2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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青野慶久氏(以下、青野):ついに、日本も動き出しました。続きまして、こちらのテーマです。「地方創生」。もし国家レベルで少子化対策が進んだとしても、ほかに解決しないといけない問題があります。それは地方の問題です。
昨年、『地方消滅』という過激な本が出版されました。大変大きな話題になりました。この本を書かれたのは増田寛也さん、元岩手県知事で、元総務大臣でもあります。
この本にはこう書かれています。「今、全国にある約1,800の自治体のうち、ほぼ半数は若い女性が30年で半減する」という、衝撃的な内容になっています。2010年、20歳から39歳までいらっしゃった若い女性の方が、この30年後には半分の自治体で半減するという、非常にショッキングなデータです。
もし、この状態を続けておりますと、今まで私たちが地方で長く築いてきました文化が失われていきます。大変大きな問題です。私の出身地、愛媛県今治市はどうだろうと。残念ながら、この消滅可能性都市に入っておりました。
私の出身、愛媛県今治市は瀬戸内海に面したこの場所にあります。人口約16万人、造船やタオルが盛んな町です。しかしながら、このタオルに関しましては、どんどん中国に工場が出ていってしまいまして、いわゆる産業の空洞化が起きました。どんどん、どんどん、タオル産業が廃れていきました。
そこで、地元の人が頑張りました。佐藤可士和さんをブランドプロデューサーに迎え入れまして、この10年間、「今治タオル」という新しいブランドをつくってきました。そしてようやく、少しずつではありますが、このタオル産業が復活しつつあります。
それともう1つ、うれしいニュースがありました。元サッカー日本代表監督の岡田武史さん。この今治市にあります小さなサッカーチーム、FC今治のオーナーになりました。監督じゃありません、オーナーです、買収したんです。そして、岡田さんはこのサッカーチームを中心に、今治市をスポーツと健康の町として、まちづくりに取り組もうとしています。すばらしい。
しかしながら、まだまだ人口の流出はとまりません。転出が転入を上回っている状況が続いています。まだ今治市はいいほうです。もっと条件の悪い地域が日本にはたくさんあります。経済的に不利なところ、地理的に不利なところ、そして田舎へ行けば行くほど高齢化率は高い。
そんな中で、2つの成功事例を見つけることができました。1つは徳島県神山町です。こちらにあります。徳島市から車で約50分、人口約6,300人、高齢化率46%、何と46%。山間の過疎の町になります。
しかしながら、この町がNHKのクローズアップ現代で紹介されました。何と、IT企業の社員が川で気持ちよさそうに仕事してます。びっくりしました。普段コンクリートジャングルに向かっている私からすると、わあびっくり! こんなIT企業があるんだ! びっくりしました。
そして、この神山町には今、たくさんの移住者が生まれていて、IT企業がサテライトオフィスをつくっております。大変すばらしい取り組みです。そして、この内容が、『未来の働き方を実験する 神山プロジェクト』という本になって今売っております。非常にすばらしい地域です。
それともう1つ、島根県隠岐郡にあります海士町。場所わかりますでしょうか。ここなんですね。どう考えてもね、地理的条件悪いです。本土から船で3時間ぐらいかかるそうです。数時間も離れている。大変。人口約2,400人。
しかし、その人口約2,400人のうち、何と1割が移住者だそうです。すごい。もう2割になろうとしています。すごい地域です。何が起きているんだろう。
ないものはないって、こう割り切った広告。それから、島留学というのを推奨されています。この島に留学しに来ませんか。そして、この廃校寸前だった高校、何と今、留学生が増えておりまして、クラスが増えているという、信じられないことが起きています。そして、この内容は『未来を変えた島の学校』という本で出版されています。
この海士町には1つのイメージ図があります。高度成長社会のときは、最後尾をついていっていました。アメリカがあって、東京があって、そしてこの日本の最後尾をついてました。
しかし、これから社会は変わります。サステーナブルな新しい社会に向かっていきます。そのときには、この海士町は一番先頭を走れるんです。タグボートです。大きな船を引っ張るタグボートになる、こんな力をこの海士町は持っているんです。非常に印象的な図になります。
今日は、神山町で地方創生のリーダーを務められている大南さんと、それから海士町で学習センターのセンター長を務められている豊田さんにお越しいただいております。どうぞ大きな拍手でお迎えください。
(会場拍手)
青野:ご来場いただきましてどうもありがとうございます。すごい取り組みなんですけれども、もしよろしければ、この難題、地方創生に取り組もうと思ったこのきっかけ、いきさつ、覚悟について、お話をお伺いできませんでしょうか。大南さん、いかがですか。
大南信也氏(以下、大南):渋谷区でなくて徳島県の神山町から参りました、大南です。僕、物事をふわんと考えるほうで、あんまりこう、「覚悟!」みたいな感じで今までやってこなかったわけですけれども。70年代の後半に僕、シリコンバレーで2年間生活することがありまして、その中で、まあ神山のような何もない場所でも、クリエイティブな人材が集まれば何か起こるだろうというような確信が得られました。
1990年になると、自分の母校の小学校を訪れると、そこには1927年にアメリカから送られてきた友好親善の人形、青い目の人形というのが残っておったわけですよね。人形がパスポートを持っておって出身地が書かれておったというので、まずは誰が送ってくれたのか探し出してやろうということで、アメリカの市長さん宛に手紙を書いて、送り主を探して。それで人形を連れ帰ったというので、1つ神山の中に地域づくりのベースができて。
そうした中で、やっぱり国際交流なんかで多様な人を町に呼び込むことによって、たぶん町は変化していくんだろうという確信を持って、そこから世界の神山をつくろうというところで、まあ覚悟を決めて、今まで25年間……。
青野:25年間も!
大南:まあそうですね、やってきたというところです。
青野:じゃあ、人形を返すところから、きっかけで。
大南:そうですね。
青野:非常におもしろいきっかけで。
大南:はい。
青野:すばらしいですね。豊田さんは、また全然違うところから海士町に移住されたわけですけど、そのいきさつ、教えていただけませんか。
豊田庄吾氏(以下、豊田):もともと僕は東京にいたんですけれども、会場に来ていらっしゃる方より人口が少ない、2,300人の島に移住しています。
そこから来ているんですけど、もともとのきっかけは、島の高校が少子化によって統廃合の憂き目にあると。このままだとその高校がなくなってしまい、島が潰れてしまうみたいなところで、その高校を元気にするプロジェクトにジョインしてくれということで、お声がかかってですね。
出前授業で島に行って、その島の高校で授業をして、そのときに一緒にやらないかということでお誘いを受けたんですけど、そのときは何か丁重にお断りをして、「頑張ってください」と。僕は東京や全国で仕事をしていたので、楽しくやらせてもらっていますし、海士町だけということはないのでお断りしたんですけど。
半年たって、本当かどうかはわからないですけれども、「60人ぐらい面接したけど、いい人がいない」ということで、「もう1回話聞くだけでいいから、島にちょっと寄ってくれ」と言われて、全く移住するつもりはなく、島に行ったんです。
そのときにもいろいろ話して、話を聞いて、先ほど出していただいたスライドですね、タグボートのスライドを見ながら、なぜかその日の夜に「移住します」と言ってましたみたいな。
青野:そこですか(笑)。
豊田:はい。
青野:もしかしたら、ここは世界を引っ張るようなところになるかもしれないと。
豊田:そうですね。たぶん、東京ですごいことはできると思うんですけど。どこもそうだと思うんですけど、地方の人、お金がない、人がない、若者が出ていく、もうじいちゃん、ばあちゃんしか残らないみたいな中で、その一番状況が悪いところで何かいい結果が出せるようなモデルができれば、日本全国に元気を与えられるかもしれないと。そういう要素が海士町にあるなということを直感的に感じて、移住を決めました。
青野:地方創生に取り組んでいらっしゃる方はたくさんいるとは思うんですけど、なかなか成功事例が出てこない中で、どうしてこの2つの地域はうまくいっているのか? もしよろしければ、その理由をお聞かせいただけませんでしょうか? 大南さん、いかがですか。
大南:そうですね……。たぶん、変える覚悟ですよね。
青野:変える覚悟。
大南:はい。何かと言ったら、日本の地方は入ってくる人たちに対して変化を求めるわけですよね。「俺たちは地域で、もう何百年もずっと生きてきた」と。だから伝統があったり、いろんな風習があると、これを守ってきたと。だから入ってきた人間に、「お前らが変わってこれに合わせろ」というところが多いわけですよ。
青野:なるほど。自分は変わらない。変わってくれと。
大南:そうそう。ところが、神山がやっておるのは、「君らも変わってくれ。でも、僕らも変わるから、新しいものをここでつくろうよ」というところだと思います。
青野:なるほど。
大南:だから、歩み寄りですね。一方的に変化しろというのではなしに、自分たちも変わるから、君らも一緒に変わって、新しいものをつくろうよという考え方が、けっこう浸透しとるんじゃないかなと思います。
青野:そうですか。私も田舎出身ですけれども。地方の人って、伝統もありますから変わりにくいと思うんですけれども、どうしてそれが変われたというんですかね。
大南:先ほど申し上げたように、グリーンバレーなんかは、国際交流からスタートしていったことですね。外国人の民泊をずっと受け入れたりとかやる中で、自分たちもそういうふうに変化していくことが、楽しいことなんだということを、少しずつ実感していったと思うんですよ。
青野:成功体験が少しずつ。
大南:そうですね。変わること自体が楽しいことなんだと。
青野:なるほど。
大南:それで、(変わることが)別に怖がることでないんだというのを実感してきておるから、その歩み寄りが今でもできるということやと思います。
青野:「次、何か新しいことないかな?」みたいなマインドに変わってきたわけですね。
大南:はい。
青野:おもしろいですね。海士町はいかがですか?
豊田:1つはやっぱり危機感だと思います。僕は高校のプロジェクトに携わってるんですけど、その前の財政難とか少子高齢化とか合併の危機とか、そういう「このままだと島が沈んでしまう、島がなくなってしまう、学校が統廃合になってしまう」という危機ですよね。
それに対して、やっぱり一人ひとりが当事者意識を持って、自分たちが何とかしなきゃいけないというところで、そこに関わったという危機の話。
もう1つは、チームをつくっていく上で大事な要素にもつながってくると思うんですけど、お互いをリスペクトするみたいなところかなと思ってます。
海士町って、外から来たIターンの人間と島の人間が一緒になって変えてるみたいなところがあるんですけど。島の方々がいい意味で、いわゆる「よそ者、若者、ばか者」と言われるIターン、よそから来た人間をちゃんとリスペクトしてくださって、受け入れてくださっているみたいなところがあるのと。
外から来た人間も、島の文化とか、島の人とか、島そのものをちゃんとリスペクトしているという中で、お互いの役割とか強みが相乗効果みたいな形で成果につながっているんじゃないかなというのは感じます。
青野:何とかしないといけないという危機感の上に、歩み寄りがあって、そこにイノベーションが起きるような土壌もできているんですね。
豊田:はい。
青野:よく、「危機感を持てば変わる」というようなお話があるけど、普通は危機感ってなかなか持てなくて、どのようにして海士町はその危機感を持ったんだろう。そこはいかがでしょうか?
豊田:シンプルに言うと、見える化したということだと思うんですけど。
青野:見える化?
豊田:このままいくと財政的に破綻をしてしまうとか、島がなくなってしまうということを、数字だったりイメージだったりという形で、見える化したんですよね。
あともう1つ、直接そこにつながってるかどうかわからないですけど、そこに対して町長が、「身を切る改革をしないと、その危機感が波及していかない」ということで、町長ご自身が給与を半分カットされたりとか。
青野:半分!?
豊田:はい。
青野:すごいですね。
豊田:町長ご自身だけじゃなくて、役場の職員も課長職以上が3割カット、一般職員も2割カットしたりですね。やっぱり、本気だというところをまず見せたということですね。お前らが変われと言う前に。
青野:なるほど。
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