2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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桝本博之氏(以下、桝本):人間力というものは「経験・刺激・チャレンジ」なので、環境が非常に大事です。その環境を日本で作るのが難しいのであれば、どこかを利用して、どこかに作りに行けばいいんじゃないか。
それで、「シリコンバレーってどんなところ?」という話なんですけど。シリコンバレーって、アメリカです。
(会場笑)
シリコンバレーには、めちゃめちゃたくさん会社があります。
(会場笑)
シリコンバレーには、めちゃくちゃお金が集まってきます。これちょっとだけ言いますと、2014年の全米から投資をされたお金のうちの48パーセントがシリコンバレーにいっています。わかります?
日本全体のVCの投資額は、2013年度で1818億円なんですけど。シリコンバレーでは、毎月2500億円くらい投資されています。いかにシリコンバレーにお金があるかということを、まず理解してほしい。
「アメリカって、すごいよね!」って一括りにする人がいますけど。よく言われるんですよ、「どう、ニューヨーク?」って。「飛行機で6時間もかかるところ、行ったこともない」と。ここからだったら、シンガポールに行くくらいの距離ですからね。
大きなアメリカの、ゼロコンマゼロ何パーセントという狭いシリコンバレーが、なぜか全米の投資額の半分を集めてくるという。「何ででしょう?」というのはあるんですけど。すごいですよね。
そのお金たるやバブル景気とか言われるんですけど、今まさにバブルです。間違いなくバブルです。絶対潰れると思います。
2000年にバブルが来ました。「ざまあ見ろ」という感じで落ちました。だけど、何がすごいって、バブルが始まる前と弾けた時、同じなんですよね(笑)。それで、すぐ復活するんです。リーマンショックで「あかん!」と言ってから3ヵ月から半年くらいで、また復活するんです。立ち直りの早いこと。そこが日本と違う。
僕は新大阪でタクシーに乗ったんですけど、「景気はどうですか?」って運転手に聞くんです。運転手さんは、「あきまへんなぁ……。バブル以降、ぜんぜんあきまへんわ」って。何年運転手やねん!
(会場笑)
「いやぁ、(タクシー)チケットもないし……」って、それ僕の昔の時代ですやん! 阪神の優勝の時代ですよ。
そういう感じなので、シリコンバレーってとにかく立ち直りも早いし、そもそもの絶対額も大きい。
もう1つ。ビジネスを行う上での「ヒト・モノ・カネ」の3原則がありますよね。その3原則のうち、お金という部分は今(スライドで)お見せしましたけど。
次はモノ、あるいは技術。技術は、農業の技術だとか……。全米のいろんなところで、どこでも技術は出せるはずです。都市環境は(場所によって)ちょっと違うかもしれません。「大都会しかない」とかはあるかもしれません。
そんな中で、足したら17パーセントくらいがシリコンバレー・サンフランシスコエリアから出ている。全米の技術の17パーセントが、シリコンバレーという狭いところから出ているというのも、すごいんじゃないかな。
多様性という話もしましたけど、全米で見た場合、白人さんが64パーセントぐらい、黒人さんが12パーセントくらいです。75〜80パーセントくらいが、いわゆるアメリカ人です。
地域によって、南のほうに行くと黒人さんが多かったり、危ない地域に行ったら黒人さんが多かったりというのは、ちょっとブラックでよくないですけど。いずれにしても、アメリカ人が多い。
日本ってどうですか? 日本全体で見た場合、たぶん9割方日本人ですよね。アメリカで見た場合も、70〜80パーセントくらいがアメリカ人なんですけど。シリコンバレーにいたっては白人さんが37パーセント、黒人さんが2パーセントですから、39パーセントしかいない。61パーセントは外国人が住んでいる。わかりますよね?
同じ人種でやると、全員名刺交換は両手でやりますよね。全員「どうも、こんにちは」ってやりますよね。ポケットに手を入れて挨拶したら、怒られますよね。
アメリカの人、そんなの関係ないですもん。それがいいかどうかは別ですよ。僕は嫌いですよ。日本人とやるんだったらそうしたいですけど、アメリカ人だったら構わないのかなと。そういうところも若干あります。
いずれにしても、自分のところの文化で育っている人じゃない人たちがたくさんいるので、先ほど言った、常識と非常識がボーダレスになっている。
それをいいことに、会社を作ろうと思う人たちがいっぱい集まってくるわけですから。いっぱい成功して会社を作った人たち、その人たちはハンガリーから来た人とか、フランスから来た人とか、台湾から来た人とか……。当然ですが、外国人のほうが多いわけですから。外国人が成功しているんですけど。
気づきますよね? 日本という国がない。実際そうでしょう? (Yahoo!共同創業者の)ジェリー・ヤンは日本人じゃないなとか。オラクルのファウンダーは日本のこと好きだけど、日本人じゃないなとかね。
要は、日本人では、(シリコンバレーで)成功した人の奥さんが一番成功しています。ジェリー・ヤンの奥さんとかね(笑)。いずれにしても、日本人はそこに入ってきてない。
日本のお金が、シリコンバレーにはけっこう流れています。日本のお金、シリコンバレーに入れてます。日本の技術もシリコンバレーに入れてます。日本は、技術もお金もシリコンバレーに出しているんです。
残念ながら、日本はシリコンバレーからお金を得ていません。簡単に言うと、今の繰り返しなんですけど、日本はお金を入れ、技術を入れ、お金を得られていません。すなわち、シリコンバレーのインフラを利用できていないということになります。
中国は、お金を入れてません。技術も入れてません。(でも)お金をもらってます。GDPが伸びます。
技術の部分では、日本はシリコンバレーとすごくたくさん技術提携してます。中国はほとんどしてません。インドもほとんどしてません。いいですか? 利用しているのは中国、インドなんですよ。だけど、日本は利用できていない。
何で彼らはお金を得たり、産業を発展できるのか。簡単な話なんですよ。インド、中国って、すっごい頑張って、すっごい勉強して、シリコンバレーに行っている人たちが多いということです。
科学技術関係職種ですから、エンジニアとかPh.D.とかマスターの人とか、そういう人たちを、インド、中国は圧倒的にシリコンバレーに送り込んでいる。
日本は、あんまり送り込めていません。「(送り込めていない)他の国もいるし」と思うんですけど、他の国で(日本に)負けてるところって、ベトナム、台湾、フィリピン、韓国、香港ですよ。香港に負けます? 総人口率でいくと、すごい少ないのに。香港人がいいとか悪いとか、そういうのはぜんぜん関係ないですよ。香港はすごい。
要するに、日本人があまりにもイケてないということだと、僕は思ってまして。こういう人たちを、待っててもあかんだろうと。連れて行かないと。
ということで、シリコンバレーで日本を発展させるために、技術と金はある日本ですから、そこに人を持っていけば、3つが揃えば、シリコンバレーのインフラなら何とかなるんじゃないかと。そのためにも、日本人のメンタリティも変えないといけないと思うんです。
シリコンバレーとインフラを上手に使う。それによって、日本が発展できる。明治の時代から、第2次世界大戦後から、外国の影響を受けて変わってきた日本なんですから、今度はプロアクティブに外国に行って、自分たちから影響を受けて変わっていくという体制が必要なんじゃないかな。
そのために、そういうことができる組織というのは、1つの会社じゃなくて教育なんじゃないかなと。人の心、もしくは、人の動き方。もちろん、英語も大事ですよ。でも、もっともっと大事なものもあるんじゃないかなと。
大学、もしうまくいくのであれば高校とか、もしくは中学とか、そういうかたちで、そういったもの(学校)を向こうで作れたらいいんじゃないかなと思っています。
2015〜2017年。今年1年とこれから先2年間で何をやるかと言ったら、大学作ります。とは言ってもなかなか……。
僕は福澤(諭吉)さんでも、大隈(重信)さんでも、新島(襄)さんでもないので、どうやって作ったらいいかわかりませんし。ましてや(リーランド・)スタンフォードさんでもないので。先輩に大学を作っている人たちって、あんまりいないんですよね。
だから、いろいろと調べながらやっているんですけれども。ただ、米国の承認を得るのには、真っ当に行くと20年かかると言われたんで。「シリコンバレーやろ? 5年でいけるんちゃうか?」といういい加減な発想と共にやっていくと、5年くらいでできるという流れなので、今こういうプロセスを一生懸命やってます。
これをやる上では、ショートタームで(学生を)どんどん受け入れて、自分たちが実際に運営しているという実績を残さなくてはいけないということなので、今は校舎もありませんけれども、ショートタームプログラムというのを繰り返しやっています。
宣伝なんですけど、来年の3月1日にもう1回やります。それ以降も頻繁にやっていこうと思うんですが、いずれにしてもこういうことをやります。
どんなことをやるかというのに、少し触れます。その後、2018〜2019年にかけては、ショートタームではなくて、ミドルタームのプログラム。アメリカに長く滞在しようと思ったら、ビザを取らなくてはいけないので、まずそういったビザが発行できるような学校になっていかなくてはいけない。
MBA。これ、Degree(学位)はなかなか承認を得ないと取れないんですけど、Diploma(専門士)とMBAに関しては取れます。
「2020年には正式に4年制大学を」と。ただ、「2020年は、私は大学を卒業してるわ」とか、「あかんあかん、もう死んでるわ」とか。
(会場笑)
そういうレベルで考えていただかなくても、すぐにでもショートタームで1回来てみて、「変わってみよう」「自らやってみよう」という人がいれば、どんどん受け入れていこうと思っています。
うちの大学のユニークポイントは、日本人の留学の切り口をアントレプレナーシップとしていること。ただ、心配はしないでいいです。「アントレプレナーシップ=起業家」じゃなくて、「挑戦者」と言っています。チャレンジャー。
「チャレンジしたいんだけど、何していいかよくわからない」とか、「チャレンジしたいんだけど、この環境ではできないね」とか、「親が許さない」とか。いろいろあるかもしれませんけど、「チャレンジしに行く」という切り口で日本人の留学。
なので、英語がベースではないです。英語を勉強したいんだったら、うちの大学は来ないでください。コミュニケーションを勉強したいんだったら、うちに来てください。もちろん、英語でやりますけどね。
もう1個は、ショートタームプログラムをどんどんやっていきます。最終的には、4年制大学にしますけど、カスタマイズしたショートタームプログラムを、ひょっとしたら長川(勝勇)さんと相談しながら、大阪市というか、産創館(大阪産業創造館)とか都市型(大阪市都市型産業振興センター)にもお力を借りながら。
もしくは、皆さんのお力を借りながら、「こんなプログラム組みたいんだけど」「企業からも送りたいんだけど」みたいなのがあれば、どんどん組んでいこうと思っています。
日本人のグローバル化とか、日本人以外の人も協力を得ます。何かといったら日本人だけで集まってやる」ってよく言われるんですよ。「桝本は日本人のための大学をシリコンバレーに作るって言ってたから、日本人だけ集めてやるんだな」と。違います!
基本的には、日本が好きな人を育てるので、日本人もたくさん来ていただきますけど、うちの大学はあくまでもアメリカの大学で、日本人がちょっと多い大学です。
なので「誰?」って言った時に、日本に興味を持っていて、シリコンバレーに住んでいる方が3分の2くらい、日本人の人が3分の1くらいというかたちにしていこうと思っています。
ただ、承認を得るまでになかなか……。そこのプロモーションをやるよりかは、我々の力では、日本に向けて「日本からまず来てください」というかたちでショートタームを繰り返しやっていこうと思っています。
卒業の資格。基本的には、卒論は必要ありません。「私、起業家になりました」って言ったら卒業できる。もしくは「私、チャレンジします!」「私はアメリカで学び、演歌歌手としてデビューすることになりました」って言うのもOKです(笑)。何でもOKです。
「チャレンジする」ということさえ覚えていただければ、それで卒業です。極端にいうと、英語力じゃなく、成績じゃなく、結果。「起業家になるチャレンジをした」という心を持って帰ってくれれば。もちろん、心だけではダメですよ。「行ったことがチャレンジです!」というのは対象にならないです。
もう1つ、すごい大事なのは、今の日本人と昔のチャレンジャー。向こうにもたくさんの2世、3世、4世が住んでらっしゃいますけど、そういった方々と、過去にチャレンジを興したこと。
Appleという会社があります。皆さん、ひょっとしたらご存知かもしれませんけど、Appleという会社は、クパチーノ・シリコンバレーというところにあります。なんでAppleかと言ったら、あの辺は全部果樹園でできていて、リンゴ園だったからです。そのリンゴ園の基礎を作ったのは、全部日本人なんですね。
めちゃくちゃ極端な話ですけど、日本人がいなかったらAppleになってなかったんだと。ひょっとしたら、「ネギ」という会社かもしれません。わかりませんけどね(笑)。
(会場笑)
何でかわかります? 向こうの人たち、アメリカ人をバカにするわけじゃないですけど、アメリカ人は何をしているかと言うと、「種を植えます・水をやります・抜きます・芋ができました、種を植えます・水をやります・抜きます・玉ねぎができました」という世界です。
日本人は、「種を植えます・水をやります・育つの待ちます・待ちます・待ちます」と言って、3年、5年、9年と待って、オレンジがなったり、リンゴがなったりということができるわけですよ。
そこへの道は、砂漠みたいなところですから、灌漑用水を作らないとできない。これも日本人がほとんどやってます。日本人の過去のチャレンジャーは偉大なんです。そこの人たちと、我々とをつないでいくのが、すごい大事なのかなと思っています。
どんな人に来てほしいか? これ、ちょっとコーチングみたいになってくるんで、最後にこのことを言いたくないんですけど。一応、テーマとしては「舞台も変われば、主役も変わる」という話にしています。
皆さんも主役をはっているところもあるでしょうけども、もう1回主役の場を向こうではってみようかなと。そのためには、舞台も変えなければいけないというような意味合いです。
「今の生活にあまり満足できてない」「何していいか、よくわかっていない」「でも、アメリカ行きたいなと思っている」とか。そういう不埒な、あんまりポイントが絞れていないような方々も含めて、シリコンバレーのインフラを実感しに来てもらって、僕が言っているようなことができる場所なのかどうか、見に来ていただければと思っています。
(会場で配られた)ビラも入れていますけど、3月1〜9日に1回目やります。僕のスタッフから言われたのは、1〜9日の1週間のツアーではないんです。1月の頭からプログラムが始まります。「自分は何のために行くんだ?」とか「どんな人に会うんだ?」とか「どんな人と一緒に行くんだ?」ということを、1月〜2月末までに日本でやります。
授業もスカイプを使ってやったり。もしくは東京や大阪で、僕もよく出張でよく来ますから、前もって授業をやったりとか。
(会場の後ろを指して)後ろに座ってもらっている彼にも、「ITリテラシーとは一体何か?」とか、そういったことを。「シリコンバレーすごいわ〜!」と言って(実際に)行って、向こうで「ITとは?」「よくわかりません……」というのでは、ちょっと問題だと思うので。そういった基礎状態を、こちらで付けてもらってから行ってもらう。
その集大成が、3月1〜9日。この前は何をやったかと言うと、5日間授業をやるんですけど、例えば、スタンフォードの中で授業を受けるとか。GoogleとAppleの中で授業を受けるとか。
ツアーとして行くんじゃなくて。Facebookの前で写真撮って「イエイ!」というのも、ちょっと止めておこうかなと。Facebookの中に入って、Facebookがどんなことを考えているのかを学ぶというのが、すごい大事なんじゃないかと思っています。
最後です。「プロアクティブに動かないと、自身が主役になれない」ということを理解していただければ。ここにいる会社員の方、年齢関係ないです。言っておきます。若者枠だけじゃありません、馬鹿者枠というのがありますので!
(会場笑)
「俺、頑張るねん!」って言うなら、会社の休み1週間取って来てください。ぜひ、来ていただきたいと思います。
「あなたが主役になれる舞台を探しに来てほしい」というのと、最終的には、「未来のために今を過ごす」というのは大事かなと。未来のために、今ボーッとしていたらどうしようもなくて。未来のために今を過ごすんだったら、今動かないといけない。
極論は、「楽しむために生きてるんでしょう」と。仕事のために、金儲けのために生きているんじゃなくて、やっぱり楽しむために生きているんだったら、シリコンバレーまで行ったら楽しいことしましょう。そういうイメージでやってます。
(スライドを見て)このロゴがあるんですけど、日本の国旗の枠を取るという意味合いです。ということで、枠を取りに来る方、遠慮なくシリコンバレーに来ていただきたい。
最後、宣伝になってしまいましたけど、ぜひ皆さんとお会いできる機会があればなと思っています。今後ともご支援いただければと思います。よろしくお願いします。
(会場拍手)
司会:ありがとうございました。
なぜシリコンバレーに大学を作ろうとしているかというのがおわかりになったと思います。詳しい話とか、質疑とかあると思いますので、それは交流会の時にお話いただいてけっこうです。
これは、正式に発表していいんですかね? 我々もこの大学の事務局として動くことになりましたので、こちらでいろいろなお問い合わせとか対応もできるようにしていこうと思います。
何となくわかっていただいたと思いますけど、今からやろうとしていますので、変わりたいという方、積極的に関わっていただけたら、我々もありがたいと思います。以上です。
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