「いつまでも見ちゃうよね」 水中フェチ・菊地成孔氏が全天球水中ニーソ体験を語る

菊地成孔 #1/7

月刊水中ニーソ2015年8月
に開催
「水中ニーソ」で知られるデザイナー・映像作家の古賀学氏が中野・Bar Zingaroで毎月開催しているトークショー「月刊水中ニーソ」。2015年8月に開催されたイベントでは、古賀氏とは「水中フェチのオフ会」で出会ったという音楽家・文筆家・音楽講師の菊地成孔氏がゲストに登場。このパートでは、前年に共演したトークイベントの内容を振り返りつつ、『全天球水中ニーソ』をOculus Riftで体験するなど、さまざまに展開する水中ニーソの世界について語りました。

前年の3時間半のトークを振り返る

古賀学氏(以下、古賀):やっと今日の本題。菊地さんには、去年2冊目の写真集『水中ニーソプラス』が出たときにトークイベントに出ていただいて、アーバンギャルドの松永天馬さんと水中モデルをやってもらった山口愛美ちゃんとトークをして、3時間半も話したんですけど。

そのときの大雑把なテーマが3つ。「フェティッシュ系写真集の現在」はあっさり触れて。あのときテーマに出してた青山裕企さんには、2015年5月の月刊水中ニーソに出ていただきました。

そして「水中美女映像100年史」。

菊地成孔氏(以下、菊地):これはすごいですよね。たいへんなお仕事です。

古賀:頑張ってどこかで連載して分厚い本を作りたいですね。3つ目に「水中ニーソの時代性」。去年の話です。

「100年史」は今から話すとまた3時間半かかるんで(笑)、やらないですけど、今いちばん前に座ってるワーゲンさんが現物を持ってきてくれていて。8ミリビデオのジャケットなんです。

菊地:これ内容はともかく、8ミリビデオのパッケージが製品化されてたってことだけでもすごいですよ。カセットテープは、昔、正式なパッケージで売ってたことを知らない人が多いですよね。浅草で演歌のカラオケをやっているお母さん以外は。

こういう8ミリビデオがあったんですね。後でちょっと話しますけど、私が一番担いで撮影したのがこれです。それこそプライベートな。

古賀:プライベートビデオ(笑)。

菊地:今、溜まりに溜まったものをデジタル化すると……ハハハ(笑)。こういうのもあったと。

古賀:DVDになってないものもあるんですね。

菊地:いっぱいありますよ。

古賀:『レガシー』はDVDになってない。

菊地:『レガシー』は今、これで見るか、YouTubeで見るかしかない。

(会場笑)

菊地:私はテレ東で放映したものを録画したVHSを持っています。

古賀:改訂版にもなってないかも?

菊地:うん、なってないですよね。『百万弗の人魚』はなぜか……。

古賀:500円DVDになってます。

(※『レガシー』は2012年にDVD、Blu-rayが発売されています)

水中黒木メイサ情報

菊地:これも今日集まっている方にはネタとしてあまり興味ないかもしれませんけど、ロバート・アルトマンというアメリカの映画監督がいて、『ナッシュビル』とか『M★A★S★H マッシュ』とか作った人ですけど、最近その人の伝記映画ができたんですよ。

奥さんは『百万弗の人魚』でエスター・ウィリアムズの隣で泳いでいた人だ、とその映画で明らかになって。ロバート・アルトマンの女房はこれのスイマーだったと。女性のお客さんがいらっしゃる前であれですけれども、その話を聞くだけで興奮してしまって。

(会場笑)

菊地:その時はびっくりしました。自らを慰める行為に至らせるほどのポテンシャルがありましたね。アルトマンの女房だってことで。これで今日私が持ってきたネタは終わりですけどね(笑)。

あと黒木メイサさんも最近のCMで潜ってる。

その2つだけです。すみません。小ネタでスリップしましたね。

菊地成孔と古賀学作品

古賀:去年のイベントではAVの話もしました。AVから脱線して、僕の超初期の作品。イメージビデオ。特に黒歴史ではないので、無かったことにはしてないです。

菊地:いや、でも単なる『blue.』のほうの『blue.』って大きいですよ。やっぱり。

古賀:ある種ポップ、みたいな。

菊地:そうですね、これは。

古賀:日本に、たぶん100人ぐらいしかいない水中フェチという人たちが。

菊地:今100人なんですか? 何がいいんですかねぇ。多形的に重なっているから、「水中でもいい」という人まで入れたら何千人になるかもしれない。

古賀:確かに。『blue.』『cuteblue』も今たぶん、入手できないですよね。

菊地:これも今、YouTubeに上がっている欠片を見るしかないですね。

古賀:そうですね。断片みたいな。

菊地:俺全部持ってるから、全部上げてやろうかなと思ってるんですけど、ワハハハハ(笑)。

(会場笑)

古賀:じゃあ上がったら、菊地さんのアカウントが特定できますね。

菊地:バレちゃいますね。すいません本当に。

古賀:この菊地さんのバンドのミュージックビデオをつくって、それで『ヘルタースケルター』で飛んで、いろいろあるんですけど、お肉でお腹いっぱいになっちゃったっていうか。

菊地:そうなりますね。

古賀:デザートを食べたくなって、水中ニーソっていうデザートを発見したので、そのデザートを3年ぐらい食べてるんですけど、まだ全然飽きないっていう。

菊地:水中ニーソはデザートっていうか……。

古賀:ちょっと違ったご飯だと思うんですね。

菊地:そうですね。1つの完成形ですね。

フェティシズムとフェミニズムの時代

古賀:去年もお話で出てきたように、フェチのところが出発点ではあるんですけど、観客が実はほとんど女の子なんじゃないかっていう指摘を菊地さんに受けて。

おもしろかったのは、トークの前半で、フェティシズムとフェミニズムを言い間違いみたいにおっしゃってたじゃないですか。

菊地:そうですね。

古賀:でも大オチで、言い間違いじゃなくて、フェティシズムとフェミニズムをわざと混同するていう。

菊地:そうですね。マルセル・デュシャン的というか、同じですよね。「フェ」って訳す。Feの時代ですね。「Re」の時代じゃなくて。

古賀:鉄?

菊地:鉄フェチです。

古賀:あのトーク以降「女の子とフェティシズム」みたいなものがテーマにあって、トークイベントそのものも好評で、ここ(中野ブロードウェイZingaro Space)で村上隆さんから「コーディネイト続けないの?」という話があって。

続けていいなら続けたいっすねっていう話をして。話をしてたはいいんですけど、「じゃあ何をトークしていくの?」ってなったときに、菊地さん以外に水中フェチの話をしておもしろい人って、ワーゲンさんが居ますけど、ワーゲンさんと僕で毎回やってもしょうがないじゃないですか(笑)。

菊地:僕は楽しいよ。時事放談みたいなもんで(笑)。物に詳しいお父さんが2人出てきた感じで。

古賀:『海底の黄金』だけで1時間話したりして(笑)。

菊地:そうなっちゃいますよね。

毎月のトークイベントからの連続展示

古賀:そうなっちゃうんで、話をフェムのほうに。たまたまなんですけど、女性で自分が身につける作品を作ってる人に続けてゲストに来ていただいて。

菊地:最近の傾向ですよね。

古賀:サエボーグさん、きゅんくん、ハヤカワ五味さん、口枷屋モイラさん。彼女たちと「劣等感という意味でのコンプレックスありますか?」っていう話をしました。

菊地:インフェリオリティー・コンプレックス(劣等感)ですね。

古賀:あと、「リビドーを感じるものって、どういうものですか?」みたいな話を聞いていって。聞いてみたら4人とも答えがバラバラで、これはこれで毎月いくとおもしろいなぁと。

菊地:なるほど。

古賀:ただ話を聞くだけじゃなくて、自分の作品にも呑み込まないとおもしろくないんで。毎月話をして。

菊地:なるほど。当世女子オタ事情みたいなね。

古賀:そうです。毎月トークをやるので「月刊水中ニーソ」というイベント名にしたところ、2015年は3月に台湾で個展をやらせていただいて、4月に京都で展示をやらせていただいて、4月末から5月頭にかけて浅草橋合同展に参加しまして、気づくと展示も月刊でやってるんですよ。

菊地:これ、モダンアーティストだとしたら、相当売れてることになりますね。

菊地成孔が『全天球水中ニーソ』を体験

古賀:半年でいくつ展示をやってるんだという話で。展示では写真だけではなくて、会場に来るとこれが体験できますよっていうので『全天球水中ニーソ』っていう映像作品を渡邊課の渡邊君に作ってもらって。

ちょっと体験できます? こういうビデオの話ばっかりやるイベントもおもしろそうだね。これは僕も見てないやつ? わぁすごい! 僕も見てない映像を今から菊地さんと最初に体験します。

菊地:視力検査みたいだね。

古賀:菊地さんがぐるっと真後ろにいくとしまりすちゃんがいますね。

これ、新作写真集の『水中ニーソキューブ』そのもののメイキングに全天球カメラを入れてもらってまして。すごいですよね。全ページでプレビューやりますっていう前にメイキングを見せているという(笑)。

菊地:本当ですね。この後、このときに撮ってた写真が見れる。

古賀:これで僕が今、撮っているところをスライドで出します。

菊地:なるほど。いたいた、かっこいいなー。すごいですね。

古賀:これはまだ粗編集なんですね?

渡邊:そうですね。見所のあるシーンをひたすらつないでいる感じになってます。

古賀:原宿展までに完成版を。といっても来週じゃん。

渡邊:来週です。

古賀:その間に、一緒に上海行くんですよね(笑)。それで原宿展までに、これを見れる状態につくるという。

渡邊:見所は結構あったので、入れ替えなどをして。ここのシーンが、写真集のあの写真かっていうのがわかる感じになればと。

古賀:菊地さん、これ新しいのが、今まで4Kとか8Kとか、解像度が上がる方向にテレビが進化していたじゃないですか。そうじゃなくて、解像度そのものはそんなに上がらないんですけど、テレビからフレームをなくして視野全部を映像にするほうの進化のほうですね。

菊地:いや、こっちのほうが全然いいですね。3Dでダメだったじゃないですか。「3Dテレビなんてあれ買った人、今どうしているのかな?」なんて思いまして。

古賀:「Oculus Rift」っていうヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型ディスプレイ)はまだ市販されてないんですよね。

渡邊:そうですね、今(2015年8月)のところ、年内にもしかしたら市販のものが出るかもと言われています。年越えるかもですね。Facebookが買収したので、スピードは上がっているとは思うんですけど。高解像度になったものが出るという噂です。(その後2016年1月に予約販売がスタート、3月28日の発売開始と発表された。米国での販売価格は599ドル、日本での価格は送料別で83,800円・送料別])

全天球映像と水中ニーソは相性が良い

菊地:特にプール自体が限られた空間だから、全天球が生きるっていうのがあります。どうですか?

古賀:そうですね。

菊地:街とか海に行くよりも全然、プールの閉鎖感がいいっていう人がいると思うんですよ。その人が喜ぶと思いますね、これ。

古賀:渡邊さんがもともと話してたのは、「360度ぐるりとやる全天球映像は結構あったんけど、上と下を使ってる映像があまりない」と。

渡邊:そうですね。プールだと水面もちゃんとあるし、人が上に行っても不自然じゃない状況があるので。そういうのって、水中か無重力かっていうところだったりもするので。

菊地:そうですよね。上から降りてくる。これやばい。いつまでも見ちゃうよね。

古賀:よかったね6分にしてきて。ハハハ(笑)。フル尺にしたら菊地さんが延々これを見ているだけのイベントに(笑)。それでも良いんですけど。

渡邊:モデルが2人いると、どちらかを見ていたりとかもできたりするので、全天球的にはすごく良いコンテンツになりますね。

古賀:後ろを振り向くとワーゲンさんがいる。このカメラ自体を撮っているのはワーゲンさんですね。

渡邊:ここが最後のシーンですね。

古賀:これは海洋堂の社長ですね。

菊地:面白いね、海洋堂の社長さんね。水中撮影まで登場するなんて。

古賀:58歳児。

菊地:ワハハハ(笑)。

古賀:そうなんですよ。僕が撮った被写体で男性っていう意味でも珍しいんですけど。たぶん最年長なので。

渡邊:終わります。ありがとうございます。

菊地:素晴らしい。

古賀:これでカメラをプラレールに乗せたり、アイドルと花火大会に行って花火を見ているアイドルを撮ってるんですけど、花火を見ていいのかアイドルを見ていいのか、そういう映像撮るプロジェクトをやります。水中ニーソもその一環で。

最初は無人カメラを置いて、カメラに向かって女の子たちにいろいろアクションをしてもらったんですけど、今回のは、ものをつくっている現場にカメラが入って一緒に、こういうことができるっていう。

菊地:まぁ、今私が拝見したのはメイキングですよね。

全天球映像はフレーミングを観客に委ねる

本橋:ここ(Zingaro Space)でも何度か、全天球映像をお客様にもご覧いただいてるんですけど、カメラのまわりを女の子が取り囲んでる映像があるんですが、どの女の子のどの部分を見るのかが人によって違うことがよく分かります。表現への没入感はやはり大きいですよね。

菊地:そうですよね。ようするにフォーカスするように目はできているので、それを外れることですね。

さっきも言いましたけど、3Dは画面に入って体験するんだっていう考えが足りないものが出てて、やってもやってもそうならないっていう意見があるけど、全天球は画質が粗くても入りますよね。

古賀:フレーミングの問題なんですよね。フレームのトリミングを観客にゆだねるじゃないですか、全天球って。

菊地:そうですね。

古賀:3Dって、別に監督のつくったフレームは。

菊地:いらないよね。ただ立体感があるだけ。ハハハハ(笑)。

古賀:ちょっと違いますよね。

菊地:違いますね。

古賀:全天球映像自体、まだ「Oculus Rift」も発売してなくて普及してないんですけど、普及した暁には、あらゆる映像を撮ってみたい野望が彼にはあるので、お手つきしまくることに加担したいなと。そのお手つきの1つが、なぜか水中ニーソ。

菊地:素材としては向いてますよね。

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