全身麻酔に含まれている2つの薬品

ハンク・グリーン氏:脅すつもりはないんですが、全身麻酔がどのように作用するかということは実はよく知られていません。私たちが知っているのは、麻酔が何らかの形で効いていて、それが比較的安全だってことですよね。

科学者たちは今でもさまざまな異なる麻酔がどのようにして脳の機能をオフにするのか解明しようとしています。麻酔は痛みに対する感覚がない状態で、医者が心臓や腎臓などなど患者の処置が必要な時に用いると、心地よい眠気に襲われます。

全身麻酔は完全に患者を眠らせます。しばらく身体の一部分を無感覚にしたり鎮静状態にする局所麻酔とは対照的に、正確には意識があるものの何が起こったのかは覚えていません。

たいてい全身麻酔には2つの薬が含まれています。1つが早く患者の意識を失わせ、もう1つでその状態をキープさせます。麻酔医は患者が早く目覚めすぎないように、かつあまりに長く麻酔状態が続き過ぎないように2つ目の薬の投薬量を注意深く調合しています。

というわけで、我々が知っているのは麻酔が患者を無意識下に導き、痛みや環境に対応すること、そして多くの場合において何が起こっているのか覚えていることから解放するということです。切られて縫合されることを感じたり覚えたりすることは、うれしいことではありませんからね。

麻酔と睡眠の違いはなにか

しかし麻酔は睡眠と同じではありません。脳のいくつかの部分は活動していますが、完全に意識下にあるときとは異なり、脳の活動部分が互いに伝達し合うことはありません。麻酔状態にある人の脳のパターンは眠っているときのものとは違いますし、素早い目の動きはありません。

麻酔状態における脳波は、昏睡状態にいる患者の脳波に似ています。それもそのはず、麻酔状態は昏睡状態にとてもよく似ているのです。それは、医師のコントロールの下で元に戻すことが可能なのです。奇妙なことに、同様のこの麻酔状態は、非常にたくさんの異なる化学物質を希ガスであるキセノンで導入し、リング状のカーボンから成る分子に命じるのです。

すべての異なる麻酔はどれも近いことをしています。科学者たちはそれらがなにか共通のものを含んでいるのではないかと考えています。最も明らかなのはほとんどすべてオイルに溶けるということです。細胞膜の中にあるようなオイルです。

数十年にわたって、研究者たちは麻酔が脳細胞の皮膜の中で溶け、なんらかの形で脳細胞に妨害をするのではないかと考えていました。しかしいくつかの化合物は麻酔にそっくりで、非常に油溶性で痛みの感覚を麻痺させます。さらにいくつかの麻酔は、全く油溶性ではありません。

代わりに最近、科学者たちはオイルの斑点があるタンパク質になにかあるのではないかと考えています。つまり、もしかすると麻酔は脳の中のタンパク質にくっつくのかもしれません。でも薬が油っぽい環境でくっつくという研究は難解です。麻酔はタンパク質に非常に弱くくっついて作用するのですが、どこにあるのか知るのに十分なくらい長くくっついているのは難しいのです。

髪の毛の色によって麻酔の効きが変わる?

麻酔に関する一番の理解は、最も有名なプロポフォールです。プロポフォールはレセプターをGABAと呼ばれる化学伝達物質に結び付け、とりわけ睡眠や覚醒のコントロールを促します。

プロポフォールはGABAに対する脳のレセプターの活発化を助けます。そして研究者たちは特に睡眠を司る部分に強く働き掛けるのではないかと考えています。

私たちがわかっていないのは、どのように脳のある部分が意識をコントロールし、プロポフォールがその機能を停止し、プロポフォールが無くなってしまうなり機能が復活するのかということなのです。

しかし研究ではその他たくさんの麻酔も同様にGABAレセプターと結びつくことが発見され、研究者たちはその方向性に間違いがないと考えています。

皆さんもご存じのとても面白いことは、赤毛の人たちにはより多くの麻酔が必要だということです。医者が報告したことによると、少なくとも小さな研究において、赤毛の人たちは黒髪の人々に比べ、19パーセントも多くの麻酔を必要としたということです。

その研究の執筆者によると、赤色の毛を作る遺伝子が麻酔の効きに反発することによるそうで、それは特に痛覚にも通ずるということです。

私たちは全身麻酔がどのように作用するかということを本当には知らないのですが、それはいいことでしょう。今回私たちが学んだように、脳がどのように一緒になるのかということをもっと学びましょう。それから、生姜についてもちょっぴりね。