「メルカリアッテ」デザインの舞台裏

井上雅意氏(以下、井上):よろしくお願いします。松本からソウゾウの組織についての話と、具体的な新規事業の立て方、コンセプトの立て方の話があったかと思います。

田辺からは、アイデア、コンセプトを具体的に企画に落とすというところを詳しく話してもらいました。僕からは、デザイナーとして、ある企画とかコンセプトを実際にどうかたちにしていったかという話を、具体例を交えて話せればと思っています。

まず最初に僕自身の紹介になるんですけれど、名前は井上雅意(がい)といいます。これはデザイナーだからあえてマサイをガイと読ませているわけではなくてガチの本名です。

(会場笑)

今の時代だったら「DQNじゃねえか」と思われてたかもしれないんですけれど、ちょっと早く生まれてきたのでよかったなと(笑)。

僕はIT業界どっぷりというわけではなくて、最初はサムスン電子ジャパンというところで、携帯端末を作っていて、主にそこのデザインチームでやっていました。年齢がバレてしまいますが、ガラケーの頃からUIを作っていて。

そしてガラケーがなくなってきて、新規事業をやっていたという過去があります。その後、なかなか新規事業をやっていても市場に出ないので、やっぱり出るところをやりたいということでヤフー株式会社に行って。そこで現ソウゾウ代表の松本と一緒に、いろんな新規事業とかサービスを作っていました。

その後、少しフラフラしてたんですけれど、縁あって今年、ソウゾウに参画させていただきました。

目指すデザイナー像“BCT”とは

今日お話する内容としては3つ。3つ目は余裕があれば話したいんですけれど、1つ目は、新規事業におけるデザイナーの役割とはどんなものなのかという、若干かための話をさせていただいて。その後に実際、メルカリアッテでのUXデザインってどうだったのか、どういう部分にこだわって作っていったのかという話ができればと思っています。

まずは、新規事業におけるデザイナーの役割について。

僕らソウゾウが目指すデザイナー像はこれです。これですと言われてもよくわからないと思いますが、「BCT」ビジネス、クリエイティブ、テクノロジーですね。これがバランスよく整ったデザインを目指していきましょうと。

当たり前じゃないかという話なんですけれど、世の中のいろんなところで働いた感覚でいうと、クリエイティブとかデザインをやっている人って、けっこうテクノロジーとは仲がいいんですね。実装とか自分が作るということにおいて、テクノロジーを知るということにはけっこうモチベートされてやっていくんですけれど。

ビジネスとなると、「なに、ビジネスっておいしいの?」みたいな、それぐらいの感じで。ビジネス視点がある人って少ない、特にデザイナーにおいては。ただこのビジネス視点ってけっこう重要なので、僕らソウゾウとしては、デザイナーにとにかくビジネス視点を持ってやっていきましょう、ということを目指してやっています。

プロデューサー的デザイナーになりましょう

端的に言ってしまうと、どんなデザイナーなのかということなんですけれど、プロデューサー的に振る舞ってくれるデザイナー。プロデューサー視点を持ってデザインしていきましょうと。

そもそもなぜプロデューサー的視点が必要なのかという話なんですけれど、アプリが主流になってきたせいもあるんですが、とにかく今はユーザー体験がサービスヒットの肝になっています。コンセプトとかよりも、ユーザー体験がいかによいかどうかということが、サービスがヒットするかしないかということの分かれ道になっているんじゃないかと。

けっきょく、そのユーザー体験を描きやすいのは、デザイナーでしょう。だからデザイナーがそのサービスをヒットさせる視点を持って、ビジネス的に当てる視点を持って、どんどん作っていく。

そして早めに作っていって、それを見てワクワクするか、ゾクゾクするかみたいなところを、早いうちからどんどん練っていきましょう、という視点が必要かなと思っています。ですので、僕たちはプロデューサー的な視点を持ったデザインを目指しています。

失敗も多かった、これまでのプロセス

実際にこれまでの新規サービスは、こんな流れで作っていたと思うんです。ウォーターフォール的プロセスで、企画があって、最初の企画フェーズで、とにかくいろんなサービスコンセプトを練って、アイデア出しをして。

その市場規模や市場の伸びをひたすら分析して、さらに実際にどんなサービスを出して、それに対してどういうビジネスモデルでどう勝っていくかみたいなところまでつめて。

そこから最終的にようやく、サービスの企画、具体的な仕様や機能に落ちて、開発に入りますと。

ですが、実際これってけっこう失敗します。僕もよくやっていて、このやり方でめちゃくちゃ失敗をしてます。

というのは、この企画と、特にUI、UXのところを作る段階で、すごくギャップがある。たとえばすごく企画がよくても、戦略的にすごくよかったとしても、実際モノを作って見せた途端に、企画やコンセプトがぜんぜん体現できてない。ユーザー体験として落とし込めないというケースが、実際ありました。

僕自身もそれで失敗していて、企画まですごく頑張って、特に社外でやると、すごく頑張っていろんな承認、承認、承認を通してきて、結果ようやく作れるってなったときに、できない、みたいなことがすごくありました。なので、このやり方じゃないなと。

UI、UXを元に考える、これからのやり方

これからのやり方って、今まであったここのUI、UXというかたちを、とにかく前に持ってこようと。さっき松本からも話があったと思うんですけれど、サービスコンセプトとかアイデアの段階から、かたちにしていく。このかたちにしたものを持って、企画コンセプトも変えるし、戦略だって変わるし、下手したらビジネスモデルだって変わる、みたいなかたちで、どんどん揉んでいきましょうというやり方があるんじゃないかなと。

実際にアッテでどうやってやっていたかというと、テーマの設定、コンセプトの部分では、残念ながら私の入ったタイミングがもう少し後なので、先ほど松本が話してたように、基本的にインターンと松本で、ある程度の大枠のコンセプトを作っていました。

実際にそのプロジェクトをやろうという段階で、具体的なコア、肝の部分、先ほどの話にあったようなタイムライン、チャットらしさ、位置起点というところが決まっていました。ただこの時点で、それをどう表現するか、どうサービスとして見せるかという部分は決まってなかったので、この早い段階から入って、どんどん一緒に練っていったところからやっています。

いろいろ見ていただいたんですけれど、とりあえずプロデューサー的視点がデザイナーには不可欠だよねというのは、なんとなくわかっていただけたかなと。とはいえ、やはりデザイナーなので、デザインというものがコアにあります。ブランディングもしなきゃいけないし、UXの設計というのもしっかりやりますと。

ただし、それだけじゃなくて、コンセプト、ビジネスモデルの部分からしっかり考えて。さらに実際に作る段階から市場まで考える、というのをやっていくことが必要かなと。