アルコールがニューロンに与える影響

マイケル・アランダ氏:アルコールで脳細胞が死ぬという主張は、20世紀初頭の禁酒運動にて、禁酒主義者たちがアメリカで飲酒を禁制にしようとしていた時代に遡ります。ジン・リッキー2杯で脳が破壊されると主張していた同じ人たちが、血中のアルコールが引火して生きながら焼け死ぬという主張を流布させました。

喜ばしいことに、いずれの主張も真実ではありません。しかし、最初の主張は、20世紀中に保護者や教師により何度も繰り返し提唱され、たびたび真実としてまかり通っています。

ひじょうに大雑把に説明しますと、脳には1千億のニューロンという神経細胞が存在し、酒類で有害な成分はエチルアルコール(一般にいうアルコール)です。これを飲むと肝臓でアセテートに代謝され、最終的には排出されます。

しかし大量のアルコールをあまりにも早く飲むと、肝臓の処理が追い付かず、過剰なアルコールが血中に残存し脳に達します。脳に到達すると、アルコールは、ニューロンの末端の樹状突起という結合組織にダメージを与え、脳の機能を崩壊させます。

脳細胞そのものは死にませんが、樹状突起へのダメージはニューロン同士の交信を妨げます。すると学習や運動能力に関する情報の伝達に支障が生じ、ふらふらしたり、ろれつが回らなくなったり、後から考えるとひどい失敗だったと思うような決断を下すなど、いわゆる酔っぱらった状態をもたらします。

この記事は無料会員登録で続きをお読み頂けます

既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。

登録することで、本サービスにおける利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。

SNSで会員登録

メールアドレスで会員登録

パスワードは6文字以上の文字列である必要があります。