2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
提供:株式会社ディー・エヌ・エー
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南場智子氏(以下、南場):そろそろベンチャーキャピタル、あるいはエンジェル投資家から見たスタートアップについて話をしていきたいと思います。
みんな自分のお金だったり、お金を持っている人から預かってファンドを作ってベンチャーに投資しているわけですが。
まず何を見て投資を決めるの? 自分の投資のポリシーと今までの経験から、成功するスタートアップの共通点があるとすれば、どうやって見ぬくのか。それを教えてください。
松山太河氏(以下、松山):例えば、20歳・21歳・22歳それぞれの学年で、100万人くらいいるとします。今、日本の大学の進学率は50パーセントなので、大学生が1学年当たり50万人いることになります。
おそらくそのなかで、自分で会社を作って起業して上場までいけるような人は、1世代につき年間2人とか3人だと思っています。そうすると、僕の場合は100万分の2とか3の人を探しています。「かなりいない」というのが実際のところです。
ただ、グノシーの福島(良典)くんなどは、彼が学生でサービスを立ち上げた後、まだ会社を作っていないときに知り合って、DeNAから内定をもらったということで相談を受けていています。DeNAに入るか、自分でサービスをやって会社を作るかと。
南場:「あのババア、うるさいから行くな」と言ったんでしょ?(笑)
(会場笑)
松山:僕は100万分の2、3人だと確信したので、「君は十分に実力がある。DeNAは素晴らしい会社だけれども、僕が出資をするから福島くんは会社をやってもいいのではないか」ということで、DeNAの内定を断ったと。すみません(笑)。
南場:初めて聞いたよ(笑)。
佐俣:100万分の2というと、けっこう「自分は難しいのかな?」と思うと思うんだけど。この会場にいる人から出る可能性は10〜20パーセントはあると思います。
だいたいそういうのに興味がある人で、本気の人というのはそうはいない。こんな天気のいい日に、こんな場所に来るというのは、君らは相当変わり者だよ(笑)。こういう人たちの中から現れたりする。
だいたいそういうときに「なんでお前、一番前に来る?」みたいなやつは確率が高い。もしくは、つまらなかったらすぐ出ていける一番後ろ。一番後ろか前にいるのが得で、真ん中が一番損をする(笑)。
話を戻すと、僕はどんなやつがいいかと言うと……ベンチャー投資をやっていて、だいたいうまくいかないわけ。
一番長い起業家だとで、僕はラクスルという印刷の会社に投資しているんだけど、大学生の頃からの付き合いで、もう会社を作って7年になる。
7年経つけど、毎日会ってもおもしろい。基本的にうまくいかないときにも、「うまくいかないなー」と言いながら、毎日会えるような起業家に投資をしています。
投資家にはいろいろなスタンスがあるのだけれど、僕は基本的にベタベタしたいタイプです。事業がうまくいってなくても、毎日会いたくなるようなやつ。
だからどんなにイケてても、生理的に無理な起業家は無理(笑)。これはお互いにしょうがないと思っています。僕は人間だし、起業家も、みんなも人間だから、生理的に合わないのは無理だ。「その髪型、無理だ」とか。
どんなやつが成功するかというと、最近、僕は魔法のメソッドを見つけて。「破産しそうな起業家はすごい」と。要は、自分の生活がボロボロになっても、会社や事業にお金を投下することをやめない起業家がいるんですよ。
そういうマインドの起業家って、大学生だと生活がどんどん荒んでいくんですね。社会人になると、本当にお金がなくなってくる。だけれども、事業を進めることは絶対やめない。
創業期というのは、個人のお金と会社の金は限りなく近いものになっている。これはもっと後のフェイズになるとあまりよくないけどね。
それでも絶対事業をやめないやつというのがいて、僕の応援している会社だとスクーというオンライン学習の会社の森健志郎は、僕が投資する直前に食事が飴玉のみという時期があって、飴玉と全国のユーザーさんから送られる食物。ただ、スクーは元気で「放送中でーす!」とやってて……。狂ってるなと(笑)。
(会場笑)
佐俣:「わかった、500万出資するから」「あと追加で500万出資できる投資家も探してくるから」と言って決めたんだけど。そういう起業家は絶対に成功するなと。
そういう起業家は、どんなに会社がキャッシュリッチになっても、ベースが飢えているから、自分を肥やすことを考えないで、事業にお金をどんどん渡してくる。なので、最近そういうやつを見かけるととりあえず、「落ち着け! とりあえず食事を食べようか」と、ご飯を食べさせながらやると。
南場:メシ、重要だよね(笑)。
川田:僕はものすごくシンプルで、基本的にはプロダクトというかサービスを見ます。プロトタイプを見て良ければ入れるし、悪ければ入れない。
なぜかというと、基本的にはやはりいいサービスが伸びるポテンシャルを持っている。いいサービスを作れるやつが面接でわかるかというと、僕はまったくわかる自信がないし、人と目を合わせて話せないような人が感動的なサービスを作ったりするじゃないですか。
だから、面接というバイアスをかけるのはもうやめようと思って、「とにかくプロダクトを見せてよ」と言って、プロダクトを見て、そこにセンスがあるかないかで見るという感じですね。
それでいうと、スマートニュースはプロトタイプを10秒触って、「これは絶対行ける」と確信して速攻入れたし、あとウォンテッドリーは持ってきたサービスがあまりイケてないので、2回くらい断っているんです。
これがいかにダメかというのを理詰めで説明して、もう来ないだろうと思ったら、3回目にまた来て、そのときに今のウォンテッドリーみたいなのができていて、「あ、これはいいよね」と言って入れました。
もう1つは、僕のかなり初期の投資案件でGyazoという画面のキャプチャーを撮るやつがあります。クリエイターで使ってる人が多いと思うのですが、これは洛西(一周)くんという非常に有名なソフトウェア制作者がいて、彼が17歳の頃に作った「紙copi」というシェアウェアがすごくヒットしたのですが、彼が大学を卒業するときに会社を作るというので入れました。
これはすごい遠回りでした。5年くらい鳴かず飛ばずで、いろいろなものを出してはダメで。でも最終的にはGyazoが非常にヒットして、いま月に1000万ユニークユーザー以上のアクセスがあります。
しかも8割が海外で、初めからグローバルプロダクトなのですが、出資も2014年から受けられて、いま非常に伸びています。
僕自身は、「プロダクトができるやつは最終的に跳ねる」という確信があったから、たぶん7年くらい付き合ってこれたのです。実際に蓋を開けてみたら、最終的には形になっているので、僕はやはりそのポリシーでやっていこうかなと思っています。
南場:昔だと最初のプロトタイプを作るのにすごく金がかかったけど、今はほとんど金がかからないから可能になっていることだよね。
川田:そうです。
南場:そこまでなんとか歯を食いしばって、自分と飴玉1個でとにかくプロダクトを作って、それを見てセンスを感じたらということだろうね。
南場:最後の質問を私からして、あとはみんなにオープンしたいと思います。起業したい人はいっぱいいると思う。でも、起業したいけれどまだ何をしていいかわからないときは、就職しないでとりあえず起業して考えるものなのか、どうすればいいか、アドバイスをお願いします。
松山:僕は明確にこういうサービスをやるというのがなくても、自分が社長になりたいとすごく強く思っている人であれば、まず会社を立ててしまうというのは、なきにしもあらずだと思います。
なぜならば、サイバーエージェントさんとかDeNAさんも、中の構成事業は変わってきているからです。例えばDeNAさんは、もともとオークションから始まり、今はゲームを主体とした事業になっていますし、サイバーエージェントさんも初めは広告代理事業から始まって、今はゲームや動画、ブログと事業の内容がかなり変わってきています。
成功している会社というのは、日本の場合、ワンプロダクトではなく、会社を作りながらも中で複数のスタートアップを起こしているというイメージがあるので、自分に自信がある人であれば、起業というチャレンジをするのはありだと思います。
もう1つは、やはり自分がいいと思うプロダクトを出している会社で働いて、その作り方を学ぶというのもありだなと思います。
判断の基準としては、僕は本能に従うのがベストだと思っています。あまりロジックではなくて、自分がめちゃくちゃワクワクすることをやるべき。
それが自分でやるべきことであればそっちを選ぶべきだし、どこかの会社にワクワクするような人がいたら、その人と働くというのがいいことかなと思います。その本能が一番いいと思います。
佐俣:僕はチキンなんですよね。新卒で就職してるし、基本的には就職をしたほうがいいと言っているし、大学はみんな出たほうがいいよと言っているタイプのチキンです。
僕は新卒のときに起業とかぜんぜんわからないし、ベンチャーに行くのも怖いから、まじめに大企業に行こうと思っていたんです。僕はものすごく保守的で、ずっとまじめに勉強をしていたので、迷っていたら就職でいいんじゃないかと。それが巡り巡って、なんでこうなったのか。
ただ、世の中にはもう起業しないでいられないという発作みたいになっているやつがいて、その発作がいつくるかわからない。それが今きたら、「別に今やればいいんじゃない?」とも思います。
僕が許せないのは、「起業しようと思っているんですよね」とか言いながら就活している人、サラリーマンで投資依頼に来ているのに現職の会社の名刺を持ってくるやつは殴りたくなる(笑)。どっちかにしろと。それは一番かっこ悪いと思っていて、中途半端はいけない。
僕は普通に怖かったから、リクルートという会社に入りました。とりあえず何かやりたいけど、どうやっていいかわからないというもやもやする気持ちというのを、リクルートは歓迎してくれる会社なんです。
僕は投資家になりたかったけど、厳しく楽しい社会生活のなかで忘れていました。それが2年半経ったときに突然発作がきた。人生の目標であったはずの投資家と、自分の今のキャリアとの並行感。
すごい楽しいんだけれど、その2つは交わらない、何も関係ない。それに気がついて会社を辞めました。
自分のエネルギーがすごく高い位置にあって、どこからぶつけていいかわからない人は、リクルートやサイバーエージェントのような熱量の高い人が溜まっているところに行って、ボコボコにしてもらうのもいい。
僕はボコボコにされる前に発作がきて、「なんで起業してしまったのかな?」と思うくらいだった。まったく後から説明ができない瞬間が来るんです。「過ちです」としか言えないのだけれど、それがきたらやればいいんじゃない?
川田:僕は25年前の学生のときにベンチャーを始めました。その頃本気でやっていたのが100人くらいいたと話しましたが、そのうちの半分の50人くらいと5年に1回集まって同窓会をやっています。
その50人のうちの7〜8割が、自分で作った会社を上場させているか、もしくは上場企業にイグジットしています。実際100人くらいのコミュニティから、この前数えたら10社以上が上場しています。
あの頃の起業は今よりさらに特殊だったので、連帯感があって横でつながっていたんです。それがずっと続いている。
何が言いたいかというと、コミュニティはすごく重要だということです。コミュニティにいると、「どこの誰々が上場させた」というとムカついて、「俺も上場させる」みたいな感じお互いにピア・プレッシャーがあったりしてすごくいいんです。
その50人くらいのコミュニティでは、学生時代から会社を作ったり潰したりして、最終的に上場させたのもいるし、1回リクルートに就職してあとから起業するとか、僕みたいにマッキンゼーを経由してとか、いろいろなパターンの人がいるんですが。そのコミュニティにいると、起業しなければ、ベンチャーしなければというプレッシャーをすごく感じるわけです。
僕はマッキンゼーに入ったけど、マッキンゼーってもっと起業系の人がいっぱいいるかなと思ったら、ベンチャー・カルチャーが実はあまりなくて、日本ではぜんぜんいない。
昼は超一流企業で大きな戦略とかを書いて、自分がやったことが日経新聞に出たりするわけです。ビジネスが好きだったし、知的な満足感は多少あるんですが、夜飲みに行って昔の起業仲間に、「俺いま京都の漬物屋のチャネルを開拓していて、東京でやっていて」とかリアルな話をされると、「俺は所詮人の手伝いしかやってないな」とすごいプレッシャーを感じていました。
「やはり起業しなければ……」と思っているときに、南場さんから一緒にオークションをやろうという話がきて起業したわけです。
それはやはり、コミュニティに入っていたことがすごく重要でした。そこの仲間たちで本気でやっているやつらは、どんどん上場していきます。あるいはイグジットして、どんどん形になって、いいサービスを作っていく。
そういうコミュニティに入るには、インターンになるとか、イケてるベンチャーに就職する、もしくは自分で起業するとか、いろいろなルートがあると思います。いろいろなルートを活用してコミュニティに入っていくのが、たぶん一番大事なのではないかと思います。
南場:もう1問、話が少し戻るけれど、スタートアップに対する考え方について。スタートアップを見たとき、「こういう会社には投資しない」とか、ダメだと思うのは何かというのをひと言ずつ聞きたい。
川田:絶対ダメなのは、ブラックというかだます系の人とか、信用・信頼できない人。
南場:それをどうやって見分けるの?
川田:細かい嘘をいくつも並べるとか。あとは見た感じが怪しいとか。僕はプロダクトで見るので、基本的にそういう人はいいプロダクトができないですね。
松山:僕はネットエイジという会社にいた頃、10人くらいのメンバーの中にミクシィの笠原(健治)氏とか、いまグリーの田中良和氏とかが、21歳か22歳の頃に出入りしていたのですが、タイプはそれぞれですよね。
笠原氏は真面目だったし、人それぞれだなと思って。ただ、意志の力は明確に強かったですね。やはり意志の力の強い人は、結果的にはうまくいくのかなと思います。
南場:その逆は、いけないね。
南場:今までいろいろな話を聞きました。アドバイスは三者三様で、起業したいけどイメージがなかったときどうするのかという話も出てきました。
投資家の立場から、スタートアップをどう評価するのか、何を見ているのか、どういうところが成功するのかという話も聞きました。
ベンチャーキャピタルや投資家の仕事もなんとなくわかりました。「イグジット」というのはちょっと新しかったかもしれないけれど、それはまた後にして、何か聞きたいことがあるやついない?
質問者1:1つ目の質問が、投資家に必要なスキルや才能。地政学という言葉も出たと思うんですが、今の段階で学生に何が養えるのかという点。もう1つは、例えばすごくイケてる学生がいて、VCとして出資したいという人がいたとしたら、そういう学生から選ばれるVCの資質は何だと思いますか。
川田:資質はけっこう難しくて、金融的な知識とか事業経験もあると思うのですが、加えて、「こういうフェーズには、こういうことをする」みたいな事業に対するディープな知識も必要です。
いろいろなサービスとか事業があるけれど、それらに共通して、立ち上げ期にはこういうこと、刈り取り期にはこういうことをすべきだとか、けっこう共通知識がいろいろあるので、そういうのをわかっている人は当てにされるというのが1つあります。
起業家に選んでもらうためにはどうするかですが、その起業家が投資家に求めているものは何かを見て、それに合致するところに入れさせてもらうことが基本じゃないですかね。
松山:素質というかスキルというか、今やるべきことという意味で言うと、僕は1社目のイグジットは高校1年生の頃の友達で、メルカリの(山田)進太郎とかは早稲田の友達の後輩だけど、いい友達を作るのは若いときにしかできないことで、それが結果的にはビジネスにもつながっていく。
その友達とビジネスを就職活動のタイミングなどで切り離す人があるんだけど、実はそこは切り離さないほうがよくて、友達関係は将来ビジネス関係にもなっていくことがあるので、よき友達をつくるのが大事かなと思います。
佐俣:素質でいうと、ベンチャーキャピタルとしての喜びは、起業家が成功したときに輝けるという言い方なんだけれど、自分が目立って楽しいというのではなく、起業家が成功したときに楽しいということです。ベンチャーキャピタルって好きだといつも思っているんだけれど、それも素質かな?
最近気づいてびっくりしたんだけど、大学生の頃のインタビューで「僕は友達の起業家を応援するのが好きで、今そういう活動をしています」と言っていて。今と何も変わっていない。気持ち悪いなと自分でも思ったけど、でも当時からそれがすごい楽しかったね。優秀な友達をどう手伝えるだろうと、ずっと悶々としていることが。
ベンチャーキャピタルにおける支援というのは、別にお金を出資することだけじゃない。だから、ある意味学生でもできるんだよね。ちなみに僕は大学のときの一番の親友と、自分の奥さんに投資家として投資しているんだけど。
それは自分の身の回りで一番優秀なやつに投資をしているだけのことで、そういうことから始まるから、今このタイミングで隣の席のやつに投資するということも起こりうるわけです。
南場:最後に4人の質問を受けます。
質問者2:投資したお金がいつか尽きるときに、いい尽き方とそうでない尽き方があると思うのですが。そういうときのリアルな現場の感じを知りたいと思います。
質問者3:投資家と運営側の意見が合わないとき、どうしているのかを知りたいと思います。
質問者4:川田さんに質問です。プロトタイプを見るとき、具体的にどのようなところを見ているのか。今、技術的なハードルがどんどん下がっていると感じているので、その辺を詳しく聞きたいです。
質問者5:学生時代の友達とは起業しないほうがいいと言う人もいます。就活して働いているところを見てから判断をしたほうがいいという方もいます。コミュニティとか、どういう人とやるのかを見ているのかお聞きしたいです。
川田:プロダクトの何を見ているのかというと、最近流行りの言葉で、UX・ユーザー体験が優れているかを見ることと、あとはなんらかの競合優位性が後々ちゃんと出てくる領域かということと、領域的に非常に儲かるポテンシャルがあるかを見つつも、やはり僕はUXをけっこう見ています。
美しくない線が入っていると落としたいとか(笑)。「これは意味ないでしょ」みたいなのは好きじゃない。でもそれに突っ込んで、それなりに意味があるのであれば「なるほどね」みたいな感じで、わりと職人的に見ています。良いか悪いかわかりませんが。
松山:意見が合わないということに対して、基本的にベンチャーキャピタルと起業家には、利害が対立する瞬間も起きます。
アメリカでは、起業家の首を切るとか解雇するといったことが実際起きています。そこに関して言うと、うちのベンチャーキャピタルは一緒にやっているやつもミクシィの創業者だったし、基本的には創業者の意思を尊重しようというのが根底にあります。
もちろん起業家がものすごくサボっているとか、悪いことをした場合は何かしら言うかもしれませんが。まずは創業者の意思を尊重する。
ただ、それは自己責任でもあって、戦略を間違えたときには創業者がその責任を取るべきだという考え方です。
それから、一緒に起業する人をどうするか。友達でいいのかということに関しては、成功する企業はナンバー2もナンバー3も、みんなイケてたりします。
そういう意味で言うと、その人だけではなく、一緒にやる人が、例えば南場さんと川田さんは素晴らしいなと思いますし、そもそものリクルーティングセンスがあるかどうかだと思います。
友達とやるのなら、友達期間が長いほうがいいかなと思います。僕は本田(謙)氏とは高校の1年生からですが、例えば4年くらい友達関係であって、その後、起業を一緒にしたら、まあ2年くらいは何とかなりそうだなと。
起業というのは嫌なことがすごく起こるんですが、嫌なことが起きても、4年くらいの友達だったら2年くらいはなんとかなりそうな気がするし、8年くらいの友達だったら、4年くらいはなんとかなりそうだという気がします(笑)。
(会場笑)
佐俣:お金の尽き方の話は、たぶんみんな勘違いしていて、ベンチャーが死ぬのはお金が尽きたときではなくて、起業家の心が折れた瞬間。これが本当にポキッという音がするんです。それで何が起こるかというと、音信不通になる。お金が尽きたわけではなく、心が折れる。
お金が尽きていても、ゾンビのごとく進み続けるすごいスタートアップとかがいて。僕の投資先で先日増資を大きくした会社があって、入金の日に「お疲れ!」と言って飲んだんだけど、会社の残キャッシュが7万円だった。数億調達する規模の会社で、残キャッシュが7万円というのはちょっと異常だよね(笑)。
そういうのをいっぱい見てきて、ホラーかなと思うんだけれども。絶対止まらないやつというのは、お金がほぼ尽きていても進むわけ。ところが5億円あっても、心が折れちゃうと止まる。だから単純にお金ではないということです。
あとは、投資家と起業家の意見が合わないときというのは、太河さんと僕は基本的には起業家を尊重するんだけど、やり方が違う。
そこに僕が投資させてもらっている宇佐美(駿)がいるけど、僕はボコボコに殴りあうっていう(笑)。
(会場笑)
佐俣:お前ふざけんなよくらいの感じで、僕はとことんやり合うと。双方に信頼関係があるので、とことん言い合おうという感じかなと思っています。
僕はこの前、投資先から「お前、サボりすぎじゃないか。もうちょっと働いてもよくない?」というメッセージが来たので、「すみませんでした」と言って。その週に15社くらい紹介の営業をしました。
僕は穏便な投資家でありたいとは思うのだけれど、若い分エネルギーがたくさんあるので、一緒にガチャガチャやりたいとは思っていて。
例えばラクスルの松本恭攝とは大学のときからの親友だから、もうボコボコに言う。すごく昔に投資していて、今はすごく増資しているから、ファンドとしての持ち分は少ししかないけど、たぶん一番うるさい。取締役よりうるさく、ボコボコに言う。でもそれは信頼関係だと思う。
もちろん投資契約というのはあるのだけれど、基本的には信頼関係だと思います。僕はとことん戦おうと。同じ方向を向いたうえで、考えが違うのであれば話そうねというスタンスでいます。
南場:私は投資家の立場に立ったことがないので、起業家としての視点で言うと、創業時VCで村口さんが入ってくれていたけれども、正直そんなに頼りにしなかった。
オペレーションにおいては川田さんと私がすべてをやっていて、ものすごく複雑で大量のオペレーションがあるんだけど、それを全部わかってもらうのは到底無理で説明に時間を使いたくない。結局いろいろな意思決定は自分たちでやって事後報告が多かった。
それで、一番力を発揮していただいたのは増資をするときに、ものすごくマルチプルをかけてくれたことです。
例えば、創業者が5000万ずつ出して1億5000万の会社を作ったとする。そこにあとから10億入れてもらったりすると、社長とか経営者がものすごく汗をかいているのに、持ち分の割合が少ない人になってしまうじゃない?
それを村口さんは、大きなマルチプルをかけて、まだ実体のない会社なのに、こんなにすごい会社だとほかの投資家を説得してくれて、バリュエーションを80億円とか高くつけてくれることによって、新しく入れた10億が全体の80分の10にとどまるかたちをつくってくれた。
出しているお金よりも、創業者たちが大きいポーションを持てるように頑張ってくれたというところ。起業家の立場からいうと、いま村口さんが困っていたら助けたいと思うのは、そのポイントですね。
いま投資家がずいぶん進化して、オペレーションに入ってくれるようになって、それが日本にとってとてもいいことだと思う。あれからもう15年だもんね。
まだアメリカと比べると50分の1ではあるけれども、ずいぶん進化して、スタートアップの企業のみんなと本当に伴走して、頑張ってくれるような本格的なキャピタルが備わってきたのかなと思います。
今日は本当にみんなにとって贅沢な時間だったよね。この3人が日本の代表です。私は、自分が大切にしている誰かが起業したときに、投資家が必要だとなったらこの3人を紹介したいという3人を連れてきました。
そういう意味では、この3人の言葉を一つひとつずっと覚えておいてほしいなと思います。私も勉強になりました。今日はありがとうございました。
(会場拍手)
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