「ビジネスの最前線で使ったもん勝ち」人工知能の判断は経営に生かせるか

人工知能とイノベーション #2/4

G1ベンチャー2015
に開催

2015年4月29日、都内で行われたG1ベンチャー2015 第2部全体会「人工知能とイノベーション〜AIの未来〜」のパネルディスカッションに脳科学者・茂木健一郎氏、メタップス・佐藤航陽氏、東京大学准教授・松尾豊氏が登壇しました。本パートでは、モデレーターを務めるグロービス・堀義人氏の進行で、人工知能による経営判断や日本研究者たちが抱える課題について語り合いました。

人工知能による経営の意思決定

堀義人氏(以下、堀):チェスや将棋、囲碁の人工知能の発達を見ていると、チェスはかなり前から(人間が)負けている。将棋もほぼ負けてますよね。囲碁に関してはまだ人間が勝ってはいるんですが、これは時間の問題だろうと見てるんですね。

したがって、チェスで負けて、将棋で負けて、囲碁も負けていくだろうと。ゆくゆくは経営の判断、意思決定……僕は囲碁と経営の意思決定はかなり近いと思うんですよね。

ボード(取締役会)に人工知能が座るということもあり得るんじゃないかと思っていて、「人工知能だったらどう判断しますか?」ということを聞いた上で、意思決定をしていくということもできるだろうと。

だって、チェスの世界で、人間が戦うよりも人工知能が戦ったほうが強いならば、「Sovereign(全権委任型の人工知能)」として、人工知能が戦ったほうがいいということになっていくだろうと。

一方、将棋の世界を見ているとおもしろいことが起こっていて、「人工知能が勝ち始めたら将棋は廃れるかな」と思っていたらそんなことはなくて。今度は人工知能と対話をしながら、人工知能がどうやって打つんだろうかと教えてもらっている。

今、「最強の囲碁」では次のヒント、人工知能がどう打ちますかということを教えてもらって、人工知能と相談しながら進めていったり、人工知能と人間が組んで意思決定をして戦うということが出てくる。

そう考えると、今後は人工知能のさまざまなデータ予測であったり、さまざまな意思決定の判断というものを参考にしながら、人間が補正をしていって。

当然、経営の場合は複雑性が高いから、人間という要素が入ってきたり、それからプレイヤーが1対1じゃなくて複数人いたり、もともと持っている経営資源が違っていたり、リーマンショックが起こったり、予測不能な変化が起こったりすることもあって、完全には人工知能でできないかもしれませんが、人工知能の判断を基にして進めていくということはできると思うんですね。

それを踏まえた上で、もう少し考えてみたいと思うのは、松尾さんに見えている世界で、今、人工知能が使われている分野はどういった分野で、それが今後どういうふうに発展していくのかというのを、わかっている範囲内で教えていただきたいと思うんですが。

茂木さんからはハイ・スピード・トレーディングの話がありましたが、他にはどういった分野で使われているのかというのを。

人工知能はビジネスで使ったもん勝ち

松尾豊氏(以下、松尾):やっぱり佐藤さんがやられているような、広告のあたりはすごいですし、もともと検索エンジンの中で機械学習の技術がすごく使われていたので、Web系の裏ではかなり走っているという感じだと思います。

:実際、今日(スマートニュースの)鈴木健さんが最後のセッションで話をしますが、「スマートニュースは人工知能の塊だ」と言っていて、さまざまなビッグデータを基に解析して、ある一定のアルゴリズムに従って、それをニュースとして出していくということが行われているわけですが。

「今後、人工知能はビジネスの最前線で使ったもの勝ち」だと。「使わなければ損になっていく」と。逆に言えば、ビジネスの中で儲けていこうと積極的に取り入れていかないと、負けていく可能性があって。

なぜかというと、将棋の世界で見てわかるのは、将棋は自分で打っているわけですね。それは人工知能と相談してはいけないルールなんですが、経営の場合は誰と相談してもいいわけですね。

将棋のルールが変わって「誰と相談してもいいですよ」となった瞬間に、最もいい人工知能と組んだほうが勝っていくことになる。

経営の場合も、最もいい人工知能と友達になりながら、その中で相談しながら進めていくという時代がくるんじゃないかと思いますが。茂木さんどうぞ。

日本の人工知能研究の課題

茂木健一郎氏(以下、茂木):批判よりも行動で。松尾さんの著書にも書いてあるんで、松尾さんの著書を読んでない人はぜひ読んでくださいね。すごくいい本なんで。

僕はアウトサイダーだけど、今のAIコミュニティの一番おもしろいところはスケーラビリティの問題で、今ビッグデータっておっしゃってたじゃない? 要は、投資額が人間的にもお金的にも、ものすごい額をやってるんですよ。

例えば、ワトソンの医療応用って何千億円単位ですよね? (ワトソンの開発に関わっている)リサーチャー、Ph.D(注:博士号)持っている人、何千人の単位じゃなかったでしたっけ? ワトソンってIBMの(人工知能)。

松尾さんは東大で本当にいい研究をされているんだけど、日本の大学関係のバジェットだとか、そういうレベルでは、一番いい人工知能のエンジンは作れない時代なんですよ。

G1は日本のこと、世界のことを何とか良くしたいという人の集まりじゃないですか。ぜひ具体的な行動とかアクションプランとして提案していっていただきたいんですけど。

例えばGoogleやIBMやDARPAが金出してやっているようなレベルの人工知能の研究の頭脳とお金、さまざまなリソースの集結に相当するカウンターパートを日本でつくらないと、対抗できないと思うんです。そのあたりはどうですか?

松尾:いやぁ、その通りでして。僕が思っているのは、チャンスがあるとすれば、人材のところで。

茂木:(著書に)書いてましたよね。優秀な人材はいるんですよね、松尾研にもね。

松尾:やっぱり1980年代に第5世代コンピュータプロジェクトなどをやってまして、そこで人工知能にかなり投資して、そこで育った人たちが先生をやっていて学生を育てているという循環が発生しているので、これを活かさない手はないと。

茂木:日本には人がいるということでしょ。何とかしてよ、お金とかさ。

(会場笑)

:実は、G1ベンチャーを迎えるにあたって、G1サミットの人工知能の動画をいち早く見たのと、iPS(細胞)が出て、ロボットがあって、インターネットの覇者というセッションを全部見たんですね。

思ったことは何かというと、G1生産研究所は100の行動、経済・経営関係、政治関係がどうあるべきかということを議論してきたんですが、G1テクノロジー研究所というのをつくらなきゃいけないかなと。

iPS細胞とか、人工知能、ロボットがどんどん融合していったりしていくわけですよね。それを横断的に考える頭脳を集めた上で、政策を動かしたり、民間や首長と考えていきながら、それをインフォーマルな場、当然政府がやってるんだけど、政府と共にインフォーマルな場を使って、お金をどう集めようかと。

iPS細胞に武田(薬品)さんが200億円投資してくれたように、民間のお金を集めて、政府のお金と、未来予測がどうなるかということを考えながら、日本のテクノロジー戦略を描いていくということをやろうと思っていて、それをお二人に入っていただいてね。

(iPS細胞研究の第一人者の)山中(伸弥)さんも入っていただいて、サイバーダイン株式会社(創業者兼CEO)の山海(嘉之)さんにもはいっていただいて、戦略的に考えて、頭脳を基に何をすべきか考えていきたいと思いますが、それはちょっと後でセッションとして考えていきたいと思います。

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