海外のベンチャー3社によるプレゼンテーション

田中章雄氏(以下、田中):今回は、海外の注目企業のプレゼンテーションということで、これから日本と何らかの形で関わりを持ちたいと考えている、海外のベンチャー企業3社を招きました。彼らから、どんなビジネスをしているのか、日本との接点はどういうところかということを中心にお話しいただきたいと思います。

MamiLove(マミラブ)のアリスさん、Kamcord(ケムコード)のマットさん、Eyeota(アイオタ)からはケヴィンさんをお招きさせていただきました。

これから、それぞれのゲストに自己紹介をしていただきたいと思います。何をしているのか? 地域での共同ビジネスとしてどんなアイデアがあるのか? などを、簡単に紹介します。ケヴィンの話から伺ってみたいと思います。あなたは誰ですか?

ケヴィン・タン氏(以下、ケヴィン):私はアイオタの共同創業者です。オーディエンスデータを扱う会社で、世界中の顧客に関する最大規模のデータを持ち、デジタルでの広告配信などのために使用します。

田中:専門用語が多くて、なかなか理解するのが難しいですね(笑)。アリス、あなたはもう少しわかりやすく自己紹介してください。

アリス・チャン氏(以下、アリス):アキオさんのお願いどおり、自己紹介を簡単にさせていただきます。

田中:短く優しくで、お願いします。

アリス:私はエンジニアであり、最も大事なことは母親でもあります。親としての仕事は、非常に時間をとられてしまうものです。私が組織しているマミラブは、地域において人々が信頼して情報交換ができる場をWeb上に作っています。台湾に拠点を構えていますが、海外からの交流もしばしばあります。今後は台湾だけでなく、さらに海外に進出したいと思っています。

田中:アリス、ありがとう。マット、お願いします。

マット・ジッツマン氏(以下、マット):私はマットです。 ケムコードの共同創業者であり、CEOをしています。サンフランシスコでスタートアップの会社を始めました。ビデオゲームのセッションの録画は、現在さまざまなサイトで流されています。

こういった傾向は今非常に流行していて、YouTubeやニコニコ動画などでも映像が流されています。私たちは、このゲームの録画システムを携帯などのモバイルでもできるようにし、それを世界中に広めようと考えているのです。

田中:どうもありがとう。さあ、ではケヴィンの話から始めてみましょうか。一番難しいかもしれませんが、準備はいいでしょうか? ケヴィン、説明がとても難しいと思いますが、プレゼンテーションをお願いしてもいいでしょうか?

最も簡単な方法で、アイオタが今何に注目しているのか、なぜ私たちが共同で仕事をしていくべきなのか説明していただけますでしょうか?

オーディエンスデータを使ったデジタル広告配信

ケヴィン:確かにデジタルの宣伝配信システムを説明するのは、非常に難しいことかもしれません。たくさん省略した言い方も出てきます。しかし、できるだけ簡単に説明できたらと思います。

アイオタはオーディエンスデータを扱っています。世界中の大規模なマーケットにおけるオーディエンスデータであり、初期にはヨーロッパ、そして現在はアジア太平洋地域にも拡大しています。

オーディエンスの個々の数としては、12億という巨大な数です。しかし、それぞれの地域のデータを扱うようにしています。

田中:つまり個人のデータを売り買いしているのですか?

ケヴィン:これはパブリッシャー(発行元)を通して行われており、消費者の許可も得た上で、プライバシーを隠してあるため、個人の特定はできません。私たちは情報を正当に扱っており、個々の情報であっても大きなグループに加えられていくのです。

田中:つまり、個人を特定する情報は入っていないということですね。

ケヴィン:外部の人には個人情報を特定できないようにしています。つまり、私は誰かの秘密を明らかにすることはないということです。

2010年に創業して、私以外に2人の共同創業者がいます。彼らとは以前からともに仕事を行っており、成功を収めています。私たちがカリフォルニアで始めたハダファイというスタートアップは、すでにアメリカの大規模なメディア企業に買収されました。

その会社の成長の過程で、「プログラム化されたデジタル発信の広告」が非常に成長の早い分野であり、オンラインでの広告の売買が流行となっているのに気がつきました。その広告の配信をより効果的に行うために、欠かせないのがオーディエンスデータとなります。

つまり、オーディエンスのデータが最も重要であり、私たちが開発したのは、そういったオーディエンスデータをより簡単に取り出し、取り扱いができるシステムです。それがデジタルでの広告配信に使用されます。

プログラム化された広告配信のメリット

田中:「プログラム化された広告配信」が大事な言葉と言えるでしょうか。この「プログラム化された広告配信」について理解している人は、手を挙げていただけますか?

ああ、なるほど。本当にみなさんが理解しているか、確認しますね。(参加者に向かって)どういう意味か説明していただけますか?

参加者:プログラム化された広告配信は、リアルタイムでの情報交換によって行われます。それはパブリッシャーにとって広告の効果を最大限にするものであり、また購入者にとっても有益なものです。プログラム化されたということは自動式ということにもなります。

田中:1つの定義ですね。(別の参加者に向けて)こちらはどうですか?

参加者:プログラム化されたということは、どこにお金を使うべきか、つまり広告をどこに配信するかを自動で決めるシステムということです。購入者の興味のある分野における広告を配信することができますし、人ではなくコードを使って行うので、効率があがります。

田中:ケヴィン、この回答は1から10で評価するとどうですか?

ケヴィン:かなりよいと思います。

田中:スライドに戻ります。ケヴィンからも説明していただきたいと思います。手を挙げなかった人のためにも説明しますが、プログラム化されたということは、機械に組み込まれたシステムが広告の売り買いを自動で行うということです。人ではなくて、ということです。次のスライドですね。

ケヴィン:現在、プログラム化された広告が世界各地で広がっていますが、以前からのデジタル化された広告は、実はかなり人力に頼っている面がありました。多くの書類、時間、労力を必要としていました。

数千ものWebサイトを見て、メディアの企画をして、パブリッシャーに広告を買うように働きかけなくてはいけなかったのです。

しかし、コンピューター化して広告の売買を自動化することで、ストック(株)の自動での売り買いと同じように、すべてのシステムをより効率よくすることができます。広告がリアルタイムで配信されますし、その過程の中で、機械についていろいろと学ぶこともできます。

つまり、コンピューターに重労働をさせ、人間が企画や分析などのより高度な知能を要する分野に集中することができるのです。

世界中で拡大するシェア

田中:日本はこの分野では若干遅れていると思いますが、このプログラム化された広告配信は、日本以外の国ではすでにかなり広く使われているんですよね?

ケヴィン:そうですね、かなりのシェアを占めています。この分野の先進国である米国やイギリスでは、デジタルでの広告宣伝の50パーセント以上で、プログラム化された広告配信が使われています。

田中:プログラム化された広告配信がすでに主流となりつつあるのですね。

ケヴィン:納得だと思います。広告のエージェントや購入者にしてもずっと効果的ですしね。こちらのスライドをご覧ください。

近年行われた、世界のデジタルマーケットにおけるデータです。世界中で、プログラム化された広告配信システムに消費される額が、年ごとに増えているのがおわかりでしょうか? 2020年までに、46億ドルもの費用が、広告配信システムのために消費されると思われます。

広告のために投資された額が大半を占めていますが、25〜40パーセントほどはオーディエンスデータのために消費されています。時とともに傾向が変わりつつあり、以前は開発のために投資されたお金が大半でしたが、現在はオーディエンスデータの獲得のために使われるお金がより増えてきました。つまり、オーディエンス自体の価値が出てきているということです。

田中:日本は宣伝業界でのエージェントの数が、かなり密となっています。彼らは、職を失うことを心配するべきだと思いますか?

ケヴィン:日本の宣伝業界が心配する必要はあまりないと思います。プログラム化された広告配信システムがエージェントの仕事を助け、さらに宣伝の価値を高めていくと思います。ただ、以前よりもより効率的になるということです。

さらに、主要な宣伝業界のエージェントたちは、このプログラム化された宣伝システムを励行しており、ビジネスをより効率的に、しかもコストを抑えられるとすすめています。

田中:そうなることを期待しています。どうぞ続けてください。

質の高いオーディエンスデータの集め方

ケヴィン:質の高いデータは、大規模のパブリッシャーによって売り出されます。登録や入会する際のデータなどです。パブリッシャーとして、例えばFacebook、YouTube、Twitter、LinkedIn、Yahoo、Googleなどです。

こういったパブリッシャーは、ユーザーの動向を1日に何回もいくつものデバイスから追っています。そうすることで、ユーザーが何をしているかすべて把握しているのです。こういった情報はビジネスにおいて非常に有用であり、役に立つため、ほとんど自社で管理されており、他のグループにそれらのオーディエンスデータが出回ることは、あまりありません。

何がオーディエンスデータなのでしょうか? それは、ある時点においてのインターネットの利用者の情報なのです。そのデータは、本当の人が実際にインターネット上で行っている行動のデータとなります。

例えば、CRMデータなどはかなり煩雑で、実際に何が起こっているのかはっきりとわかりません。私たちのデータはそれらを整理し、よりわかりやすくするため、メディア企画や広告の購入などを手助けします。

田中:どこからこういったデータが出てくるのでしょうか? ハッカーにデータを集めさせているのですか? もしくは、IRSにデータを集めさせているのですか?

ケヴィン:そんな方法で私たちが仕事をしているわけではありません(笑)。私たちは3万以上ものネット上のパブリッシャーと提携しており、テレコムやeコムサイト、プロダクトを比較するサイトなども含まれます。インターネット以外の情報も含まれ、そういった情報をオンラインのデータと比較したりもしています。

田中:オンライン情報やオフラインの情報も含まれるのですね。

ケヴィン:そうです。主な考えとしては、実際にターゲットとなりうる顧客層をできる限り探し当てることが、大事なポイントです。なので、さらにメディアにおけるデータ情報を探すことに尽力しています。

エージェントは、そのデータをメディアにおける企画のために使用します。つまりモバイルで、ターゲットとなる顧客層のデータをわかりやすく見せるのです。

つまりデータを引っ張り出し、集め、それを処理し、広告する側に理解しやすいようにセグメント化していきます。広告側と相談しながら、セグメント化された情報を示すためのプラットフォームを作り、モバイルやビデオなどを使って見やすくしています。

プラットフォーム上ではDSPEやDMPE、PMPEなどが使用されます。それらは広告配信において使われる技術用語ですが、今は世界75ヵ所に拠点を構えています。

つまり、オーディエンスデータは広告のターゲットとなりうる顧客層をより効果的に見つけて、メディアの企画や広告を売買する企業が消費するお金の価値を最大限に高めるのです。

オーディエンスデータは、アドテク(広告テクノロジー)のエンジンを加速させます。オーディエンスデータがインターネットにおいて、マーケティングの広告配信を支える土台となるのです。