なぜイスラームは平和的な宗教だと言えるのか
ジャーナリストが語った理由

Islam Is A Peaceful Religion

Mehdi Hasan's Speech
に開催

世界で最も権威ある討論会が、イギリスのオックスフォード大学を母体とするオックスフォード・ユニオン。世界中でイスラム教徒を名乗る人物によるテロ行為が頻発する昨今、このオックスフォード・ユニオンでイスラム教に関するディベートが行われました。イスラム教は平和的な宗教であるという立場からプレゼンテーションしたのがメフディ・ハサン氏。自身も熱心なイスラム教徒であり、イスラムについて多くの記事を執筆してきたジャーナリストである同氏は、イスラム教は決して好戦的な宗教ではないことを主張し、コーランの多くは同情や愛、憐れみで埋められていると言います。また、世界に16億人いるイスラム教徒のほとんどがテロ行為を否定している現実を元に、イスラム教を弁護します。果たして、聴衆はどちらに投票したのでしょうか?

イスラム教徒のハサン氏より、狂信者によるテロの謝罪

メフディ・ハサン氏(以下、ハサン):校長先生、どうもありがとうございます。レディース&ジェントルマン、こんばんは。アッサラーム・アライクム(注:イスラムのあいさつ)。この場で皆さんにお会いできて、嬉しいです。今夜は興味深い夜ですよね。先ほど上院より、おもしろいお話を聞かせてくださいましたからね。

対局してお話する者として、初めにこのことを言わせていただきたいと思います。イスラム教信者として、イスラムの代表として、自称イスラムの大使として、イスラム教と預言者のすべてを信じ、従う者として、ここでアナ・マリーさんに謝罪をさせていただきます。

バリの爆発を始めとした、私と私の宗教とその信者の人たちが、役割として関わったであろう7月7日のテロ(注:2005年ロンドン同時爆破事件)や、テオ・ファン・ゴッホ監督の殺害についてもです。これらのことはイスラム教、その教徒、コーラン経典、すべて私たちが関わったことでした。

先ほどのスピーチは、全くもってすばらしい主張でした。今日のような日に、最初のスピーチであんなお話をされるとは。保守的なイギリスの首相が出てきて、このような見方は嫌悪されるべきものであるとされました。

ブライトンの下院議員の労働党のために立ち上がっていらっしゃるのだと思いますが、あのような発言をされるところを拝見いたしますと、引き下がりましたが、また持ち上げましたね。イギリス国民党の助言は受けるのでしたら、彼らがあなたの見方に対して何か言いたいことがあるかもしれませんよ。

イスラムの背景について訂正、イスラム教徒による知的業績

ハサン:ところで、事実に関してお話ししましょう。2番目のスピーカーの方は、イスラム教徒の背景などについてお話されていましたからね。

イスラム教はサウジアラビアで生まれたとおっしゃいましたが、イスラム教は西暦610年に誕生しました。サウジアラビアができたのは西暦1932年です。たったの1322年の誤差ですね。悪くないです。

数学の話をさせていただきますと、アル・フワーリズミーという、偉大な数学者の1人もイスラム教徒でした。イスラム教の黄金期に仕事をしました。彼は代数だけではなく、アルゴリズムを見つけた人です。

アルゴリズムがなければこの世にラップトップがなかったでしょうし、ラップトップがなかったならダニエル・ジョンソンがスピーチをプリントアウトすることができなかったでしょう。彼はスピーチの中で、イスラム教徒のせいで西洋の進んだ知的な業績を邪魔されているとおっしゃっていました。それをしているのは、ヨーロッパのユダヤ―クリスチャンの人々ですよ。

ダニエル・デイビッド・レヴァリングという作家、ピューリッツァー受賞歴史学者で、『God's Crucible』の著者ですが、彼によると実際、イブン・スィーナーやイブン・ルシュドのようなイスラム教徒の優秀な神学者、哲学者、科学者たちが彼らの知識をヨーロッパに持ち込まなければ、ヨーロッパにはルネッスサンスも再確認も到来しなかっただろうということです。

私たちの大学において、誰が私たちの側で、誰がそうでないかは想像にお任せすることにしましょう。私もここで勉強しましたから。

中東における反ユダヤ精神は、キリスト教由来のもの

ハサン:今夜この件について、息をのむような話がされましたが、都合のよい結論や言葉をかいつまんで混ぜた、曲解、詐称、誤解、誤引用です。

ダニエルは私の「New Statesman(ニュー・ステイツマン)」の記事について話されましたが、私は反ユダヤについて話したために、たくさんの批評を受けました。いくつかのイスラムのコミュニティでは、それが広く行き渡っています。私はそんなことは言っておりません。それはイスラムの宗教によって引き起こされたのです。

実際、現代の中東の反ユダヤ精神はどこから来たのでしょう? 皆さん、ご一緒に。クリスチャン、ユダヤ・クリスチャン教ヨーロッパです。そこでは、明らかにユダヤ人に対して悪いことが起きたわけです。

事実、トム・フリードマンというユダヤ系アメリカ人で「The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)」のコラムニストが、先週フランス議院で私に教えてくれたのですが、もしイスラム教徒が1940年代にヨーロッパを統治していたら、今日更に600万人のユダヤ人が生存していたとのことです。

ですから今日ここで反ユダヤに関する政治的教訓を、600万人ものユダヤ人を殺害したユダヤ・クリスチャンを擁護するような人たちから学ぶつもりはありません。

クリスチャンの世界でも起こっている暴力やテロ行為

ハサン:話を先に進めますが……

観衆:(何か発言をする)

ハサン:そのことについて要点をお話しようと思っています。私は110パーセント同意します。それが私のポイントです。

私はヨーロッパのことを悪く言っているのではありません。私はヨーロッパ人として誇りを持っています。私は裁いたりしたくありません。しかし、このようなどうしようもないゲームをしてバリの爆発事件を引き合いに出したり、反ユダヤのことやイスラムコミュニティを引き合いに出したりされるなら、私も反論しなければなりません。

ちょっと話を明確にしましょう。ここにいるダニエルは突然来られなくなった、ダグラス・ムレイの代わりにギリギリで来てくださった方ですが、ダグラスと私はよく知られているように意見の相違があります。ダグラスに公平に、そしてここにいるアン・マリー、ピーターに対して公平に言いますが、皆さんは無神論者です。無神論者はすべての宗教が悪いもので、暴力的で脅威的だと思っています。

私がダニエルのスピーチの中で問題に思っていることを挙げましょう。ダニエルはここでクリスチャン世界について強靭な防衛をするために話されたのですが、次のことをお忘れではないでしょうか。

イエスの名において活動をしていると言う仲間のクリスチャンが、聖戦をしたり、スペインで異端審問をしたり、反ユダヤ人大虐殺、アフリカやアジアにおけるヨーロッパの植民地、ウガンダで「主の抵抗軍」、数えきれないほどのアメリカの堕胎診療所での放火や爆発が今日も起こっているのです。

レクチャーで他のコミュニティがいかに暴力テロに信仰を置いたり、不寛容であるかを話される前に、ダニエルが謙虚にこの点を認めてくれればと思います。

(会場拍手)

どうもありがとう。

イスラムもクリスチャンも、信仰の基盤は愛や同情心

ハサン:しかし私は、ここにいるジェントルマンのおっしゃった確かなポイントを強調したいと思います。私はそんなゲームをしたいとは思いません。私はクリスチャンが暴力的で嫌悪すべき宗教だとは思いません。

NRA(国民抵抗軍)がウガンダでやったことや、十字軍戦士がユダヤ人やイスラム教徒に対してエルサレムを12世紀だか13世紀だかに奪還したことがあったとしても、です。

私はクリスチャンもイスラム教徒同様に、すべての主要な宗教のように、基盤となっている教理が、愛、同情心、信仰であると信じています。

コーランの114章のうち113章が憐れみと同情心を持つイスラム教の神の紹介で始まります。私は他に方法がありません。私は戦争の神、憤りのギリシャの神の類、嫌悪の神、不公正の神を崇める宗教には従いません。

アダムが取り上げていましたが、コーランを読むと、同情、愛、公正を見ることができますが、中には戦争や暴力に関することも載せられています。もちろんです。しかし暴力を正当化するものではありません。

私はイスラム教が暴力を正しいとする信仰だと主張するために来たのではありません。それは違います。イスラム教は特定の限定された状況で戦闘や暴力を許す場合があり、イスラム教徒の少数派はそれを踏み越えて行動することがあるのは事実です。でもそれは、宗教のせいなのでしょうか?

自爆テロに対する先入観を覆す、米専門家の結論

ハサン:ダニエルやアナ・マリーは、すでにそのような出来事の背後にはいつも宗教があると主張されていましたが、実際、私が今日この場で驚いているのは、イスラム教徒とそれに対する者との討論で、法律、近代史、化学の卒業生が発言されていることです。私は彼らの才能や可能性に敬意を表しますが、誰も、イスラムの専門家でも、イスラムの学者でも、イスラムの歴史家でも、アラビア語のスピーカーでも、テロリストの専門家でも、セキュリティの専門家でも、イスラム教の信仰に関する世論調査員でもありません。

その代わりにこの場にいるのは、そのような考えを一蹴するかのような意見を持った人たちです。ロバート・ペイプ教授のおっしゃることをお聞き下さい。彼はシカゴ大学の教授で、アメリカの最先端のテロリスト専門家の1人であり、今夜ここにいる興奮したスピーカーとは違い、1980年から2005年の自爆テロの一つひとつのケースを研究された方です。

合計315件のテロが起きたうえでの、彼の結論をここで引用いたします。「自爆テロとイスラム原理主義や世界の宗教との関わりは小さく、かえってほとんどすべてのテロ攻撃の共通点は、特定の世俗の、そして戦略的目的があり、現代民主主義が、テロリストが自分の母国であるとする地域から軍隊を撤収するように強いる活動である」。

皮肉なことに、テロについて私たちが話す時、イスラム教に反対する者とイスラムテロリストのアルカイダには共通点があります。両方とも、イスラム教は戦争を好む、暴力的な宗教であると信じています。両者ともこのことに同意します。オサマ・ビンラディンも、今夜の相手側の主張を聞いてうなずくことでしょう。

(会場拍手)

問題は、世界の主要な多数のイスラム教徒はそう思わないことです。実際、そちらの紳士は世論調査を引用されておりました。ギャラップは世界中のイスラム教徒に、最大の世論調査を行いました。35カ国にいる5万人のイスラム教徒が対象です。93パーセントのイスラム教徒は911の自爆テロを拒否し、7パーセントはそうしませんでしたが、宗教的理由ではなく、政治的な理由で暴力行為をサポートするとしていました。

著名なイスラム学者たちも経典も、テロ行為を真っ向から否定

イスラム学者としてのお話をさせていただきますと、ダニエルがオックスフォード大学の話をされていましたので、オックスフォードのイスラム研究についてお話ししましょう。

Sheikh Afify Al-Akitiについてです。非常に優秀で最高の尊敬を集めるイスラム学者です。世界中で研究をされ、7月7日から数日後にファトワー(注:イスラム法学上の勧告)にてイスラムの名においてのテロリズムを宣告し、すべての非戦闘員に対する常時の保護を呼びかけ、自爆テロを、イスラム法に基づかない新手であると描写しています。

Sheikh Tahirul Qadriの話にも耳を傾けてください。パキスタンの有名なイスラム学者の1人ですが、彼は600ページのファトワーを出し、罪のないすべての人を殺害すること、いかなる状況においても自爆することなどを禁止しています。

しかしこれは、主要なイスラム教においては目新しい事ではありません。主要な学者は何年も同様のこと、つまり進んで人々を道端やバスやモールで殺害するなということを、コーランに基づいて主張してきました。あなた方は文脈や、理解や、解釈や報道を無視し、かいつまんでいるのです。

聴衆:(何か発言をする)

ハサン:私は、まったくそのようなことが起こらなかったと言っていません。私はこのことをイスラム教のせいにしません。それはとてもいいポイントです。私たちの多くが反対運動をしています。イスラムの名に対する運動、さまざまなイスラム教徒の理解に対する運動をしています。

アン・マリーはシャリーア(注:コーランなどに基づくイスラムの戒律及び法)について話されていましたが、私もシャリーアの本を見てみたいものです。そんな本は存在しません。人々はシャリーアが何かについて討論します。あなたは1つのバージョンしかないと言って、過激派に権利を与えているのです。

なぜ大多数のイスラム教徒はテロ行為を行わないのか?

聴衆:(何か発言をする)

ハサン:あなたの指摘をお受けいたしましょう。私たちが話しているのは1400年の歴史を持つ世界的な宗教で、信者が16億人いて、さまざまな背景や文化民族性があります。それにも関わらず、反対者はそれを一般化したがり、固定概念、討論に勝つために不透明化するのであれば、私からも質問があります。

もし、昨日の爆発や攻撃者がイスラム教に感化されたとしましょう。私はそうは思いませんが、そうだったとして、タイムズスクエア爆発を起こしたファイサル・シャザードもイスラム教に感化されていたとしましょう。討論のためにですが、靴に爆発物を仕込んだリチャード・リードの件(注:2001年アメリカン航空機爆破未遂事件)も、イスラム教のせいだったと仮定しましょう。

イスラム教がこのような人たちを感化しており、それゆえにイスラム教は平和ではなく、戦争の宗教であるとするならば、こう問いかけたいと思います。それでは残りの人たちは何をしているのでしょう? なぜ反対派の主張の通りに自分の宗教を理解しているのが、そんなに少数のイスラム教徒しかいないのでしょう?

16億人の自爆者が世界にいるとしましょう。無理がありますか? 討論のために言いますが、世界にいる0.01パーセントのイスラム教徒が自爆者だったとして、残りの99.99パーセントのイスラム教徒は無視されたり不透明化されていることになります。

現実的に考えて、残りのイスラム教徒である私たちは今夜自爆をしたりなどはしません。反対意見の方たちも、今夜ここに来て、私やアダムがジャケットを引っ張って、自爆するのを恐れてはいないでしょう? 宗教の戦闘員だと主張したりして、ヨーロッパやダニエルの大学を手に入れるなんて、言ってはいませんよ(笑)。

今述べたことが問題なのです。上院の方々が今夜ここにいる場で、1人の偉大な学のある無神論者のピーターが、この質問に答えてほしいのです。なぜ、世界中にいる多数のイスラム教徒は、非常に少数の政治的に感化された過激派のように行動しないのでしょうか? この質問に答えられないのであれば、イスラム教徒やイスラム教について今日のように語るのをやめてください。

身近にいる平和的なイスラム教徒を信じて投票を

皆さん、これだけははっきりと言わせていただきます。対立する派の申し立てが何かを考えてほしいのです。もしあなたが今夜反対側の申し立てに投票するとすれば、イスラム教は平和の宗教ではなく、戦争の、暴力の、恐怖の、攻撃的宗教であると言っていることになります。

しかし、信者である私や私の妻、私の退職した両親、私の6歳の子供、そして18万人のイギリス国民、住民、世界中にいる16億人の信者、あなたの周りの人たちが暴力的宗教の推奨者、信者であると思われるのですか? 本当に?

オックスフォード・ユニオンのもっとも有名な討論は1933年の「King and country」で、アドルフ・ヒトラーはその結論を監視していました。人々はその時「King and country」に反対票を投じ、ヒトラーはその結果を見ていました。

それから80年が絶ち、世界から2つのグループの人たちが集まり、私はその投票結果を待つわけですが、何百万もの平和で非暴力的で法に従うイスラム教徒がイギリスを始め、ヨーロッパ、アジア、アフリカ各地におり、イスラム教を自分のアイデンティティー、霊的な希望や満足を与える源、安堵であるとする一方で、無視されたり、嫌われたり、頑固者であるとされ、反対者は文明をつぶそうとし、我々が分裂することを望んでいるのです。

皆さん、イスラムを恐れる人たちや分からず屋の討論を励ますのをやめてください。彼らの分裂や嫌悪を合法化するのをやめてください。あなたの知る、あなたの出会った、ここにいる、コーランの平和なメッセージを聞きたい非暴力的なイスラム教徒を信頼してください。

私はコーランが、多数のイスラム教徒と同じように、平和、同情、憐れみのイスラムであると思っています。コーランはイスラムのものであり、アルカイダのものではありません。皆さん、私は議会に発言を懇願します。今夜あなたの投票をお願いします。お時間をありがとうございました。

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