人に相談できないことに寂しさはなかった?

二村ヒトシ氏(以下、二村):質問、もう1人いきましょう。

質問者:ここのさんとか二村さんもおっしゃってたんですけど、お二人は気持ちを言語化できている方で、晃さんはまだモヤモヤしてたり、言葉にならないことも多いんだろうなと思います。

そこは1つすごくブランクがあるところで、例えば自分の世界でお仕事が充実していて、家族に入ってこないというのもなんとなくわかるんですけど。

単身赴任で海外に行って、俺のグチを聞いてくれよみたいな、寂しさとかそういうのは(なかったのか)。別に1人で解決できちゃったんですか? それともお友達がいたとか。

河本晃氏(以下、晃):いや、その辺はあんまり人に物を相談しない性質というか、自分で解決するというか。弱みを見せるのが苦手。

多分、母親との関係性が影響してると思うんですけど、ずっと母親に甘えるということができなかったんですよ。嫌な対象なので。人に甘えるということができない性質で48年生きてきたので、言えないです。友達にもそうだし、妻に対しても言えなかった。

今は少しづつ手放せているので、多少は甘えられると思うんですけど、(元々の)性質はあるので、甘え下手なのは変わらないです。生まれ持ってのものと育ってきた環境、両方が掛け合わさってる。

男性的な生き方の人は、自分の寂しさに気が付けない

質問者:それは、自分のなかで完結されてる?

二村:まとめるような、解説みたいなことを言いますけど、男ってね……。これは性別上の男じゃなくて、男性に生まれても女性に生まれてもジェンダーが男性側の人。「男」的生き方をしてしまう人っていうのは、自分の寂しさに気付けないんですよ。今、自分が「寂しい」ということが認識できない。

:そう。寂しいと思ってない。

二村:かといって、無理やり外部から「あんたは寂しいはずだ」って言語で注入されると、へそを曲げるしね。そういうことかなと思います。

晃さんには僕の本を読んで、過大評価していただいて。二村は「さらけ出せてる」とおっしゃっていただきましたが。僕は甘えるのがうまいんですよね。好きなんですよ。僕も母親との関係において相当な問題があるんだけども、甘えるということはできていた。僕は本質的に、甘えることは恥ずかしいとは思ってないです。たぶんアダルトビデオという、世間からしたらどうかと思える職業に就いたこととかも関係あるんですけど、そういうことが恥ずかしいとは思ってないんですね。

そういう特質は持っている。でもその一方で、さっきもちょっと話しましたけど、晃さんと同じように30代は本当に家に帰らなかったし、妻や自分の寂しさには気がつけてなかった。本を書かせてもらったことで自分で気付けたことも多いし。

あとは晃さんが言ってくださった「自分がコテンパンにされる部分」というのは、一緒にこの本を作ってくれた女性のライターさんや、女性たちの力を借りて、やっと自分を壊すことができたというのはあります。

会場から素朴な疑問……、晃氏はなぜ結婚したのか?

二村:まとめに入っていいのかな? 皆さんのほうからもうちょっとありますか? 我々と話したいこととか。あとお1人で。

質問者:ためになる話をありがとうございました。晃さんにちょっとお聞きしたいんですけど。シンプルに、なんで結婚したのかなって僕は思ったんですね。

というのは、マラソンを走られたあとに「家族ってどういうことだろう?」、「自分の役割って何だろう?」と考えたとおっしゃってたんですけど、結婚する前はどういうふうに考えていたのかなと。

僕は未婚で、そういうところがわからないのでなかなか結婚できなくて(笑)。マラソンが終わって初めて考えたのかな? いや、結婚前にそういうのは考えるんじゃないのかな、と。

(会場笑)

僕はそういうのを考えられないので、あんまり結婚にピンとこなくて独身なんですけど。結婚前にどういう心境があって、結婚を決意されたのかなというのに興味があって。

:そこは浅いというか、何かええな、みたいな(笑)。すいません、まったく言語化できてないですけど(笑)。

「ええな」の流れですけど、彼女が風邪をひいて会社を休みました、見舞いにいきました。そしたら、付き合ってる彼が見舞いにくるということでお父さんがいました。(普段は)浴衣を着てる人って聞いてたんですけど、いきなり背広を着てネクタイして待ってはって。

二村:外堀を埋められたってことで、よろしいですか? 落とし穴に落ちたみたいな(笑)。

:「どうぞよろしくお願いします」、「はい、よろしくお願いします」って言うて。ここのとはええ感じやったし、ほかの人も別にいないし……。

河本ここの氏(以下、ここの):そうだったの?(笑)。

(会場笑)

:そんなもんなんですね。結婚って勢いがないとできないって話がありますけど、正直その通りで。

考えてしまうと結婚できない!?

でも、そういう結婚の仕方がいいのかはわかりません。今おっしゃったように、それこそ家族を作るというのはどういうことなんだろうとか、自分はどう育ってきてとか、自分らしさっていったい何なんやろうとか……。

付き合って結婚するかはわからないにしても、そういうことを自分と向き合って、パートナーがいるんだったらその人と会話してということ自体は、めっちゃ大事やと思うんです。

(自分はできなかったから)反省。結婚から20何年かかってようやくたどり着くよりは、早めにそういう話をね。

二村:断言しますけど、早い時期に結婚した男というのは、僕も含め晃さんも含め、結婚する時に何も考えてません。我々はそうしてきて、我々のほうが独身の方より偉いという気持ちはまったくないんですけど、どうしてもいろいろ考えちゃうから結婚しにくくなってるよね、今の若い人は。

どっちがいいかっていうと、僕は思想的には少子化上等で。もっと、みんなアダルトビデオを見て、できれば無料動画ではなくダウンロードするかDVDを買ってください(笑)。女性も、よくない恋にハマるくらいなら、もっとジャニーズなりBLなりを消費して、と思ってるんですが、そう思いながらも実は今度、川崎貴子さんと一緒に「もうちょっと男女は結婚してもいいんじゃね?」という活動を始めようと企んでるんですけど。

確かに、恐ろしいことですよね。考えずに勢いで結婚した後で、こういうことが起きる。でも僕は、考えずに結婚してから苦しんで、結婚相手と対話して、自分のインナーチャイルドと出会って、そこから大人になっても全然遅くないとも思う。だから、どっちでもいいと思うんですよ。若い頃に結婚しても、しなくても。そこは縁です。

ただ「切実に結婚したいのに、できなくて、いつまでも時間だけがダラダラ経ってしまう」ということもある。それはそれでまた別の問題が……。ごめんなさい、この話は長くなるので、あとでお酒でも飲みながら(笑)。

質問者:すいません(笑)。ありがとうございました。

二村:でも、おっしゃってることはよく分かります。独身のあなたがこの話を聞いていて、そこに疑問を持ったのはすごくわかります。

苦しみの結果、気付くことや得たものも多かった結婚生活

ここの:ただ、私が思うのは……。いろいろありました、いろいろあってここにいるわけですけど、やっぱり求めてたんだと思うんです。こういう苦しみ、長くかかった苦しみを求めていたかって聞かれると、そこは「いえいえ、求めてませんよ」という感じで答えると思うんですけど。

二村:苦しみは求めてなかったと思うけど、苦しみの結果として「気付くこと」は無意識に求めていた。

ここの:そうなんです。だからこれに出会ったんだろうな、という。哲学っぽくなっちゃうんですけど。

二村:無駄になってないってことですよね。

ここの:はい。そういうふうに、今はすごく思うんです。だからこそ、結婚してもしなくてもどちらでもいいと思うんだけども、して得られる感覚もあると思うし、しなくて得られる感覚もある。でも、どうなりたいかってことだけは、求めないとやってこないのかなと。

私は20年もかかってしまったわけですけど、その20年の間ずっと泣いてたかっていうとそうではないし、それなりにそのフェーズで楽しいことだってあったわけで。ただ、全般を占める苦しいものものが多くなってきたのが最後のほうで、「こんなことがあってね」というだけなんですけど。

結局、やっぱり家族とか夫婦とか、子供にも恵まれたので子供を含めた家族というかたちを、私はすごく求めてたんだと思います。だからこそ模索したし、苦しんだし。でも、求めていたからこそ抜けられたんじゃないかなと思ってます。

質問者:ありがとうございます。