日本最大級のフリマアプリ・メルカリ

小泉文明氏(以下、小泉):メルカリの山田進太郎さんです。

山田進太郎氏(以下、山田):よろしくお願いいたします。

小泉:フンザはチケットキャンプと言ったがいいと思うんですけども……。

笹森良氏(以下、笹森):よろしくお願いします。

小泉:最後、ココナラの新明さんです。よろしくお願いいたします。

新明智氏(以下、新明):よろしくお願いします。

小泉:では、まずは各社、簡単にプレゼンからスタートしてもらいたいと思います。 まずは進太郎さんです。よろしくお願いいたします。

山田:メルカリです。会社はけっこう長いことやってるんじゃないかと思われるんですけど、まだ3年経っていなくて、サービスローンチからだと2年半経っていないです。

アメリカ(のサービススタート)が去年(2014年)のことだったんで、これも1年2ヶ月目で、実は意外に若い会社になってます。

オフィスは東京。仙台はカスタマーサポートセンターがあり、従業員は今200名を超えていて、半数以上はカスタマーサポートです。

一応、日本最大のフリマアプリになっていまして、お金を1回預かるため安心安全ということでやらせていただいております。日米でちょうど2,500万ダウンロード突破というところです。

KPI的には、今(流通総額が)月間で数十億後半ぐらいいってまして。出品数が数十万。ダウンロードはさっき言った通りです。本日はよろしくお願いします。

小泉:プレゼンをする前に、笹森さんから見てメルカリはこの辺がすげーなとか(ありますか?)。

笹森:このあと自分も説明しようと思ったんですけど。僕と進太郎さんは起業のタイミングがけっこう似ていて、お互い違う戦略で起業したわけなんですけど。

僕はフリマアプリ、オールジャンルなんて絶対うまくいかないと思ってたんですよ。それが伸びていったというのが。どんな魔法を使ったんだと。今日聞けたらいいなあと思ってますので進太郎さんとのディスカッションを楽しみにしています。

チケットフリマはブルーオーシャン?

小泉:続けて、フンザの説明を。

笹森:フンザという会社をやっています。聞き慣れないかもしれないんですけど(小島瑠璃子さん出演のCMで)「キャン、キャン、チケキャン!」のCMの会社です。メルカリから1ヶ月遅れの、2013年3月1日に設立しました。

サービスのローンチが登記の翌月になってるんですけど、会社設立準備しながらサービスを作っていたので、実際に2、3ヶ月かけながらサービスを開発してローンチしています。その2年後の2015年3月に、ミクシィの子会社として今ここの6階で働くようになりました。

うちは従業員が非常に少ないことがある意味自慢でもあり、これまで採用活動をサボってきたツケなのかなと思いまして……今23名。カスタマーサポートをすべて入れての人数です。エンジニアがたった5名しかいなくて、5名で切り盛りしながら頑張っています。

それで、僕らは一応「日本最大のチケットフリマ」と自称してまして、サービスを出したときにはまったく競合がいなかったため、イメージ通りにサービス成長できました。ブルーオーシャンな市場でよかったなあ。

小泉:めっちゃレッドオーシャンだよ(笑)。

笹森:特徴としては、チケットってやっぱり行けなくなっちゃうと紙くずになってしまうという問題があるので、売りたい欲求がすごい強いサービスだと思っていて、そこにビジネスチャンスを感じて参入しました。

メルカリとココナラと一緒で、お金を預かる仕組みで安全性を担保しますよというビジネスモデルです。

すごい地道に頑張った結果、出せる数字で言うと、(2015年)9月の月間流通額26億円くらいを5人のエンジニアでさばいているという。1人当たりのさばき量で言うと自慢できるくらいの数字かなと思っております。

「任天堂か、チケットキャンプか」ぐらいメンバー1人当たりのトランザクションは多いと思います。よろしくお願いします。

小泉:新明さん。プレゼンに入る前に、チケットキャンプ見ていてこの辺がすごいなというのはありますか。

新明:そうです。チケットキャンプ。オフィスに1日だけ席を借りて一緒に過ごしたことがあるんですけど。朝オフィスで「今日はこれをやるんだ」というTODOを確認したら、夜までだれもしゃべらないんです(笑)。

(会場笑)

笹森:採用妨害だよ(笑)。

山田:エンジニアにとっては集中できるね(笑)。

新明:5人で回していたんですけど、プロフェッショナルの塊で、一人ひとりが最後までやりきれる会社なんだなと思い、刺激を持ち帰ってココナラで活かそうかなと思いました。

個人のスキルを500円で売買

小泉:それでは、ココナラ続けて。

新明:株式会社ココナラの新明と申します。よろしくお願いします。2012年1月に創業しまして、今(2015年11月で)設立3年10ヶ月です。創業チーム3名から始まって、現在フルタイム20名の会社になっております。

ココナラなんですけど、知識、スキル、経験のマーケットプレイスです。個人の「得意」(知識、スキル、経験)を500円から売買できるのが特徴になります。誰でも簡単に出品ができて、誰でも簡単に買うことができる。

例えば、「似顔絵を描きます」であったり、「僕の起業経験を話します」であったり、あとは「転職の相談にのります」とか、「あなたのためにリサーチをします」であったりとか、個人ができるちょっとしたことを、誰でも簡単に出品できるというのが特徴です。

2012年7月にローンチしまして、今ユーザー数が約20万人です。取引件数が月間2万6000件以上になっています。CtoC×サービスECの組み合わせで言うと、日本最大級のマーケットプレイスになっております。

CtoC×サービスECというのが世界的にもかなり事例が少なくて、本当に試行錯誤しながら伸ばしてきたというところで、今、超伸びてます。

(会場笑)

びっくりするぐらいすごい伸び方をしているんですけれども、ぜんぜん伸びていない時間のほうが長かった(笑)。どちらかというと、僕たちは世界的にも事例がない中で、どうやって伸ばしていくかというところをかなり試行錯誤してやっておりまして、やっと最近こうかなというところが見えてきまして、上向きになってきました。

上向きになってきたところで5.4億ほど資金調達をしまして、今からかなというところでワクワク感がある、世界的にも例が少ないCtoC×サービスEC、ココナラです。よろしくお願いします。

メルカリローンチ時のエピソード

小泉:各社きれいな右肩上がりの感じなんですけれども。プロダクトを作っていくところあたりから(話を)スタートしたいと思います。

最初ローンチをしたときにこだわった機能とか、「これは絶対にウケるな」と思って作った機能の中でウケたものとか、すごいこだわって作ったけどこけたものとか、ローンチのときの開発のエピソードなどを教えていただきたいと思います。進太郎さんからいきますか。

山田:メルカリは開発を6ヶ月ぐらいかけていて、アプリなので、iOSとAndroid両方作っていて、最初2、3人でできるかなという感じでやっていたんですけれどもすごい大変で、結局5ヶ月ぐらいかかりました。

一つひとつのクオリティを下げられないという中で、とにかく機能を削りまくりました。削ったのでいうと、まず検索ができない。これはタイムラインを見るしかないという。最初リリースをしたときは、「1日100件とか出たらいいよね」というくらいの感じでやっていたんですけれども……。

Androidの後に3週間ぐらいでiOSをリリースしたんですけれども、その時は1日1,000品くらい出ていて、ぜんぜん探せないという感じになっていたので、とりあえずSQLでLikeで検索をするというのでリリースして。そこから1ヶ月かけてちゃんとした検索エンジンをいれたという感じになっています。

他には、振込申請機能がなかったという。リリース後に急いで振込申請機能を作ったので、お金を受け取って売上を立ててもお金を引き出すにはアプリをアップデートしないといけないというなかなかすごいアプリでした。というように最初は割り切って、ほとんど機能がない状態でリリースしました。

(それが)逆によかったかなと思っていて。それ以外のタイムラインであったり、商品画面であったりをすごいこだわって作れたかなと。結果的にはよかったかなと思います。

KPI2倍ルールによる判断基準

小泉:チケキャンのスタート時。

笹森:チケキャンのスタート時なんですけれども、CtoCというのは売り手と、買い手が双方いて成立する立ち上げの難しいビジネスモデルでして、特にチケットとなると商品の写真がないんですよ。

だからサイトに訪れても、商品があるのかないのかわからないと。それを僕は「人気(ひとけ)」と呼んでいたんですけど。楽天用語で、ディスプレイの向こうに人がいるかどうかという世界感をどのようにつくるのかみたいな。

その人気(ひとけ)の作り込みに時間をかけていて、創業時はことあるごとに「人気(ひとけ)」という言葉を社内で使用していました。

例えば、レーティング&レビューであったり、楽天でうまくやっていたのは、共同購入という機能があり、何人買っていて、誰が買っているのかという「ネット上の行列」が見える機能があるんですけれども、ああいうのも参考にしたりとか。

航空券のサイトみたいな感じで、テキストデータでどう購買が行われているかというのを、画面上にどう演出するかというのをこだわって作っていました。

僕らは最初はKPI2倍ルールというのがあって、それは機能追加、改善によって効果が2倍になるのかどうかというのが判断にあって、ならないものはやらないと。例えば、退会機能の導入というのも半年は悩んだんですよ。

(会場笑)

退会機能を一生懸命作るスタートアップはないなと思っていて。メンテナンス中とか、故障中とか言って、退会リストを作っておいて、ようやく作ったら退会できるようになりましたと連絡しました。

3人でスタートした会社なので、半年ぐらいは3人で優先順位のつけ方を研ぎ澄まして考えていたかなと思います。

β版の失敗から学んだこと

新明:ココナラなんですが、正式版の3ヶ月前ぐらい前にクローズドβをローンチしております。

クローズドβでユーザーに活動してもらって、その結果をもとに全部作り直して、ローンチをするといったような、他の事例でいうとWantedlyなんかもそうやっていたと思うんですけど、そういうことをやりました。

クローズドβの失敗でいうと、サービスECで相談をしながらお金のやりとりをするんですけど、長い間相談をしたら時給がどんどん低くなっていき、長ければ長いほど500円の価値ではなくて、出品する人が割にあわなくなってしまうと考えて、やりとりは400文字2往復までといった厳格なルールにしたんです。

そしたらこれがユーザーのみなさんに非難轟々で、いろんなものに合わない。例えば、もっと長くてもいいから相談にのってあげたいとか、2往復で終われなかったとか。

結局頭で考えて機能を出したら、ユーザーのみなさんにすごい迷惑をかけちゃって、そういうことを全部見直して、クローズドβを捨てて作り直したのが公開版のココナラになっています。

その中でしっかりやったことが2つあって、1つは買える感じをだすということです。得てしてCtoC×サービスECというと、買える感がでないんです。そもそも既存にないので「これって買えるのか?」と。

そういった買えるように見せると同時に、ココナラが今までとぜんぜん違う商習慣を出そうとしているので不安に感じずもっと信頼して買ってもらえるように、コミュニティっぽい雰囲気を作った。

コミュニティ感に関しては当時mixiさんなんかをめちゃくちゃ参考にしました。mixiはmixiコミュニティの中で商取引を生んでいるのですけれども、ああいう感じをすごい再現したくてコミュニティに近づけるようなデザインや雰囲気を志向しました。そうするとだんだん買える感がなくなるんですよね。コミュニティサイトっぽくなりECっぽくなくなるというか。

当時は「これは買えないっぽいね」とか、「商品に見えない」とか言って、ボタンとかを極力ECっぽくしてみたり、すごいいろいろ試した中で今のココナラに落ち着いたというかたちです。

あともう1つは、プライシングです。機能というよりは、プライシングを自由にしてきたときに、(例えば)200円の恋愛相談と500円の恋愛相談と1,000円の恋愛相談が出て、どれが価格的に正しいのかというのは誰も想像がつかない。

買っていただける方にもっとわかりやすいプライシングを提供する必要があり、結局迷う必要がないものというのでワンプライス。

その中で、買う人も買えそうな価格、これだったら出してもいいかもというギリギリの価格とは、なんだっけみたいなことをやった時に、400円から1,000円ぐらいなので。

結局、マーケティングも全部ふくめて、ワンコインというワードがとれるというところで500円で出すことにしました。結果的にはそれはすごく当たったかなと思います。