出戻り社員への風当たりは?

――再びリクルートに戻って来て、どうでした? 出戻りだから、働きやすい、働きにくいとか。  

石井智之氏(以下、石井):戻ってきたすぐは、正直少しやりづらかったです。実は、戻ってきたと同時に、マネージャーになったんです。なので、当然、風当たりは強くなりますよね。ただそれは、タイミングの問題だっただけだと思います。戻ってきたタイミングでポジションがそうなったからっていう。

僕は、戻ってきてからのほうが以前より働いています。理由はさっき話した通り、自分の意思でこれだけ動き回れるって本当にすごく恵まれてるなって思ったので。やりたいことをやるようにしてます。

前澤隆一郎氏(以下、前澤):僕は、戻って来る時に、もともといた部署に配属されるかどうかもちゃんと決まってなくて。最初は全然違うポジションにいました。経営企画に入ってって言われて、3カ月間ぐらいはそこで働いてて。

3カ月経って、「やっぱりお前はネットビジネス本部だ」ってもとの場所に戻ってきて、それでマネージャーになったって感じでしたね。

2年経って戻ってきましたけれど、わりと知ってる人が多いんだな。あんまり変わってないなっていう感覚でした。戻ってきて、いじめられたことはないですし。

(一同笑)

前澤:ちゃんとみんなご飯も一緒に食べてくれる。

石井:そうですね。いじめられはしない(笑)。

分社、上場して会社が変わったことは?

前澤:あと大きく変わっていたことでいうと、会社が分社化してたんですよね。

石井:そうですよね。

前澤:分社して、その後上場しちゃったんです。だから僕は、リクルートに1回いたことになってて、リクルートライフスタイルに1回。

石井:僕も、そうなってますね。

前澤:それが一番びっくりしたことですね。外から見てたのでわかってはいましたけど。会社って、分社もするし、上場もするんだって。上場したのは戻って来てからですが、僕らが戻ってきたタイミングでは分社していたので、「おぉ」ってなった、一番大きな変化ですね。

石井:名前、変わってるみたいな。

――分社、上場を経て、会社のカルチャーとか雰囲気とか変わっていることはありますか?

石井:感じたことないですね。

前澤:あまりないですよ。

石井:ルールとかはいろいろ変わってるんでしょうけど、なかでやっていく上で雰囲気とかはそんなに変わった印象はないです。

前澤:人数は増えたけど、変わってないよね。

サービスを自分が支えているという意識

――先ほど、石井さんから「自分発信で制度を変えられる環境」というお話がありましたけれど、リクルートで働く方ってなぜみなさんそんなに“意識が高い”んですか?

石井:一言で言うと、会社に依存する人がすごく少ないんだと思います。要は、サービスを自分が支えるんだという意識がみんなにあるんだと思うんです。

自分が頑張る、自分がレベルアップする、結果サービスもレベルアップするっていう思いがあるんだろうな、と。

だから、例えば、上司がおかしなことを言っていたら、それに対しては反論して、いい方向に持っていくぐらいの気概がある人が多いんだろうなと感じていて。

会社に支えられていると思っている人たちがすごく少ないんですよね。

自分の努力によって会社が成長するかしないかとなった時に、「多分、1ミリも変わらないんじゃない」ってことを、なんとなくでも意識のなかに持っていたら「自分が頑張らなくても大丈夫」って思考に陥りますよね。その結果、自分のレベルアップをしなくなるので。それは不誠実だな、と。

――「ホットペッパー」や「じゃらん」など、リクルートのサービスはものすごく大きくて、関わっている方も多いかと思います。それに対して、“自分が支えてる”って思えるのは、どうしてですか?

石井:多分なんですけど……、本当に一人ひとり裁量が大きいんだと思うんです。例えば僕がいる部署の話をすると、1年目の社員でも月間数千万円の予算を責任持って任せられることがあるんです。

もちろん認められた範囲のなかではありますが、1年目の新人がそのレベルのことをやるって、多分ほかの会社ではあまりないんじゃないかと。大きなことを任されているっていう責任へのプレッシャーが、そのまま自分が頑張んないと「これ、やばい」って返ってくるんだろうなってことはなんとなく思います。

あとは、競合がたくさんあるなかで、頑張らなかったらその瞬間に負けるということを、なんとなくみんなわかってるんじゃないかな。

「じゃらん」みたいな旅行のサービスはほかにもあって、それをより宿の人や、カスタマーに使ってもらいたいって思ったときに、じゃあ、なにで勝負するかというと、自分の力でしかないと思うんです。

自分たちの努力でしかないという意識がみんなあるんだろうなと、なんとなく感じています。多分その差でしかない、と。

会社が終の棲家ではないという思い

――大企業になればなるほど、主体性を持たなくてもなんとなくやり過ごせる環境が生まれがちですが、そうならないリクルートの強さ、環境ってどこにあるんでしょう。

石井:なんですかね。もしかすると僕みたいに転職する機会がいずれ来るかもと思ってるからかもしれないですね。

転職したいとなったタイミングで、自分の体に染みついたなにかがないと、評価されないと思うんです。だから自分だけのスキル、社名に頼らない自分のスキルを上げておこうという力学が働いていそうな気もします。その2つかな。

要は、会社に身を置きつつも、「この会社が自分の最後の家ではございません」という意識がみんなにあるのかもしれないですね。

――大きな会社だけど、みんな自分が個人としてどう立つかということを考えている?

石井:じゃないですか。そういう人が数人いると、それを見てて「俺も頑張んなきゃ」と思う人が多いんじゃないかと。

この会社って、表彰する時とか、イケてた人を思いっきり持ち上げるんです。上がそういうふうに頑張った人をものすごく評価するので、それ見ていると周りも「俺も頑張ろう」って思うんじゃないかな。

飛び出た人を、しっかり上が評価するし、そのまま持ち上げてあげることをよくしますね。年次は関係なく。前澤さんはどう思います?

すごい人はたくさんいる、自分がそこにどう対抗するのか

前澤:海外まで行くと、めちゃくちゃ天才がいるなっていうことは感じて。リクルートのなかだけで働いてたときは、リクルートのなかで仕事ができる人はやっぱりすごくて、世の中でも仕事ができる人なのかな、とずっと思ってたんですけど。それは違うんだなってことを、外に出てよく思いました。

世の中には、仕事がめちゃくちゃできるすごい人ってたくさんいて。前職で一緒に働いていた方のなかには、ハーバードでMBAを取得された方がいるような環境でした。みんな、頭がいいだけじゃなくて、行動力もものすごくあって。僕は、知識ないし経営学も特にわからないけれど、行動力だけは多分ほかの人よりもあるだろうと思ってたんです。

だけど、その両方を兼ね備えている人が世の中にはいるんだっていうのを知ったときに、「じゃあ自分はどこで個性、バリューを発揮しないといけないのかな」ってことをすごく考え直させられて。

それで、自分の今できることで、そのMBAを持ってるような人たちができないことってなんなのかって考え抜いたら、やっぱり残るのって過去の経験だけなんですよね。

ビジネスで自分が経験してきたことだけは、絶対にほかの人は真似できない部分で、すぐキャッチアップはできないからこいつをフル活用して、ほかの人との差をつけないといけないっていうのに気が付いたんです。

だから人材面でいうと、リクルートがなにか特別というわけではなく、海外とか社外まで目を向ければ、できる人はまだまだたくさんいるという感覚になりました。