父親予備軍は要注意
あなたの健康状態が精子に与える影響とは

How Health Affects Sperm

これから生まれてくる子供の健康状態を考えて、母親たちの多くはタバコやお酒を避けたり、食事に気を使ったりしています。しかし最近の研究によれば、精子が持つ遺伝に関する情報は、父親の健康状態に影響を受けるとのこと。つまり、子供のことを考えたら父親になる人も健康的な生活をしたほうがいい、ということなのです(SciShowより)。

DNAを圧縮する「ヒストン」とは

マイケル・アランダ氏:精子は人間の体を形成するたった50マイクロメートルの大きさの最も小さな細胞なのですが、23染色体中に人を形成するために必要な何百メガバイト分もの全ての情報が詰まっています。あなたが持っている最新のマイクロSDカードでもそんな記憶密度は備えていないでしょう。

私たちは今週出版された細胞代謝について書かれた雑誌のおかげで、精子は遺伝情報のみならず、エピジェネティック情報も運んでいるということを知れました。

あなたのDNAというのは、あなたを形作るために細胞に働きかける、つまり、ゲノムを作り上げるために働きかける司令塔なのですが、すべての細胞がゲノムの完全なコピーであるにも関わらず、その情報が使われるのは特定の部位でに限られています。どこでどう使われるかは、エピジェネティックの情報によります。

あなたのDNAはとても複雑で、とんでもない長さを持つ分子です。そのため、あることが行なわれます。DNAの分子をひとつ伸ばしてみたとしたら、その長さはなんと2メートル!

さて、2メートルもの長さの分子を細胞核内にどうやって収めていると思いますか? 実は「ヒストン」と呼ばれているたんぱく質の長い繊維でDNAをぎゅうぎゅうにしばっているのです。分子をバネ状にぐるぐる巻きにして、圧縮しているのです。

DNAはヒストンに50回以上巻かれるのですが、こうしてDNAを圧縮することにより、細胞がDNAより新たな情報を受け取ることはできなくなります。

精子はDNAを運ぶだけのものだと思われていたが……?

ヒストンとDNAに関してさらに言えば、エピジェネティックによる決め事も忘れてはいけません。

「エピジェネティック」とは「遺伝子を上回るもの」の意味で、あなたのDNAの上に位置するもので、DNAの何処をどうきつく巻けば良いか、何処をゆるくすればいいかを細胞に伝えます。

DNAの巻きをゆるくすると、細胞はそこから遺伝子情報を読み込むことができ、巻きをきつくすると、細胞は遺伝子情報を読み込むことはできないのです。

細胞が違ったエピジェネティック情報を持つおかげで、神経細胞は神経細胞になり、筋肉細胞にはならないのです。神経細胞がDNAから読み込むべきなのは神経細胞になるための情報であって、筋肉細胞になるための情報ではないのですから。

エピジェネティックが私たちに及ぼす影響の大きさは計り知れません。生き方にまで影響するのですから。体重、ダイエット、ストレス数値、日々の気分でさえも、エピジェネティックを変化させてしまうのです。

私たちはエピジェネティックやDNAが脈々と受け継がれて来たものだと知っています。しかし長い間、遺伝学者は精子細胞はゲノムとエピジェネティック情報両方を持つには小さすぎると思っていました。

過去の研究からそのような結果が導き出されたのでしょうが、ネズミの実験結果からではないでしょうが、人側からの調査があまりなされていなかったためにそのような考えになったのでしょう。

精子細胞はDNAを運ぶだけの不活性細胞だと思われていたため、科学者たちは今の今まで、それ以上踏み込もうとしなかったのでしょうね。

父親の健康状態が精子に影響を与える

今回の研究で、コペンハーゲン大学の研究班は、痩せている人と太っている人の精子細胞の違いに特に注目し、精子細胞はエピジェネティック・マーカーのみならず、被験者が太っていようが痩せていようが関係無い、また違ったエピジェネティックを持っていることを突き止めたのです。

特に、食欲抑制と関係する領域に違いがあることを。研究班は13人の痩せている男性、そして10人の太っている男性、そしてその精子細胞を調べ、体重減少手術を受けた6人の男性を追跡し、体重減少は彼らの精子にどんな影響があるのかを調べました。

術前と、術後1年経過後の精子サンプルとでは平均的に5000もの違いが精子のDNAに見られたのです。それらの違いが見られたのは、精子細胞のDNA構造上や、ヒストンにではありません。また違った分子である、小さなRNAと呼ばれる分子に見られたのです。

RNAはどの細胞を変化させ、どれをさせないのかを細胞に伝えることで、エピジェネティック・マーカーにも働きかけることが判明しています。

10年もの間、科学者たちはRNA分子は情報を異なる部位の細胞に届けるだけの、分子の伝達を担う働きだけしかないと思ってきました。

1998年に遺伝学者たちがRNA分子のいくつかが遺伝子を制御させる重要な役割を担っていることを発見しました。遺伝子を発現しないように制御し、エピジェネティック・マーカーに変化させるという役割です。

つまり、DNAの中の司令塔の部分に働きかけ、細胞がDNAと伝達を行なえないようにするのです。先の研究対象の男性たちそれぞれは、太っているか痩せているかによって、DNAの違った部分が遮断されていたのです。

子供を望む女性は、出産前後に健康に関する情報を沢山耳にし、実践することが多いでしょう。体重を増減させない、禁煙、禁酒、薬の禁止、等。お腹の子供に影響があるからと、何の疑念も抱かずに。

少なくとも、エピジェネティック・マーカーを変えることができ、受け継がれると言う理由もあって。しかし、この研究の著者によると、女性だけではなく、父親予備軍も健康には気をつける方が良いそうですよ。

SciShow

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