2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
7 Things We Don't Know About the Ocean(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:人類は地球を探索する点で、たくさんの成果を上げてきました。山を登り、大陸を横断し、科学技術の威信にかけて世界中に旗を立ててきたのです。
しかし、地球の表面の70パーセント以上を占めているにもかかわらず、いまだに解明されていない場所があります。それは、海です。
もっとも、人類は何度も海を渡り、石油を掘りまくり、魚を獲ってきました。それでも、海が光る謎から巨大な深海生物まで、はてはエイリアンのような生物たちの生態系など、海にはまだまだわかっていないことが数多くあります。
おそらく地球上のほかのどの場所よりも、海にはまだ知られていない、ワクワクするようなことが眠っているに違いありません。
実際のところ、海底がどんな見た目になっているのかはほとんどわかっていません。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)によれば、海底の95パーセントはいまだ人目に触れたことがありません。その結果、大部分の海底より、ほかの惑星の表面のほうがイメージしやすいぐらいです。
2014年、ある研究チームは、電波高度計という特殊なセンサーを搭載した人工衛星からの情報をもとに、海底の地図を作りました。
この装置は、衛星から真下の海面までの距離を厳密に測定することができます。
そしてこの方法のミソですが、海底にある大きな山や谷は海面に重力の影響を及ぼし、それぞれ凹凸を作り出します。
もちろん、こうした変化は人間の目には見えないほどわずかなものですが、研究チームはこの超高性能な高度計を用い、さらに波の動きを補正して海底がどうなっているかを調べたのです。
この海底地図は全海域を網羅した、すばらしく有用なデータではありますが、5キロメートルごとのデータなのでとても低い分解能です。一方、火星、金星、月の表面のほとんどは、100メートルかそれ以下の分解能で地図が作成されています。
つまり、足元で何が起こっているかを知るために海を探索し、生命を調べ、鉱物組成や難破船を分析するためには、より精度の高い地図が必要なのです。
当然のように、「岩です」と答えるでしょう。それはそうですが、ただの岩ではありません。
2015年に研究者たちは、日本の沿岸の海底を2.5キロメートル掘削した結果、生きた微生物を発見しました。1立方センチメートルの採取した土砂のなかに、10匹から1万匹の微生物が存在したのです。
同じ量の庭の砂に、数十億の微生物が存在することに比べれば、ごくわずかな量です。ですが、強烈な熱と圧力が加わる海底の数キロ下であっても、そこに確かに生命が存在するのです。
さらに、海の地下にいる微生物の遺伝子は、海底の土砂のなかにいる微生物の遺伝子より、森のなかの土で見つかる微生物の遺伝子に似ています。
これはつまり、地下の微生物は、2千万年前に地上にいた微生物の子孫でありながら、海の地下に埋もれつつもその環境に適応したということです。
海底深くの土砂のなかにはほかにどんな生物が存在しており、それによって明らかになる昔の地球の生態系が一体どんなものだったのか、ぜひとも知りたいですね。
地上の川や湖は誰しも目にしたことがあるでしょうが、水中のものはどうですか?
スポンジ・ボブに出てきそうな突飛な話に聞こえるかもしれませんが、本当に水中に川や湖はあるのです。まわりの海水とは塩分濃度が大きく異なる海水が、1ヶ所にとどまってしまうのです。
こうした現象が起こっている場所は「塩水溜まり」と呼ばれ、水分が蒸発した後に残った数百年前の塩の層が、土砂に埋もれることで形成されていきます。
海水がこの土砂の中の塩と混ざり、より濃い塩水となって流れ出ていきます。時には石油やメタンガスを含んでいることもあります。
こうした塩水溜まりは、メキシコ湾深くに見ることができ、まわりの海水に比べて4倍も塩分濃度が高い場所もあります。塩分濃度があまりにも高いため、深海探査艇がまるで湖の上のボートのように塩水溜まりの上に「浮いて」しまいます。
こうした塩水溜まりでは、生命が生きていくことができません。しかし好塩性、つまり塩気を好む微生物群が、通常の海水以上に豊富に存在します。
塩水溜まりのなかには、イガイという二枚貝が生息しているものもあります。塩水の中のメタンガスをエネルギーに変換するバクテリアを、エラの中で共生させているのです。
しかしこの不思議な塩水溜まりには、まだまだわかっていない点がたくさんあります。塩水溜まりがそれぞれ異なっているのはなぜか、イガイが生息するものとしないものがあるのはなぜか、どれくらいあるのか、といった具合です。
「マーリル」とも呼ばれるこの現象は、数千平方キロメートルにわたって海面が青白く光る様子のことです。比較的短い時間しか起こらず、目撃情報もわずかしかないため、これまでは船乗りが見間違えたり思い込んだりしていただけだ、と考えられていました。
しかし2005年に研究者たちは、1995年のインド洋の衛星写真からその跡を確認します。その衛星写真には、コネチカット州とほぼ同じ大きさの15,000平方キロメートルが、3夜続けて光る様子が写っていました。
「乳海現象」とも言うべきこの現象の科学的な最初の証拠ですが、いまだに水が光る理由についてはよくわかっていません。ヤコウチュウと呼ばれる小さな渦鞭毛藻類が大量に集まっているからだ、という説もあります。
「海のきらめき」とも言われるように、ヤコウチュウが外部から刺激を受けて光っているというわけです。確かに、この原生生物は、世界中の沿岸部で見られる発光現象の原因になっています。
しかし、2005年の研究によれば、宇宙から観測された短い時間の発光が渦鞭毛藻類によるものだという説は、「100パーセントないとは言い切れないが、違うのではないか」と言われています。
近年の研究によると乳海は、藻の異常発生に続いて起こる、バクテリアによる生物発光が原因ではないか、と考えられています。それでも依然として、なぜ、またどのように大量のバクテリアがわずかの間に集まり、光り、消えていくのかはわかっていません。
クジラについては大部分がもう解明されている、と思っていませんか?
巨大であることは見ればわかりますし、全身骨格も入手できていますし、回遊パターンはどんなものか、などもわかっています。
それでも、クジラが歌う歌については、まだ解明が必要です。
なんのために歌うのか、声帯や唇がないのに歌のような音をどうやって出しているのか。さらには、52ヘルツの歌を歌っているのはどの種類のクジラで、その目的はなにか、といった具合です。
52ヘルツのクジラの歌が最初に記録されたのは、1992年12月7日、太平洋の北東です。シロナガスクジラの音かと思われましたが、シロナガスクジラは通常15から20ヘルツの音程で音を出します。
海の中ではこんなふうに聞こえます。
(シロナガスクジラの歌、音は低い)
ところが、その52ヘルツのクジラの歌を同じ速度で再生してみるとこんな音でした。
(52ヘルツのクジラの歌、音が高い)
甲高いこの音は別の種類のクジラのようだ、ということで、「ブルー52」と呼ばれています。
これによって、たくさんの謎やクジラについて研究すべきことが増えました。このクジラの歌声だけなぜ違うのか、ほかのクジラはこの歌を聞き取れるのか、聞き取れるとしたら意味もわかっているのか、などです。
なかには、ブルー52は一人ぼっちになってしまい、ほかのクジラの歌が聞こえず、返事も返ってこなくて泣き叫んでいるのだ、という見方もあります。一方で、他のクジラが返事はしないとしてもその呼びかけは聞こえているとして、悲しいお話なんてあり得ないと言う研究者もいます。
もっとも、ブルー52が他のクジラたちからは孤立して回遊しているようには見えます。しかしその回遊パターンを追跡してみると、アラスカからメキシコまで太平洋を南北に回遊するという、シロナガスクジラと同じ回遊パターンをもう何年も続けています。
それで研究者たちは、体のどこかが奇形のためにそんな歌い方になっているとか、シロナガスクジラとほかの生物との間に生まれたハイブリッド種ではないかと考えています。
孤独なクジラであるかどうかは別として、ブルー52は風変わりなクジラとして注目の的のようです。
海中の音は、現在とても重要視されており、NOAAは何十年にも渡って海中の音響を測定し続けています。
空気中の音を拾う通常のマイクに代わって、NOAAは海中の音を拾うために水中聴音機を用います。たいてい、水中聴音機は海中で周囲の音を拾い、人為的な音の影響や、地震や、クジラの歌を検出します。
さらに、時には説明のつかない音を検出することもあります。
例えば1997年、「ブループ」と呼ばれる、低周波数の爆音を5,000キロ先で検出したことがあります。最近になって、海洋学の分野で、この音が氷震という、氷河が崩落して海中に与える衝撃の音だと特定され、1997年の音は南極大陸沿岸のものだとわかりました。
しかし「アップスウィープ」という、また別の不思議な音があります。
1991年8月、SF映画に出てくる警報音のような、ブーッという音が盛り上がっていくような音が聞かれました。あれこれ説明するより、聞いてみてください。
(ブーッブーッという音)
1991年以来、この音は太平洋で定期的に聞かれています。春と秋はとくに多いため、季節が関係していると考えられています。
研究者たちは太平洋で聞こえるこの音が、火山や地震活動の手がかりになるのではないかと、考え収集を続けていますが、しかしNOAAは、「結局何の音なのかはわかっていない」と言います。
クラーケンから海竜まで、有名な海のモンスターはどれも巨大です。さらに、現実の世界でも多くの深海生物はあり得ないほど大きいのです。
この現象は「深海巨人症」といいます。それしてもなぜそんなに大きくなるのか……それもわかっていないのです。
深海や、北極南極海の近くでは、ダイオウイカ、オオグソクムシ、タカアシガニのように、かなりの大きさになります。
研究者もはっきりわかっていないものの、いくつかの説が考え出されています。
例えば、気温が巨大化に関係しているという、ベルクマンの法則があります。これは、大きな動物はその体重に対して表面積が相対的に少なくなり、寒い環境でも体から放射される熱が少なくなるため体を温かく保てる、というものです。
さらには、クライバーの法則というものもあります。大きな動物は一般的に代謝が少なく、生存に必要な食物摂取量も少なくてすむ、というものです。ほかにも、巨大化によって、深海の強い水圧に耐えられるようにしている、という説もあります。
しかし結局のところ、巨大な生物がそのように存在する、生物学的な理由はわかっていません。
海がこのように神秘に満ちているのは、その巨大さ、暗さ、深さのせいでしょう。でもこのビデオで、ただ不安を煽ったり、科学がお手上げだ、ということを言いたいんじゃありません。むしろ、海にはまだまだ調べるべきことがたくさんあるんだ、ということを覚えていて欲しいんです。
科学技術は進歩によってより深い海まで手が届き、これまで以上に見たり、聞いたり、調査したりできるようになっているのです。
いつしか謎が解明され、新しい生物が発見され、地球や生命、さらにはそれ以上のことも理解できれば、私たちの理解もより「深み」へ進むことでしょう。
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