痒くなるのは虫が出す何かが原因ではない

ハンク・グリーン氏:ピクニックやビーチでのパーティーなどで、私たちを悩ませる問題があります。それは「なぜ虫に噛まれると痒くなるのか?」とうもの。でも実は、そうではないのです。虫に噛まれたから痒くなるのではないのです。

あなたは気づいてないかもしれないですが、虫に噛まれたとき、あなたの皮膚の下で何が起きているのかを知るとゾッとすると思います。ある種の昆虫、例えばアリはギ酸を含む毒を持っているため、噛まれると痒くなり、肌が赤く腫れてしまうこともあります。

さて、カ亜目について説明しましょう。これはブユや蛾などを含む虫の分類名で、長く収縮性のある鼻で人間の肌を刺して血を吸うのが特徴です。この鼻は6つの部分に分かれた口から成っています。

まず、かぎ状の上あごとステーキナイフのようにギザギザの2本の上あごで、できるだけ深く噛みつくことで、口の他の部分──上唇と下咽頭──を通りやすくしています。

この2つの部分は、長く中が空洞で柔らかいチューブ状になっていて、虫はこれらを、血管を見つけるために人間の皮膚の中へとねじ込むのです。

血管を発見したら、上唇で血液を吸い上げ、唾液は下咽頭へと送られます。この唾液が抗凝固剤の役目を果たしており、虫が飲むための血液が鼻の中で凝固することはありません。

カ亜目は、マラリアや西ナイルウイルスのような感染症の主な病原菌媒介生物でもあります。

さらにもう1つ、恐ろしい特徴が備わっています。何かに対するアレルギーがあると、人間の身体はヒスタミンを生産します。ヒスタミンはタンパク質の一種で、炎症を引き起こし、白血球が外部からの侵入者と戦えるように毛細血管を拡げます。

つまり、虫に噛まれて皮膚が赤く腫れたり、痒くなったりするのは、このヒスタミンのせいなのです。花粉のシーズンに目や鼻が痒くなるのも同様の現象です。

なぜヒスタミンの働きのために私たちが痒みを感じるのかについては、はっきりとしたことは言えません。「皮膚に何か問題あります」という身体からのメッセージなのかもしれません。1つ私が確信しているのは、誰もがこの痒みがなくなってほしいと望んでいるということですね。