テレビを切った後のニート生活

西野亮廣氏(以下、西野):(それで)テレビを切ったら暇になって。

田中研之輔氏(以下、田中):時間が余るね。

西野:テレビを切ったら超暇だったんですよ。週5ぐらいの休みになっちゃって。「収録?」みたいな。『はねるのトびら』やってるニートみたいになっちゃって。番組は急に終われないですから。日本テレビがやってるんですけど。

ニートみたいになっちゃって、「やることないな……」っていうときに1ヶ月くらい飲み歩いたんですけれど、なんかタモリさんに呼びだされて。そこで「お前、絵描け」って。

田中:「描いてみたら?」って言って。もともと描いてたんですか? 小学校とか。

西野:描いてないですよ。もともと(デジハリの)みなさんはそういう絵を描いたりされる方ですよね?

田中:絵も、はい。

西野:僕はそういう人じゃなくて。絵とかぜんぜん興味がなかったんですけど。今日いる皆さんには申し訳ないんですけど、本当に興味がなくて。

小学校のとき、田舎の子で超いばってて。なんか女としゃべる男をとっつかまえていじめてたんですよ。「お前、女としゃべんな」みたいな(笑)。

硬派を気取ってたと思うんですよ、本当に。その節は本当にすいませんでした。「俺は男だぜ」みたいな硬派を気取ってて。小学校は、「女子に興味ない」みたいなスタンスでずっときてたんですけど。

「エロ」は画力を上達させる?

中2になったときに、女性の裸に急に興味が出てきて、女の子っていいなって思ったんですよ。それで、もう股間が破裂しそうで。

男たちはエッチな本を見たり、貸し借りしてるんですけれど、僕は今さら「貸して」って言えなくて。昨日まで興味ないっていうスタンスできてたんで。

呉京樹氏(以下、呉):硬派で。

西野:そう。「硬派の西野」できてるから。「貸して」って西野が言うわけないんですよ。それを「貸して」って言えなくて、買うお金もないから、「これはもう描くしかない」と。

ほんで、女性のお嬢ちゃんの顔を1回持ち帰って……いや、持ち帰らない。イメージだけ持ち帰って、家でお嬢ちゃんの裸を描いて、それでこうシコシコするという。完全に自給自足ですね(笑)。

田中:そんなに差し迫って(笑)。

西野:そう。必要に迫られたってことです。

しかも大将、問題が違うんですよ。大変なのは、下手だったら興奮しないんですよ。画力を上げないことには興奮しない。僕が興奮しなきゃ意味がないですから。

急いで絵がうまくなる必要があって、中2から僕がスケベだってカミングアウトする中3の頭までの半年間はすごく絵に向き合いました。

小説や映画で活躍する芸人の努力

田中:ちょっと聞いて見ましょうか。西野さんの絵本を持ってる方、どれぐらいいるんですか? (会場を見て)いらっしゃるじゃないですか。どの辺がいいんですか? せっかくなので、西野さんの絵本の魅力を3つ。

参加者1:(初めは)西野さんってぜんぜん知らなくて、私は絵本から入りました。

田中:そうなの? それは素晴らしいですね。

参加者1:そうなんですよ。たまたま知ったんですけれど。

田中:たまたま。

参加者1:物語がすごい素敵だったのと。絵が緻密なんですね。

田中:そうですよね。

参加者1:一つひとつがすごい近くで見ちゃうような感じ。

西野:ありがとうございます。

田中:おお

参加者1:それでよく聞いたら、「お笑い芸人の方なんだ」って。

田中:そのギャップがね。

西野:ありがとうございます。

田中:お笑い芸人の方って多才な方もたくさんいらっしゃいますね。

西野:そうですよね。

田中:品川さんと今日飲むんでしょう? 品川さんも映画を撮ったり、漫画もやりますもんね。やっぱり「作る」というモードでいろんな活動を展開されてるんですかね。

西野:でも、職業名ってあんまり信用ならないなって思っていて。要はそのコミットしてる時間がすごく大事で。

例えば、イラストレーターって名乗ってて、僕より絵を描いてない人っていっぱいいると思うんですよ。やる人はやってるけど。

大事なのはそっちで、例えば、品川さんとか又吉とか。又吉より文章書いてない小説家ってけっこういると思うんですよ。そういう人たちってずっとやってるんですよ。

たぶん、いろんな人がコンパしたり、スキーに行ったり、いろいろあると思うんですけど。そういうのも僕は、全部素晴らしいと思うんですけれど。あの人たちは、そういう時間を全部文章の時間に使ったり、単純に向き合ってる時間が長いんです。

田中:大事なポイントですよね。やっぱり職業になってっちゃいますからね。例えば芸人だと、「芸人ってこうだろう」とか。「社長だったらこう振る舞うんだろうな」とか。

1つのことに没頭できる集中力

:聞いてると、やっぱり「集中力」だと思うんですよね。結局、人間って生きてる時間は一緒だし、1日24時間の中で働かきゃいけないので。結局僕らは、生産性をどうやったら上げられるかというと、集中力しかなくて。西野さんのブログもけっこう読ませていただいて……。

西野:マジですか? 長々しいですよ。

:いえいえ。すごい集中力だなって思って。やっぱり集中力が続かない人って多いんですよ。

田中:どうやったら続くんですか。

:一番わかりやすいのは、やりたいことは集中力が続くんですよ。やりたくないことは集中力が続かないです。やりたいことを見つけるのが早い人ほど、その集中力が研ぎ澄まされていくんだと思うんですね。

西野:女性の体をリアルに描きたいとかですね。

:ああ、そうそう。それもたぶんそうだと思っていて。そうすると、観察力が養われたり。結局「想像力」だと思うんですよ。

学生さんは、これから就職活動をするときに絶対突破しないといけないもので、企業も募集欄のところに「コミュニケーション能力」って書いてるんですけど。

「コミュニケーション能力って何なんだ?」という話になったときに、最近ずっと考えてて、たぶん「想像力」だと思っています。

相手が何がほしいかを想像する力を養うしかなくて。じゃないと、結局自分のエゴにしかならないので。

だから、今日のテーマにもある「アーティスト」といわゆる「クリエイター」の境目もここにあるのかなって、ちょっといろいろ考えたりしてるんですけど。

クリエイターってモノ作りをしたい人なんですけど、自分のモノを作りたいのか。アーティストって、自分の作りたい作品を突き抜けて作っていく人たちだと思うんですけれど。

西野さんはもともと芸人で。今絵本を書いてるんですけれども、僕から見るとアーティストに近い。

西野さんはどんなモチベーションでやってるのか、今日せっかくお会いしたので、ちょっと聞きたいなと思って。

田中:実は今日のポイントはそこです。呉さんと西野さんをマッチメイクしたかったのは。呉さんはクリエイターを育ててる? アーティストを育ててる? 

:クリエイターですね。

田中:クリエイターを育てていて。デジハリのみんなはクリエイターっていう意識がある? アーティストっていう意識がある? 半々ぐらいですね。

そのアーティストとして生きてるのか、クリエイターとして生きてるのかでいうと、西野さんは間の子みたいな雰囲気で生きてる感じがすごいある。

:ハイブリッドな感じがあって。なかなか少ないなという空気を持ってるんですけど。

田中:どんな感じなんですか。

ナイナイ岡村とは“芸人”の定義が違う

西野:なんだろうな……。これ記事に書いてもらっていいんですけど、僕は今年の27時間テレビを断ったんですよ。

ざっくり言うと、深夜に芸人がお化けの格好をして出て、フジテレビのスタッフの悪口を言う、しかも終わった番組の悪口を言う企画だと聞いて、断ったんです。

なんで断ったのかと言ったら、「今フジテレビそんなんしてる場合ちゃうやん」と思ったんです。ノッてる局だったらまだしも、すげー戦いまくってる局で、すげー傾いてるときに内輪揉めやってるときじゃないって思って。そこには協力したくないなと思ったんです。

なにかすごいおもしろいこと、生産性のあることをやるんだったら、僕はぜひだったんですけど。

スタッフの悪口を言って、キャッキャキャッキャ笑ってるだけって……。「勢いのない局のスタッフの悪口を言うコーナーに誰が興味あるの?」と思った。僕はすごく嫌だなと思って断ったんですよ。

そしたらナインティナインの岡村、あのバカが……俺嫌いなんですけど(笑)。あんまり書かんといて下さい。ここだけの話にしておいてください。

田中:全部書きますよ。

西野:全部書いちゃうんすか? でも嫌いなんですよ。なんで嫌いかと言ったら、「みんなやってるんやから出ろよ」って言うんですよ。

田中:集団主義みたいな。

西野:「芸人みんなやってるんやったら出ろよ」と言って。ここになにかすごいズレがあるなと思って。

なんで岡村さんとこんなに……僕は芸人が超好きなんですよ。たぶん岡村さんも芸人が超好きで。たぶん2人とも芸人のことがすっごい好きなのに、考えにすっげーズレがあるなと思って。

「なんでこんなズレてるのかな?」って考えたときに、たぶん芸人の定義がまったく違うんだと。