前年の3時間半のトークを振り返る

古賀学氏(以下、古賀):やっと今日の本題。菊地さんには、去年2冊目の写真集『水中ニーソプラス』が出たときにトークイベントに出ていただいて、アーバンギャルドの松永天馬さんと水中モデルをやってもらった山口愛美ちゃんとトークをして、3時間半も話したんですけど。

そのときの大雑把なテーマが3つ。「フェティッシュ系写真集の現在」はあっさり触れて。あのときテーマに出してた青山裕企さんには、2015年5月の月刊水中ニーソに出ていただきました。

そして「水中美女映像100年史」。

菊地成孔氏(以下、菊地):これはすごいですよね。たいへんなお仕事です。

古賀:頑張ってどこかで連載して分厚い本を作りたいですね。3つ目に「水中ニーソの時代性」。去年の話です。

「100年史」は今から話すとまた3時間半かかるんで(笑)、やらないですけど、今いちばん前に座ってるワーゲンさんが現物を持ってきてくれていて。8ミリビデオのジャケットなんです。

菊地:これ内容はともかく、8ミリビデオのパッケージが製品化されてたってことだけでもすごいですよ。カセットテープは、昔、正式なパッケージで売ってたことを知らない人が多いですよね。浅草で演歌のカラオケをやっているお母さん以外は。

こういう8ミリビデオがあったんですね。後でちょっと話しますけど、私が一番担いで撮影したのがこれです。それこそプライベートな。

古賀:プライベートビデオ(笑)。

菊地:今、溜まりに溜まったものをデジタル化すると……ハハハ(笑)。こういうのもあったと。

古賀:DVDになってないものもあるんですね。

菊地:いっぱいありますよ。

古賀:『レガシー』はDVDになってない。

菊地:『レガシー』は今、これで見るか、YouTubeで見るかしかない。

(会場笑)

菊地:私はテレ東で放映したものを録画したVHSを持っています。

古賀:改訂版にもなってないかも?

菊地:うん、なってないですよね。『百万弗の人魚』はなぜか……。

古賀:500円DVDになってます。

(※『レガシー』は2012年にDVD、Blu-rayが発売されています)

レガシー Blu-ray

水中黒木メイサ情報

菊地:これも今日集まっている方にはネタとしてあまり興味ないかもしれませんけど、ロバート・アルトマンというアメリカの映画監督がいて、『ナッシュビル』とか『M★A★S★H マッシュ』とか作った人ですけど、最近その人の伝記映画ができたんですよ。

奥さんは『百万弗の人魚』でエスター・ウィリアムズの隣で泳いでいた人だ、とその映画で明らかになって。ロバート・アルトマンの女房はこれのスイマーだったと。女性のお客さんがいらっしゃる前であれですけれども、その話を聞くだけで興奮してしまって。

(会場笑)

菊地:その時はびっくりしました。自らを慰める行為に至らせるほどのポテンシャルがありましたね。アルトマンの女房だってことで。これで今日私が持ってきたネタは終わりですけどね(笑)。

あと黒木メイサさんも最近のCMで潜ってる。

その2つだけです。すみません。小ネタでスリップしましたね。

菊地成孔と古賀学作品

古賀:去年のイベントではAVの話もしました。AVから脱線して、僕の超初期の作品。イメージビデオ。特に黒歴史ではないので、無かったことにはしてないです。

菊地:いや、でも単なる『blue.』のほうの『blue.』って大きいですよ。やっぱり。

古賀:ある種ポップ、みたいな。

菊地:そうですね、これは。

古賀:日本に、たぶん100人ぐらいしかいない水中フェチという人たちが。

菊地:今100人なんですか? 何がいいんですかねぇ。多形的に重なっているから、「水中でもいい」という人まで入れたら何千人になるかもしれない。

古賀:確かに。『blue.』『cuteblue』も今たぶん、入手できないですよね。

菊地:これも今、YouTubeに上がっている欠片を見るしかないですね。

古賀:そうですね。断片みたいな。

菊地:俺全部持ってるから、全部上げてやろうかなと思ってるんですけど、ワハハハハ(笑)。

(会場笑)

古賀:じゃあ上がったら、菊地さんのアカウントが特定できますね。

菊地:バレちゃいますね。すいません本当に。

古賀:この菊地さんのバンドのミュージックビデオをつくって、それで『ヘルタースケルター』で飛んで、いろいろあるんですけど、お肉でお腹いっぱいになっちゃったっていうか。

菊地:そうなりますね。

古賀:デザートを食べたくなって、水中ニーソっていうデザートを発見したので、そのデザートを3年ぐらい食べてるんですけど、まだ全然飽きないっていう。

菊地:水中ニーソはデザートっていうか……。

古賀:ちょっと違ったご飯だと思うんですね。

菊地:そうですね。1つの完成形ですね。

フェティシズムとフェミニズムの時代

古賀:去年もお話で出てきたように、フェチのところが出発点ではあるんですけど、観客が実はほとんど女の子なんじゃないかっていう指摘を菊地さんに受けて。

おもしろかったのは、トークの前半で、フェティシズムとフェミニズムを言い間違いみたいにおっしゃってたじゃないですか。

菊地:そうですね。

古賀:でも大オチで、言い間違いじゃなくて、フェティシズムとフェミニズムをわざと混同するていう。

菊地:そうですね。マルセル・デュシャン的というか、同じですよね。「フェ」って訳す。Feの時代ですね。「Re」の時代じゃなくて。

古賀:鉄?

菊地:鉄フェチです。

古賀:あのトーク以降「女の子とフェティシズム」みたいなものがテーマにあって、トークイベントそのものも好評で、ここ(中野ブロードウェイZingaro Space)で村上隆さんから「コーディネイト続けないの?」という話があって。

続けていいなら続けたいっすねっていう話をして。話をしてたはいいんですけど、「じゃあ何をトークしていくの?」ってなったときに、菊地さん以外に水中フェチの話をしておもしろい人って、ワーゲンさんが居ますけど、ワーゲンさんと僕で毎回やってもしょうがないじゃないですか(笑)。

菊地:僕は楽しいよ。時事放談みたいなもんで(笑)。物に詳しいお父さんが2人出てきた感じで。

古賀:『海底の黄金』だけで1時間話したりして(笑)。

菊地:そうなっちゃいますよね。

毎月のトークイベントからの連続展示

古賀:そうなっちゃうんで、話をフェムのほうに。たまたまなんですけど、女性で自分が身につける作品を作ってる人に続けてゲストに来ていただいて。

菊地:最近の傾向ですよね。

古賀:サエボーグさん、きゅんくん、ハヤカワ五味さん、口枷屋モイラさん。彼女たちと「劣等感という意味でのコンプレックスありますか?」っていう話をしました。

菊地:インフェリオリティー・コンプレックス(劣等感)ですね。

古賀:あと、「リビドーを感じるものって、どういうものですか?」みたいな話を聞いていって。聞いてみたら4人とも答えがバラバラで、これはこれで毎月いくとおもしろいなぁと。

菊地:なるほど。

古賀:ただ話を聞くだけじゃなくて、自分の作品にも呑み込まないとおもしろくないんで。毎月話をして。

菊地:なるほど。当世女子オタ事情みたいなね。

古賀:そうです。毎月トークをやるので「月刊水中ニーソ」というイベント名にしたところ、2015年は3月に台湾で個展をやらせていただいて、4月に京都で展示をやらせていただいて、4月末から5月頭にかけて浅草橋合同展に参加しまして、気づくと展示も月刊でやってるんですよ。

菊地:これ、モダンアーティストだとしたら、相当売れてることになりますね。