みんなが共感できる大衆アートとしての「春画」

島貫泰介氏(以下、島貫):といったような感じで、ここから先は、先ほどお話ししたように、ちょっとレアな春画などを紹介します。ちなみに、ちょっとここで登壇してくださった方にお話しを聞きたいと思うんですけど。

望月さんは、先ほど自己紹介でお話しされたように、『美術手帖』で春画を特集されたということなんですけど、実際特集されてみて、春画の世界というか、おもしろさとか。

望月かおる氏(以下、望月):春画のおもしろさですか。

春画の特集をやるとなってご相談に行ったのが、浦上さんが最初だったと思うんですけど。その時に、本物を見せていただいたり、豆判という小さな。今日も階段のところにありますけれども。あれを見せていただいて、本当に感動しまして。ものとしてすごく美しというのがあって。あともう1つが、さっき浦上さんもおっしゃってましたように、すごく笑えるんですよね。ユーモアがすごくって。老若男女誰が見ても笑える。

美術作品って、割と知識があったりとか、当時の時代背景がわからないと、よく理解できないとか。現代美術もそういうものがいくつかあると思うんですけど。そうじゃなくて、誰が見ても共感できるのは、性という問題は、この江戸時代も今もみんな共通だから、自分でいろんな解釈ができるっていうのが、すごくおもしろいなと思って。

あと、さっき記者会見のところでも出てきた、石上阿希さんという、すごく若い研究者が出てきたっていうのは、すごく何か新しいことが起きているのかなっていうのは、最初に感じたのが会見でしたね。それで、これは、特集をおもしろくすることができるんじゃないかなと思ったのが、特集を作るきっかけでした。

本当に必要だったのはメンズデー?

島貫:実際の読者の反応とかいうのは伝わってきたりはするんですか?

望月:思った以上に、女性より男性の方が普通に。男性の年齢層の高い50代・60代の方が買ってくださったという情報を得ました。

島貫:そういう意味では、今日は女性限定ということだったんですけど。元々、こういったイベントをしたいですねという話をしたのも、とある記事の取材のご縁で、浦上さんの浦上蒼穹堂におうかがいしてお話を聞いたんですよ。

取材そのものも、もちろん、今いろんな話を聞いておもしろかったですが、何よりも春画を前に話すと、男も女も何とも楽しくなるという(笑)。やらしい雰囲気というのではなくて、「なんだこの世界は!」とか、「こんなことあるの?」みたいな。そういう驚きがあるという世界ですよね。

望月:「昔も今も、変わらないんだね」っていう(笑)。考えることは一緒というか、そういう雰囲気もあって、今見ても本当におもしろくて、誰が見ても楽しめるっていうのが、すごく展覧会も賑わっている一つの要因かなと思います。

島貫:そんなことで。先ほどちょっとお話したように、永青文庫では見れなかった、まさに笑ってしまうような春画を見ていきたいと思います。ここからは、皆さんにもコメントをはさんでいただきながらと思っております。

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