「偉い人の言うことは絶対」不条理な価値観にはどう立ち向かうべきか

世界の限界に挑戦する人生 #4/4

慶應義塾大学ビジネススクールとNTVPとの共催にて開催された「スタートアップカンファレンス2016 ファーストペンギンを目指せ!~スタートアップが世界の未来を拓く~」。セッション「世界の限界に挑戦する人生」には、メディアアーティストの落合陽一氏、アテネオリンピック柔道金メダリストの塚田真希氏、キックボクサー日菜太氏が登壇。アスリートの引退後の人生についてやロボットと人間の戦いは盛り上がるという話、体育会系の世界にはびこる上の人がいうことが絶対というマッチョな精神論の是非など、さまざまなテーマで話しました。

議員の3割は体育会系の人がいい!?

落合陽一氏(以下、落合):この前、為末(大)さんと話してたんですけど。日本は世界で1位から10位までは人がいないけど、10位から100位まではいっぱいいるという。

そこはすごく重要で、10位から100位の人材がどうやって高齢化社会を迎えるなかで、アスリートが社会の健康増進とか、あとはそういうエンターテインメントのところに関わっていけるのか。

これはキーワードで、そういうような人的資源をどこに配分するかを、ちゃんと考えていかないといけない、って話してたんです。だから、例えば、地元で議員になるのは、かなりいいと思います。

日菜太氏(以下、日菜太):(笑)。

(会場笑)

日菜太:さっき裏で話してたんですよ。僕が引退したら、自分のジムを持って、さっき話したような会社をやりつつ、地元で先生になろうかな、という話をしてて。

落合:議会の3割ぐらいは体育会系のほうがいいことがあるじゃないですか。と、俺は思ってて、実は。人間っていいところは、ほぼ体ですよ。だって頭は、コンピュータのほうがいいもの。

そうなってきたら、自分の体のことをよく知らない奴が政策決定をしてほしくなくて。少なくとも、アスリートは自分の体には向き合って何十年か暮らしてきた人たちだから、そこはそういうような民主主義のパイがあったほうが、俺はいいと思ってるんですよ。

日菜太:そうですよね。人口だって、それだけやってる人がそんだけいて、頭を使ってきてる人がそんだけいるから。

落合:そうそう。今、体を持ってない人類ってあんまりいないんですよ。

(会場笑)

落合:そのうち1万人ぐらいになるかもしれないんだけど。でも、体を持ってる人のほうが多いと思うので。

日菜太:すげえ、なんか映画の世界ですよね。

落合:でも、あんま変わんない。そうなっちゃうと思うんですよね。

「ロボットVS人間」は絶対おもしろい

山口揚平氏(以下、山口):『攻殻機動隊』の世界ですね。

落合:『攻殻機動隊』はゆるいですよね、設定が。

(会場笑)

山口:2020年は、オリンピックよりパラリンピックのほうが高い記録が出るとも。義体化しているというふうな話を聞いたことがあります。

落合:電気使わないと厳しいですけど。ただ、あの……オスカー・ピストリウス、捕まっちゃったもんね。

日菜太:捕まりましたね。

落合:捕まりましたよね。あの人、捕まってなかったら、けっこう。素材もしっかりしてるし、義足も速度出ますよね。

山口:テクノロジーと肉体の限界というのは、なかなか融和性がありますね。お二人もだんだん距離が近くなってきたような感じがありますね。

日菜太:近い将来、あれじゃないですか。こういう動きでみたいな、ロボットファイトみたいな、映画であったじゃないですか。

落合:ロボットVS人間は、たぶんめっちゃおもしろいと思いますよ。

(会場笑)

日菜太:僕はやりたくないですね(笑)。

山口:アルファ碁の世界じゃないですね。もう立体ですね。

落合:ロボットと人間が戦ってるの、超盛り上がるよ、たぶん。

(会場笑)

日菜太:人間負けるじゃないですか、そんなの絶対。

落合:いや、そこで人間が勝つ瞬間に、おっさんたちがボワーッてなるんすよ。

(会場笑)

日菜太:それは新しいビジネスモデルですね!

落合:例えば、将棋の電脳戦見ててめっちゃおもしろいのと、アルファ碁って碁でロボットとやるのもおもしろかったですけど。やっぱ、機械VS人間ってのは超テンション上がるんですよねえ。

日菜太:そうですねえ。

落合:それでメカニックがすげえ本気出して、「あいつぶっ殺してやる!」とか言って。

日菜太:素材が、柔らかい素材だったらいいなと思うんですけど。

(会場笑)

「破壊」「維持」「創造」

山口:ちなみに、私はこのチラシを配っている、ブルー・マーリン・パートナーズという事業創造企業の社長をやってますけども、自分の原体験はカネボウとダイエーの再生だったんですね。

産業再生機構という機関で、当時10兆円の投資枠があったんですね。10兆円あると、かなり日本を変えられるなと思ったんです。それは、経済産業省がお金を出して株式会社として10兆円持ってたんですね。

僕も若かったですから、ものすごくシッチャカメッチャカのなか、日本を再生しようとして。なにも知らなかったんですけども、大手法律事務所とか、ゴールドマン・サックス、マッキンゼーとか、そういう人たちがはぐれ者を集めて、それでなんとか再生させて結果として儲けも出していたんですね。

今、必要なのは、私はブルー・マリン・パートナーズという会社で事業創造を小さくやってますけども、本当はたぶん10兆円から20兆円ぐらいの新しい新産業に対するお金を、政府として出すということだと思うんですね。

ベンチャーキャピタルがんばってるんですけども足りない。国家として必ず3つ、破壊と維持と創造というものに対して、1/3づつ割り振っていかなければいけない。この破壊と維持と創造という概念は、どんな社会でもずっと続くモチーフです。

例えば、インドの最高神のシヴァ神というのは破壊ですし、維持がヴィシュヌ神、ブラフマーってのが創造神なんです。

このバランスが日本は非常に崩れていて、創造をする人たち、新しいものにチャレンジする人たちに対して、資金だったり人が向かっていくということが、今とても大切なんだなあと、お三方の話を聞いてすごく考えた次第です。

時間が押してきましたけども、もう1個ぐらい質問を受け付けても大丈夫ですか。じゃあ、女性の方がいいんですけども。じゃあ、後ろの。

体育会系にはびこるマッチョな精神論

質問者2:○○です。本日はありがとうございます。

私の質問はアスリートであるお二方に質問なんですけども。日本のアスリート界、スポーツ界で、特に格闘技系の競技において、「上の言うことは絶対だ」という長く続く伝統みたいなものがあるように思えて。不合理なことでも従わなければならないというような環境があるんじゃないかな、と思っています。

また一方で、今日のテーマでもあるようなスタートアップなどの業界では、そうではなくて、一人ひとりがなにが正しいか考えてどんどん意見を言っていく。上の人に対しても意見を言っていくという制度、そういう環境があるというのは、一見すごく反対のように思えました。

お二方から見て、その古い伝統的な「上の意見は絶対だ」という制度は、なくてはならないものだと思いますか?

山口:どうでしょう? 塚田さん、いかがですか?

塚田真希氏(以下、塚田):そこのところは私がすごく課題にしてるところで。そういったなかで、村口(和孝)さんなどからお話をいろいろと聞いていくなかで、自分のなかでもストンと落ちた部分があったので、今回こういった場所に参加させてもらったんですけど。

その自分のなかでの理想というか、思いと、現状とのなかの戦いでやっています。だから、賢くなりたいなと思って。落合さんの話にもぜんぜんついていけないんですが、必死でついていって、そういう上の人たちにもしっかり話がつけられるように、力をつけたいなって今は思って、やっています。

日菜太:あの、けっこうありますね。「上が言ったからこうだ」みたいな。でも、それは僕は言いたいことを言ってしまうんですよ。僕、Twitterで言いたいことを言ったりして、すごく叩かれたりするんです。

でも、「言わなきゃ意味がない」「言わなきゃいけないな」と思ってたりしています。ただ、言いすぎてもダメだし。いつかそういうのを変えられたらいいなとは思うんですけど。

僕もつぶされないためには、つき抜けるしかない、強くなるしかないんですよ、僕の世界って。強ければ自分の意見を通せる。

落合:そうですね。

日菜太:俺はそういう強いアスリート、強いキックボクサーになって、自分の意見を通す世界を作っていきたいと思ったんですけど、こないだコケちゃったんですよ……。

(会場笑)

日菜太:今年は、そういう目標立ててたんですけど。先週の水曜日に試合して、ぜんぜん情報なかったんですよね。若手の、20歳ぐらいの若い選手で、強いって話は聞いてたんですよ。でも、映像見てても、そんな感じしなかったんですよね。

そのときには、いろいろ今年に入っていろんなこと考えてて。どうにかして俺が1人で1,000人呼べるような選手になるって思って、集客にけっこう力入れちゃったんですよね。

それで、試合にそこまで集中してなくて。1回目倒されて、2ラウンド、3ラウンド頑張ったんですけど、そこで挽回できなくて。やっぱり……。なんていうんですかね、バランス、ほんとになんでもバランスが大事だなと。

人間をどうプログラミングするか

落合:バランスは重要ですね。さっきのやつには一言アイデアがあって、要は人間をどうプログラミングするかって話なんですよね。

だって、脳みそにプログラミングする時間を割けない、フィジカル作るのに。別に、あとからそれをやればいいんですけど。そうなったら、まず最初に上下関係をきっちりさせれば、一番効率よくプログラミング可能です、人間って。

だけど、もう1つの手があって、自由に生きてもいいけど、体に電流が流れますみたいな方法があるわけです。それ、孫悟空は頭が締めつけられた。でも、俺は自由にしてるけど停止って言われたら、体が全部止まるよ、みたいなチップが頭にあったら、俺はそっちのほうがよくて、それで、そういう研究がしたいんですよ。

(会場笑)

落合:一瞬で相手のスイッチを切れるようなスイッチを発明すれば、上下関係がなくても運動はできる、たぶん。それはどっちがいいかって言ったら、別にどっちでもいいですよね。

(会場笑)

落合:そんなの、興味ないもん。だって、タイムが出るほうがいいに決まってるじゃないですか。

山口:2人が組めば最強ですね。

落合:まず人権という考え方を、人間からなくすのに注力してるんで、ぼくは。

日菜太:(笑)。

山口:あとは村口さんのお金で……。最後、すいません。せっかく村口さん、ご登壇していただいたんで、締めということで。終了のカンペも出てますけれども。

村口和孝氏(以下、村口):いやいや、ほんとにおもしろいなと思うんですけども。世界の限界に挑戦すること。その世界の限界の、その紙一重のところというのは、いったいどうなっていて、それでお三方はどういうふうにその紙一重の上にポッと出るという。

そこの襟をつかむのか、あるいは、一瞬かわすのか、首をかわすのか、一瞬一言バッと挟むのかわかりませんけれども、その紙一重の1つ上のところの戦いの話を、最後にお聞きしたいですね。

山口:どうですか? 特になさそうですね……。

(会場笑)

山口:すいません(笑)。どうぞ。

日菜太:僕はその紙一重をまだ取れてないと思うんですよ。たぶん、塚田さんは、その紙一重を制して金メダルを取ってる、すばらしいですよね。僕はまだその紙一重の部分の勝負に勝ててないんで。僕の課題はその紙一重に勝って、自分の発言力をつけることが僕のテーマです。

山口:塚田さん、最後に。

塚田:そうですね。紙一重というか、ほんとに金メダル取った瞬間というのは、なかなか口で表現するのが難しかったんですけど、緊張感というのが非常に心地いいものだったんですね。

だから、その瞬間にやっぱり今まで来たことのない、そういう領域に来たなというところを感じていたんで。そのへんの部分というのと、投げられる瞬間がスローに感じたんですけど。そのあと、私、投げられたんですけど。最終的に相手のことを寝技で逆に攻めて、最終的に押さえ込んで勝ったんです。

あの瞬間というのは、自分のなかでの体感というのはスローに全部見えたんですね。そういう部分で、やっぱりどこか運にも恵まれてたのかなというふうにどうしても処理しちゃうんですけど。その部分がやっぱり金メダルというところまでは、自分が手をつかんだそういう経験かなと思って、今はいます。……よろしいですか?

運の正体とはなんだろうか

山口:みなさん、大丈夫ですか?

落合:1つだけいいですか。最初、このセッションどうしようかなと思ってたんですけど。さっき、ヴィシュヌ神の話をしたのがすごく良くて、それで、シヴァ神は俺、大好きで。この日本は、守ろうとするんですけど、破壊したほうがいいんですよね。

人格をどうやって破壊するかって極めて重要なことで、それはどうでもいいんですけど。やさしくて楽しい非人間性みたいなものを、どうやって社会が育んでいくか。

だから、誰にも迷惑かけないし、楽しそうにしてるけど、ぜんぜん俺たちの常識じゃ非人間的な感じがするみたいなものって、たぶんあらゆるところにあるんですよ。それをどう育めるか。俺はそう思いました。実感として。

山口:塚田さんのその運だというところって、よく「運が成功の最後の秘訣だ」って言いますけど。運とは何なんですかねえ? その、紙一重の、スローモーションになっている。

塚田:なんなんですかねえ、それがわかれば、今コーチングでかなり役立てられるんですけど(笑)。

(会場笑)

塚田:そこが言葉にすることができなくて、選手も混乱しちゃったりすることがあるんですけど。

山口:僕は運という話を成功者から聞くときに、そこに落合さんのさっきの話と絡むんですけども。自分の預かり知らぬ範囲で物事が起こった、つまり、そこには自我がないというかそういう自分のものがない状態というものを、創造、言葉としては運というふうに使うじゃないのかなというふうに思っているんです。

その話というのは、ずっと落合さんがまったくこの空気を読まずに主張されている(笑)。今の人間性の極限までみたいなところに絡む話と、共通項があるのかなというふうには、思ったりしました。

何か最後に自分を捨てたときというか、1つ結果が出るみたいなところがあるのかなあ、なんてことを感じました。

すいません、私の拙い進行で、みなさん満足していただけたかどうか、大変不安なんですけども。お時間になりましたので、このセッションをいったん切らせていただきます。どうもありがとうございました。みなさん、最後に大きな拍手をお願いいたします。

(会場拍手)

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