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パネルディスカッション(全2記事)

タレント頼りのYouTuberブームは2017年に終焉? キーパーソンが読むこれからの動画マーケット

「動画の再生数を伸ばすコツは?」「効果測定の方法は?」――。2015年12月18日、動画マーケットの盛り上がりを受け、「VIDEOTECH:元TV局プロデューサーが語る、これからのオンライン動画戦略」と題したイベントが開催されました。C Channelで世界を目指す三枝氏と狩猟社にてさまざまな動画でのチャレンジを続けるイセ氏。オンライン動画を熟知した2人がメタップス山田氏の司会のもと、現在の動画を取り巻く現状とこれからの展望について熱くトークを繰り広げます。

なぜ動画を作るんですか?

山田雄介氏(以下、山田):どうぞよろしくお願いします。30分ほどパネルディスカッションをさせていただければと思っています。まず、1つ目のテーマです。「動画は何のために活用されていますか?」。

これはお二方のメディアというよりも、例えばクリッパーの方々だったり、それを作りたいと思ったクライアントの方々ですね。何のためにその動画を使って、どういうことを狙っているんですかというところを、おうかがいできればと思います。

イセオサム氏(以下、イセ):これは、僕らのところは2パターンですね。1つは自分たちが人を笑わせたいから作っているものがあって。

その表現ジャンルとして、動画がガツーンと届けられて1番効果がある。これまで記事もやりましたし、アプリもやりましたし、いろんなものやったんですけど、動画が集大成だと思っているので。

クライアントさんもおそらく同じで、マーケットはCMはやっぱりデカイんですけど、限度があるじゃないですか? 音と映像とそのインパクトでバーンと伝えようとすると、動画が一番効果が高いんですね。なので、それを活用しているのではないかと思います。

山田:表現の手法として、動画を選んでいると。

動画の時代はもうすぐそこに

三枝孝臣氏(以下、三枝):作っているサイドからすると、動画を何のために活用するかというと、やっぱり最終的に、1番伝える情報量が多いコンテンツというのがやっぱり動画で。

テキストよりも写真よりも、動画のコンテンツのほうが情報量が多くて、最終的に動画がエンドユーザーに選ばれているのではないか? これはクライアントさんからしても何で動画にするのかって昔調べてみたんですけど、そんな感じでした。

あとは、使っている人たちからすると、動画を撮ってみようという気持ちになる瞬間って、まだあまりないと思うんです。

でも、皆さんもきっと、3年前くらいには動画をまったく撮らなかったとしても、最近なんとなく旅行に行ったりすると撮るようになってきた。これって、携帯で動画を撮るということがだんだん普通になってきている。

いわゆるレストランにいって、料理の写メを撮るって、昔はすごく恥ずかしかったじゃないですか。でも最近は、店主がよほどの頑固おやじじゃなければ撮るなとは言わないし。皆、普通に「わあ、おいしそう」と思って、おじさんまで写真を撮ってる。で、Facebookにあげてる。

そうすると、だんだんこれから動画で撮って、動画であげるっていう時代になっていくんじゃないかと思います。

山田:ありがとうございます。1つ目なのでまずは軽いところから。

効果測定の方法は?

何のために動画を活用しているのか、人やタイミングにもよると思うのですが、例えば、動画で情報量を多く伝えたいと思ったときに、それが伝わったのかどうか。バズらせて多くの人の目に届けたい、それが届いたのか。目的によって効果測定もいろいろあると思いますが、どういう効果検証を皆さんがしているのか、その辺りについておうかがいできればと思います。

イセ:僕は、定量的に定まってないこともそうなんですけど、見てくれたユーザーが何人いて、どういうふうに心が動いて、例えば、ものを買ったとか、泣いたとかってなるんですけれど。今のところちゃんととれているのは、再生数とあと時間。視聴時間は、けっこう重要視してます。

あと定性的なものとして出やすいのは、TwitterとかFacebookとかのシェアの文言はすべてとれるので、その辺は大事なところかなと。

コミュニケーションのなかでどう伝わったか。情報の伝わり方ですね。ダメなパターンもあるんですよ。ディスられて大量にシェアされた結果、数字は出てるんだけど意味がないとか。なのでそこら辺は定量と定性は汲み分けてとってます。

三枝:効果検証的なところでいうと、さっき言った再生数と再生時間。これはVOD事業者とかも全部、再生時間が基準になっていて、どれぐらい見られたかの時間によってお金が払われる。

効果検証的にみてもそこは、テレビでいうと視聴率というものが基準になっていたのですが、あれがなぜ視聴率でよかったかというと、実は視聴率ってシェアの考え方なんですよね。

要はそのマーケットがあって、そのマーケットをどれぐらいとれるかというのが、テレビの視聴率という考え方。そうするとマーケットがしっかりそこにだけある、つまり映像で見られる部分というのが、そこにだけあるって環境であるとすると、そのなかで視聴率ってシェアで、十分効果検証できるんです。

それがこれだけいろんなところで、いつどこで見られるかわからない状態で、視聴率だけで効果検証していていいのか。

という意味でいうと、インターネット上の動画でいうと、どれぐらいシェアされたかとか、どれぐらい見られたか、横に広がったということがある種、テレビでいうお茶の間がどれぐらいあるのかというところに通じるので、そこが1つの効果検証だと思います。

どんな文脈でシェアされたのか?

山田:ありがとうございます。ここで今、お話いただいた内容をお二人に再度質問させていただきたいと思います。

まず1つ目、今は再生数とか、その後の文言とかどういう内容でツイートしているのかというところが、できることから考える、さっき言ったような効果検証だと思うんですが。

今、技術的にできなくてもこういうところは追う必要があるんじゃないかとか、なにか考えるところってありますか?

イセ:バズりとかはけっこうできてたりするんですけど、誰が震源で、どういうふうに伝わったかとか。今、僕が興味あるのは、どういうふうにシェアされて、例えば、僕が山田さんにシェアするじゃないですか。それで山田さんが三枝さんにシェアするじゃないですか、その連鎖の間で何が起こったか。それが知りたいですよね。

例えば、「俺がおもしろいよ」って紹介したら多分、見るんですよ。俺が「つまんないよ」ってシェアしたら見ないんですね、みたいな変化があるのでそこは知りたいですね、あまりいいツールがないんです。

山田:最近だと、デバイスをまたいでもありえるのかなと思うんですけども、その辺りも今はできないんですか?

イセ:そうですね。できないと思います。

山田:ありがとうございます。三枝さんにもご質問させていただきたいことがございまして。

1990年代までは、というところにちょっと含みがあったのかなとは思うんですけれども。2000年代、またはこれから、視聴率でとっていた部分が、テレビではどう変わっていくと思いますか? 効果測定の仕方というところで。

三枝:テレビCMって効果的にすごく強いし、広告単価でいうとある程度の安さで大量に打てるんですけど。例えば、ゲームがあれだけ出稿がいくかというと、おそらくテレビを見ているユーザーと、マーケットが非常に似ているというところだと思うんですね。

イセ:テレビもマスメディアって言われてたじゃないですか。今はどっちかというと、実際マスなんだけれども、マスのなかにいいところがないみたいな感じが、少しニュアンスとしてとられたんですけど(笑)。

三枝:皆「ああ、テレビってマスメディアだな」と思う反面、もうすでにターゲットメディアになってるかもしれません。なのでそういう意味でいうと、テレビというものも今後シェアという指標以外にテレビなりの効果検証があるんじゃないのかなと思います。

山田:ありがとうございます。のちほども、いろいろとお話をさせてください。

再生数を伸ばすためのコツは?

テーマは次に進みまして、先ほど少し出てたんですけれども、どういう目的で動画を使っていて、どう効果測定していくのか。

どの軸で、どういう評価をしても、やはり再生数を伸ばすというのは重要なことだなと思いまして。この辺りで、肌感覚で掴んでいるコツがもしあれば、教えていただければなと思います。三枝さんから。

三枝:物理的にシェア数を出すとか、そういうテクニカルなものは別ですけれども。やっぱりどっちかというと僕のなかではサビ頭(あたま)というのがあって、いわゆる曲でいうとサビから入らないとダメ。しかもそのサビは、ケツがバレちゃいけない。わりと高度なテクニックを使わないとダメ。

いきなり完成品だけ見せて、「あ、こういう完成品なんだ」となって、「そのプロセスを見せます」だと見てくれないし。かといってプロセス最初から見せると最初から落ちちゃう。というので、小室哲哉さんみたいな作りをしないといけないなと思います。

イセ:確かに。最初の5秒の下落率がすごくありますよね。

それやると、よくお笑いでも言うんですけど、フリが長くて一気にどーんと落とすじゃないですか。あれができればいいんですけど。ていうのが、今、ちょっと悲しいところなんですけれど。

一方で、YouTuberとかは、もう固定ファンがついてるので、引っ張って引っ張ってってできるんですよね。そこら辺は大きいなと思っていて。ファンがとれると作り方を変えていける。

僕らはバイラルでやるので、例えば僕が三枝さんにシェアして、三枝さんがつまんないって言ったらシェアされなくなっちゃうんですよ。そういう意味では三枝さんの最初の5秒の作り方はすごいなと思います。

あとは、シェア先の文言とかをこっちでつくっちゃうというのもありますけどね。こういうふうにシェアされるように作るとか。そこまで計算して作りますね。

山田:ユーザー心理をちゃんと考えて作るとか。

イセ:そうですね。

山田:ありがとうございます。

タレント、クリエイティブ? 重要なのはどっち

では、続いて。ここは、私が個人的に気になっているんですけど。テレビなのかWebなのか、両方含めてかなと思ってるんですけども。

動画って結局、人、例えばYouTuberみたいな人なのか、クリエイティブなのか。タレントなのか、タレント性なのか、クリエイティブなのか、この辺りについて2人のお考えをぜひ聞いてみたいなと。どうですか?

イセ:これ僕、自分でも出てみて思ったんですけど、やっぱりタレント性ある人は強いなというのは思いますね。

僕が単純に思ったのは、なぜタレントがこれだけいるのか、そして活躍しているのかというと、やっぱり見たいというのがあるじゃないですか。そのなかに自分が好きな人がいるかということと多分一緒だと思うんですけど。見たい人っているじゃないですか。そういうことだなと思って。

三枝:きっと人であった時代が。おそらく10年後ぐらいに、2010年代の動画マーケットを振り返ったときに、2017年ぐらいまでは人だったね、となるんじゃないかなと思っていて。

それはなぜかというと、YouTuberの人たちってきっと作るの大変なんだろうなと。それってやっぱりクオリティーをどこまで上げていくか。クリエイティブって正直チーム戦なんで。

例えば、イセ君が疲れたら、「俺がちょっと頑張るか」というところがあるんですけど。人の場合はそいつだけが頑張って作り続けないといけないので、どこまで作り続けなきゃいけないのかってなると、僕はこれからは人から若干クリエイティブサイドに移ってくるんじゃないかなと思います。

イセ:クリエイティブってチーム戦ですよね。

山田:例えば、その人、タレントでいうと、YouTuberタレントチームでやっていれば、変わってくるんですかね?

イセ:多分、出てる方と支える方というのは気持ちも違うと思いますし。だんだんチーム化が進んでいるとは思いますね。

山田:個人でやれるのは、2017年ぐらいまでというのは、確かにそうだなと思いますね。わかりました、ありがとうございます。

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