マトリックスで分類してみよう

田中良直氏(以下、田中):ということで、1つエクササイズをやってみましょう。軸を2つ作って、自分のビジネス、または自分の仕事の顧客をどうやって分類するかというマトリックスを作ってみてください。

お客さんを分類するのにもいろんな軸があります。年齢で分けるのもあるし、男女で分けるのもあるし、住んでる場所で分けるのもある。あるいは性格のような要素で分けるのもあるかもしれないし、あるいはなにか特定の資格を持っているとか、なにか経験したことがある、ここに行ったことがある人とか、そういうもので分けることもできるかもしれない。

会社、企業とかが顧客の場合だとしたら、規模とか、業種だとか、あるいはそこの提供しているサービスの内容だとか、そういうもので分けることができるかもしれない。

ご自分がやられているビジネスのお客さんを見て、それを分ける軸というのを……、さっきの旅行の時に考えた軸ですね。それと同じように軸を考えてみて、それで2つマトリックスを作ってみるということをやってみてください。4分時間をとりましょう。では、どうぞ。

(参加者たちがエクササイズを始める)

いったん終了します。またペアを作ってください。先ほどと同じ方とペアを作ります。今、自分が書いてみた……、時間が4分しかなかったので、あまり深いものができていないかもしれないですが、それを相手の方に説明してシェアしてみてください。

相手の方はそれを聞いてみて、なにか気が付いたことがあったら、インプットしてあげてください。2分ずつやります。「Aさん」「Bさん」を決めてください。「Aさん」の方? 「Bさん」の方? 「Bさん」からいきます。では、どうぞ。

(参加者同士でシェアを始める)

じゃあ、交代してください。次は「Aさん」、いきます。

(参加者同士でシェアを始める)

はい、では終了します。

問題の本質に気が付いた

今、マトリックスを、短い時間でやってみましたが、書いてみてこういうものができた、こういう気付きがあった、なにか気付かれた方いらっしゃいますか? はい、ではどうぞ。

参加者22:みなさんと関係がある話でアレなんですけど、私はHUB Tokyoで働いている人間なので、HUBのメンバーのセグメント分けをやりました。すごく気付きがあったんですけれど、横軸は古くからいるメンバー、新しくいるメンバーというので、1年以内に入った人と1年以上いる人に分けました。上と下は、強く関わっている人と最近関わってない人に分けて。

問題意識として、エンゲージメントが低い人のコミットをどうしてあげるかを考えたんですけど、時間軸で分けると、新しく入ってここにフィットしていないという段階の人なのか、古くからいるけどフェードアウトしてきている人なのかというのが、ぜんぜん違う文脈の話だったことに気付きました。

田中:なるほどね。次にコミュニケーションをする時のやり方とかも、たぶんぜんぜん違いますよね。すばらしいです。ありがとうございます。

(会場拍手)

ほかにも、なにかこういう気付きがあった……、あ、どうぞ。

参加者23:私はセミナーをやっていますが、自分がやっているテーマについてマトリックスを作ってみました。縦軸が世の中のニーズが高いか低いか、横軸が自分が得意で強いかそうでないか。それで分類してみると、ニーズが高くて自分も強いものは、今、一番お金になっているんですね。爆発的に売れているから、爆発と書いたんですけど。

それから自分が強くても、あまり人が来ないやつがあるんですよ。でも気付いたら、ニーズはあまりないけど、僕にしかできないからドミナントとしているんですね。それで今、自分のネタ的に弱いけど、ニーズが高いからやらされているやつがあるんです。それで入ってくるお金がしょぼいというか、ポケットマネー的なもので深いネタができないから、3〜4日で話せないから、新たな深いイベントができないんですね。

セミナー業界では合宿系の深いネタをやる時にお金が動くんですが、それができないから、いつまでたってもポケットマネーばかりしか入ってこない。ゴミと書きました。やらなくていい。ゴミだ(笑)。

できるネタがいっぱいあるので、それをもう1回書き出して、どのイベントのネタがそこに当てはまるのか、もうちょっと考えて、スケジュールを組んでいこうかなと思います。

左下のやつはとりあえずやらないと決めて、左上は数を減らそうかと。そしてもっと爆発的に売れてるやつをいっぱいやっていこうと思いました。なにかあまり時間の割り方がうまく回ってないことに気付きました。

田中:(図を指して)ここにものすごく時間を使われていると、もったいないですよね、忙しくて。本来自分では得意じゃないからやらないけど、ニーズがあるからといっていろんな人に呼ばれてやるかたちになると、余計に時間がかかりますよね。

参加者23:俺がマーケティングの話をしてていいのかと思いますよ。

田中:ニューロマーケティングの?

参加者23:そっちはいいんですけど。そうじゃない部分。マーケティングの仕方とか、機械の部分とか、Facebookの上げ方とか、別に俺じゃないし。

田中:ぜんぜん違いますよね(笑)。

参加者23:結局、なにか違う人のイベントに流れるので。自分のところに持ち込まないから。

田中:なるほどね。(図を指して)ここを増やす。あとは、ここを楽しくやる。いいですね。すばらしいです。ありがとうございます。まさにそのまま使えますね。みなさんも汎用的に使えると思います。

フレームワークで世界が明瞭に

戦略の一部に資源の配分があります。自分の持っているリソース。今○○さん(参加者23)の場合は非常に重要なリソースとして、時間ですね。この時間の配分をどうマネジメントするか。これでマネジメントのやり方がレベルアップできる。時間の使い方の意思決定が、よりよいものになるということです。

こういうフレームワークを使うことでいろんなことが見えてきます。マトリックスは、なんにでも書けます。およそあらゆることに書けます。

あと、先ほどお話ししたミーシーというのは、どんなものでも分類できます。日常で練習できます。例えば、車をミーシーに分けるのもできますよね。車をミーシーで分けるとしたら、どんな軸がありますか?

参加者24:スーパーカーか、そうじゃないか。

田中:スーパーカーか、そうじゃないか。いきなりそこにいくという(笑)。よっぽどスーパーカーを欲しているという、エモーショナルな(笑)。値段で分ける、乗車定員で分ける。あと目的で分ける、仕事の車と乗用車みたいに。色で分ける、高さで分ける、ドアの数で分ける……、いくらでもありますよね。

いろんなかたちで、ミーシーは分けられます。昼飯を食いに行くときの選択肢をミーシーで考えることもできます。和にするか、洋にするか。そしたら、飯食う時だって選択肢をなににするか、ミーシーで考えられますよね。

ちょっとしたことでもミーシーでものを考えて、マトリックスに書いてみることができるので、これをちょこちょこやってみると、思考訓練がされて、使える範囲がどんどん広がってきます。ぜひそれをやってみてください。

もう9時半になってしまったので、いったんここで終了したいと思います。今日はフレームワーク5つのうち2つしかカバーできませんでしたけれども、ほかのフレームワークも知りたい方は、セミナーをやってますので、ぜひそっちに来てください。

参加者25:いつやってるんですか?

田中:次は2月の20日にやります。土曜日にやります。今日の5つのフレームワークを1日弱かけて深くやるのと、あともう1つ、実際の戦略構築の5つのステップというのがあります。情報収集をやり、分析をやり……、という戦略を実際に立てるその5ステップに関して、レクチャーをやります。このあたりは基本形なので1Dayですけれども、ものの考え方がある程度こなれている人には、2Datsのワークショップをやっています。

100人に話を聞くとなにも怖くなくなる

2Daysのワークショップは、戦略構築の5つのステップを、実際にケース・スタディを作って、チームを作ってやるというものです。例えば情報収集ですが、さっき私は100人インタビューをやりましたと言いましたよね。フィールド・インタビューは、実は宝の山なんですよ。市場に行って、お客さんの話を聞く。これほどすぐれた情報収集はないんです。

定量的なデータはインターネットでかなりのものが集められますけれども、実際にマーケットに行って、お客さんにリアルな話を聞く。これを10人やると、「おやっ?」と思います。30人やると、「おー、見えてきたぜ」と思います。50人やると、「やったぜ」と思います。100人やるとなにも怖くなくなります。

そのインタビューのやり方。すごくおもしろいんです、フィールド・インタビューは。2Daysのワークショップは、みんさんに実際に外でやってもらいます。人に声をかけて、話を聞くということをやっていただきます。

あとは、具体的な分析手法です。今日はものの考え方をやってるんですけども、戦略を立てる時に定量分析が非常に重要なので、定量分析をどうやってやるか。これも典型的なこの分析をやっておけばいい……、いいと言うと言い過ぎですけれども、非常に汎用的によく使う分析手法を学びます。

それからレポーティングとか、ロジックを詰める時のものの考え方、ストラクチャーをどうやってやるか、と、プレゼンテーションのやり方。これらを2日間かけて、実際のケース・スタディでやります。2Daysは3月です。3月の19日と20日にやります。

その辺は、もし興味がある方がいらっしゃいましたら、このあとまだ(会場に)いますので、ぜひ質問をしてください。「Impact HUB」向け特典とかありますので、作りますので(笑)。ゲスト1人無料招待みたいな特典を付けますので。

最後に今日やったことを復習します。最初は5つですね。全体観を見る。それから構造を把握する。論理性を持ってやることと、必ずファクトを押さえる。これは定量データだけではなくて、定性データだけでもいいです。直接お客さんの話を聞く。すごく重要なので。憶測だけじゃない、直接お客さんに会って確かめる。今言ったように30人やったら立派なファクトになりますので、ぜひやってみてください。

そしてゼロベースで物事を考える。煮詰まったら「穴にションベン!」「ピンポン球は浮いてくる」。これを覚えておいてください。

ミーシーというのはここら辺(全体観を見る)と、ここら辺(構造を把握する)のためのフレームワークなわけですね。論理性もそうですけどね。そしてマトリックスも使って、そこにファクトを埋め込んでいくということです。実際のフレームワークというのは、そういうことをやっているわけです。

そして、思考には軸があるということ。ランダムにものを考えると、どんどん選択肢が多くなって、ものが考えられなくなってしまう。だから必ず軸を作って、軸で思考していく。そのなかで選択肢を明確にして、比較して意思決定をしていく。そうやって、最適な意思決定を導き出す。なので、必ず10パーセントルールで、フレームワークは必ず最初に。軸は何かを考えてから、仕事をするということです。

そして、ミーシーにものを考えていくということと、あとはマトリックスで物事を整理する。ここまでできると、ずいぶん仕事の生産性が高まるはずです。これが身に付いているとどんどん変わってきます。ぜひ使いこなしてみてください。

では、これでいったん終了します。あとしばらく残っていますので、なにか質問とかがある方、あるいは何かセミナーのことを聞きたい方は、ぜひご質問をしてください。どうもありがとうございました。

司会者:じゃあ、拍手で。では、終わりたいと思います。ありがとうございます。

田中:ありがとうございました。

(会場拍手)