子どもたちをギャンブル家庭から救い出せ

田中紀子氏(以下、田中):あともう1つ、ぜひ今日問題提起したいと思っていることが、まずギャンブル依存症ってそもそも世間の理解も得られられないし、同情もされないし、「だったらやんなきゃいいじゃん」みたいな一言で終わってしまうということです。

私たちが発信していても、「そんなやつは別に死んでもいい」みたいなツイートが来たりとか。そんな偏見があるということは、まだ今の社会では理解がないのかなということです。

まず、子どもたちを救い出さなきゃいけないんじゃないかということはすごく思ってるんですね。

やはり私もギャンブラーの親を持っていたので、ものすごい貧困家庭でしたし。今であれば貧困の水準に間違いなく落ち込んでいるような家庭だったんだなと思うんです。

あとは、(親がギャンブル依存で)虐待にさらされていたりという問題がありますし、事故や事件で亡くなる子どもたちもいる。

少し前になりますけど、お父さんがギャンブル依存症で車上生活をしていて、生まれたときから1回も学校に行ったことがなくて、戸籍も持っていなくて、ずっとお父さんと一緒にパチンコ屋をぐるぐるぐるぐる周って、車上生活をしていた子どもが保護されたりとか。

今の子どもたちの貧困問題とか、これが経済大国日本のあり方なのかなということにすごく私、心を痛めているんです。

先生方、その辺に対しても早急に取り組みが必要だと思うんです。その辺に対して何かお考えがあったらお聞かせいただきたいなと。いかがでしょうか。

負けたら起源が悪くなって…

初鹿明博氏(以下、初鹿):さっき言いました通り、やはりギャンブル場に子どもを連れて行くことができないようにするというのがすごく重要かと思います。例えば、競馬場に連れて行って、お父さんが大負けをしたらどうなるかといったら、機嫌が悪くなるわけですよね。

そしたら多分、子どもに当たって、子どもは嫌な思いをするわけですよ。これは虐待ですよ、完全に。こういう虐待が起こるのをみすみす、国のある意味、外郭団体ですよ、JRAというのは。

国がそれを放置をしてるというか、推奨してるわけですよね。「子ども連れていきましょう」と。これは私は絶対やめさせないといけないと思います。それは絶対やらないといけない。今すぐでもできることなんで、やりたいと思います。

田中:そうですね。子どもたちがギャンブルを見て育つことで、何かいいことってあるのかな、と考えたときに、いいことは1つもないので。やはりギャンブル場が見えるようなところに子どもたちを連れていくことはやめようと。

企業さんのモラルとしても、JRAさんに例えば、お菓子メーカーさんとか、スポーツ用品のメーカーさんとかが、例えば、かけっこの靴で走るイベントをやりますとか。あとアニメのメーカーさんとかが、イベントにすごく協力してるんですね。

それで子どもたちを呼び込もうみたいなことをやってることに対して、少し警告を与えていただけないのかなということは常々思っておりました。私は本当にギャンブルでいつも家族が喧嘩してるなかで育ってるので、子どもたちがそれに触れることっていうのは。

貴闘力さんの話にもありましたけれど、子どもがギャンブルに触れることのメリットは何もないと私も思っております。

ギャンブルのために手当を配っている現実

ほかにどうですか? 先生どうですか、子どもたちの貧困問題について。

薬師寺みちよ氏(以下、薬師寺):子どもたちの貧困問題っていうのは日本が今、抱えている最重要課題だと思っております。そのなかでも、このギャンブル依存によって、貧困に陥ってる子どもたちをいかに救っていくのか。

これは以前に田中さんに相談を受けた案件なんですけれども。結局、いろいろ手当が出たとしても、父親がギャンブル依存でその口座に振り込まれてしまうと、結局、ギャンブルに使ってしまって、母親の手元、子どもの手元にはなかなかそのお金が回ってこない。

そのために貧困から脱出することができない。ですから、本来であれば、そういったところもしっかりと制度化して、この人がギャンブル依存であれば、その人の元にはそういった手当を振り込まなくさせるようなしっかりとしたルール作りをしなければなりません。

今、通知でそういうものが出ているんですけれども、なかなか現場レベルで判断ができないというところで、結局、ギャンブルにお金を使うために子どもたちの補助金を各家庭に配っているという矛盾が起こっております。そこはしっかり今後とも私どもが目を光らせて、更に通知の上のレベルで走っていかなければならないルールだと思っております。

頭の柔らかいうちに教育を

また、子どもたちのことなんですけれども、皆様方、栄養教諭という方々が学校にいらっしゃるの覚えてらっしゃいますでしょうか。

生活習慣病を改善するために、大人、お母さんやおじいちゃん、おばあちゃんに教えても、なかなかすぐには生活に反映できない。じゃあ、誰に教えれば一番頭が柔軟で、すぐに生活に取り入れてもらえるのかっていったら、子どもたちだってことになったんですね。

だから小学校、中学校に栄養教諭を配置して栄養をどのくらい取ればいい、どんな食べ物を食べたらいいっていうことで、子どもたちの知識から家庭のなかで親を教育してもらおうという発想だったんです。逆転の発想だったんですけど。

これと同じように、やはりギャンブルというものがどういうものなのかを子どもたちにしっかり認識してもらうことによって、各家庭で子どもたちが親を監視する。子どもたちから親に進言するという逆転の発想も、少し私は、今回もギャンブルについては取り入れていかなければ。

子どもたちも危ないと思ったら逃げなきゃいけないというような。虐待を受けたとしても、何があったとしても、そういった術もそのなかで教えていかなければ。いつまでたってもギャンブル依存のなかで染まってしまって、育ち上がってしまいますと、自らもギャンブル依存にまた罹患してしまうような。

いわゆる負の連鎖というものを、ここで何とか脱せなければということで、私も今、取り組みたいと考えている課題でございます。ぜひ、そこも皆様方のお知恵を拝借したいところでもございます。

田中:ありがとうございます。角田先生いかがですか、この問題って。

支援する職員の教育が急務

角田秀穂氏(以下、角田):例えば、教育の現場で薬物依存症に対する教育っていうのはキャラバンカーを仕立てたりとか、かなり普及をしてますけど、その一方でギャンブル依存症に対する教育現場でのそういった働きかけっていうのはまだまだ、弱いっていうことがありますので、これをしっかり光を当てて少なくとも、教育現場で取り上げていくことがまず大事なことだろうと思います。

特に結構、ゲーム依存とか、ネット依存。そこからギャンブル依存につながっていく可能性もかなり高いんじゃないかなとも感じられますので。

そうした意味からの教育の現場で依存症に対する新しい知識、そうしたものを教えていくことがまず大事だろうと思います。

あと貧困の問題については、例えば役所の福祉の部局とか、そういった職員がもっとしっかりとした問題に対する知識を持って、しっかり支援につなげていけるような、それだけのスキルを少なくともやる必要もあるんだろうと思います。

例えば、生活保護のケースワーカーとか、そうした人々はとにかく自立、自立ということで、そっちの方向ではいろんな働きかけをしますけれども。

こうした問題をすくい上げて、少しでも回復、または治療なりに繋げていくところは、まだまだ弱いと思いますので。そうした取り組みもこれからしっかりとやっていかないといけないんじゃないかなというふうに感じています。