イギリスの植民地支配の終了

おおたに:といっているうちに、1941年に起こったのはなんでしょう。

たけちよ:第二次世界大戦。

おおたに:うん。45年に終わると、アジア各国が独立していくじゃないですか。それでやっとインドは1947年8月15日に独立しましたね。同じ日にパキスタンも分離独立しているみたいですね。

たけちよ:そこまでは一緒だったんですか?

おおたに:そうですね。だからたぶんヒンドゥーの人たちがインド、パキスタンの人たちはイスラムが多数派なのかな。翌年にはセイロンも独立して、イギリスの植民地支配が終わりました。セイロンって知ってる?

たけちよ:セイロンティー。

まき:私もお茶のイメージ(笑)。

おおたに:そうですか。たぶん、私が小学校で習った時は名前がセイロンだった気がするんだけどな。スリランカと呼んでなかったと思うな。ボンベイって知ってます?

たけちよ:はい。ボンベイ……カレーの名前?

おおたに:今はムンバイと呼ばれている町だよ。

たけちよ:そうなんですか。

おおたに:それも途中で名前が変わった。現地の呼び方になったのかな?

たけちよ:あー! そういうことですか。

おおたに:そういうこと。だから、ボンベイ、セイロンは呼び名がムンバイ、スリランカになったということかな。この頃、カシミール問題が起きます。カシミールのマハラジャが、自分はヒンズー教徒だけど、住民の80パーセントはムスリムという場所だったのね。

たけちよ:あ!

おおたに:カシミールという場所は知ってます? インドってすごく大雑把にいうとひし型じゃん。ひし型の上のとんがったところ。パキスタンの一番北と重なっているようなところなんだけど、そこの王様が、パキスタンが武力介入してきたので、自分はインドになりたいということで、インドに「兵隊を送ってくれ」と言っちゃったのよ。

インドとパキスタンの国境が“点線”の理由

おおたに:それで第一次印パ戦争。インド・パキスタン戦争が起きて、それ以来ずっと紛争が起きていてまだ解決してませんね。

たけちよ:あれですか? 外務省の安全情報で真っ赤になっているあたり。

おおたに:この間、東急ハンズで買った例のビーチボール。その地球儀では白くなっていますね。国境の線がない。点線になっていますね。

まき:あー!

たけちよ:あいまいな……あいまいというとあれですかね。「争っているからどっちともいえないよ」という感じですか?

おおたに:そんな感じですね。

まき:この前のモロッコの時と同じような。

たけちよ:モロッコも白いところがありましたね。

まき:ありますね。

おおたに:西サハラか。

まき:西サハラです。

おおたに:ビーチボールでは、西サハラはちゃんと線が引かれていますけどね(笑)。なかなか微妙な程度の違いがあるのかな? ちなみに、パキスタンもインドも核保有国ですからね。

たけちよ:おー、危険ですね!

おおたに:そこが紛争しているという、危険な状態になっていますね。

たけちよ:だからお互いに使えないという状態ですかね。

おおたに:そうかな。「そんなこと言わずに、ヒンドゥーとイスラムは仲良くしようよ」と、ガンジーさんは分離独立に反対したんですね。だけど「そんなことはわかれましょう」といった狂信的なヒンドゥー教徒に、ガンジーさんは暗殺されちゃいます。1948年ですね。だからガンジーさんは首相になってないのかな。初代首相はネールさんか。

たけちよ:ネールさん、聞いたことありますね。

おおたに:ありますね。それで1965年か66年にはもう1回、第二次印パ戦争。インド・パキスタン戦争が起きてますね。国連の仲裁で停戦してます。だからまだ停戦なんだね。

たけちよ:停戦なんですね。

バングラディッシュの独立

おおたに:そのあとも1971年に第三次印パ戦争というのが起きていますね。ベンガル地方って知ってます?

たけちよ:聞いたことありますね。

おおたに:今のバングラディッシュなんだけど、昔パキスタンが2カ所に分かれていたわけよ。

たけちよ:そうなんですか。

おおたに:西パキスタンと東パキスタンに。東パキスタンもムスリムが多いんだけど、政治の実権は西パキスタンにあって、今のパキスタンが両方離れたところを統治していたわけね。

たけちよ:ふーん。だってインドをはさんでバラバラですよね。

おおたに:そうなんだけど、パキスタンなんですよ。だからまるで西高東低じゃないけど、東パキスタンは貧しいし、西パキスタンは植民地みたいな形だったのね。そんな時、1970年にサイクロン。この地方の台風だね。場所によって呼び名が違うんだよね。

たけちよ:うん?

おおたに:メキシコ湾ではハリケーンと呼ぶじゃない。日本に来るのは台風、タイフーンとかいうじゃない。

たけちよ:発生場所で名前が違う。

おおたに:うん。インド洋とかで起きたのはサイクロン。仮面ライダーのバイクの名前だっけ?

たけちよ:あ、そうなんですか?

おおたに:まあいいや(笑)。そのサイクロンが来て、東パキスタンはほとんど湿地じゃないですか。それで国土のほとんどが水没して30万人から50万人の方が亡くなったそうです。だけど中央政府は西パキスタンにあったから、離れているからあまり援助とかしなかったのね。怠慢していた。

それで市民が怒って西パキスタンからの独立運動が広まったんですね。パキスタン軍が制圧を開始するんだけれど、それによって多くの難民が発生してインドに流れ込んだわけ。だけどインドは当時も今も貧しいじゃないですか。そんな難民なんか抱えられないので、インドは「むしろ独立させましょうよ」ということで、全面戦争になったのが第三次印パ戦争。

もちろんインドは人もたくさんいますから、結局勝って、東パキスタンは1971年にバングラデシュとして独立したんですね。という歴史があります。「バングラデシュになったんだ!」というのは、私にとってはニュースですけどね。

たけちよ:当時、見てたんですか?

おおたに:見てましたよ。「見てましたよ」というか、「東パキスタンだったのがバングラデシュになったんだ」というのは、中学2年生だけど思ってたよ。

たけちよ:へぇー。気づいた時にはバングラデシュでしたね。

おおたに:そうなんですか(笑)。

たけちよ:はい。何かで、とても貧しい国だというので。

アジアを重視するインドの政策

たけちよ:緑地に赤い丸でしたっけ?

おおたに:そうそう。国旗は日の丸だよね。

たけちよ:はい。日の丸と同じデザインで。

おおたに:日本の白いところが緑なんだよね。なんかシンパシーを感じるよね。

まき:はい。

おおたに:そんなインドですが、最近の細かいことは省略してですね。どうやらインドの最近の政権はルックイースト政策というのを取っているらしくて。東を見よう。だからアジアを見よう、と。ほかにもルックイーストをあげていたところはどこだったかな? インドネシアだっけ?

たけちよ:そうなんですか?

おおたに:マハティール首相とかが、ルックイースト政策をやっていたかな。そのルックイーストは日本だったんだけど、インドから見てルックイーストだからアジアと友好関係。アジアを重視しましょう、ということ。

なので、中立非同盟だそうです。だけどアメリカや旧宗主国のイギリスとも友好な関係を取っている国ですね。昔からそうだけど、最近はインド人というと数学が得意だし、IT産業で優秀な人が多いじゃないですか。ウチの会社にも来て働いていますけどね。あとはソフトウェアもインドで作っていますね。経済成長を続けていて、経済成長率は10パーセント以上かな。

たけちよ:それはけっこうすごいんですか?

おおたに:すごいでしょう! ロシア、ブラジルなどともに何と呼ばれているでしょう?

たけちよ:ロシア、ブラジル……BRICs?

おおたに:そうですね。というところまでが今日の授業ですね。

(授業終了のチャイムの音)

おおたに:おや、鐘がなってしまいましたね。それではこのへんで、ややこしい、ややこしいインドの授業を終わりにしまーす。

起立、礼!

インド映画「ボリウッド」の魅力

おおたに:さあどうでしょう、インドの歴史。すごく多かったけどわかったかな? どうですかね? ごちゃごちゃしすぎ?

たけちよ:でも、流れはつかめましたね。

まき:同じくです。はい。

おおたに:よかった、よかった(笑)。すごいね、インドの歴史。

たけちよ:すごいですね。

まき:深いですね。

おおたに:これで興味を持った人は、それぞれのところを勉強するきっかけになってくれればいいよね。

たけちよ:はい。

まき:でも、これだけ深くて、いろんな出来事がある国となったら、やっぱり旅に行きたくなっちゃいますよね(笑)。

おおたに:そうですか?

まき:そうなんです、はい。

おおたに:インドって「ボリウッド」というインド映画が有名じゃないですか。

まき:あ、「ボリウッド!」

たけちよ:はい。大好きです!

おおたに:何でボリウッドというか知ってる?

たけちよ:えっと……。

おおたに:今ムンバイだけど、さっき授業でいった。

たけちよ:ボンベイ!

おおたに:ボンベイのハリウッドで、ボリウッドだね。

一同:へぇー!

おおたに:『踊るマハラジャ』とかが有名だったけど、ちょっと古臭くて、やたら踊ってばかりで長い映画かなと思ってたわけね。だけど、最近……去年だったかな。『きっとうまくいく』というインド映画を見たら、あれはすごくよかったよ!

まき:見ました、見ました!

たけちよ:あれ、すごいよかったです!

おおたに:おもしろいし、よかったよね。けっこうモダンでさ。あれは大学を卒業した若者たちがどうやって人生を切り開いていくかという映画だっけ?

一同:はい。

おおたに:あれはよかったなと思って。全然退屈しなかったし。

たけちよ:あれは王道をいくエンターテイメントという感じで。

おおたに:見てて楽しくなるし、希望が持てるいい映画だよね。だから、「まだ見てない人はぜひ見てください」と宣伝しとくか(笑)。ある時期の「TSUTAYAが選ぶベスト映画」に選ばれていたような気がするよ。本屋の人がお勧めする本屋大賞というのがあるじゃないですか。そんな感じで、TSUTAYA大賞なのかどうかはわからないけど、お勧め映画に選ばれてたよ。

荒唐無稽なストーリーが楽しい

たけちよ:へぇー! 他にもインド映画が好きで。

おおたに:見てる?

たけちよ:はい。飛行機に乗った時に、日本語字幕とか日本語吹き替えがない状態でもボリウッドならけっこう楽しめるので。

おおたに:なるほど。

たけちよ:はい。それで見たり。あとは「インド映画が好き」というと、友達が勧めてくれたりして。『マッキー』という映画がバカバカしくておもしろかったですね!

まき:それは見たことないですね。

おおたに:じゃあ、探すか!

まき:ね、探しましょ!

おおたに:うん。

たけちよ:美女に惚れた男が、美女を落とそうとする金持ちの男に殺されちゃうんですけど、その金持ちの男はすごい悪いやつなので、美女をその悪いやつから守ろうとする執念からハエに生まれ変わるんですよ。

まき:ハエですか!?

おおたに:その奔放なところがいいよね。超能力が出てきたり、荒唐無稽なストーリーが多いよね。見て楽しめるんだよね(笑)

たけちよ:ハエになって彼女を守る映画なんですけど。

おおたに:ハエ人間みたい。

たけちよ:バカバカしくって。美女が涙ながらにそのハエに向かって愛を語ったりするんですよ。

まき:えー! おもしろそう!!

たけちよ:すごいバカバカしくって(笑)。

おおたに:あと最近はロケ地として、日本の地方自治体がインド映画を誘致したりしているらしいよね。

たけちよ:そうなんですか!

まき:そんな動きもあるんですか?

おおたに:富山だったかどこだったか、そういうところで紹介されると、いい景色として紹介されるわけじゃない? インド人がその映画を見て、日本にいっぱい観光に来るんだって。しかもその地域に。

たけちよ:そうですよね!

おおたに:うん。

たけちよ:けっこうドラマとかでも、ドラマで紹介されたのに妙に人気が高くなる土地とか。

おおたに:そうだよね。俺も映画を見て、イタリアに行きたいとかクロアチアに行きたいとかあるもんね。

たけちよ:ありますね。

インドといえばやっぱりカレー

おおたに:というようなことがあります。あとは、インドといえば何かありますか?

たけちよ:インドといえば、ですか?

まき:インドといえばカレー。

おおたに:カレーですか(笑)。

まき:やはり王道(笑)。

おおたに:やはりカレーを食べにいかなくちゃいけないかな。

一同:行きたいですねー!

おおたに:じゃあ、ラッシーを飲んでカレーを食べに行きますか! うちの近所にもあるしね。

たけちよ:おー! インドカレーですか?

おおたに:そうそう。

たけちよ:実はネパールだったりしないですか?

おおたに:うーん、どうなんだろう。両方一緒かもしれない。でも、ナンを出してるしね。けっこうお買い得だよ。駅からうちに歩いてくる途中、西友の前にあるよ。ローカルな話ですが(笑)。

まき:あれ? あったっけ?

たけちよ:ありましたっけ?

おおたに:あったよ。マックの向かい。

まき:マックがあったことすら覚えていない(笑)。

おおたに:じゃあ、インドのカレーを食べに行きましょう!

一同:はーい!

おすすめPodcast「そんない美術の時間」

おおたに:このインドの回を編集中に、他のPodcastでインドについて、そしてインドだけじゃなくて仏教全体、仏教美術について、おもしろく、わかりやすく語っているのを聞きました。その番組の名前は「そんない美術の時間」っていいます。収録前に聞いていたら、授業の中でみんなで取り上げられたのに残念ですね。

仏教とヒンドゥー教について、それからストゥーパー、法輪、仏足石などについて語っています。もしかしたら、インドの国旗にある真ん中の丸いのは法輪なのかもしれませんね。日本で唯一、仏舎利、お釈迦様の骨を祭ってある名古屋の覚王山の日泰寺に、今度私も行ってみようかなと思いました。

覚王山は、スターアイズというジャズバーがあってよくライブで聞いていたんですけど、実はお寺が気になっていたんですよね。そして「そんない美術の時間」は、他の回もすっごくおもしろいのでみなさんもぜひ聞いてみてくださいね。私の大好きなPodcastの1つです。では、また2週間後、お会いしましょう!