ケイさんの記者会見も全部見ましたけれども。

さっきもちょっと懸念点っていうことで言ったのは、表現の自由ってことじゃなくて、どちらかというと、デビッド・ケイさんが調査したのは、どちらかというと、報道の自由っていう論点がすごく強かったということで。

それと必ずしも表現の自由、つまり、表現の自由にはもう1つ、さっきも言ったように、コンテンツの保障っていうか、どんなコンテンツも取り上げることができるんだよ。

その中に、エンターテインメント系でエロ、グロ、暴力っていうものをどうしていくのかっていう、例えば問題があるよっていう話にはほとんど触れないので、どっちかというと、公権力がって言ってるんだけど、公権力は必ずしも報道の自由が保障されれば、いわゆる公権力によって表現の自由が制約されないっていうか。

そういうことじゃないんだよねというふうに、もうちょっと幅広くですね、表現の自由をとらえてもらいたかったなというのがあれですね、ちょっと気になったことですね。

坂井:誘導……って言ったらあれですけど、そういうところを聞きたがってましたよね、やっぱりね。

山田:そうそうそう、どちらかというと。