「挑戦して失敗するのはいいが、挑戦するのを失敗するな」サン創業者が語る人生の哲学

Stanford Graduate School of Business Vinod Khosla: Failure does not matter. Success matters. #3/3

スタンフォード大学経営大学院で開催されたRoanak Desai Memorial Viewでの講演会。サン・マイクロシステム社の設立者として知られるビノッド・コースラ氏をゲストに迎え、スピーチはまだまだ続きます。今回は、会場に集まった学生たちからの質問にビノッド氏が答える形となりました。まず、これまでの業績の原動力となったであろう、同氏の信念システムについて、質問が寄せられます。また、ビノッド氏にみなぎる自信は一体どこから来ているのか? 彼の幼少期に関係はあるのでしょうか。そして、これまでのスピーチにもたびたび、失敗を問題にしないスタイルを取り上げてきたビノッド氏に、失敗談を要求する質問者も。最後にはもっとも大事なものとして、家族への思いが語られました。

ビノッド氏の信念システムについて

司会:会場から質問を受けるのにちょうどいいタイミングですね。スタッフが両側でマイクを持っています。手を挙げておいてください。どちらかが向かいますから。Twitterの#gsbvfttを使ってでも質問できますよ。ではTwitterの質問から始めましょう。

ビノッド・コースラ氏(以下、ビノッド):この後すぐに去らなくてはならないことを謝りたいんだ。もし質問に全部答えられなかったら、僕のe-mailアドレス vk@coastalventures.com に送ってくれて構わないよ。君たちが思慮深く質問してきてくれる限り、僕はできるだけ時間を割いて答えるつもりだよ。

(会場笑)

それがe-mailに対する僕のルールなんだ。僕はe-mailを送ってきてくれる誰かが、どのくらい思慮深いのかを評価することにしているんだよ。

スタッフ:Twitterには、あなたの信念システムに関するたくさんの思慮深い質問がきていますよ。あなたの信念システムの中心にあるものは、具体的に何なのか話していただけますか? また、それをどうやってチームや会社の中でも大切に持ち続けられるのでしょうか?

ビノッド:僕はとても早い段階で興味のあることを仕事にしたいと決めたんだ。よく知られていないけど、僕は最初のプログラミングクラスをNIITで受けたんだよ。1971年、僕は4人の仲間とプログラミングを学ぶ趣味のクラブを作ったんだ。僕がNIITのプログラミングクラスで知った最初の事例がそれだよ。

それから数年後、僕は医用生体工学に興味を持って、16歳の時にIITデリーでプログラミングクラブを始めたんだ。また数年経って、僕たちは医用生体工学プログラムを始めて、ある教授に協力をお願いしたんだ。3人か4人いたかな。僕にはこういう口癖があったんだ。僕はどうしたい? どうやればできる?

興味のあるもののために働きたいということ

でも僕が持つ信念システムの中心にあるのは、興味のあるもののために働きたいということだね。退屈なのは嫌なんだよ。そしてそれが、僕の今やっていることに繋がっているんだ。僕が学んできたのは、それをするのはすばらしいということだよ。

凄い影響を与えるような興味深いことをするのは、もっと満足感が得られるんだ。だから僕は、その影響を測るんだ。僕たちはおそらく、資金集めのスライド資料集では初めてにして唯一のベンチャーキャピタル会社だと思うよ。僕たちはR&Rという野心は気にするが、前向きな変化をもたらす野心やミッションにはもっと興味があるんだ。

僕はLPたちに、もし影響は大きいが低い率のリターンを得るなら、僕たちはそれをつかもうと言ったんだ。なぜなら、僕は少しだけ高い率のリターンを年金基金に注ぎ込むよりも、そちらにもっと興味があるからだよ。とても明白なことなんだ。だからそれはクールなことであり、興味深いことでもあるんだ。

僕は20代の頃、全体像が見えていなかった。何度も繰り返している通り、変化を与えられることのために働けるというのは、とても楽しいことなんだ。だから僕はそれだけをやるのさ。

残りの人生も、前向きな変化を与えるものに投資し続ける

僕たちは投資をして、きっと誰かがツイートするだろうけど、トラブルに巻き込まれるだろうね。僕たちは、とてもうまくいっているTスプレイングという会社の投資を調べているんだ。それを行っているパートナーに対して、僕は言ったんだ。「君はTスプレイングとTシャツ、どちらに投資したいんだ」とね。

僕が時間を割くだろうなんて、期待しないでくれよ。僕はTシャツには興味ないよ。ヘルスケア問題のために働いた方がマシさ。これは僕が獲得した贅沢だと強調したいんだ。もし君たちが同じ場所にいないのなら、君たち全員は贅沢をしていない。その他の人たちが同じ場所にいない時、僕は認識するんだ。

僕は人々が何を考えているのか、気にしたことはないよ。だから僕は人生の早い段階で、そういった贅沢を持っていたと言えるね。若い頃はもっと好戦的だった僕の態度を通してね。

でも、正直に言うけれど、何年か前に新しいビルを建てたんだ。それで、僕は健康が続く限り、この仕事を楽しませてもらうと言ったんだよ。ベンチャーキャピタルとテクノロジーの性質上、僕が働いている領域は数年ごとに変化を続けるんだ。

僕はこの仕事を残りの人生もずっと続けるつもりだけれど、本当に前向きな変化を与える事のみをやるよ。君たちが変化を起こす時にはいつでも、お金を生み出す。とても興味深い会社を作ろうとする結果としてお金を生み出す時には、より大きな影響を与えるだろう。そして、君たちがそれを売り買いなどの取引として行うならね。

実際、もし僕が最初の数ページで読むのを止めてしまうようなビジネス計画をもらったなら、残りのページを読むことは絶対にないだろうね。

司会:それはいいヒントなんですよね?

ビノッド氏の自信に、家族のサポートは影響したのか?

会場質問者1:私は、実際にヘルスケアの立ち上げのために働いています。私はあなたの見せる自信にとても感銘を受けたのですが、あなたは明らかにその理由をお持ちのようです。

ビノッド:人はそれを横柄と呼ぶね。

会場質問者1:ご家族はあなたが子供の頃に、今の様な自信を持てるようにするために何かサポートしてくれたのでしょうか?

ビノッド:よく覚えていないね。僕はいつも自分のことをしたよ。普通の子供がやらないことを自分でやったんだ。僕の両親はいつも、サポートという言葉がよく合うようなことをしてくれたよ。

インド人の家族というのは君たちの家族とは違っていて、反対することを絶対やらないものなんだ。でも僕はそういうことをする傾向があった。それでも、僕はいつも家族とよく話し合っていたし、彼らもとても早い段階で僕がフィールドの外に出ていくことを認めてくれていた。

僕の態度に興味を持っている人たちや子供がいる人たちのために、サラトガのハーカースクールで講演をするように頼まれて、僕はその高校の生徒たちにプレゼンテーションをしたんだ。最初のスライドは、なぜ彼らが枠に捉われずに行動するべきなのか。2枚目のスライドは、なぜ彼らが教師を無視するべきなのか。3枚目は、なぜ彼らは両親に服従すべきではないのかということだったよ。とてもおかしな話だ。

でも、子供は大好きなんだよ。しかも僕は真剣にやっていたんだ。誰かが作った制限を認めるのではなく、調査する態度を繰り返し教えることは、心のコンパスと信念システムと自信を作り上げることなんだと思うよ。

もう1度言うけれど、君たちのうちの90パーセントは期待されていることをやるだろう。この後、君たちはきっと意欲的になり、帰ってからこう言うだろう。「ゴールドマンの仕事か。もっと払ってくれるよ」とね。

ビノッド氏の失敗談に、会場からリクエスト

会場質問者2:あなたが指摘された最後の部分についてなのですが、過去と比べて今はベンチャーキャピタルが溢れかえっていて、テクノロジーバブルの話もあります。あなたの意見では、今はそのバブルの中にあると思いますか? もしそうであれば、いつバブルがはじけると予測されますか?

ビノッド:僕はそのことは知っているけれど、答えは分からないね。それに、君に答えを知っていると話す人間が、皆恐らくバカだろうということも知っている。

(会場笑)

会場質問者3:あなたの向こう見ずなブランドは、脆弱性を見せる時に特に効果を示すと思います。だから僕はあなたの相棒になって、あなたが誰かの辛辣だけど正直な意見によって傷ついた時のことについての話と、その時どうしたのかを話すのを許したいと思います。

ビノッド:僕の失敗について話すのには1時間は必要だろうね。

最近15年間でたった1度だけ、僕はある会議で話したいと電話したことがあるんだ。有名な会議ではなかったよ。サンフランシスコのホテルの部屋で、失敗を経験したことがある人たちが集まる「失敗会議」に出席したんだ。僕は失敗について話をしたかったんだよ。

たくさんの馬鹿げたことが出てきたよ。iPadはとても人気があるだろう? 僕たちはそれをやろうとしたんだ。それはおそらく、僕の最大の間違いだった。80年代後半のことだよ。

詳細を話すこともできるけど、短めにしよう。僕は、自分の失敗を恥じたことはない。僕の失敗をネット検索したら、きっとたくさん見つけられるよ。それに、僕がそのことについて語っているのも見つけられると思うよ。

サン・マイクロシステム時代の大きな失敗

それは僕の哲学に与えられた重要なもので、大失敗することは問題ではなく、しかも失敗例はたくさんあるしね。実際、成功例よりもたくさんあると思うよ。でも、誰も僕が始めたデータ・ダンプのことは覚えていないけれど、サンのことは覚えている。

僕がバカみたいな失敗を犯した、たくさんのベンチャー企業での大きな失敗について、お話しよう。サンの話に戻って、1980年代のことだよ。

サンのロゴやその下のモットーは、ネットワークはコンピューターという意味だ。そのソフトウェアプログラムを始めた数人の人間は、ネットワーク量のIPパケットのルーティングを進めたんだ。それは、シスコ(システムズ)の始まりになったんだ。

君たちがネットワークはコンピューターだと言い、横柄なマーケティングラインを作る時、君たちはそのルーティングが重要な要素だということを忘れている。シスコはサンのアプリケーションとして生まれて、僕たちはそれを分かっていなかった。

僕は、自分自身に言ったんだ。「それが起こっていた時、そのことを分かっていなかっただなんて、僕は本当に馬鹿だ」とね。そのアプリケーションを見ていた時ですら、分かっていなかったんだよ! ルーターはサンの機械のアプリケーションだった。僕たちは、サンが生み出した巨大な機会を見逃していたんだ。僕はそういう例なら、100くらい見つけられる。

挑戦して失敗するのはいいが、挑戦することは失敗してはいけない

つまり、挑戦して失敗するのはいいが、挑戦するのを失敗するなということだね。これに関しては、お気に入りの格言がその他にもいくつかあるんだ。大分終わりの時間に近付いてきているからね。ロバート・ケネディはこう言った。「すごい失敗を経験した者だけが、すごい成功を収められる」。

昔からある例としては、イーロン・マスクの格言がある。彼は「GMにバッテリーを供給するというたわごとは忘れろ」と言った。彼らは変化を起こすのにあまりに時間がかかりすぎる。いいかい? 僕はウォルマートではなくアマゾン、そしてNBCではなくYouTubeの小売りについて話しているんだ。

GMやテスラ(モーターズ)について考えてみよう。GMはテスラよりもずっと多くのお金を費やしてきた。NASAやロッキードは、スペースXよりはるかに多いお金を費やした。もっと続けられるよ。

だから挑戦と失敗はいいが、挑戦することに失敗してはいけないんだ。僕がみんなにおすすめしているナシム・ニコラス・タレブの本『Antifragile』があるんだけれど。

僕は『Black Swan』について話しているのではなく、同じ著者でも『Antifragile』のほうについて話しているんだよ。僕はいつでもおすすめの本について話して終わりにするのが好きなんだ。

僕は自分のバカげた失敗を恥じる気はないんだ。つまり、それは違いだと思っている。

ビノッド氏自身が、辛辣かつ正直な意見に傷ついた時は?

(質問者3に向かって)君の質問に答えられたかな? 僕が、辛辣だけど正直な意見によっていつ傷ついたかって?

僕はたくさんの人たちに攻撃されてきた。公開会社の話だから詳細は話せないんだけど、2つの会社がその中に入っていて、僕はCEOに加わっていて、彼らがいかにバカげているのかを彼ら自身に話したんだ。

間接的な方法で払戻金があって、それは他の会社をとても傷つけることになったよ。文字通りその会社をほぼ壊してしまうようなことになったんだ。不幸なことに、公開会社だから詳細は話せないけれどね。そのことなら、辛辣な正直さが僕を傷つけた例になるかな?

ベンチャーキャピタルビジネスにはたくさんの人々がいるけれど、僕が彼らを価値がないように扱っているから、彼らは僕を嫌っているんだ。もう1度言うけれど、そのわがままさが僕の一部なんだ。

本当にすばらしい人間には、そういうことは言わないよ。もし、僕がそれを言わなくて済む人々を知っていたらね。でも、僕は言うべきことがあれば、確実に彼らに話すよ。もっと重要なことに、僕は彼らに僕が思っていることを話すし、彼らも時々ベンチャーキャピタルに話すんだ。人生の一部だよね。

GSB恒例の質問、もっとも大事にしていることは?

司会:もう1つくらい質問の時間がありそうです。その前に簡単にアナウンスしたいことがあります。2010年卒業生のローニッドの友人が、このイベントの後に彼の家族のバックステージに参加し、講演があるそうです。

これからする質問は伝統的なものです。スタンフォードGSBへの申込者は全員、申込書でこの質問をされています。でも1978年には、あなたはそれを聞かれていません。なぜならその時にはこの質問は存在せず、2000年代に始まったことなんです。

ですので、今回がその質問に答えるチャンスなんです。あなたにとって、もっとも大事にしていることは何ですか? そしてその理由は?

ビノッド:僕は、それを口先だけで話したりはしないよ。物事は1度壊してからよくすることがクールだと気がついたんだ。だから、僕は影響という時、さまざまな産業にいるトロールのような気分になるんだ。それは僕が稼いだ贅沢なものなんだ。なぜなら、僕は担保を払う必要がないからね。

僕は、新しいことをするのが好きなんだ。新しい人々は、医者なんかいらないよと言って僕をイライラさせるんだ。僕は、僕らが必要だとは思っていない。でも僕たちは、違うことをするために異なる種類の医者が必要なんだ。

僕は最高の医者を獲得するために、スタンフォード・メディカルスクールには行かないよ。僕はUCLAのフィルムスクールに行くだろうね。なぜなら人的要因のケアは重要だし、演技も重要になるからね。

僕たちの医者のほとんどが、15年間で人的要因のケアのためにやってきている所以だよ。人々はそれを嫌うね。医者たちも僕が人的要因のケアをしろというと、嫌がるね。最高に人間らしい人間が必要で、スタンフォード・メディカルスクールに通う学生のIQは高くないんだ。それが現実だよ。僕は物事がとても前向きである産業において、変化を起こせることは知っている。

これから働くGSBの生徒たちへ、人生のバランスについて

最後に、このことだけは言わせてほしい。僕は、4人の子供たちが誇りに思ってくれるもののために働くのが好きなんだ。

君たちは全員働くことになる。人生のバランスについて話して、終わらすよ。クールなことのために働くことは僕を興奮させるし、突き動かす。君たちが定年する時、君たちはもちろん年をとっている。でも年をとった時に定年をするな。

君たちが何かに刺激を受けたり、興奮させられたりする限り、また情熱を感じるものは、何であっても僕がやることになりえるんだ。僕がクジラを調教することにだってなりえるんだ。それは相当大変なタスクだよね。しかも重大な挑戦だよ。おそらく社会に大きな影響を与えることはないだろう。

僕はこの例がとても好きなんだけれど、もし僕がそれにとても情熱を持ったとしても、それを行動に移すのはとても大変なことなんだ。エキサイティングになると思うけどね。だから僕は、大変な挑戦が好きなんだ。難しいことも好きだよ。僕はおかしなことに対して働くのも好きだし、それが僕のライバルたちからやる気を奪うことになるんだ。

僕が前向きな影響を与えられると思う領域に、それを行うしかなくなるんだよ。でも口先だけのことではないよ。僕が好きにできる贅沢なのさ。それが僕の子供たちの機嫌をよくするんだ。

ビノッド氏の大切なもの

これで最後にさせてくれ。僕の子供たちが小さかった90年代に、僕は1つのルールを持っていた。この15分の話さ。時間マネージメントはここから来ているんだ。僕は皆が何かを言うことや、いじわるをすること、ルールを守らないことは簡単だと分かったんだ。

もっとも大事なこと? 家族だよ。全員が正しいことを言う。彼らは、彼らの力を借りて生きているのではない。僕は、僕が費やした時間についての毎月のレポートを貰うことに決めたんだ。起業家たちと働いた時間、新しい会社を評価した時間、ジャーナリストたちに礼儀正しく話をした時間とかね。誰かが礼儀正しくしろと言ったんだ。

僕の息子が会話したいと思っている。僕は時間を20のカテゴリーに分けて、その中でもっとも必要不可欠としたのが、子供たちと家で夕食をとる回数だよ。僕は月に25回という不可能な目標を立てた。それを達成するのに1年かかったけれど、ついにできたんだ。

でももっと大事なのは、毎月僕がしたか、それともしなかったかについて、レポートを受け取ったってことだ。僕は仕事と人生のバランスは可能だと思っているよ。ただ極度に自己管理をしなくてはならないだけさ。

僕は長いことパブに行っていないし、友人と野球の試合にも行っていない。子供たちと行くだけだ。僕の優先順位ははっきりしていて、要求に合うように調整しているんだよ。君たちも自分の優先順位を考えて、それを調整することをおすすめするよ。

皆、ありがとう。

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