2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
小野ゆうこ氏インタビュー(全1記事)
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日本実業出版社(以下、日実):なぜ、会社から無駄な会議はなくならないのでしょうか?
小野ゆうこ氏(以下、小野):そもそも「会議とは無駄なものである」という固定観念が強く根づいています。そのため、無駄な会議とは「なくすもの」ではなく「しのぐもの」という考え方になっているんです。
誰もが不毛に感じていたとしても、通過儀礼のように「この時間さえ、がまんすればいい」「会議中に内職するとかして、なんとか有効に使おう」など、いかにその時間をしのぐか、といった具合です。
だから、多くの人が「無駄な会議はどうにかしたいけど、しかたがない。しのぐしかない」という対応を続け、会議は以前と変わらず、粛々ととり行われているのではないでしょうか。
過去に会議を変えるために、ファシリテーションスキルを訓練したり、アイスブレイクを取り入れたり、会議手法を学んだりしてきた方もいらっしゃると思いますが、結果的に定着しなかったという負の経験から「会議は変わりようのないもの」とあきらめてしまっているのかもしれませんね。
本書(『「結果を出す会議」に今すぐ変えるフレームワーク38』)でも触れましたが、無駄にも「生かせる無駄」と、「単に惰性の結果である無駄」の2種類があります。たとえ無駄に思える会議でも、議題と向き合う熱意や積極性があり、メンバー間で対話が行われていれば、生かすことができますが、惰性の場合は、無駄というより「不毛」なのです。そして、いくら「不毛な会議」であったとしても変えることができないのは、その時間さえしのげば、仕事は続くし、役割は果たせるし、「時間が取られる」こと以外は支障を実感できないことも理由のひとつでしょう。
日実:たとえば、「不毛」な会議ではどういったことが行われがちなのでしょう?
小野:「不毛な会議」にありがちなことを挙げてみますね。自分が参加している会議に当てはまるものが複数あれば、それは「不毛な会議」である可能性が高いです。
・シーンとした時間が多過ぎる・集まることで安心している・責任範囲がわからない・結論が出た気になっている・毎回、振り出しに戻る・発言しない人がいる、発言しても否定される・会議のゴールが不明確、なんとなく話している・結局、メールで知らせてもよかったんじゃない?ということが多い・会議の招集がむやみに多い・誰も読まない議事録を会議後に作成している
小野:以前「自社のWebサイトをリニューアルする」ための会議がありました。
こういった、プロジェクトが動きだすときに、よく「ブランディング」の相談を受けることがあります。しかしこのとき、このクライアントはすでに「最近のトレンドは何ですか」「コンテンツマーケティングに取り組むにはどうしたらいいですか」「デザインの上手な人を紹介してもらえますか」など、詳細にだけ意識を向けて会議を進めてしまっていました。
しかし、本来は「組織の理念や事業内容」「お客様にどう思われたいのか」「どんなお客様とつながり続けたいのか」など、メッセージ発信の軸を決めたり、届かせたい人を具体的に想定してから、初めて詳細にかかわる話ができるのです。
川の流れにたとえるなら、下流の、海水と混じり合うところばかりを見ればいいのではなく、源泉から上流、中流へと続く一貫した流れを「見極める」ことが重要です。
たとえば、お客様から、商品や会社に興味をもってもらうには、つながりたいお客様が関心をもつ領域に近づく必要があります。このクライアントには、それを体感してもらうために、以下の「その人になりきる」というフレームワークにチームで取り組んでもらいました。
1. 顧客像を考えるまず、個別に「顧客像」に関わる情報を付箋に書き出します。「実家ぐらし」「スイーツに月3,000円使う」「芸能ニュースが好き」など、属性や価値観を想像しながら、1人の人格として具体的に「私たちの顧客やこういう人」という要件を集めます。
顧客像を共有する模造紙に個別に書き出した付箋を貼り、チームで共有します。さらに、付箋をかんたんにグループ分けしながら「こういう人だよね!」とチームで話しながら共感を強めていきます。
顧客像を具体化する付箋に書かれた顧客像を使って、「どんな人なのか?」「芸能人にたとえると誰?」「動物にたとえると?」と具体的な人やものにたとえ、さらにチームの顧客像のズレを小さくしていきます。そして、「その人になりきって」顧客の心に結びつくキーワードや欲するものを連想していきます。(『「結果を出す会議」に今すぐ変えるフレームワーク38』129~130ページより)
このように想定する顧客になりきることを通じて、「そもそも私たちってお客さんそのものがわかっていない」ということに気づいてもらい、そこからあらためて、会議のなかで顧客像=ペルソナを描いていく「対話デザイン」を行いました。
さらに、自分たちが上流の景色を把握しないまま下流ばかりを見ていたことに気づかせることで、具体的なターゲットへ向けての「コンセプト」や「メッセージ」を作成するフレームワークに取り組むことができるようになりました。
これらが揃ってから、Webサイトの構成やデザイン、コンテンツの取捨選択、役割や運営といった体制、そして数値測定による改善点の見つけ方までを一貫させる。そうすれば、デザインの判断軸も整い、制作工程で「判断に悩む」という事態は起こりませんし、運用目的に合わせた改善をし続けることができます。これだけの流れが整えば、結果は必ず出ます。
この企業はリニューアル後、顧客数を20パーセント増やしました。会議の中身を変えたことで、結果として会社が変わったいい例かもしれません。
小野:もちろん「無駄な会議をなくしたい」と思っている人に、読んでいただきたいです。
さらに言えば、チームで問題解決に臨む人たちにも読んでもらいたいですね。会議の場に限らず、どんな仕事も「ひとりだけで成り立つ」ことはほとんどありません。多くの人たちが、他者と関わり合いながら仕事をしています。
だから、対話を始めることが、すべての問題解決のスタートだと私は思っています。スーパーマンやカリスマが1人いて、その号令に残りの人たちが従う、という状態はとても危険だと思います。そうではなく、私たち普通の人たちがいい仕事をするんだ、ということに気づき、周囲と対話し、行動することが大切です。
「もっといい会社にしたい」「会社の仲間たちといい仕事がしたい」「危機感のない状態から抜け出したい」「前例がないことに挑んでいきたい」「成長し続けたい」
など、動機はさまざまだと思いますが、「対話による問題解決」「周囲との協働」「多様な価値観を活用する」といった「集合」の力を信じる人の役に立てればと思っています。
日実:「会議」を変えたいと思いつつも、改善にいたらず「無駄な会議」を続けているビジネスパーソンに向けて、アドバイスをお願いいたします。
小野:そういう人は、日夜、理不尽なことに向き合いながらも、現状をよりよくしようと努力している方だと思います。なのでアドバイスというよりは応援の気持ちから、「会議は変えられる」ということをお伝えしたいです。
組織というものは、会議の改善に限らず、いきなりの大きな変化を嫌がります。ですので、根本的に改善するためには、決定権のある人を後ろ盾とし、プロジェクト化して進めることが重要です。しかし、そういう状況はとても稀なので、まずは個人でも変えやすい小さなことに着目することをおすすめします。
たとえば、本書で紹介していますが、「アイデアを出す」ときに付箋を使い、参加者の意見を共有・対話するだけでも、いつもと違う会議になると思います。
無駄だと思わずに、小さな変化、小さなチャレンジをしてもらいたいと思います。それがいつか、会社全体をよりよくする1歩となると信じてほしいですね。
日実:ありがとうございました。
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