起業したほうがいいな、て人は見ればわかる

小林:新しい仕事を作るということで、皆さんフロントランナーで、「自分で新しいことをやっている」という自覚を持ってやっていると思うんですけど。それに取り組む上でのメンタリティはどういうものなのかをお話しください。

たぶん、皆さん新しい仕事を作りたいって、そういう職業になりたいですよね? 川村さんちょっと。新しい仕事を作るうえでのメンタル的なものは? 何があったらそうなるんですか?

川村:僕は、経歴的にいろいろ移りまくっていたり、国も変わっていたりするんですけど、内心はめちゃめちゃ縁側でお茶すすったりしたいんで、そういう欲求はなかったんです。でも、ゴールはちゃんと大学の在学中に「物を作っていく」っていうことにしていて。

そのものを作るっていうときに、一番面白いとか、大事にしたいと思っていたのが、ジョブズの言ったことじゃないですけど、ちょっと伝統を作る、クリエイティブで作っているものの可能性を広げるとか、何を作っているか、SEXドールを作っているような活動でも良いんだけど、それを見ている人の頭の中でスイッチが入ったり、そういう世の中の見方があるんだっていうようなものが、作る価値のあるものだと思っていて。

単純にそれを、自分だったり自分の周りの人が量産できるような環境や仕事を作りたいなと思っていました。そうやっていくと色んな会社に入ったときに、企業に入るメリットってたくさんあって、自分で会社をやると余計に感じるんだけど、だから会社ってあるんだと気付いて。みんな会社って辞めて始めればいいじゃん、と思っていたところがあるんだけど、とんでもなく大変だし、やってみないとわからないことがたくさんあると思って。

そういうことはさておき、やっぱりそういうところにいることで自分がスローダウンしちゃったりするので、理想とする新しいもの、面白いものを量産することが、ここにいたらできないとか、ここにいたら10年間ぐいぐい頑張り続けてやっと1個できることが(会社を)辞めれば10か月でできちゃうとしたら、やっぱり辞めて自分の仕事を作るしかないなと。

そのためには昔会社にいたときのコネクションや経験の積み重ねがあって、やっと貯まりきってできるかなと思ったのが3年前くらいのタイミングだったので、そこで「えいや」って。ずっとそこにいて文句言いながらも頑張りつつ、時間を無駄にするよりも早いなって。

そういうタイミングになった人はやれば良いし、既存の会社にはまるビジネスモデルじゃないものを思いついてやりたい人が、出てやれば良いかなという感じですね。会社にいて面白いことができる人もいる。たまに止めることもある、「君はそこの会社にいたほうがメリットある」って。

そうじゃないなって言う人は見ればわかるんで、それは自分の仕事を率先してやる。自分の仕事って言うと、日本だけじゃなくて海外でも活躍できる、というのがキーワードとして出てきていたから、あえて触れると、日本に捉われずに、業態にも捉われずに、新しいことしたい人がどんどん出てきてくれると良いなと思います。

2つの文化が衝突するところに新しさが生まれる

渡邉:今おっしゃっていたことは素晴らしいなと思います。確かに僕たちはたまたまこうやって新しい職種というか、ものづくりの角度からアプローチしているんですけど。すごく大きな企業じゃないとできないこともあるし、我々みたいなところでしかできないことがあって、そうしたバランスの中で、世の中が楽しい方向に動いていくんだろうなって思いますね。

僕たちの場合は、新しい仕事すぎて他の人に理解してもらえないことがすごく多いですね。僕たちはデザインエンジニアって言っているんですけど、デザイナーだったら何を作っているんですか? と聞かれて、普通だったらプロダクトデザイナーはプロダクトを作っているから、自転車とか鉄道とか言えるんですけど、僕たちは結構幅広いんですよ。最近、説明するときに、よく人工衛星から和菓子まで作っていますと言っています。

人工衛星と和菓子って同じ直線上に繋がるのだろうか。なかなか表現が難しいのですけど、芯にあるのは、複数の領域とか情報度とかのオーバーラップするところに新しいものがあるかと。伝統と革新の間に未来の和菓子があるとか、芸術と工学の間にアートサットという地球と交信することで芸術に役立つような人工衛星をつくろうとか、そういうことが我々の得意とするところで。

逆に言うと、同じ場所で同じことをコツコツやるというよりも、1つの考え方のツールや、ものづくりのツールを利用して色んなことに挑戦するというのをやっているなと。

僕自身の話ですけど、ブリュッセルとか香港とかって、2つの文化が衝突する場所なんですね。香港はイギリスと広東という中国の場所がぶつかるコンフリクトがあって、芳醇な文化ができた。ブリュッセルもフラマン地方とワロン地方という、フランス語とオランダ語のぶつかる、それぞれの文化がぶつかると、そこでしかできないものが生まれる。

道路標識も2つの言語で書いてあって、フランス語だけでなくオランダ語でも書いてあるといった、そういう場所でしか生まれないものがあるみたいな。さっきの振り子じゃないけど、波打ち際って言うか、その文化と文化が衝突してオーバーラップするところに突然変異というか、今まで見なかったものが生まれるかもみたいな、そういったことに挑戦した人種だったのかなと。

おじさんにとやかく言われない仕事をしたかった

小林:佐々木さん、僕は不思議なんですけど、東洋経済ってすごい古い会社じゃないですか。なぜネット企業の経営者のように変わってしまったのかと。

佐々木:新しいことを狙うときのメンタリティとしては、おじさんのいないところを狙うというのがあります。それは組織でも個人でも同じことでして、さっき小林さんが編集長になりたかったのかとおっしゃっていましたけど、編集長になりたかったっていうよりも、あんまりおじさんにとやかく言われない仕事をしたかったんです。

そうすると、紙の編集部にいると早くて40代前半ですね、編集長になれるのは。それまでは上の人にずっと言われ続けるじゃないですか。それが嫌だったんで、デジタルの上手くいっていない方に行ったっていうのがあります。

青柳さんがこんないすごい起業家になったのも、当時出てきたばかりのソーシャルゲームにかけたというのがあると思うんです。古い業界のノウハウって絶対大事だと思うんです。私が今色々とできているのも、紙で何年間も伝統的な編集の手法を学んだからなんですけど、ある程度学んだら、おじさんのいないところを狙ってそのノウハウと新しい領域を融合させて何かをやるのが、組織内でも組織外でもありなんじゃないかと。

小林:それが新しい仕事を作ることですね。今、ピンポンですね!

佐々木:ハイ。

今、ベンチャー企業は良い狙い目にいる

青柳:確かに20代の話があって、僕とか佐々木さんとか、そういうところからアプローチしちゃう癖があるなというのがあるなと思って聞いていたんですけど。20代30代って、第一戦略として周辺にいる周辺領域とかエッジの部分とか、何か異質なもののクロスロードのところに誰よりも早く行ってみるっていうのは、自分に良いきっかけやチャンスを与えるなと思いました。

確かに私も金融の会社に入って、金融業だから頭の良い人が沢山いるんですよ。金融とか経済のゼミにいて、そういういわゆる優秀な人たちを小学生ぐらいから見ていました。その中で自分が輝く場所はどこだろうって、卑屈になる必要はないですけど、考えさせられて。

大手の企業で金融のバックグラウンドで、という仕事はたくさんあるし、飛び込む人もいるんですけど、そういうコーポレートファイナンスみたいな、ここ20年くらいでバーっと立ち上がってきたものと、リーマンショック前で立ち上がったものと、ベンチャー企業っていうのはよい狙い目にいるなと。

じゃないと、私は26歳で会社に入ったんですけど、財布を預けますとかなかなか言ってくれない。当時インフィニティ・ベンチャーズの小林さんが取締役でいて、26歳で役員なんてなかなかないじゃないですか。チャンスがあったって言うのはあるかなって思います。

そういうところに行った方が、上の世代がいるからということで詰まっている状況もなければ、自分の後ろがいないっていう状況が生まれて、ポテンシャルが引き出されやすいなって客観的に振り返って思いますね。

新しいことをするときはトライ&エラーしかない

小林:なんか聞きたそうですね、佐々木さん。すごい直樹、成長したなって思っているんじゃないですか?

佐々木:大学の1、2年のときから輝いていましたね。プリンスみたいに輝いてモテモテでしたからね。

小林:新しいことをするときに事例がないと、どうやってスキルアップをしているんですか? どういう風に能力を身につけるんですか? 僕も新領域に挑戦したいなと思っていますから。何かヒントがあれば教えてください。佐々木さんはどうですか。

佐々木:実践しかないですね。トライ&エラーしかないんじゃないですか。前例がないので。

小林:アメリカとかでは、さっきの事例とかに実際行ってみて話を聞いてみたりしないんですか?

佐々木:いや、ないですね。想像だけで。