便利なツール、何も考えずに使ってませんか?

中山陽平氏:便利なものやツールこそ注意して使うべきという内容をお伝えしたいと思います。

今回どういう意図かというと、世の中、便利なものやツールが非常にたくさんありますよね。そういったものを活用するのは非常にプラスです。

なぜなら、それによって工数が一気に削減できたり、様々なロスを減らすことができたり、新しいことができるようになったりします。

サービスもあれば、ストックフォトのような素材もあります。昔は自分で撮らなければいけなかったものが、写真以外でも例えばボタンのPSD(フォトショップファイル)といったものも購入できるようになりましたし、WordPressのテーマも買えるようになっています。

今まではデスクトップにインストールして使っていたようなものがクラウド化して、インターネット上でそのまま使えるようになり、便利な時代になっているのですが、それをなにも考えずに使っていると怖いです。

「なぜその話をしようと思ったか」なのですが、実は私が卒業した大学の方から、OBの人に対して寄付の話がくるんですね。

それがちょうど節目の年だったみたいで、結構な額を集めたいということで、いつもは会報とかで「よろしければお願いしますね」というものだったのが今回は口座振替用紙が付いてきたような力の入れようだったんですね。

それだけだったら何も思わないのですが、すごく違和感があったのが振込期限日や「期限を越えれば金融機関がなんちゃら」といったものが印字されていました。

なので私は初め、「絶対に振り込まないといけないのかな?」と思いました。

「けれど寄付のはずだしな。」と思い、何度も用紙を確認してみたら、やはり寄付だったということで、払わなくてよいということがわかりました。

これってものすごく不親切ですよね。

これは出身大学の寄付なので笑って済ませられる話ですが、皆さんがご商売をされる際お客さんに対してこのようなことになってしまうと、非常に問題ではないでしょうか。

受け取る人のことを考えないと失敗する

なぜこのようなことが起こってしまったかというと、おそらく収納代行の会社のテンプレートをそのまま使ったのだと思います。どこの会社かというのは、別にその収納代行会社が悪いわけではないので伏せますが、そこが寄付なんかに使うことを想定していないんでしょうね。

月額料金の徴収、利用料金の徴収みたいなものに使うことを想定して用意したテンプレートを寄付に使ってしまった。

それによって、振込期限日があって、一歩間違えれば振込詐欺みたいになってしまう。そういったものを記載されたものが全てのOBに送られてしまった。

これは便利なものなんです。収納代行。いちいち自分たちで作らなくても、テンプレートが用意されている。それってものすごく楽ですよね。

しかも収納代行なんて、料金についてわからない人にはわからないですよね。特にOB会の方には分かりにくいですよね。

「それを代わりにやってくれるのは便利だ。使っちゃおう」ということになったのだと思いますが、何も考えずにそれを使った結果、私だけではないと思います。寄付といっても結構な額です。千円や二千円のような数ではないんですね。桁が違うわけです。それがたくさんのOBに送られてしまって嫌な気持ちになった人もたくさんいると思います。

その結果、もしかしたらこの先寄付をいただけたかもしれなかったのに、その機会を失ってしまったことになります。

受け取る人のことを考えずに、自分たちの便利さだけを考えてツールを使ってしまうと失敗することが多いということをリアルに感じました。

これを皆さんにお伝えしたいなと思いました。

一度自分たちが受けての立場を体験してみるべき

これに限らず、皆さん。世の中にはたくさんの料金系があります。その中でテンプレートがあります。そのようなものだけではなく、ブログなんかもあります。

それを便利だと言って、「ビジネス向けって書いてあるし、これがいいんじゃない?」ということで、それをポンと使ってしまって、検証しなくていいのかということなんですね。

それをせずに使っているツールがあるとしたら。それを受け取った人の気持ちになってください。それを受け取った人が、果たしてどういう印象を受けるのか。できれば一回体験した方がいいですね。

うちは送付関係のサービスで一番使っているのは、Web郵便という郵便局のサービスなんですが、それ以外にも送付系のサービスを業務なんかのために使っていますが、必ず1回自分たちのところに送るようにしています。

それを送って受け取って、それが投函された物でしたらその物。その投函する際、人が介在する場合はその人ですね。そのサービスそのものを含めて検証してからお客さんに出すようにしています。

そういったことを、ぜひ行なってあげてください。それでいいのかということを考えてあげてください。

請求書ひとつ、封筒ひとつで印象が変わる

大きく2つの面があります。

1つはプラスなこと。もう1つはマイナスなことです。1つは先ほどの大学の寄付のことです。根本的にダメな部分です。そういったことは減らさなければならないのですが、プラスにできるのに、効率化だけを考えてプラスを見逃していないかということなんです。

具体的には、請求書や領収書を自社で作るにしても、外に出すにしても、単純に「WordやExcelで作られているな」という物あると思います。「オンラインサービスのあれか!」というように。そのようなものが分かってしまうものがあります。そういったものは、非常にシンプルですよね。あまり複雑なものがオンライン系では作れないので。

しかし想像してほしいです。様々なサービスがひしめいている中で、自分たちをブランディングしていったり、心の中に残してもらったりすることって、非常に重要じゃないですか。

みなさんの中でいかにお客さんに印象付けるかということについて、リソースを押さえてやっていると思います。その場合、領収書や請求書というものが意外と効果を発揮していると思いませんか?

例えば請求書ひとつにしても、ただの白地に黒い文字で体裁で書いているものと、背景に自分たちのコーポレートの写真が薄く敷いてあったり、フォントが凝っていたり。もちろん見やすいことが前提ですが、そういったものがあるとブランドの感覚が変わると思いませんか?

例えば名刺はすごく気を使う人が多いですよね。でも名刺以外の印刷物に気を払っていない人が意外に多くて、領収書なんかは意外にも多くの人の手に渡りますから、綺麗だとすごく印象がいいです。

「この会社ってセンスがいいよね」「この会社ってなんか違うよね」というふうに思われ、だんだんとブランドが形成されていくわけです。

なので、テンプレートを使っていけないというわけではありません。ただ、それを受け取る人に対してどのような印象を与えたいのかというのを考えた上で、一度テストをすることをお勧めします。ないし、今あるものをチェックすることをお勧めします。

それによって改善点見つかると思います。正直、うちの会社も全てうまくやれているのかというと自信はありません。うちの会社もやっと、ニュースレターは綺麗なデザインに変えましたが、領収書請求書あたりも変えたいと思っています。

皆さんもその辺り、ぜひチェックしていただければと思います。

ストックフォトは、お客さんにはすぐわかる

便利だけで見ていると効率化の面だけで見ることになります。そうではなく、トータルで本当にそれでいいのか、相手のことを考えてチェックしてみてください。それ以外にも、素材やストックフォトも「便利だ。安くなった」といって出来合いのものばかり使っているとバレます。特に素材の写真というのは見る人によっては分かります。

一番最悪なパターンは「あれ、この写真どこかで見たぞ!」というパターンですね。次は「あれ、この写真、不自然だな」これくらいの違和感を持つ方はたくさんいらっしゃいます。

以前、お客さんと同行した時に、車から外の看板を見た時に「あの写真ってなんか不自然だよね」と何の前触れもなく言った方がいました。それは私も見ていて分かりました。某素材写真提供会社の動物の写真でした。

不自然だったわけです。それはお客さん無意識の領域で分かります。そういったものはマーケティングの面では非常にマイナスになりますので、できるだけオリジナルな写真を使うことをお勧めします。

ストックフォトを使うことはあると思います。大きな会社だとすると「撮影なんかやってられない。写真はストックフォトから選んだほうがなんだかんだいいよ」というケースもあるかと思います。

だとしたら、競合他社が類似のイメージを使っていないかチェックの方をお願いします。最悪のパターンは、商品の写真がよそからの借り物というものですね。

ペットショップの犬の写真が全て素材からのものでした。これは誰が見ても露骨に怪しい。おかしいですよね。毎月同じものが送られてくるんです。全然成長していない。そういうことは消費者は非常に敏感に感じ取ります。それは売れなくなります。

楽をするのではなく、お客さんのことを考えたら、そのようなものを使ってはいけないものは使わない。そうでない時には使い、効率化を進めていく。

使い分けですね。必ず、顧客目線を考えて行なうようにしてください。

ということで本日は、便利なものやツールこそ注意して使うべきという内容でした。業務効率化という観点だけで見ると、マーケティングがおろそかになります。お客さんに対しての目線がおろそかになります。そのようなところを見直す機会にして欲しいと思います。